【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第十三章

494 それぞれの幸せ

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☆少々のグロ注意ですm(_ _)m



( レオン )

そしてその感情のまま、手に持っていた酒の瓶をブンッ!!と投げつけてきたので、とりあえず首を軽く傾げる事で避ける。

すると瓶は後ろの壁に激突して砕け、床は残っていた酒によりビチャビチャになってしまった。

ゆっくりと首をまっすぐに戻すと、それにも腹がたったのか睨みつけるような視線が一斉に突き刺さる。


「 ……舐めた態度とってんじゃねぇぞ?クソガキが。

あー……もしかして本当はそんな事しないって、人の善って奴を信じちゃっている系?

────おい、一切手加減すんなよ。こういう天然気取ったガキはしっかり躾ねぇと。 」


「 分かってますよ~。

────俺もこういう巫山戯たガキ、嫌いなんで。 」


ソファーに座っている男がピクピクと額に血管を走らせながらも冷静にそう言えば、同じく血管を額に走らせた【 拷問士 】とかいう資質の男もそう答えた。


「 おいっ!さっさと中に入れよ。クソガキが。 」


そして後ろに立っていた別の2人の男達が、別室に繋がるドアを開きながら顎をしゃくるので、そこに入ればいいのかと気づいた俺はそこへ大人しく誘導される。

そうして中に入り、まず目に入ったのは大人一人が横たわれそうな大きさの台。

更にその横のテーブルの上には沢山の拷問器具の数々、天井からはいくつもフックのついた鎖が垂らされていた。


これが『 拷問部屋 』というモノか……。


初めて見た拷問専用の器具達に、興味が湧いて観察していると、後ろに【 拷問士 】の男と残りの2人の男達が入ってきて、ズラッと並ぶ。


……どこかで見たか??


三人が並ぶ姿に僅かに引っかかりを覚え、やっと思い出した。


” お腹がピーピー ” と、リーフ様が言っていた男たちだ。


他の男たちも確かさっきギルドの中にいたような……??────と、そこまで考えてギブアップ。

興味も関心もない存在をこれ以上思い出すことは無理、かつ無駄だからだ。

ぼやぼやする記憶を諦めると、その3人はニヤリと笑いながら中に入ってきて……そのまま後ろ手にドアをしっかりと閉めた。


◇◇◇◇◇


変わったスキルが多いな。

         
足元で転がっていると天井から垂れ下がっている、その2つを見て持った感想だ。


「 んん~──んん~──!!!!! 」


地面に転がっている【 拷問士 】の資質の男が、鬱陶しい呻き声を上げたため、そちらに視線を移す。

口は真っ赤な太い糸でしっかり縫い付けられているため開けられず、苦しみを訴えるうめき声しかあげられない。

そして目はスキルの効果で閉じることはできなくなったため真っ赤に充血し、ダラダラと血の涙が流れては床を汚していった。

更に手足は粘土の様にぐにゃぐにゃで一切動かせず、ウゾウゾとイモムシの様な動きしかできない様だ。


言葉と視覚を支配するスキルに、骨のみを取り出すスキル……苦痛を与える事に特化したスキルだな。


男たちから取り出した骨を一本手に持ち、マジマジと眺めていたが、直ぐに興味が失せたのでポーンと放り投げると、上に垂れているモノがビクビク!と体を震わせた。

上のフックに掛かって垂れ下がっている残りの二人の男達は、足元で転がっている男と同様の状態で吊り下げられていて、ユラユラと一定のリズムで揺れて動く。

その姿はまるで振り子時計の様だ。


「 う "う’’……。 」

「 あ’’あ’’ぅ……。 」


揺れと共に痛みに喘ぐ声を上げるが、それを見ても他に何か特別思うことはない。


────おかしいな?

こいつらの ” 思い出 ” によるとこうしてやれば最高の ” 幸せ ” が手に入るはずなのに……?


覗いたこいつらの思い出の中で、最も楽しいと感じていた事を忠実に再現してやったのだが……俺の心には一向に幸せはやってこない。


「 …………?? 」


更に、足元に転がっている男の顔を踏みつけ鼻を折ってやったが、やはり何も感じない。


「 ~~……!!!ッ────~!!! 」


声にならぬうめき声をあげる男からあっさり意識を外し、俺はリーフ様に貼り付けている ” 目 ” に意識を集中した。


すると視界に写るのは満天の星空。

そしてそれを見て嬉しそうに笑うリーフ様の姿が見えて、幸せの気持ちが湧くと────フッと以前リーフ様が言っていた言葉が頭の中に浮かぶ。


” 人それぞれ幸せに思うことは違うんだよ。 ”


ある日、ヒヨコもどきが何を思ったのか、突然ペッ!!と手のひらサイズの豆を吐き出し、俺とリーフ様に渡してきたので、即座に投げ返そうとした時リーフ様に言われた言葉だ。


ヒヨコもどきの幸せは、この豆を食べる事。


俺は嬉しくないしリーフ様も嬉しくないが、ヒヨコもどきは自分が幸せだと思う事を大好きな俺達にしようとしてくれている。


"   だからその好意は喜んで受けるべし!  "


そう言ってグッチョリした豆にリーフ様は齧り付き、ムシャムシャと食べ始めたので、イマイチその事にピンとこなかったが、俺も仕方なくその豆を食べた。


その時の事を思い出し、なるほど……と俺は完全に理解する。

     
こいつらはが楽しい、俺はどうでもいい。

それでいいのか。


次々と閃く答え達に満足しながら、この後どうすればいいかも考えた。

リーフ様曰く、” その好意は喜んで受けなければならない ” らしいから……俺はそれを返してやらなければならない。


コイツラにとってこれは楽しい事。

だから俺は、それが楽しくないが同じ事を返してあげる。


それが "   正しい   "  !


少し掃除をしようと思っただけなのに、思わぬ有意義な時間を過ごす事ができて、俺の口元は自然と上に持ち上がる。


また一つリーフ様の世界を理解した。


俺は満足気に頷き、頭の中でヒヨコもどきに指示を出す。

” リーフ様にそのまま夜空を満喫して頂け ” と。



( 戦闘鳥 )モンスタースキル

< 天からの啓示 >

群れのボスからの伝令を何処にいようとも頭の中で受け取ることができる長距離型特殊伝達系スキル。

(発現条件)

自身の認めるボスが現れる事

ボスと一定時間以上一緒に過ごす事

ボスの巣の中に受け入れてもらう事



「 クッピッ~!( 了解! ) 」


スキルを通じて返事を返してきたヒヨコもどきは、星空の中旋回し始め、それに合わせて「 おおお~!! 」とリーフ様の喜ぶ声が聞こえた。


それに思わず顔が綻ぶ。


さぁ、帰ろう。

俺を幸せにしてくれる唯一の居場所に。


そう思って、俺は足元に転がるの髪を鷲掴み、ズルズルと引きずりながら、扉に向かって歩きだした。
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