【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第二十六章

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(リリア)

ドロッと心が焼け爛れていく様な嫌な感覚を味わいながら、思わずギュッと強くリーフ様の手を握ると、ジ──ッ……とレオンが嫌そうに私のその手を睨む。
しかし、どうやらこの程度で何か言ってはリーフ様に怒られるとでも思っているのか、チラチラッとリーフ様の動向を気にするだけだったので、コレ幸いとそのままの状態でリーフ様の返答を待っていたのだが……何故かリーフ様は酷く懐かしい故郷を思い出しているかの様な表情を見せた。

「結婚かぁ~……。いいよね、結婚。
好きな人と家族になれるなんて幸せだろうな。
じゃあ、俺、プロポーズの時はこの花、一杯毟っていこ~。
それで沢山愛を伝えるよ。」

嬉しそうに草を毟るジェスチャーをするものだから、一瞬自分の質問を忘れてしまったのだが、直ぐにハッ!と我に返る。

「……え、えっと……リーフ様の『真実の愛』は沢山あるモノって事ですか?それがリーフ様の愛?」

「ううん!俺、まだ一つも捕まえられた事ないんだよね。
爆食バッタの大群くらい飛んできてくれれば捕まえられるのにな。多分。クソ~! 」

今度はシュシュッ!と空中で何かを摘まむ様な動きを見せてくるリーフ様。
すると、私の頭の中にはハートを持った沢山の爆食バッタが飛び回り────……そうになったので慌てて首を横に振ってその妄想を蹴散らした。

「そ……そんなに見つからないんですね、愛って。」

「そりゃ~そうさ。『愛』程沢山あって、形が違うモノないもんね。
中々自分が欲しい愛って見つけるの難しいんだと思うよ。
死ぬまでに見つかったらラッキー!でいいと思うね、俺は。」

キリッ!と自信満々に答える顔に吹き出しそうになりながら、私はポツリと呟いた。

「私は自分のコレだと言える『愛』が分かりません。
私が欲しい『愛』ってどんな形をしているのかな……。」

こんなに沢山の愛が溢れる世で、自分の欲しい愛を見つけるのは難しい。
だが、私はそれ以前に自分の欲しい愛すら分からない。

何となく漏らしてしまった本音に困った様に笑うと、リーフ様は真剣に考えだしたと思ったら、その直後に突然何かを思いついた様に話しだした。

「コレだっ!って自信を持って言える『愛』って俺も分からないけど、一応その一部分くらいは見つけたよ。
これでも長くは生きているし……じゃなかった!たまたま、偶然見つけちゃったもんね~。」

謎の言葉を吐いた後、ピュピュ~♬と口笛を吹くリーフ様に多少の違和感を感じたが、謎の発言は珍しくはなかったため、それよりも前半部分の内容に私は食いついた。

「一部分は見つかったんですね。参考にそれを教えてくれませんか?」

一部分だが、リーフ様の『愛』の形が分かる。
ワクワクと胸を弾ませてその答えを待つと、リーフ様は「大したもんじゃないけど……。」と前置きをした後で、ツラツラと話しだす。

「ズバリ!俺の考える愛とは『自立』だね。
『この人が好きだな~。』っていう気持ちって自ら立ち上がっているイメージなんだよ。
だからその先に『好きだから相手にこうして欲しい。』とか『相手はこうなるべきだ。』とかが付いてきちゃうと、俺の中でそれは『愛』じゃなくなっちゃうんだ。
後は模索中だから、ゆっくり探してみるよ。
でも、何か俺、人よりだいぶマイペースにしか進めないらしいからさ、また見つからずに人生終わるかも……。」

やれやれ~と心底困った様にため息をつくリーフ様だったが、私はそれを気にかける余裕がない程、胸はドキドキと高鳴っていた。

《俺がお前を愛してあげるのだから、当然お前も俺を愛し、愛する俺の役に立ちたいと思うべき。それが『愛』というものだ。》

《俺の一番の『愛』をあげるのだから、それで満足するべき。それが正しい『愛』だろう?
『愛』は損得を考えるモノではない尊き感情なのだから、君は愛されている事に感謝し全てを受け入れるべきなんだよ。》

彼らの言う『愛』には必ず『だから相手はこうなるべきだ。』という言葉が最後につく。
そのたくさんの『愛』を思い出しながら、唐突に私の中で答えが出た。

私が欲しかったのは『自立』した愛だ!


「アハハハハッ!!!!」

突然大笑いし始めた私に驚き、リーフ様はビク──ッ!!と肩を揺らして驚いた様子を見せたが、私はそのまま笑い続けた。

母や兄に持っていた大好きな気持ちも、その『自立した愛』で、私は二人に対して『だからこうなるべきだ』という想いを持った事がない。
どんなに世間が否定しても、二人は二人のまま変わらずいて欲しいと願う、これこそが『愛』だ。

そう理解した瞬間、まるで波が一気に引くように、心の中の自己否定感が流されていくのを感じた。

母と兄に持っている家族愛、リーフ様や他の仲間たちに持っている仲間愛、全部、全部持っていていい愛だった。

これこそが私の『愛』で、真に尊きモノ。


《違う!俺たちの持つ愛こそが真実だ!》

そう心の中で叫び続ける男達。
私は笑いを止め、ゆっくりとその男たちへ視線を移す。
すると、目が合った瞬間────……。


────バンッ!!!!


その体は派手に飛び散り、赤い飛沫と共にその身はバラバラになってしまった。
そしてその部品達がそこら中にゴロゴロと転がり、その一つである首が足元まで転がってくると、媚びるような目で私を見上げる。

《愛しているから俺達の『愛』を消さないで……。》

そう懇願してきたが……私は笑顔でその首を踏み潰した。
すると真っ赤に染まった地面は一瞬で赤い沢山の花へと変わり、見渡す限りの美しい赤い花畑へと変わる。

「綺麗……。」

その景色に見惚れていると、突然目の前に母が現れ、以前は頭に入ってこなかった言葉をもう一度私に言った。

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