【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第十章

426 見るしかないか……

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( レオン )


明らかに周りとは違う ” 黒 ” の目。

それに対しリーフ様は受け入れてくれているが、恐怖自体は多少あるだろうと思う。


それは誰にでもある感情だ。

異質な存在を怖がるのは生物としての本能なのだから仕方がない。

俺としては、これくらい全く気にはならないが……フッと少しだけ興味が湧いた。


誰もが怖がるこの目は、リーフ様の目にどの様に映っているのだろうと────。


「 ……俺の目、どう思いますか? 」


サワサワと左目に触れてくる手を優しく握り、そう尋ねてみた。


” 少し怖いね。 ”

” 闇の色だね ”


そんな言葉を想像して聞いたのだが……?


「 そうだね~。おやすみの色かな?

レオンの目を見ると眠くなるしね。 」


ケロリッとした様子でそう言ったリーフ様は、眠そうに頭を左右に軽く振る。


想像していなかった答えに一瞬戸惑うも、結局は ” 夜の色 ” ということだろうと判断した。


「 ……夜の色って事ですよね?皆きっと夜は嫌いです。

世界中の人々はずっと光が差す世界を望んでいるでしょう? 」


"   その色は望まれない色ではないか?   "


俺がリーフ様に答えを求める時は、それを否定してくれるのを期待しているからだ。


そしてそれも欲しい物の一つだと分かっているから、俺はあえてこんな言い方をしてしまう。

まるで試すように。


なんて傲慢なんだろう……。


そう思いながら答えを待てば、ほら、俺の予想通り。


「 えぇ?そうなのかい?


────う~ん……でもさ、俺、一日中明るいと熟睡できないよ。

皆明るくてもぐっすり眠れるのかな? 」



そんな心がパッと明るくなるような事を言ってくれる。



『 言葉 』は、受け取る側の心の形によって全く別の意味をもってしまう不思議なモノ。

恐らくリーフ様の言葉は俺の心の受け皿に恐ろしくフィットしてしまうようだ。


言葉と同時に乗っている素直な ” 気持ち ” も酷く心地よい。

思わずフッと口から笑いが漏れる。


「 リーフ様は、夜も……必要って言ってくれるんですね。 」

” 誰もいらないと口を揃えて言う俺のことを必要としてくれるんですね? ”


そんな意味を込めて確認をしてみた。


今の俺を受け入れてくれる?


安心する言葉を期待して、心の中で尋ねる。

勿論それも予想通りの答え、いや、それを超える答えをリーフ様はくれた。



「 うむ!当たり前だよ、レオン君。

それこそ ” 貰えるものは貰っておこう! ” 精神だよ。


朝だけ、昼だけ、夜だけ……そんなもったいない事を望むようではダメだね。


全部あるのが一番、あったほうが楽しい!


俺はお肉も魚も野菜も大好き!人生は欲張っていくべきだよ。 」



────パッ!


また心の中が明るくなる。



例えこの先俺が何に変わったとしても、リーフ様だけはきっと何も変わらない。


今と全く変わってしまうかもしれない未来の俺も、今の俺も、昔の俺も、全て ” あった方がいい ” と言ってくれる。


・・・・・
いつだって。



耐えきれない喜びが外に出ようとして、口には笑みが浮かぶ。


” 可哀想 ” で、今までの俺の人生を否定しないのが、とても心地いい。


” 俺は既に十分欲張りですよ、あなたのせいで。 ” 


そんな言葉を飲み込みながら、俺はその答えに「 はい。 」と返事をし、もう一度笑みをこぼした。



俺の欲しいものは全てリーフ様が持っている。


だからどこへ行こうが、誰と会おうが、そこにリーフ様がいなければ何も手に入ることはない。


だからこそ、それが取られる、もしくは分割される広い ” 世界 ” とやらが、俺は憎しみを抱くほど嫌いだ。


なのに、周りもリーフ様もそこへ俺を向かわせようと背中を押す。


その ” 嫌い ” な場所の一つである中学院とやらに、俺は本当は行きたくないし、リーフ様を取ろうとする奴らと同じ空間にずっとなどいたくはない。


だが、入学した後は、そんな奴らと共に暮らさないといけないらしい。


ウンザリだ。


そんなモヤモヤした気持ちを抱いて日々を過ごしていたが、とうとうその嫌な場所に向かう日────入学院式の日がやってきてしまった。


すると、今後暮らしていくであろう【 寮 】という嫌な場所へと俺は連れて行かれる。


” 行きたくない ”


” 帰りたい ”


そんな想いとは裏腹に、ワラワラと何処からか湧いてリーフ様に群がってくる虫の様な奴らを睨んだ。

リーフ様はそいつらに夢中になって、俺の方をあまり見てくれない。


” リーフ様に好意的な者に対し、俺は手を下さない ” 


そのルールに則って手を出すつもりは決して無いが……やはり不快は不快。

そのためムッとしながら黙ってリーフ様が楽しそうにする様子を見つめる。


そんな俺の願いを叶えてくれた……訳ではなく、リーフ様は少し経つと、その者達にお別れを告げスタスタと歩き出したので俺はその後を追った。


次から次へと同じ様な建物を見て回るリーフ様。

とうとう森のような場所の近くの道をトボトボと歩き始めたのを見て、もしかして……?とある予想を立てた。


いままで見てきた【 寮 】とやらは、気に入った『 巣 』ではなかった。

だから住むのを止めた……?


俺はニタリと笑う。


” 生 ” の定義を持つ生物にとって『 巣 』は大事な存在だ。

それが気に入らなければ、雌は絶対にそこに住まない。


だからこそ、その雌を必死に手に入れたい雄は、その雌が気に入る『 巣 』を必死に建ててアピールするのだ。


” この巣をあげる、だから一緒にいて。死ぬまでずっと ”


そしてアピールされた雌がそこを気に入りさえすれば、その願いを受け入れたという意味でずっとそこで一緒にいてくれる。


ただし、その雌が素晴らしければ素晴らしいほど、その求められるレベルは高いので、リーフ様ほどのお方に満足してもらうには、かなりのレベルが必要となるだろう。


リーフ様は雄だが、そういった気質をもっている。

これは非常にラッキーな事で、アピールできる大チャンスだ!


バレない様に、手をグッ!と力強く握り、俺は考えた。


この世で一番の『 巣 』を俺が作れば、選んでもらえるかもしれない!


そうと決まればと、早速俺はリーフ様に理想の家について尋ねたのだが、リーフ様のお答えは基本個性的かつ抽象的なものなのでイマイチ分かりにくい。

いつもだったらリーフ様が常々俺に望む、自分なりの ” 答え ” とやらを探すのだが、これに関しては失敗はできない。


” この巣は魅力的じゃな~い!だからいらない! ”


ププィッ!!とそっぽを向くリーフ様に、ショックを受けて倒れる俺。

そして新たに発見したキラキラした巣へ興味を持ってしまったリーフ様は、そっちへフラフラ~と……。


────────ムッ!!


イライラ~とした不快な気持ちが込み上げ、どうしたもんかと再度必死に考えた。


これは ” 見る ” しかないか……。


そう考えついた俺は、リーフ様のおでこにちょんっと触れる。


すると────……。


パラパラ~!!!


膨大な量の記憶のページ達が、一瞬で頭の中に流れ込んできた。



<英雄の資質>  (シークレットEXスキル)

” 超越者 ” の目

全てを ” 見る ” ことができる。

■■■■========干渉ーーー・・======

(発現条件) 

スキル< ” 超越者 ” >を持つことで発現可能となる

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