【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

文字の大きさ
670 / 1,649
第十九章

654 スタンティン家

しおりを挟む
( マリオン )

「 マリオン!お前が先日作った ” オルゴール ” 凄いじゃないか!

今、どこの貴族からも、それを求めて注文の連絡が殺到している。

特にあのメルンブルク家のマリナ様も大層気に入ったそうでな、これからもっと増えるだろう。

流石は我がスタンティン家の次期当主、よくやってくれた。

これからも期待しているぞ。 」


「 ありがとうございます。父様。 」


淡いピンク色のストレートの髪を後ろに撫でつけ、上機嫌な様子を見せる "  父様 "

キリッとした目元にスッと高い鼻、スラリとした体格に文句の付け所がないくらい凛とした美しい姿勢。

まさに付け入る隙などない完璧な貴族といえる男。


伯爵【 スタンティン家 】現当主

< オルガノ >


この俺、マリオンの実の父親でもあるオルガノは、息子の俺から見ても完璧な人だ。


魔導具を作る技術力。

貴族を相手にした交渉術や社交界を渡っていく処世術……その全てが、まだまだ足元にも及ばないと思わされる最も尊敬する人の一人である。


そんな父に褒められ嬉しくない訳がないが、貴族としてそれを表情に大きく出す事はせず、あくまで冷静に淡々とお礼を告げた。


それを見て父様は満足そうに微笑み、近くに設置されているソファーへ座るように勧められる。

それに逆らう事なく腰を掛けると、父もそれに続いて向かい側にあるソファーへと座り、後ろに控えていた母もそれに続いて父の隣に座った。


「 本当に素晴らしいわ、マリオン。

貴方はこのスタンティン家の……いえ、この母の誇りよ。

我がスタンティン家の歴史上、最も優秀で素晴らしい当主となってくれるでしょう。 」


橙黄色のサラサラヘアーをしっかりと上にUPし、父同様凛とした美しい姿勢に堂々たる態度。

華奢な体格だが、くっきりとした印象的な目元と漂う高潔な雰囲気によって弱々しさは一切感じられない女性。


伯爵【 スタンティン家 】現当主の妻

< アリシア >


俺の母であるアリシアは、まさしく貴族の女性の鏡とも言える貞淑で賢い女性で、常に父の一歩後ろで夫を立て、社交界ではしっかりと妻としての役目を完璧にこなす────そんな非の打ち所がない完璧な貴族女性であった。

俺はそんな二人の息子として生を受け、今の今までそれに恥じない様努力をしてきたつもりだ。


母様からの称賛の声に対しても「 ありがとうございます。 」と淡々と答え、俺は侍女が用意したお茶に口をつける。

そんな俺を見て母も嬉しそうに微笑み、父はハハッ!と朗らかに笑いながら侍女たちを下がらせた。


「 まさか宝石箱と音楽を一緒にするなど考えもしなかったぞ。

一体どこでそんなアイディアを思いついた? 」


ワクワクしながら尋ねてくる父様。

魔導具の話の時だけ、父はまるで少年の様に好奇心旺盛な面を見せる。

それについて特に隠し立てする気もなかったので、俺は直ぐに「 リーフ様に教えて頂きました。 」と答えた。

すると父様と母様は表情にハッキリとは出さずとも、気まずそうな雰囲気を出し、動きを一瞬止める。


────シン……。

静かになった部屋の中で、父様は眼の前のテーブルに置かれているカップに手を伸ばし、紅茶に口をつけた後……ボソッと呟いた。


「 メルンブルク家のリーフ様か……。 」


そう言って口ごもる父様と、目を伏せわずかに眉を寄せる母様……。

二人が何故こんなにも気まずそうにしてしまったのか、その理由はなんとなく理解している。


リーフ様は不義の子で、たった一人で家族に捨てられてしまったいらない子供だからだ。


それは小学院前に初めて父様からレガーノの学院に通うであろう、公爵家の< リーフ様 >の姿絵を見せられた時に、直ぐに気づいた。


茶色い髪に緑色の瞳、そしてどこにも突出した特徴のない容貌、そして唯一覚えられそうな特徴が鼻のそばかすだけ……。

そんな、メルンブルク家の血筋など何一つ感じない容姿を見れば、そんなもの嫌でも気づく。

多分それを気づかせるため、父様は事前に俺にそれを見せ、そして今後の付き合い方は自分で決めよという意図を持っていた様だが、俺の答えなどとうに決まっていた。


” 捨てられた高位貴族の子 ”

” 将来我が家にとって、何のメリットもない相手 ”


────なら……付き合い自体する意味がない。


当時の俺はフッと鼻で笑って、差し出されたリーフ様の姿絵をビリビリに破いた。


同時に提示された調査書によれば、公爵家の子息というのに、護衛は若い女が一人、更に使用人は数人に家庭教師もたった二人。

男爵家でももっとマシだという暮らしをしているようで、勿論一度としてメルンブルク家の人間は、レガーノの家を尋ねることも手紙一つもよこすことはないらしい。


とるに足らない相手、かつ将来は平民落ちするであろうデメリットだらけの者。

そんなヤツを、このマリオンが相手するわけがない。


そんな想いと共に破いてしまった姿絵を床に落とし、そのゴミを呼びつけた侍女に片付けさせると、父様は小さく息を吐き出し「 お前の好きにしなさい。 」と言って何とも言えない表情を見せた。

しおりを挟む
感想 274

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる

路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか? いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ? 2025年10月に全面改稿を行ないました。 2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。 2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。 2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。 2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。 第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

僕の、しあわせ辺境暮らし

  *  ゆるゆ
BL
雪のなか3歳の僕を、ひろってくれたのは、やさしい16歳の男の子でした。 ふたりの、しあわせな辺境暮らし、はじまります! ふたりの動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります。 YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。 プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!

処理中です...