874 / 1,649
第二十六章
(ニール)858 何か意味あるの?
しおりを挟む
(ニール)
初めて両親からリーフ様の存在を聞いた時、俺の思った事は『超めんどくさい』で、何故かと言われれば高位貴族は総じて性格が悪いからだ。
下の身分の者達は基本は暇つぶしの道具だとばかりに、あの手この手で意地悪してくる性悪軍団。
それはそういう奴ら相手に商売をしている両親を見れば、あえて聞かずとも分かる。
そんな奴らの醜悪さを良く知っている両親は『とにかくリーフ様のご機嫌を損ねるな』『言う事は何でも聞け』と口うるさく俺に言い聞かせてきて、その当時はいろんな感情が俺の中で渦巻いていた。
しかし家族のためと、そんな感情は隠し、いつも通り目指すは『当たり障りのない関係』!
そう意気込み初のご対面を果たした。
しかし、中々リーフ様と『当たり障りない関係』を築くのは難しく、持っている不思議な距離感に、モルトと共にタジタジしながらお相手する日々を過ごす事になる。
更に凄まじいインパクトを放つレオンという存在を隣に置くものだから、最初は物理的に距離を置いた友人関係からのスタート。
あの外見はとにかく熱心なイシュル教徒の家庭で育った俺とモルトにとって耐え難いモノであったため、モルトなど毎夜魘されていたらしいが、まずは俺、その次にモルトの順で結構あっさりその存在には慣れた。
人の順応力って凄いっす……。
じみじみそんな事を考えていると、普通の距離まで近づいてきた俺とモルトをまるで見計らったかの様なタイミングで、今度はリーフ様がズイズイと近づいてくる。
『一緒に修行し~よ~おっ!』
お散歩するような気軽さで言われたため快く了承すれば、モルト共々全裸にされて、同じく全裸で仁王立ちしているリーフ様と無表情のレオンと一緒に大きな滝へダイブ!
川底の主と強制戦闘させられて、その後は皆で美味しい主の肉を焼いて食べた。
『花の蜜吸いに行こ~!』
今度はそう誘われて、また裸か!?と警戒していた俺とモルトはホッと胸を撫で下ろし、そのまま快く了承すると、なんと<毛針ハチ>の巨大巣へ連れて行かれ、戦闘しながらコソコソと蜜を吸わされる。
勿論絶品と言われる毛針ハチの蜜の味など、分からなかった。
『お昼寝一緒にし~よおっ!』
警戒心マックスで見つめる俺達の視線などなんのその。
ニッコニコとご機嫌で誘ってくるリーフ様。
『……まぁ、お昼寝なら大丈夫だろう。』
そう思った俺とモルトが、コクリと頷いて了承すると────<モコモコ兎>の巣の中でお昼寝させられた。
< モコモコ兎 >
体長2mほどの兎型Gランクモンスター。
体を覆うモコモコふわふわの毛は最高級の毛玉として売買されているが、怒ると雷を発生させるため毛を刈る時には注意が必要。
モコモコ、ふわふわ────……!
顔や身体に触るモコモコ兎の毛は本当に気持ちいいが、いつ雷を落とされるかとモルトと共に全く眠れない。
チラッと目線だけリーフ様の方を見ると、前にはモコモコ兎、後ろには小さなレオンをくっつけてぐっすりと眠っていた。
当たり障りなく、緩~く……────など絶対に無理だと考えを改めた俺とモルトは、とにかく全力でその突飛良しもない行動の数々に食らいついていく。
『全力を出して頑張る?』
『カッコ悪い、かったるい。』
『それして何か将来的に得することあるんすか?』
ダルそうにそう語りかけてくる頭の中の自分を完全に無視し、生まれて初めてがむしゃらに。
だってあんなにも全力で何事も関わっている人の側にいて、自分だけ傍観者でいる事が何だかつまらなく感じたからだ。
そうすると、俺は今までの自分を振り返り、フッと自身の手を見下ろした。
辛くて苦しい想いがない幸せなはずの『当たり障りのない』過去。
でも、その過去の先に俺が手にしたモノは何なのだろう?
目に写る手は空っぽで、それに恐怖を抱く。
当たり障りなく話せる相手はいる。
楽しいと感じた思い出だってあるし、上手くやってきた自信だってある。
なのに俺の心は空っぽだ。
『楽しい』
『嬉しい』
その言葉に心が伴ってないから、それをイメージでしか受け取れず、だから心に響かない。
その繰り返しだったんだ、俺の人生は。
それに気づいてしまうと最初は愕然としてしまった。
そりゃー居心地の良い場所のはずだ。
そこには俺の心はないのだから。
苦々しい顔をしながら、続けて思い出すのはリーフ様と出会ってからの事。
楽しい、ワクワクする、驚き、悲しみ、悔しさ、戸惑い────……思わずヒヤリとした思いや不安、恐怖。
思い出と共に沢山の感情が溢れ出し、突然手の中一杯にその想い達がこれでもかと乗っかってきてしまった。
そこには常に俺の全力があった。
『当たり障りのない』ってなんて虚しいんだろう……。
そう思った瞬間から『他』に対しての距離感は、ぐんぐんと近づいていった。
そして最初の大きな変化は、リーフ様とレオンのハイレベルな剣の打ち合いをモルトと見学していた時。
初めて両親からリーフ様の存在を聞いた時、俺の思った事は『超めんどくさい』で、何故かと言われれば高位貴族は総じて性格が悪いからだ。
下の身分の者達は基本は暇つぶしの道具だとばかりに、あの手この手で意地悪してくる性悪軍団。
それはそういう奴ら相手に商売をしている両親を見れば、あえて聞かずとも分かる。
そんな奴らの醜悪さを良く知っている両親は『とにかくリーフ様のご機嫌を損ねるな』『言う事は何でも聞け』と口うるさく俺に言い聞かせてきて、その当時はいろんな感情が俺の中で渦巻いていた。
しかし家族のためと、そんな感情は隠し、いつも通り目指すは『当たり障りのない関係』!
