【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第十四章

519 本物と偽物

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( リーフ )

「 ────へっ?……うわっ!! 」


叫びながら崩れ落ちるレイドの口を急いで押さえ、直ぐにバッ!!とレオンの方へ視線を移せば────レオンはこちらの様子に気づいておらず、未だぼんやりと椅子に座っているようだ。


????

ショック状態……??


ちょっと普段とは違う反応に首を傾げたが、とりあえず今はラッキーラッキー!と思う事にした。

ホッと胸を撫で下ろしながら、次にモガモガと暴れて口元の俺の手を外そうとしているレイドに、しっ!!と静かにするように指示する。

すると、やっとピタリと大人しくなったレイドを確認してからゆっくりと手を外し、そのままヒソヒソと話しかけた。


「 いいかい?レイド。

レオンの前であまり性的な事を言っては駄目だ。

レオンはココに来る前にちょっと……その……凄く積極的な女性に迫られてしまってね、とても怖い思いをしたんだよ。

そのせいですっかり怯えていてトラウマになっていて……。

元々性的な事に対して潔癖的なところもあったから余計さ。 」


「 えぇっ!!マジかよ!!……それ人型種か?? 」


失礼千万のレイドのジョークにアイアンクローをかますと、レイドは「 痛────ッ!! 」とキャンキャン子犬の様に叫んだが、それをまた、しっ!!と言って黙らせる。

その様子を見てモルトとニールは目元を隠しヒエッ!と悲鳴を上げたが、それにも、しっ!すると、全員が口元を押さえてコクコクと首を縦に振った。


「 3人とも、いいかい?

心の傷を抉るような意地悪は絶対に言わないように!

レオンは繊細で純粋なか弱い少年なんだから、このままでは正常な恋愛ができなくなってしまうかもしれないだろう?

本当に可哀想に……レオンは毎晩怯えて震えているんだ。

だからソッとしておくこと!分かったかな~? 」


「 繊細……。 」

「 ……純粋……。 」

「 怯えて震えている……。 」


モルト、ニール、レイドは順番に呟きながら、下を向いてプルプルと震えている。


非常に困った事に、思春期の少年達のこうした性的なイジりは、度を越してしまう事がしばしば。

全くしょうがない坊や達だ!とため息をつきながら、レオンは大丈夫だろうか?と心配になった俺は直ぐにタタっとレオンに駆け寄った。

そしてヒョイッとレオンの顔を覗き込んだが……その目は何処かぼんやりとしていて、焦点があっていない。


やっぱり性教育の授業で卵じゃない事にショックを……?


「 …………。 」


────いや!もしかしたら、自分がされた事をはっきりと理解したからかもしれないぞ!?


そう思い当たると、俺の顔色はザザっ!と真っ青なマリンブルーへと変わる。

急いで家に連れて帰って休ませてあげよう!と考え、「 レオン、一緒に行こう! 」と声を掛けると、レオンはそのままバターン!!と物凄い勢いで椅子から転げ落ちてしまった。


「 …………。 」


あまりの勢いに助ける事もできず、レオンは床の上に横向きで倒れてしまった。


「 レ、レオン!? 」


初めて見るくらい憔悴している様子に、俺は慌てて駆け寄り、叫びながらユサユサとその体を揺らす。

するとレオンは、ゆっくり……ゆっくりと俺の方を見て……。


「 本物のリーフ様……ですか? 」


────と消えそうな声で言った。


えっ??本物???


言っている意味が分からず、巨大なクエッションマークを頭から飛ばしていると、机の影からレイドが、ぴょこんと頭半分を出す。


「 ほほ~?リーフって偽物がいるのか?マジかよ。 」


ジ~……と疑わしそうな目で俺を見つめてくるレイド。

更にその右側と左側からは、モルトとニールがピョコピョコと同様に頭を出してきた。


「 なんと……! 」


「 昨日のリーフ様は……もしや……!? 」


順々にそう言った後、同じくジーッと疑わしい目線を向けてくる2人に対し呆れながら「 いないよ……偽物なんて。 」と返すと、直ぐに様子がおかしいレオンに視線を戻した。


すると、そこにはまるでチワワの様に怯えながら俺を見上げるレオンの姿が……。


もしや熱による幻覚……?


その可能性を考え、俺はレオンの体を抱き起こし、ペタッとおでこに手を当てる。


「 ほら、レオン。俺は本物のリーフだよ。

さぁ、お家に帰って早く寝ようね。 」


そう言い終わった瞬間、パチッと目を開けると────俺はレオンの腕の中、そして視界が高~い!になっていた。


「 ????? 」


何だ何だ??と下を見るとモルト、ニール、レイドのポカーンとしている顔が、上にはレオンの真剣な顔がある。


なんと俺、いわゆるお姫様抱っこなるものをレオンにされていて、びっくり仰天!


えっ?いつの間に??


驚いてぼんやりしていると、更にレオンは一瞬で窓からポーンと飛び降りる。


唖然としている俺の目には、レイドとモルトとニールが ” さよ~なら~! ” と手を振っている姿だけが写っていた。
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