【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

文字の大きさ
419 / 1,649
第九章

403 新たなる過ち

しおりを挟む
( リーフ )


しまった…………。


明らかにショックで固まっているレオンの前でゴロンと仰向けで転がっていた俺は、ゆっくりと起き上がり正座をした。


良かれと思って、一生懸命体を洗ってくれたレオンの心を、完膚なきまでに傷つけてしまった……。


普段あんなに優しく肌を洗う事などなかったため、どうしても我慢できずに笑ってしまったが────この反応を見るに、レオンなりにお風呂について色々調べてくれた上で、” 手で洗う ” という方法を選択してくれたのかもしれない。


つまり、今の行動はそんな頑張りを全否定してしまったということなので、俺はしどろもどろになりながらレオンに謝った。


「 ご……ごめん、レオン。

俺、こんな事されたの初めてだったから慣れてないんだ。

これから徐々に慣れていくから……。 」


なんてったって前世では、タワシみたいな硬いヤツでガッシガッシと洗っていたし、そのレベルから考えると、” 手 ” で洗うのは難易度が高すぎる。


せめて柔らかいスポンジくらいから始めて欲しい。


その要望を提案してみようかと口を開こうとした瞬間────レオンが物凄い勢いで俺の両肩をガシッと掴み、酷く興奮した様子で俺に詰め寄ってきた。


「 はっ……初めてって……本当ですか!?

こうして触れられるのが……俺が……初めてって……?! 」


「 えっ?えっ??────あ、うんうん。本当、本当。 」


かつて無いほど真剣な目でそう言われたので、驚いてオロオロしてしまったが、レオンは突然パァァァ────!!!と、心配になるくらい嬉しそうに目を輝かせた。


「 俺……リーフ様程の方なら……こういうことは日常的だったのかと思ってました。

こうして触るのがお風呂のルールだって聞いていたから……。


でも、まさか……そんな!

信じられない……。 」


そうブツブツと呟くレオンの手が震えているのを感じながら、心の中で俺は少しだけショックを受けて黙り込む。


あ────……。これ、あれだ……。

俺、肌が弱い系の人だと思われていたのか……。


多分レオンのアナコンダ・ホールドで毎回俺がヒィーヒィー言ってるもんだから、そういう体全体弱い系の男だと認識されてしまったらしい。


しかし────そんな事は断じてない。


レオンに掴まれている二の腕を見下ろしながら、心外であると密かな抗議を心の中でする。


俺、肌超強いよ。

なんてったって前世ではタワシじゃ飽き足らず、園庭に生えてた萎びたヘチマとかでゴシゴシ洗ったりとかもしていたし、繊細とは対極にいると断言できる。


「 レオン、あの────……「 俺も全くの初めてですので!!ゆっくり慣れていきたいです。俺、頑張りますから!! 」


これは流石に物申さねば……と言葉を言いかけた所に、レオンがグイグイと言葉を被せてきて今後の体の洗い方について改善宣言をされてしまう。


レオンの真面目&完璧主義スイッチが完全に入った。


こうなってしまえば誰が何を言おうが天変地異が起きようが、その横で平然と自身が満足するまでその出来を追求し続ける。

俺が擽ったくなく、それでいて肌を傷つけないような完璧な洗い方が出来るようになるまで。


そんなイノシシの様に進むであろうレオンの性格をよ~く知っている俺は、一度目を閉じた後ゆっくりっと開き────……。


「 ────うん、頑張って。 」


それだけ静かに告げておいた。


その後、今日のところはとりあえず俺の体はタオルで擦ってもらい、早速俺たちはメインのお風呂へ────…………行く前に、豆を食べ尽くしたらしいあげ玉が、ポポーンと上から飛んで入ってきたので、軽くシャワーで洗ってからそのまま大玉転がしの様に転がしお風呂へポチャンと落とす。


くそ~、一番風呂という名誉はあげ玉に取られたか……。


若干悔しい思いをしながらも、次はレオンをポチャンしてあげて、その後俺も続いて湯船に入る。

すると体の芯まで暖まるじんわりとした暖かさと全身の疲れが湯に吸い取られていくような感覚に、口からは「 うぅ~………… 」とうめき声に近い声が溢れた。


そのまませっかく広いお風呂なのでと仰向けにプカプカ浮かべば、目に飛び込んでくるのは数え切れないほどの星で飾られた夜空だ。


「 うわぁ~……。 」


今度は感動が口から飛び出ると、” あの大渋滞している星の中に一体いくつの世界が存在しているんだろう? ” と、ちょっとした疑問が浮かぶ。


一度死んだ後出会った ” 神幹部 ” のレーニャちゃんいわく、この世には沢山の世界があって、その1つ1つに ” 小神 ” 様がいてその世界を管理しているのだと言っていた。


だからきっと今目の前に見えている星達にも小神様たちが管理する世界があって、その数だけ人生という物語が存在している。

そして、その全ては1つの大きな流れに沿って流され進んでいる────な~んて壮大な話すぎて俺のポンコツ鳥頭ではついていけないスケールの話だ。


温かい湯を楽しみながら、レーニャちゃんと話をした時の事を思い出す。


この数多にある世界の共通のルール < 理 >


そしてそれを元に世界は同じ方向に回っていて、その大きな流れこそ< 運命 >


この流れは決して変えることはできず、変えようとしても必ず同じ流れに引っ張られて元の流れに引き戻されてしまうんだそうだ。


その中で、俺とレオンがで出会った事は、ちょっとしたイレギュラーというヤツで、この大きな< 運命 >の流れに一瞬だけ逆らう行為だが……果たして今は無事に、元の流れに戻れたのだろうか?
しおりを挟む
感想 274

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる

路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか? いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ? 2025年10月に全面改稿を行ないました。 2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。 2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。 2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。 2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。 第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

無能と呼ばれた婚約者は王を完成させる〜替え玉婚約者のはずが、強すぎる王太子に手放してもらえません〜

統子
BL
兄の身代わりとして王太子の婚約者になった伯爵家次男リュシー。 嘘の名を名乗ったはずが、冷静で誠実な王太子リオンは彼を「力の装置」としてではなく、対等な伴侶として扱おうとする。 本物になりたいと願う替え玉と、完成された王太子の静謐な王宮ロマンス。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

処理中です...