【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

文字の大きさ
526 / 1,649
第十三章

510 離れ小島です

しおりを挟む
( リーフ )


ワンワン!にゃんにゃん!ブンブン!


戯れる様子はまるで動物触れ合いコーナーの様……。

そのまま収拾がつかなくってきたところで、突然ジェニファーちゃんが扇子を手に打ちつけた。


────バチンッ!!!


その結構大きな音によって、喧嘩は一旦中断され、クラーク君が真っ先に口を閉じる。

そして直ぐにジェニファーちゃんの後ろへと移動し、アゼリアちゃんとマリオンをギロリと睨みつけた後、二人に向かって憎々しげに言い放った。


「 アゼリア、マリオン、俺はお前たちに負けるつもりは一切ない。

精々無駄な努力をし続ける事だ。

そして────! 」


────ギンッ!!


クラーク君は、ここ一番の恐ろしい目つきで睨みつけてくる。



レオンを。



「 貴様は奴隷らしくリーフ様の下で大人しくしている事だ!

奴隷の分際で首席をとるなど本来は許される行為ではない!

主人より上に頭を出すなど従者として恥を知れ、いいな!! 」


そんな感じで、完全にヘイトターゲットにされたうちの子は……?

多少心配しながらレオンの方をチラッと見ると、そこには恐ろしいほど無表情かつ無反応なレオンの姿がある。


全くお話聞いてな~い!

悲しくなるほど完全無視!


そんな無礼極まりないレオンに対し、クラーク君は額に青筋を立てながら、更に文句を言おうと口を開きかけたが────それを止めたのはジェニファーちゃんだ。


「 クラーク!その様なレベルの低い争いはおやめなさい。 」


「 ────っ!申し訳ございません! 」


クラーク君は、ジェニファーちゃんの言葉にグッと口を閉じた。

そしてジェニファーちゃんは、顔を青白くしながら一瞬レオンをキッ!と睨みつける。


「 ……それでは、ソフィア様、リーフ様、皆様ごきげんよう。 」


それだけ言って、二人は自分の席に帰っていった。  

それを見送ったマリオンは、ふんっと鼻で笑い飛ばす。


「 相変わらず神経質で嫌な男だ。その内、格の違いを思い知らせてやる。

────それではソフィア様、リーフ様、その他の誰かさん達、ごきげんよう。 」


去っていったクラーク君を忌々しそうに睨みつけていたマリオンも、ジェニファーちゃん達同様に席へと戻るが……ちゃんと最後までレオンを睨みつけるのは忘れない。

殺意がこもった目をレオンに向けたまま、自分の席に着席後は、プイッ!と顔を背けていた。


怒涛のアニマル戦争。

そしてあっという間の終戦か……。


素早い展開に上手く順応できずに、ぽや~としていると、ソフィアちゃんがホッと一息つく。


「 とりあえず、私たちも席に着きましょう。 」


冷静にそう提案をしてくれたので、俺はレオンを連れて自分の指定された席へと向かった。


レオンの正体不明の謎スキルって、高位貴族に対しての挑発効果とかもあったりして!


ははは~!と笑いながら冗談交じりにそんな事をフッと思うと、何だかそれそれが正解な気がしてきて……笑いは一気に引いていった。


特級組に馴染めるかな、レオン……。


すごく心配になったが、なんのなんの!

うちの子は世界一のいい子だから大丈夫!


そう思い直し、俺は自分の席の前まで来て……そのまま固まった。


俺とレオンの席、間に何人入るの?と言いたくなるような長ーい机の一つで、その両端に位置しているのは良い。

首席と次席だから多分隣同士だろうなと予想していたから。


でも机の配置されている位置が、突出して前。


要は教壇の目の前。


そして机2個分くらいの隙間を開けて後ろにズラリと、他の子達が座る長い机が並んでいくのだが……俺たちが座る席は前世では悪さばかりしている小僧用の特別席だ。

先生の目の前、悪さをすれば直ぐにゲンコツできる位置!


「 …………。 」


えっ、やだ~……。

素直な感想を心の中だけでつぶやいた後、レオンと俺の椅子をマジマジと観察した。

俺たちの椅子は多少格差はあれど、この世界でもっとも高いとされている< 皇石 >をふんだんに使った特別性。

白く輝く真っ白な超高級お椅子ボディーに、更に一個で家が建つほどの値段の宝石がこれでもかと散りばめられている。


< 皇石 >

白く輝く世界一高価と言われている石で、ミスリルと並んで使われる素材の一つ。

武器などに使われるミスリルとは違い、皇石は王族や高位貴族の家の床や家具類に使われる事が多い。


俺の家にもふんだんに使われていたらしいこの皇石……それを知ったのは、実はつい最近だったりする。

俺は知らずにずっと泥まみれの状態で倒れ込んでしまったり、レオンとバタバタ走り回ったりしていたので、今考えれば恐怖でしかない。


ヒェッ……!


そんな恐ろしい思い出を振り返ると思わず悲鳴が漏れた。

その後は震えながらレオンの座る椅子に触れば、今度は椅子の上に敷かれた赤いクッションの、まるでマシュマロの様な感触にギョッとする。

更に間近で見るとよりクッキリする、見るもの全てを魅了する繊細な細工にクラクラと目眩が……。


これに毎日座るだなんて失神しそう。

汚したら弁償?おいくら?


ブルブルしながらハンカチを取り出し、赤いクッションの上に乗せた。

そして、その上にレオンを座らせ、俺は反対端にある自分の方の席に向かう。


中学院はアーサーの基本理念< 実力主義 >を貫いているため、この様に分かりやすい実力者優遇が至るところに用意されているらしい。

それは別にいいのだが、この席はちょっ~と嫌がらせに近くない?

そう思ってしまうのは、俺が前世の記憶持ちだから??


価値観の違いに悩みながら、後ろの席へ視線を向けば、絶対に手が届かないくらい遠くに皆の席があって、皆んながお利口さんに着席している。


ここでもやはり離れ小島の様だ。


────ガガーン!


それに嘆き悲しみながら、俺は端にあるレオンの椅子よりややグレードが落ちるが、同様の材料が使われている椅子に座った。

すると……。


────ふわっ!!


……モフフフフ~。


座った瞬間柔らかすぎて、お尻が吸い付く様に中にめり込んでいく。


「 ……うひょ? 」


な、なんだコレ!!ふっかふかだぞ!!


信じられないほどふわふわの感触をしたクッションのせいで、気鬱な感情は全て頭の中から吹き飛んだ。


これはベッド・マッシュと甲乙つけがたい感触!


思わぬハッピー体験にご機嫌で鼻歌を歌っていると、それとハーモニーを奏でる様に、ズッ!ズッ!♬という断続的な音が隣から聞こえて来る。


「 ??? 」


何の音だろう?

首を傾げながら、俺はその音がする方へ視線を向けた。

しおりを挟む
感想 274

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる

路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか? いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ? 2025年10月に全面改稿を行ないました。 2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。 2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。 2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。 2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。 第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

無能と呼ばれた婚約者は王を完成させる〜替え玉婚約者のはずが、強すぎる王太子に手放してもらえません〜

統子
BL
兄の身代わりとして王太子の婚約者になった伯爵家次男リュシー。 嘘の名を名乗ったはずが、冷静で誠実な王太子リオンは彼を「力の装置」としてではなく、対等な伴侶として扱おうとする。 本物になりたいと願う替え玉と、完成された王太子の静謐な王宮ロマンス。

処理中です...