【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第九章

402 過ちは……

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( リーフ )


お風呂、それは心のオアシス!


一日の疲れを癒す最強のスポットと言っても過言ではない、俺の聖域である。


それがなんと、レオンのお陰でマイ露天風呂を手に入れてしまったのだ。

これから夢の生活が俺を待っている!


英雄様、ありがと~!と心の中でレオンを崇め奉りながら、レオンが ” 地上の楽園 ” を見立てて作ってくれた脱衣所で、バッサバッサと服を脱いだ。


そして全裸になった後は、パパーン!と肩にタオルを掛けレオンの方へ視線を移すと────やはり前回同様レオンは恥ずかしさからかモジモジしていて、ここに着いた時と同じ姿勢で棒立ちをしている。


分かってます、分かってます。

レオンはレオンの服を脱ぐペースがあることを、前回殺されかけた事で俺は学びました。


前回起きた事を思い出し、ニッコリと微笑みながら頷く。


” 同じ失敗は繰り返さない ” は、社会人の……いや大人の鉄則だ!


「 じゃ、お先に~。 」


全裸で肩にタオルという定番のおっさんスタイルを維持したまま、モジるレオンを置いてさっさとお風呂の方へと入っていった。


モアッと体中に纏わりつく熱気を含んだ煙に、ツンッと香る硫黄の匂い……。

温泉の醍醐味を味わい興奮しつつ、辺りをじっくり見回す。


湯船の方はゴツっとした石で周りを囲まれ、正に日本の秘境にありそうなTHE・温泉風の完璧な外観。

その素晴らしい出来に、目を輝かせたが……中央の台座に立つ、ピカピカ白く光り輝く俺の像がそれを唯一曇らせる。


「 ……ほほ~ぅ。 」


改めてマジマジと俺の像を見上げると、どうやら像が持っているゴージャスな杯から、これでもかと滝のようなお湯がドバドバ溢れ出て、下の温泉が出来上がっているようだ。


「 ……本当にしょんべん小僧じゃなくて良かった。 」


心からそう思い、温泉の熱気が原因でない汗を拭った後、俺はキョロキョロと周囲を再度見渡した。


入口側に近いこの温泉空間を囲う壁から、シャワーのノズルの様な魔道具がピョコンと顔を出して、更に木でできたバスチェアーなるものまでその前に置かれていて正にいたせり尽くせり。


こんな木工品まで作っておいてくれたとは……。


心温まるレオンの作品をしげしげと見ていると、いつの間にか全裸のレオンが俺の真後ろに立っていた。


────ドキドキン!!


気配を全く感じさせずに出現する姿は、まるで夏によく出会う黒いアレの様。


「 こ、これ凄く上手だね。本当にありがとう! 」


木のバスチェアーを指差しお礼を告げると、レオンは首がもげるほどブンブンと大きく首を振った。


” なんとか1人で服を脱いで来たが、やっぱり人目に肌を晒すのは多少抵抗有り。 ”


現在のレオンの心理状態は、多分これだ。

俺の領域に達するには、あと30年ほど必要かな……。


ヤレヤレとため息を吐きながら、恥ずかしくて固まっているレオンを洗うため、バスチェアーに座らせると、ここでやっと石鹸が無いことに気が付き「 ……あ。 」と間が抜けた声が漏れた。


明日は日用品の買い出しだな……。


あれもこれもと、買わないと駄目な物リストをつらつらと思い浮かべたが、お風呂を出たら一瞬で忘れる。絶対に。


紙に書かなきゃ駄目だ、紙に……。


後でレオンに紙の場所を聞こうと考えながら、とりあえず湯で濡らしたタオルでワシャワシャとレオンの体を洗い始めた。


するとレオンは気持ちいい~と言わんばかりにウットリし始めたので、ウオッカでのお風呂体験から相当温泉が気に入った様子で俺も嬉しい。


フフ~ン♬ルルル~ン♫

鼻歌を歌いながらレオンの体を洗い終わると、俺も洗って温泉入ろ~と自分の体を擦ろうとした、その時……。


────ガシッ!!


レオンに割りと強めに手を掴まれ、動きを止める。


「 ??? 」


なんだ、なんだ??


突然のアクションに驚き振り向くと、そこには小さく震えながら迷子の子供の様な表情でコチラを見るレオンがいた。


” 体洗ってくれてありがとう!

今度はボクが、平凡パパもどきのお背中流してあげるね! ”


なんとなくレオンの言いたい事が伝わってきて、お胸がジ~ン……としてしまった。


うちの子レオンは世界一いい子!

ゴネたりムスッ!としたりで伝わりにくいけど!


俺は直ぐにクルッと後ろを向いて、バスチェアーに交代で座る。 


” さぁさぁ!背中をもぐ勢いで擦っておくれ! ” 


そう訴える堂々たる背中を、レオンの目の前に晒す。


すると一瞬レオンからは戸惑うような雰囲気が漂ってきたが、一瞬でそれは引っ込み、突然俺の背中にソッと触れた。


そして、何故かそのまま背中全体を両手でペタペタと触り始めたのだ。


「 ?????? 」


何?何?

壁のパントマイムの練習??


大道芸人もいける!と考えさせられる滑らかな動きには感動したが……とりあえずコレでは汚れは落ちない。


「 ちょっと悪いんだけど、もう少し強く擦って~。 」


汚れが落ちないと明日困るので、お願いを申し上げると、レオンの手からビクッ!!と驚いた気配を感じた。


「 ……つ……強く……もっと……擦る……。 」


ブツブツと呟きながらレオンは震える手を一度ギュッと握り、その後今度は手を上下にスィ~スィ~とスライドする動きをし始める。


何だか洗うというより撫でるような動きだな……。


そう思ったが、さっきのパントマイムよりは汚れが落ちるし……何よりレオンなりに一生懸命に洗ってくれるのが嬉しくて、笑顔でそれを享受していた。


しかしなぜタオルで洗わず手で……???


先程俺がレオンを洗っていたタオルが、ぺちょりと横に落ちているのを見ながら、疑問に感じる。


しかし、直ぐに "   そういえば硬いスポンジより人の手で擦って洗ったほうが肌に良いと聞いたことがある!  "   と思い出して、納得した。


より良いものを常に与えようとしてくれるレオンへの尊敬の念はギュギュンとうなぎ登りだ!


俺がその手の動きに身を委ねていると、次第にレオンの手は背中以外の肩や腕、前に伸びる太ももの方へと向かっていき、擽ったくて俺はスキル< 石男 >を発動。


なんとかそれに耐えていたのだが……脇腹からスィ~と胸の方へ向かう動きに限界を迎え────……。


────ブハッ!!!


とうとう思い切り吹き出してしまった。


さらにそのせいでスキルの効果が解け、擽ったい感覚が全身に蘇ってしまう。


「 ひゃ────っ!!……っ!!?ひゅ、ッ!ハッハッハッ!! 」


後は大声で笑いながら、コロコロと床を転がり回った。


そしてやっとその笑いが収まった頃に、目尻の涙を吹きながらフッとレオンの方へ視線を向けると────────……。


まるでこの世の終わりが来たかのように真っ青な顔色で固まっているレオンがいた。

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