【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第十七章

613 俺なの〜俺。

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( リーフ )

フンスッ!と気合満々で鼻息を吹くと、リリアちゃんは口元を抑えピクピク震え出した。


「 た、確かに……兄は負けないでしょうね。 」


そう息も絶え絶えに言った後、何だかスッキリした顔を上げる。

その様子から、リリアちゃんはリリアちゃんなりに、兄のサイモンを心配していた事が分かって、またしてもその兄妹愛にもグスリと鼻を鳴らした。


家族って良いよね!


そんなほっこりしていた俺の脳裏には、道行くテイムモンスター達にガンをつけまくって喧嘩を売り歩くあげ玉。

無邪気と残酷が紙一重で、たまに森で出会ったらしいガラの悪い男達を畑に埋めてお水をあげる黒みつ。

そして何より様々な勘違いからジェット噴射して広範囲に殺傷性の非常に高い爆弾を落とすレオンが思い浮かび────スンッ……と表情が消える。


ちなみに畑に野菜の様に植えられてしまった男は、俺がちゃんと守備隊に持っていったが "   何故?  "  といった様子でレオン、あげ玉、黒みつは不思議そうな顔をしていた。


おじさんは、ため息しかでないぞ~?


ブツブツと自分の家族の愚痴を溢していると、リリアちゃんはいつもの大人っぽい笑い方ではなく、年相応の笑顔を見せて嬉しそうに笑う。


「 何だかリーフ様とお話すると、難しく考えている事が馬鹿らしくなってしまいました。

兄もきっとそう思ったのでしょうね。

拘っていた自分が馬鹿みたいだって言ってたから……。

兄が変わったのはリーフ様のお陰だと思います。

本当にありがとうございました。

何だかリーフ様って、凄く大人っぽいなと感じる時がありますね。

どっしり構えていて、周りに影響されないというか……。 」


「 んん~??そうかい?どういたしまして……??

まぁ、でも誰でも歳を取ればこんなもんさ。

周りの人の言っている事が恐ろしい程入らなくなるから。身体的にも精神的にも。

何かを変えるには凄く時間が掛かるから、基本は若い人達に全てお任せだね。

むしろ若者にはありがとうって想いしかないよ。

それにねぇ~俺、サイモンは恐怖しただけだと思うんだよね、俺の話に。 」


「 ???リーフ様の話……ですか?一体何のお話を? 」


不思議そうな顔をするリリアちゃんに……ホタっと地蔵の様な笑みを浮かべる。


そりゃ~アレだよアレ。

多分人生の中で一番の試練とも言える排泄介助についての話だよ。


俺は後ろでボケ~としているレオンに視線を向け、ニッコリ笑った。


想像してみてくれ。

こんな幼い少年に排泄後にお尻を拭かれる場面を。

これ以上恥ずかしい事が……果たしてあるかな~?


何だかよく分からないが、とりあえず俺が笑顔を見せたもんだからレオンもニッコリ。

思わず見惚れる様な笑みを見せる、神が作り給うた美しさを持つ絶世の美少年……にお尻を拭かれている俺。


この事実からしたら、ほとんどの事がどうでもよくなると思うんだよねぇ~。


ニッコリ微笑むレオンの顎をこちょこちょとしながら、夜のトイレ対策をどうにかしなければと打対策を常に考えている。


こうと決めたレオンに優しく諭しても無視、きつく言っても無視、命令しても無視。

夜は俺がぼんやりしているのを良いことに、中に入ってはお尻を綺麗に拭いてご機嫌だ。


フッと目を覚ました時の、お尻への優しいティッシュの感触と、脇にガッチリ抱えられている安定感、そしてスースーするお尻の寒さ……。

最初は全力で悲鳴をあげちゃったよね。

レオンって黒いからお化けかと思ったし……。


嬉しそうに顎を擽られているレオンを見て、はぁ……と大きくため息をつきながら、お尻の事をボカしてリリアちゃんに説明する。


「 …………。 」


すると、全てを悟った様な顔で、リリアちゃんはニコニコしていた。


その後は主に平民組での様子や他の皆の部活動についての話を聞いていたのだが、夢中になって聞いていると、あっという間に【 闘技場 】へ到着してしまう。

お喋りしていると直ぐだな~!

そんな事を考えながら周りを見渡せば、まだ少し早い時間だと言うのにほとんど全ての生徒たちが大集合していたのが目に入った。

やはり俺同様、皆も初の合同演習にそうとう気合が入っている様だ。


これは悪役としては負けられないところだぞ~?


気合を入れ直しながら、ザッ!と一歩中に入ると────レオンの姿を目にした生徒たちが、潮が引く勢いで消えていった。


「 …………。 」


いつも通りのモーゼの杖。

俺が黙って周囲へ目を向けると、皆の視線は俺の後ろにいるレオンに釘付け!

その目に写るのは、恐怖……なのだが、少しだけこの三ヶ月でその視線も変わってきた様で、何というか、電車の優先席的な?

おじいちゃんおばあちゃんが来たら、” あ、譲らなきゃ ” って思うのと同じ的な感じになってきた様な気がする。


「 うう~ん……? 」


これからこの状態をどう改善していけばいいのかさっぱり分からず悩んでいると、レオンが額に寄った眉毛辺りをモニモニ労るように揉んでくれる。


何だかこれでは俺の怖さが優先席で霞んでしまう気がする~。

畏怖の対象は俺ぇ~。

このリーフ・フォン・メルンブルクなの~。

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