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第二十章
692 色々初めて……
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(アゼリア)
~空が黒く染まった謎の事件直後~
グリモア支部のイシュル教会は、王都に次ぐ広さを持つ第二の本拠地である。
塔の形に類似した教会は、そこを中心に円形に存在している区域────【イシュル教会区域】に建っている。
そして、その区域は何らかの有事の際、街の住人の緊急避難場所になっているため、グリモアの中で一番広い区域だ。
その敷地内には、教会が運営している治療院もあり、更に水、食料、毛布や薬草や包帯など救急アイテムなどを貯蔵した多次元倉庫も完備。
そして区域内全体はぐるりと大きな壁で覆われていて、一般の人々が入る用に正面門と神官やお忍びで教会に入る用にその真反対にある裏門が設置されていて、もしもモンスターや良からぬ輩からの襲撃を受けた場合、即座に聖兵士達がその2つの門を守る手筈となっている。
対モンスター用にはモンスターを引き寄せる<魔引力珠>が主に正門に、そして次いで裏門へと設置されており、その2つの門へとモンスターを誘導するのだ。
しかし厄介なのはその効果を受けない盗賊などの輩だが、大きな教会には必ずその感知に優れた神官を派遣してあるので、基本はその者任せ。
もちろん魔導具なども駆使し、その襲撃に万全の体制をしいてはいるので、今まで事件になる様な事は起きていない。
ソフィアに続き私達が裏門から敷地内に入ると、認証式の【魔道路】が開き、あっという間に教会の最上階へと到着した。
【魔道路】
空間系などの特殊スキルや他の専門スキルを用いて創り出す魔力でできた道の事。
『転移陣』で作り出す事ができるがごくごく近い距離ならば魔導具で創り出す事も可能。
その際は、多くの専門家や魔法使い達が集まり莫大な魔力量を消費して創り出す事ができる。
現在は、王族や高位貴族が必要とされるモノや危機的状況以外、創り出す事は基本は禁止され、創る際は国への報告と認可が必要となっている。
生元魔力による認証式のものが多い。
【転移陣】
多数の転移系スキルや魔法を使える者達が集まり、創り出す事ができる合体転移系魔法陣。
能力自体も稀で、かつ一定のレベル以上の魔力量を持つもの達にしか創れない。
【魔道路】を通り、一瞬で設定した場所に飛ぶことができる。
ただし、使用する人数やその距離によって必要となる魔力量が変わるため、それが足りなければ発動しない。
教会の一階部分は、イシュル神に祈りを捧げにくる礼拝者達用の祈りの場となっており、巨大なイシュル像が置かれ常に開放されているのだが、それより上の階は教会の関係者しか入れない。
そしてその最上階は【祈りの聖堂】と呼ばれる空間で、聖女が祈りを捧げる専用の聖域となっている。
前には両手を広げた巨大なイシュル像があって、全体が白い壁の部屋に、ステンドグラスの窓が設置され、太陽の光がそれを通る事で色とりどりの光りが部屋を照らす……その様は、とても幻想的なモノであった。
────シン……。
静まり返る空間内で、前を向いていたソフィア様がゆっくりと振り返り、私の方へ視線を向けると、困った様に笑う。
「今は感情を表に出しても大丈夫よ。見ているのは、私とイシュル神様だけだから。」
その言葉を合図に、目からはボロっと涙が溢れてきて、そのまま止まらなくなってしまった。
流れては地面に落ちていく涙を見ながら、どうしたら良いのか分からなくて「う”う”ぅぅ~~……。」と、うめき声だけが漏れる。
そんな私を見ながら、ソフィア様はハンカチを出して顔を拭いてくれた。
「リーフ様って怒ると凄く怖いのね。私、あんなに怖い思いをしたのは初めて。絶対に悪い事しちゃ駄目だって思っちゃった。」
ソフィア様は先程の事を思い出したのか大きく震えた後、一度動きを止めてポツリと言った。
「それに、男の人の色々を見たのも初めて……。」
その瞬間、ブっ!!と二人同時に吹き出して笑ってしまい、私はポロポロと涙を流しながら、口を抑えてその衝動に耐える。
あんなに気分が晴れやかになった事は、今まで生きてきて一度もない。
そう断言できるほど、何一つ反論ができない状態で、ライロンド家のマービン様に反撃の一手を食らわしたリーフ様。
更に先程は、その復讐をしにきたマービン様も、私達の眼の前で一切の手加減なしに叩きのめした。
そしてその時に言っていた言葉は、私の必死になって隠していた心を表に引きずり出し、同じく叩きのめすものであった。
私は『不義の子』として実の父に、そして義理の母と2人の子であるクラークに、ずっと責められ生きてきた。
それに落ち込む度、自分の存在意義を見失う度に、母から貰った短剣を見ては心を慰める、そんな日々。
ソフィア様に選ばれてからはその生活がガラリと変わり、すこしづつ自分の価値を認めてあげる事はできたが……。
それでもずっと自分に投げつけられてきた言葉達は心の中から消えてはくれない。
~空が黒く染まった謎の事件直後~
グリモア支部のイシュル教会は、王都に次ぐ広さを持つ第二の本拠地である。
塔の形に類似した教会は、そこを中心に円形に存在している区域────【イシュル教会区域】に建っている。
そして、その区域は何らかの有事の際、街の住人の緊急避難場所になっているため、グリモアの中で一番広い区域だ。
その敷地内には、教会が運営している治療院もあり、更に水、食料、毛布や薬草や包帯など救急アイテムなどを貯蔵した多次元倉庫も完備。
そして区域内全体はぐるりと大きな壁で覆われていて、一般の人々が入る用に正面門と神官やお忍びで教会に入る用にその真反対にある裏門が設置されていて、もしもモンスターや良からぬ輩からの襲撃を受けた場合、即座に聖兵士達がその2つの門を守る手筈となっている。
対モンスター用にはモンスターを引き寄せる<魔引力珠>が主に正門に、そして次いで裏門へと設置されており、その2つの門へとモンスターを誘導するのだ。
しかし厄介なのはその効果を受けない盗賊などの輩だが、大きな教会には必ずその感知に優れた神官を派遣してあるので、基本はその者任せ。
もちろん魔導具なども駆使し、その襲撃に万全の体制をしいてはいるので、今まで事件になる様な事は起きていない。
ソフィアに続き私達が裏門から敷地内に入ると、認証式の【魔道路】が開き、あっという間に教会の最上階へと到着した。
【魔道路】
空間系などの特殊スキルや他の専門スキルを用いて創り出す魔力でできた道の事。
『転移陣』で作り出す事ができるがごくごく近い距離ならば魔導具で創り出す事も可能。
その際は、多くの専門家や魔法使い達が集まり莫大な魔力量を消費して創り出す事ができる。
現在は、王族や高位貴族が必要とされるモノや危機的状況以外、創り出す事は基本は禁止され、創る際は国への報告と認可が必要となっている。
生元魔力による認証式のものが多い。
【転移陣】
多数の転移系スキルや魔法を使える者達が集まり、創り出す事ができる合体転移系魔法陣。
能力自体も稀で、かつ一定のレベル以上の魔力量を持つもの達にしか創れない。
【魔道路】を通り、一瞬で設定した場所に飛ぶことができる。
ただし、使用する人数やその距離によって必要となる魔力量が変わるため、それが足りなければ発動しない。
教会の一階部分は、イシュル神に祈りを捧げにくる礼拝者達用の祈りの場となっており、巨大なイシュル像が置かれ常に開放されているのだが、それより上の階は教会の関係者しか入れない。
そしてその最上階は【祈りの聖堂】と呼ばれる空間で、聖女が祈りを捧げる専用の聖域となっている。
前には両手を広げた巨大なイシュル像があって、全体が白い壁の部屋に、ステンドグラスの窓が設置され、太陽の光がそれを通る事で色とりどりの光りが部屋を照らす……その様は、とても幻想的なモノであった。
────シン……。
静まり返る空間内で、前を向いていたソフィア様がゆっくりと振り返り、私の方へ視線を向けると、困った様に笑う。
「今は感情を表に出しても大丈夫よ。見ているのは、私とイシュル神様だけだから。」
その言葉を合図に、目からはボロっと涙が溢れてきて、そのまま止まらなくなってしまった。
流れては地面に落ちていく涙を見ながら、どうしたら良いのか分からなくて「う”う”ぅぅ~~……。」と、うめき声だけが漏れる。
そんな私を見ながら、ソフィア様はハンカチを出して顔を拭いてくれた。
「リーフ様って怒ると凄く怖いのね。私、あんなに怖い思いをしたのは初めて。絶対に悪い事しちゃ駄目だって思っちゃった。」
ソフィア様は先程の事を思い出したのか大きく震えた後、一度動きを止めてポツリと言った。
「それに、男の人の色々を見たのも初めて……。」
その瞬間、ブっ!!と二人同時に吹き出して笑ってしまい、私はポロポロと涙を流しながら、口を抑えてその衝動に耐える。
あんなに気分が晴れやかになった事は、今まで生きてきて一度もない。
そう断言できるほど、何一つ反論ができない状態で、ライロンド家のマービン様に反撃の一手を食らわしたリーフ様。
更に先程は、その復讐をしにきたマービン様も、私達の眼の前で一切の手加減なしに叩きのめした。
そしてその時に言っていた言葉は、私の必死になって隠していた心を表に引きずり出し、同じく叩きのめすものであった。
私は『不義の子』として実の父に、そして義理の母と2人の子であるクラークに、ずっと責められ生きてきた。
それに落ち込む度、自分の存在意義を見失う度に、母から貰った短剣を見ては心を慰める、そんな日々。
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