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第二十六章
(ニール)865 魅力的な場所
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(ニール)
「モルト~。生きてるっすか?……俺達勝ったっんすよー。
生産職に戦闘はちょっとキツかったっすけど、俺はリーフ様の臣下その1なんでー仕方ないっすよね。」
うつ伏せに倒れたまま、同じく近くにうつ伏せに倒れているモルトに声を掛けると、フンッ!と鼻で笑う声が聞こえた。
「魔力が空っぽになってしまったが、問題はない。
役に立ってこその臣下だからな。
こんなのは当然だ。なんといっても俺はリーフ様の臣下第1号だからな。」
いつもだったらここで『俺が第1号だ!』と喧嘩になる所だが、流石にそんな元気はなかったため、俺は言い返す事なくゴロンっと仰向けになった。
依然空は真っ暗で、リーフ様があの化け物と戦っている事が分かる。
だから俺もまだ戦う。最後まで。
グググッ……と力を入れようとしたが、全く力が入らず回復するまで少し時間がかかりそうであった。
それにクソ~と悔しさを感じていると、突然モルトが吹き出し、そのまま大声を立てて笑いだした。
「……?」
疲れすぎて狂った?
そう思い、訝しげにモルトの方を見ると────モルトはまだ笑いが収まらないのか、クックっと笑いながら話し始めた。
「いやな、大したことじゃないんだが……俺は本来、潔癖で怖がりで無理はしない性格なんだ。
だからそのまま程々な人生を送るんだろうなって思っていたんだが、たった一人の人間と出会ってここまで人生が変わるのかと不思議で仕方がない。
リーフ様と出会う前の俺が今の自分を見たら……きっと盛大に顔を顰めるだろうな。」
うつ伏せに倒れているモルトは全身泥だらけで、服はボロボロだし髪はボサボサ。
綺麗とは程遠い姿をしている。
俺は昔のモルトを思い出し、これでもかというくらい盛大に顔をしかめ汚物を見るような顔を思い出すと、フハッ!と笑いが漏れた。
「確かに昔のモルトならやりそうっすね~。きっとバラの刺繍入りのハンカチで口元を押さえて『なんと汚い。近寄らないでくれたまえ。』って言ってるっす。
そういえばレオンに会った初日、凄い魘されて大変だったってモルトのお母さんが言ってたっすよ。」
「あぁ、レオンは俺の恐怖するモノを全て詰め込んだ様なヤツだったからな。
そしてその恐怖を排除する事を許された環境だったから……きっとリーフ様がいなかったら俺は堕ちる所まで堕ちていたと思う。」
「…………。」
恐怖や不快を与えてくる存在を排除する事。
それを周りが認めてくれるなら……きっと自分もその流れに流される。
めんどくさがり屋で、気が小さくて、そんな俺は自分が生きていくのに楽な道を自然と選ぼうとして、いつか楽とは程遠い場所に辿り着いてしまっていたに違いない。
性格は違うのに、モルトと俺はそっくりだ。
「……俺、時々思うんすよ。もしリーフ様に出会ってなかったらって。
そしたら多分、低貴族らしくどっかのお偉い貴族様の下で大人しく取り巻きやってたと思うんすよね~。
どんなに理不尽な目に合わされてもヘラヘラして、言われた事をホイホイやって……いつか人間として越えちゃ駄目な線を踏み越えちゃったと思うんすよ。
そして最後は────こうなる。」
ピクリとも動かないゲイルの方へチラッと視線を向けて、俺は苦笑いした。
善と悪の境界線は思った以上に近くにあって、不意に眼の前に現れては魅力的な景色を見せて誘惑してくる。
それを踏み越えるのはとても簡単で、考えているよりもあっさりアチラ側には行けるが……そこには欲望を叶えてくれる夢の様な環境と引き換えに『孤独』が待っている。
いつか歳を取り、孤独に恐怖して戻ろうと思っても、もう────……。
自分の歩むはずだった未来を思うと、突然視界が変わり一面灰色の世界に変わった。
「??……あれ??」
灰の様なモノが振り続ける中、慌てて周囲を見渡すと、またしても突然目の前にとても魅力的な世界が広がっていった。
食べたいと思っていた有名店の料理達に、地位や名声、カッコいい~!とチヤホヤしてくれる女の子達。
パァァァ~!と目を輝かせてそちらに行こうとしたが、突然服を引っ張られ、驚いて後ろを見るとそこにはリーフ様がいた。
そしてリーフ様の後ろにはレオンがいてリーフ様の服を引っ張り、更にその後ろにはモルト、両親、可愛い弟と妹達、レイドやメルちゃん、ソフィア様、アゼリア様、サイモン、リリアさん────沢山の大事な人達が繋がって俺を引っ張っている。
────そっか……。
唐突に理解してもう一度前に視線を戻すと、魅力的に見えていた世界はドロドロと溶けていき、真っ赤な血で染まった世界に変わってしまった。
「モルト~。生きてるっすか?……俺達勝ったっんすよー。
生産職に戦闘はちょっとキツかったっすけど、俺はリーフ様の臣下その1なんでー仕方ないっすよね。」
うつ伏せに倒れたまま、同じく近くにうつ伏せに倒れているモルトに声を掛けると、フンッ!と鼻で笑う声が聞こえた。
「魔力が空っぽになってしまったが、問題はない。
役に立ってこその臣下だからな。
こんなのは当然だ。なんといっても俺はリーフ様の臣下第1号だからな。」
いつもだったらここで『俺が第1号だ!』と喧嘩になる所だが、流石にそんな元気はなかったため、俺は言い返す事なくゴロンっと仰向けになった。
依然空は真っ暗で、リーフ様があの化け物と戦っている事が分かる。
だから俺もまだ戦う。最後まで。
グググッ……と力を入れようとしたが、全く力が入らず回復するまで少し時間がかかりそうであった。
それにクソ~と悔しさを感じていると、突然モルトが吹き出し、そのまま大声を立てて笑いだした。
「……?」
疲れすぎて狂った?
そう思い、訝しげにモルトの方を見ると────モルトはまだ笑いが収まらないのか、クックっと笑いながら話し始めた。
「いやな、大したことじゃないんだが……俺は本来、潔癖で怖がりで無理はしない性格なんだ。
だからそのまま程々な人生を送るんだろうなって思っていたんだが、たった一人の人間と出会ってここまで人生が変わるのかと不思議で仕方がない。
リーフ様と出会う前の俺が今の自分を見たら……きっと盛大に顔を顰めるだろうな。」
うつ伏せに倒れているモルトは全身泥だらけで、服はボロボロだし髪はボサボサ。
綺麗とは程遠い姿をしている。
俺は昔のモルトを思い出し、これでもかというくらい盛大に顔をしかめ汚物を見るような顔を思い出すと、フハッ!と笑いが漏れた。
「確かに昔のモルトならやりそうっすね~。きっとバラの刺繍入りのハンカチで口元を押さえて『なんと汚い。近寄らないでくれたまえ。』って言ってるっす。
そういえばレオンに会った初日、凄い魘されて大変だったってモルトのお母さんが言ってたっすよ。」
「あぁ、レオンは俺の恐怖するモノを全て詰め込んだ様なヤツだったからな。
そしてその恐怖を排除する事を許された環境だったから……きっとリーフ様がいなかったら俺は堕ちる所まで堕ちていたと思う。」
「…………。」
恐怖や不快を与えてくる存在を排除する事。
それを周りが認めてくれるなら……きっと自分もその流れに流される。
めんどくさがり屋で、気が小さくて、そんな俺は自分が生きていくのに楽な道を自然と選ぼうとして、いつか楽とは程遠い場所に辿り着いてしまっていたに違いない。
性格は違うのに、モルトと俺はそっくりだ。
「……俺、時々思うんすよ。もしリーフ様に出会ってなかったらって。
そしたら多分、低貴族らしくどっかのお偉い貴族様の下で大人しく取り巻きやってたと思うんすよね~。
どんなに理不尽な目に合わされてもヘラヘラして、言われた事をホイホイやって……いつか人間として越えちゃ駄目な線を踏み越えちゃったと思うんすよ。
そして最後は────こうなる。」
ピクリとも動かないゲイルの方へチラッと視線を向けて、俺は苦笑いした。
善と悪の境界線は思った以上に近くにあって、不意に眼の前に現れては魅力的な景色を見せて誘惑してくる。
それを踏み越えるのはとても簡単で、考えているよりもあっさりアチラ側には行けるが……そこには欲望を叶えてくれる夢の様な環境と引き換えに『孤独』が待っている。
いつか歳を取り、孤独に恐怖して戻ろうと思っても、もう────……。
自分の歩むはずだった未来を思うと、突然視界が変わり一面灰色の世界に変わった。
「??……あれ??」
灰の様なモノが振り続ける中、慌てて周囲を見渡すと、またしても突然目の前にとても魅力的な世界が広がっていった。
食べたいと思っていた有名店の料理達に、地位や名声、カッコいい~!とチヤホヤしてくれる女の子達。
パァァァ~!と目を輝かせてそちらに行こうとしたが、突然服を引っ張られ、驚いて後ろを見るとそこにはリーフ様がいた。
そしてリーフ様の後ろにはレオンがいてリーフ様の服を引っ張り、更にその後ろにはモルト、両親、可愛い弟と妹達、レイドやメルちゃん、ソフィア様、アゼリア様、サイモン、リリアさん────沢山の大事な人達が繋がって俺を引っ張っている。
────そっか……。
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