そう意気込み初のご対面を果たした。
しかし、中々リーフ様と『当たり障りない関係』を築くのは難しく、持っている不思議な距離感に、モルトと共にタジタジしながらお相手する日々を過ごす事になる。
更に凄まじいインパクトを放つレオンという存在を隣に置くものだから、最初は物理的に距離を置いた友人関係からのスタート。
あの外見はとにかく熱心なイシュル教徒の家庭で育った俺とモルトにとって耐え難いモノであったため、モルトなど毎夜魘されていたらしいが、まずは俺、その次にモルトの順で結構あっさりその存在には慣れた。
人の順応力って凄いっす……。
じみじみそんな事を考えていると、普通の距離まで近づいてきた俺とモルトをまるで見計らったかの様なタイミングで、今度はリーフ様がズイズイと近づいてくる。
『一緒に修行し~よ~おっ!』
お散歩するような気軽さで言われたため快く了承すれば、モルト共々全裸にされて、同じく全裸で仁王立ちしているリーフ様と無表情のレオンと一緒に大きな滝へダイブ!
川底の主と強制戦闘させられて、その後は皆で美味しい主の肉を焼いて食べた。
『花の蜜吸いに行こ~!』
今度はそう誘われて、また裸か!?と警戒していた俺とモルトはホッと胸を撫で下ろし、そのまま快く了承すると、なんと<毛針ハチ>の巨大巣へ連れて行かれ、戦闘しながらコソコソと蜜を吸わされる。
勿論絶品と言われる毛針ハチの蜜の味など、分からなかった。
『お昼寝一緒にし~よおっ!』
警戒心マックスで見つめる俺達の視線などなんのその。
ニッコニコとご機嫌で誘ってくるリーフ様。
『……まぁ、お昼寝なら大丈夫だろう。』
そう思った俺とモルトが、コクリと頷いて了承すると────<モコモコ兎>の巣の中でお昼寝させられた。
< モコモコ兎 >
体長2mほどの兎型Gランクモンスター。
体を覆うモコモコふわふわの毛は最高級の毛玉として売買されているが、怒ると雷を発生させるため毛を刈る時には注意が必要。
モコモコ、ふわふわ────……!
顔や身体に触るモコモコ兎の毛は本当に気持ちいいが、いつ雷を落とされるかとモルトと共に全く眠れない。
チラッと目線だけリーフ様の方を見ると、前にはモコモコ兎、後ろには小さなレオンをくっつけてぐっすりと眠っていた。
当たり障りなく、緩~く……────など絶対に無理だと考えを改めた俺とモルトは、とにかく全力でその突飛良しもない行動の数々に食らいついていく。
『全力を出して頑張る?』
『カッコ悪い、かったるい。』
『それして何か将来的に得することあるんすか?』
ダルそうにそう語りかけてくる頭の中の自分を完全に無視し、生まれて初めてがむしゃらに。
だってあんなにも全力で何事も関わっている人の側にいて、自分だけ傍観者でいる事が何だかつまらなく感じたからだ。
そうすると、俺は今までの自分を振り返り、フッと自身の手を見下ろした。
辛くて苦しい想いがない幸せなはずの『当たり障りのない』過去。
でも、その過去の先に俺が手にしたモノは何なのだろう?
目に写る手は空っぽで、それに恐怖を抱く。
当たり障りなく話せる相手はいる。
楽しいと感じた思い出だってあるし、上手くやってきた自信だってある。
なのに俺の心は空っぽだ。
『楽しい』
『嬉しい』
その言葉に心が伴ってないから、それをイメージでしか受け取れず、だから心に響かない。
その繰り返しだったんだ、俺の人生は。
それに気づいてしまうと最初は愕然としてしまった。
そりゃー居心地の良い場所のはずだ。
そこには俺の心はないのだから。
苦々しい顔をしながら、続けて思い出すのはリーフ様と出会ってからの事。
楽しい、ワクワクする、驚き、悲しみ、悔しさ、戸惑い────……思わずヒヤリとした思いや不安、恐怖。
思い出と共に沢山の感情が溢れ出し、突然手の中一杯にその想い達がこれでもかと乗っかってきてしまった。
そこには常に俺の全力があった。
『当たり障りのない』ってなんて虚しいんだろう……。
そう思った瞬間から『他』に対しての距離感は、ぐんぐんと近づいていった。
そして最初の大きな変化は、リーフ様とレオンのハイレベルな剣の打ち合いをモルトと見学していた時。
129
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる
路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか?
いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ?
2025年10月に全面改稿を行ないました。
2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。
2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。
2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。
2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。
第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
僕の、しあわせ辺境暮らし
* ゆるゆ
BL
雪のなか3歳の僕を、ひろってくれたのは、やさしい16歳の男の子でした。
ふたりの、しあわせな辺境暮らし、はじまります!
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる