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第十七章
623 長老です
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◇◇
「 う~む……やはり敵が多数の場合は、周りとの連携が重要になってくるな。
特に即興のパーティーの場合は、お互いの間合いの把握、それに有利属性を取れる配置を即座に選ぶ事……やはり司令塔の様な存在がいない場合は、それが中々難しい。 」
いつも通りの場所で、いつも通りのメンバーでランチ中。
そこで先程の合同演習……という名の三年生特級組との団体戦について、アゼリアちゃんが白い紙にその反省点を書きながら、レイドとメルちゃんと3人で真剣に話し合っている。
そしてサイモンとリリアちゃんは、今日の出来事を如何にセンセーショナルに新聞にしようかと相談しあい、モルトとニールも鋭い切り口でそれに意見を出す……と、それぞれワイのワイのと楽しそうにお喋りしている真っ最中だ。
若者がやる気メラメラだと、未来が明るいね~!
そう思いながら、愛からわず全ての事に興味ゼロどころかマイナスの若者レオンを見て、ハァ……とため息をついた。
そんな俺は、いつも通りやる気ゼロのレオンのお膝の上。
座ったまま、ズンっ!と肩を大きく落としていると、不意に隣に座っていたソフィアちゃんに話しかけられる。
「 私、あんなにドキドキしたのは初めてでした!
何だか、こう……叫びたくなるくらい衝撃的でっ……!
凄い!凄い!って飛び跳ねたかったくらいです! 」
「 ────へ、へぇ~……。 」
キラキラした目でそう語る王女様。
ソフィアちゃんは恐らく、お象さんとは、” 初めまして、こんにちは~ ” の初対面のはず……。
多分そのドキドキは、それとの遭遇が原因だと思われる。
ゴクリっと息を飲んだが、ソフィアちゃんは俺のそんな様子には気づかず話を続けた。
「 ……貴族の平民に対する法律では『 明らかに不当な暴力行為 』それに加えて『 怒鳴るなどの行為による暴言、恐喝、脅し行為 』などが、問題が起きた際の焦点になります。
つまり、私の立場上、 ” マービン様が女子生徒に身体的に危害を加える ” または、” 怒鳴りつけて脅迫する ” などがなければ、その行為を咎める事ができません。
それを分かっていて、あの様な方法をとっているのですよ。
学院側も、そんなマービン様に相当手を焼いていた様ですね。 」
困った様に微笑むソフィアちゃん。
立場が上であるほど好きには動けない。
それって本人としては、本当にストレスだろうなとホロリとしてしまう。
身分に重きを置くこの国では、平民は基本泣き寝入りするしかない状態が多く、完全な証拠がなければ逆に不敬罪で首を撥ねられる事だってある。
仮に証拠があっても、報復が怖くて結局我慢するしかないという状況も多かった。
勿論、ソフィアちゃんやドノバンの様にそれに異議申し立てする王族や貴族達もいるが、その際は今ソフィアちゃんが言った法律を盾に戦うしかないのだ。
つまりそれを分かっているマービン君達は、女性徒に自ら触れる事はせず、怒鳴って威圧する様な行為もしない。
しかし勿論怒鳴ってないとは言え、言っている事は脅迫以外の何者でもないからたちが悪い。
” 言う通りにしないとどうなるか……分かっているよね? ”
そう遠回しにマイルド~に言って、それをするよう仕向けるというわけだ。
全く~……なんて悪知恵が働くスケベ坊やだ!
ふぅ──!と大きなため息をつくと、先程のスケベ坊やとペンギンの雛達、そしてピーチクパーチクお嬢さん達について考えた。
お互い同等に口を出し合える子供同士の喧嘩なら別にいい。
しかし、残念ながらこの世界の子供たちは、身分や派閥により軽率な行動がとれないという状況にある。
自分が原因で大きな争いになったら……と考えると、口を閉じるしかないというのが、大半の子供達の考え。
常に周りの派閥が~やら身分が~やらを考えて、行動しなければならないというわけだ。
この世界の子供たちは、常に人間関係がスーパーハードモード!
どうにもならない現実に疲れた俺は、レオンにグタッともたれ掛かりリラックスおねだりモードに。
それを察したレオンが、腕を末端の方から中心の方へ向かう動きでスリスリしてくれて、最高級のリラックスタイムを提供してくれる。
もう俺、これないと生きていけな~い……!
ウットリしながら後頭部をレオンの固いお胸にスリスリ~と擦り付けて、更なるおねだりモードを全開にすると、揉み込む動きもプラスしてくれた。
あ、ちなみにそういったごちゃごちゃ~とした事に対して、俺は基本問題なし。
何故ならば俺の家は、ゴリゴリのエドワード派閥かつ公爵家という立場だから!
いわば、なか~ま!という立ち位置なので、あれしきの事は、子供たちのよくある喧嘩程度で片付けられる事だろう。
もちろん反対派閥の者達が暴れたら、多少考える必要があるが……そもそも基本問題を起こすのはエドワード派閥のお家の子達なので、今のところは問題なくマイペースに動く事ができている。
公爵家のリーフに生まれて、スーパーラッキー!
心の中で拳を握りしめながらも、生まれや周りに左右されすぎる環境に憂いを感じた。
「 ……困ったもんだね。
何だか、親御さんの派閥だの何だのの問題に、子供たちが巻き込まれるのは悲しいよ。
中には両親を喜ばせたくて、無理に変わろうとする子もいるだろうしね。 」
ソフィアちゃんは俺の言葉を聞いて、僅かに驚いた様な様子を見せた。
「 そう……でしょうか?
そこを切り離して考えた事はありませんでした。
過激な思想を持つ家のご令息やご令嬢は、言動や行動を同じくとしている方々ばかりなので、ご両親と同じ志を持っているだろうと……。 」
「 まぁ、確かにコピーの様にそっくりな親子もいるけど、意外とそうでもないんだよ。
寧ろ、違う思想や価値観を持つから、親子関係って難しいんじゃないかな~?
子供は両親が好きだからそれに合わせようともするし、でも自分の考えはこうだ!っていうのもあるしで、日々葛藤するみたいだよ。
貴族は、家のルールなんかも厳しいから、余計拗れて色々見失っちゃうんだろうね。
だから、親御さんのゴタゴタはできるだけ子供に見せない方がいいと思うんだけどな、俺は。 」
む~ん……と渋い顔をしながら、俺はそう語った。
クローンみたいにそっくりだと楽かもしれないが、正反対の気質や考え方を持っている親子もいて、どうしても分かり合えない事だってある。
それでもまだキーキー親子喧嘩できれば、それなりの場所に到着できるが……貴族の子供達は、自分の気持ちを外に出さぬべし!と教育されて育っているので、中々それもできない様だ。
必死にご両親の喜ぶ様にと、自分の気持ちを押さえつけて変わろうとする子も多いかもしれないな……。
悲しい気持ちとレオンのマッサージの気持ち良さに「 ────あ~う~……。 」とうめき声を上げていると、ソフィアちゃんは、色々何かを考えた様だ。
「 何だかリーフ様って、凄く歳が上の方みたい……。 」
突然そう言って小さく笑うソフィアちゃんに、俺はコクコクと小さく頷く。
そうそう、俺70歳~。
ゲームで例えるなら、主人公達が立ち寄った村の長老だから~。
頷く事でそれを肯定した後、レオンによっていい感じのツボを押され、はぅぅっ!!と声を漏らして痙攣していると、ソフィアちゃんが困った様に眉を下げて話し始めた。
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