707 / 1,649
第二十章
691 おじさんあるある
しおりを挟む
(リーフ)
何だかその形が何かに似ている様な……??それもつい今しがた見たモノ……。
記憶をひっくり返して考えていると、やがてピンッ!とその答えに辿り着く。
「────そっか!卵!!
なんかこの黒い丸って、上が少し細くて卵の様な形にも見えないかい?
まぁ、黒みつのプルプルボディーで書いたから、本当にこの形にしようとして書いたかは分からないけど……。」
そう言った瞬間、バッ!!!と凄い勢いで、エイミさんとヘンドリクさんがその絵を見直した。
その勢いが凄くて、ビクビクしながら様子を伺っていると、エイミさんが震えながら頷く。
「た……確かに卵に見えなくもないわね……。でも、黒い卵を産むモンスターなんて森にいたかな……?ヘンドリク様、何か思いつきますか?」
「……いいや。じゃが、それが本当なら気になるのぉ?
エルビスなら何か知っているかもしれん。一応伝えておくことにするぞい。リーフ様、ワシはこれにて失礼しますじゃ。」
軽く頭を下げたヘンドリクさんは、そのままトンッ!と歳を感じぬ俊敏な動きで窓まで飛ぶと、あっという間に何処かに行ってしまった。
「何だか俺の思いつきで、大事になっちゃった感じかな……?」
ヘンドリクさんを見送った後、ポツリと呟くと、エイミさんは首を横に振る。
「いいえ。悪い可能性は早めに潰しておくに越したことはないから大助かりよ。
予想される出来事は情報が多ければ多いほど、素早く対応できるからね。ご協力どうもありがとう!リーフ君。
えっと、今日もこれから依頼を受けるのかな?」
「うん!そのつもり。」
パチンッとウィンクしながら質問してくるエイミさんに、俺は大きく頷きながら答えると、直ぐに依頼ボードへと向かった。
依頼ボードには、未だに沢山の未消化の依頼があるが、俺が冒険者になりたての時よりかなりの数が減った様に見える。
「うむ!順調順調~。」
ホクホク満足気に笑った後は、真っ先に残っている不人気な依頼書の束が貼られている方へと移動した。
お金は欲しいが、まだリーフ邸暗殺者襲来事件まで時間的には余裕があるし、困っているならそれを優先的に受けよ~とっ!
そう考えて、不人気な依頼を率先して受けている内に、何だかほとんどその担当の様になってしまった感がある。
手慣れた手付きでその依頼の束をペラペラペラ~とめくっていくと、その中の一番下、新しい依頼書に埋もれている一枚の依頼書を見つけて手にとった。
《依頼ランクF》
【家食いアリ】の駆除。 グリモア教会<ヨセフ>
< 家食いアリ >
体長1mm前後のアリ型Gランクモンスター。
建物に住み着きあっという間に繁殖、増殖を繰り返し、そのまま壁や床、ありとあらゆる家の材木を食べ尽くしてしまう公害指定モンスター。
一匹一匹の強さは弱く、子供でも簡単に倒せるが、その脅威はその数と繁殖力にあり1匹の女王アリを倒さない限り無限に増え続けてしまう。
ただし女王に目立った特徴がない事、一匹でも倒すと危機を察知した女王が大量の卵を一瞬で産み孵化してしまう事から単体の討伐は困難。
基本は家を一度完全に焼き払うしかないとされている。
<家食いアリ>は、モンスター単体の強さとしては最弱で、他のモンスター達にとっては、お腹一杯食べれるごちそう扱いされているモンスターだ。
だからいくら増殖が異常に早くても、森の中でなら数は一定に保たれているが、人里に来てしまうとそれはそれは大変大変!
相当な数のアリさん達が家中散らばる様に分布しているので、その中からたった一匹の女王様を見つけるのは、ほぼ不可能。
そしてその女王様は生命の危機を感じると、大量の卵を投下────というかなり厄介なモンスター特性を持ち、ちょっとでもアリさんに攻撃すれば一気に増殖してしまう。
そのため火が弱点という事から、家に寄生したら次の建物に移動する前に家ごと焼き払うのがポピュラーな解決方法である。
まさか教会が、そんなモンスターに寄生されていたとは……。
街の中心にそびえ立つ、塔の様に建っている教会。
このグリモアが創立して一番最初に建てられた建造物だそうで、所謂歴史的建造物であるその教会は、街の皆にとっては街の大事なシンボル、かつ心の拠り所的存在である。
きっと街の人たちとって思い出深い場所であり、だからこそそれがなくなってしまうとなれば凄く悲しい筈だ。
歳をとれば取るほど、昔の思い出深き場所が無くなっていくのは悲しいんだよね~……。
おじさんあるある。
思い出の場所の喪失に、大ダメージを食らう。
若者の未来のためにと壊されリニューアルしていく街並みを見て、何とも言えぬ気持ちを抱いた前世を思い出し、しみじみしてしまった。
この<ヨセフ>さんも、そういった気持ちで依頼を出したのかもしれないな!
親近感を抱きつつ、俺の頭には街やギルドで教会の方向に向かって祈っては頑張ろうと気合を入れる人たちの姿、懸命に教会でお勤めを果たしているソフィアちゃんやジェニファーちゃんの姿が思い浮かんだ。
「よ~し!頑張っちゃうか~!」
俺は気合を入れてレオンに依頼書を見せて了承をとると、依頼を受けるためエイミさんの所に向かった。
何だかその形が何かに似ている様な……??それもつい今しがた見たモノ……。
記憶をひっくり返して考えていると、やがてピンッ!とその答えに辿り着く。
「────そっか!卵!!
なんかこの黒い丸って、上が少し細くて卵の様な形にも見えないかい?
まぁ、黒みつのプルプルボディーで書いたから、本当にこの形にしようとして書いたかは分からないけど……。」
そう言った瞬間、バッ!!!と凄い勢いで、エイミさんとヘンドリクさんがその絵を見直した。
その勢いが凄くて、ビクビクしながら様子を伺っていると、エイミさんが震えながら頷く。
「た……確かに卵に見えなくもないわね……。でも、黒い卵を産むモンスターなんて森にいたかな……?ヘンドリク様、何か思いつきますか?」
「……いいや。じゃが、それが本当なら気になるのぉ?
エルビスなら何か知っているかもしれん。一応伝えておくことにするぞい。リーフ様、ワシはこれにて失礼しますじゃ。」
軽く頭を下げたヘンドリクさんは、そのままトンッ!と歳を感じぬ俊敏な動きで窓まで飛ぶと、あっという間に何処かに行ってしまった。
「何だか俺の思いつきで、大事になっちゃった感じかな……?」
ヘンドリクさんを見送った後、ポツリと呟くと、エイミさんは首を横に振る。
「いいえ。悪い可能性は早めに潰しておくに越したことはないから大助かりよ。
予想される出来事は情報が多ければ多いほど、素早く対応できるからね。ご協力どうもありがとう!リーフ君。
えっと、今日もこれから依頼を受けるのかな?」
「うん!そのつもり。」
パチンッとウィンクしながら質問してくるエイミさんに、俺は大きく頷きながら答えると、直ぐに依頼ボードへと向かった。
依頼ボードには、未だに沢山の未消化の依頼があるが、俺が冒険者になりたての時よりかなりの数が減った様に見える。
「うむ!順調順調~。」
ホクホク満足気に笑った後は、真っ先に残っている不人気な依頼書の束が貼られている方へと移動した。
お金は欲しいが、まだリーフ邸暗殺者襲来事件まで時間的には余裕があるし、困っているならそれを優先的に受けよ~とっ!
そう考えて、不人気な依頼を率先して受けている内に、何だかほとんどその担当の様になってしまった感がある。
手慣れた手付きでその依頼の束をペラペラペラ~とめくっていくと、その中の一番下、新しい依頼書に埋もれている一枚の依頼書を見つけて手にとった。
《依頼ランクF》
【家食いアリ】の駆除。 グリモア教会<ヨセフ>
< 家食いアリ >
体長1mm前後のアリ型Gランクモンスター。
建物に住み着きあっという間に繁殖、増殖を繰り返し、そのまま壁や床、ありとあらゆる家の材木を食べ尽くしてしまう公害指定モンスター。
一匹一匹の強さは弱く、子供でも簡単に倒せるが、その脅威はその数と繁殖力にあり1匹の女王アリを倒さない限り無限に増え続けてしまう。
ただし女王に目立った特徴がない事、一匹でも倒すと危機を察知した女王が大量の卵を一瞬で産み孵化してしまう事から単体の討伐は困難。
基本は家を一度完全に焼き払うしかないとされている。
<家食いアリ>は、モンスター単体の強さとしては最弱で、他のモンスター達にとっては、お腹一杯食べれるごちそう扱いされているモンスターだ。
だからいくら増殖が異常に早くても、森の中でなら数は一定に保たれているが、人里に来てしまうとそれはそれは大変大変!
相当な数のアリさん達が家中散らばる様に分布しているので、その中からたった一匹の女王様を見つけるのは、ほぼ不可能。
そしてその女王様は生命の危機を感じると、大量の卵を投下────というかなり厄介なモンスター特性を持ち、ちょっとでもアリさんに攻撃すれば一気に増殖してしまう。
そのため火が弱点という事から、家に寄生したら次の建物に移動する前に家ごと焼き払うのがポピュラーな解決方法である。
まさか教会が、そんなモンスターに寄生されていたとは……。
街の中心にそびえ立つ、塔の様に建っている教会。
このグリモアが創立して一番最初に建てられた建造物だそうで、所謂歴史的建造物であるその教会は、街の皆にとっては街の大事なシンボル、かつ心の拠り所的存在である。
きっと街の人たちとって思い出深い場所であり、だからこそそれがなくなってしまうとなれば凄く悲しい筈だ。
歳をとれば取るほど、昔の思い出深き場所が無くなっていくのは悲しいんだよね~……。
おじさんあるある。
思い出の場所の喪失に、大ダメージを食らう。
若者の未来のためにと壊されリニューアルしていく街並みを見て、何とも言えぬ気持ちを抱いた前世を思い出し、しみじみしてしまった。
この<ヨセフ>さんも、そういった気持ちで依頼を出したのかもしれないな!
親近感を抱きつつ、俺の頭には街やギルドで教会の方向に向かって祈っては頑張ろうと気合を入れる人たちの姿、懸命に教会でお勤めを果たしているソフィアちゃんやジェニファーちゃんの姿が思い浮かんだ。
「よ~し!頑張っちゃうか~!」
俺は気合を入れてレオンに依頼書を見せて了承をとると、依頼を受けるためエイミさんの所に向かった。
95
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる
路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか?
いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ?
2025年10月に全面改稿を行ないました。
2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。
2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。
2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。
2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。
第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
無能と呼ばれた婚約者は王を完成させる〜替え玉婚約者のはずが、強すぎる王太子に手放してもらえません〜
統子
BL
兄の身代わりとして王太子の婚約者になった伯爵家次男リュシー。
嘘の名を名乗ったはずが、冷静で誠実な王太子リオンは彼を「力の装置」としてではなく、対等な伴侶として扱おうとする。
本物になりたいと願う替え玉と、完成された王太子の静謐な王宮ロマンス。
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる