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第二十六章
895 魔女
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(リリア)
《でもああいう最悪な男ばかりじゃないよ。
自分が納得できる『愛』を持っている男だっている。
それはきっとスルッと驚く程自然に自分の中に入ってきて、今まで感じた事のない幸せをくれるよ。》
《お母さんは?お父さんにそれを感じて幸せだった?》
そう尋ねると、母はまるで『そうだ。』と肯定する様にニコッと笑った。
《その『愛』が恋愛である必要はないんだ。
ただ一つ言える事は、それを与えてくれる人達と場所は死ぬ気で守った方がいい。
後で絶対後悔するから。》
「────リリアちゃん?」
笑い続ける私に、リーフ様は恐る恐る話しかけてくる。
それにハッ!とすれば、そこは図書館の中。
私は未だ収まる気配のない笑いを無理やり引っ込め「すみません。つい楽しくて……。」と謝罪を口にした。
するとリーフ様は、何でもないかの様に「そっか~。」と返事を返してくれて、穏やかな雰囲気が漂い始めたかと思いきや、突然リーフ様の体がグイグイ……と少しづつ離れていく。
チラッとリーフ様の後ろを見ると、レオンが必死にリーフ様の服を引っ張り自分の方へ少しづつ近づけようとしている姿が目に入り、また吹き出しそうになった。
これ以上は可哀想か……。
そう考えた私は、リーフ様の手を握っていた手を離すと、勢いよくリーフ様の体を引っ張り体をピッタリつけたレオンは、ジト~とした目で私を睨んでくる。
どうやらすっかり警戒されてしまった様子だ。
そのため私はニッコリ笑いながら両手を挙げて、『もう触らないよ。』というアピールをしてみせたが、ひたすら私を睨み続けるレオン。
どうしたものかと参っていると、リーフ様が「レオンにも後でお花あげるからね、食べられるヤツ。」と言いながら、レオンの顎をこちょこちょと擦る。
すると直ぐにレオンの意識は私から外れてリーフ様へ。
そしてごきげんになったレオンを見てフフッと笑った後、「レタス……大根……。」とブツブツ呟き出したリーフ様に、私は尋ねた。
「リーフ様の『愛』が私はとても気に入りました。
だからその『自立した愛』を私も目指していいですか?」
するとリーフ様は「いいよ!」と快諾してくれたので、私の愛はこの時点から『自立した大事なモノ』へと変わったのだ。
◇◇
私は無様に目の前に倒れているナックルを見下ろし、幸せに満ち足りた笑みを浮かべる。
ビクビクと命乞いをするナックルを前にしても、何の罪悪感も感じない私は酷く残酷で冷酷な女なのだと思う。
それこそ魔女と呼ぶのに相応しいほどに……
「リリア~!とりあえず他にまずいモノがないかチェックしておくね。」
兄はナックルが座っていたソファーを指差し、ゴチャッと積まれた沢山のアクセサリーなどを見て嫌そうな顔をした。
「そうね。お願い兄さん。その後は教会へ向かいましょう。
仕方のない人達が向かった様だから。」
ふぅ……とため息をつきながらそう言うと、兄も同じ様に大きくため息をつきブツブツ文句を言いながら、ソファーの方へ向かう。
それをきちんと見守った後で、私はナックルへ再度視線を向けた。
「あなたの考えている事当ててあげる。
『次は仲間を揃えてぶっ殺してやる。不意打ちか人質か……どんな汚い手を使ってでも思い知らせてやるからな 』でしょ?」
ズバリ当てられてしまった心の内に、ナックルはピクリと一瞬眉を動かしたが、すぐにヘラっと愛想笑いを始める。
「めっ……滅相もねぇです~……。これを機に足を洗って田舎に帰ります……。
もう二度とお前らの前には姿を現さ────。」
「ねぇ、貴方、エルフ族のダダンって男を覚えてる?」
遮るようにそう聞くと、思わぬ名前の出現に驚いたのか口端をヒクヒクと痙攣する様に動かしていた。
その反応を見ればYESと答えているのと同じだ。
「勿論覚えているわよね?だってあんなに懇意にしていたビジネスパートナーだったんだから。
そのお陰で随分美味しい思いをしてきたんだものね?」
「な……何のことか分からねぇなぁ~……?」
しらばっくれようとしていたが、私はニコッと笑いながら囁く様に言った。
・・・
「あの時は証拠不十分で上手く逃げれたのにね。
そのまま足を洗えば、幸せに暮らしていたかもしれないのに……
────まぁ、でも無理でしょうね。
だって貴方の様な人達にとって、『悪』は空気と同じだから。
当たり前で自然な事としか思ってないもの。」
《だからいつかは必ず同じ場所へ辿り着く。》
押し黙るナックルに、私は罪状を述べるヒーローの様に一つ一つナックルがしてきたであろう《悪》について口にする。
ダダンが気に入った女を無理やり愛人に承諾させるため、嫌がらせや暴力、時には家族や親しい友人、愛する人を人質に脅し、それに協力していた事。
ダダンの都合の悪い者達を秘密裏に殺しては、多額のお金を受け取っていた事。
《でもああいう最悪な男ばかりじゃないよ。
自分が納得できる『愛』を持っている男だっている。
それはきっとスルッと驚く程自然に自分の中に入ってきて、今まで感じた事のない幸せをくれるよ。》
《お母さんは?お父さんにそれを感じて幸せだった?》
そう尋ねると、母はまるで『そうだ。』と肯定する様にニコッと笑った。
《その『愛』が恋愛である必要はないんだ。
ただ一つ言える事は、それを与えてくれる人達と場所は死ぬ気で守った方がいい。
後で絶対後悔するから。》
「────リリアちゃん?」
笑い続ける私に、リーフ様は恐る恐る話しかけてくる。
それにハッ!とすれば、そこは図書館の中。
私は未だ収まる気配のない笑いを無理やり引っ込め「すみません。つい楽しくて……。」と謝罪を口にした。
するとリーフ様は、何でもないかの様に「そっか~。」と返事を返してくれて、穏やかな雰囲気が漂い始めたかと思いきや、突然リーフ様の体がグイグイ……と少しづつ離れていく。
チラッとリーフ様の後ろを見ると、レオンが必死にリーフ様の服を引っ張り自分の方へ少しづつ近づけようとしている姿が目に入り、また吹き出しそうになった。
これ以上は可哀想か……。
そう考えた私は、リーフ様の手を握っていた手を離すと、勢いよくリーフ様の体を引っ張り体をピッタリつけたレオンは、ジト~とした目で私を睨んでくる。
どうやらすっかり警戒されてしまった様子だ。
そのため私はニッコリ笑いながら両手を挙げて、『もう触らないよ。』というアピールをしてみせたが、ひたすら私を睨み続けるレオン。
どうしたものかと参っていると、リーフ様が「レオンにも後でお花あげるからね、食べられるヤツ。」と言いながら、レオンの顎をこちょこちょと擦る。
すると直ぐにレオンの意識は私から外れてリーフ様へ。
そしてごきげんになったレオンを見てフフッと笑った後、「レタス……大根……。」とブツブツ呟き出したリーフ様に、私は尋ねた。
「リーフ様の『愛』が私はとても気に入りました。
だからその『自立した愛』を私も目指していいですか?」
するとリーフ様は「いいよ!」と快諾してくれたので、私の愛はこの時点から『自立した大事なモノ』へと変わったのだ。
◇◇
私は無様に目の前に倒れているナックルを見下ろし、幸せに満ち足りた笑みを浮かべる。
ビクビクと命乞いをするナックルを前にしても、何の罪悪感も感じない私は酷く残酷で冷酷な女なのだと思う。
それこそ魔女と呼ぶのに相応しいほどに……
「リリア~!とりあえず他にまずいモノがないかチェックしておくね。」
兄はナックルが座っていたソファーを指差し、ゴチャッと積まれた沢山のアクセサリーなどを見て嫌そうな顔をした。
「そうね。お願い兄さん。その後は教会へ向かいましょう。
仕方のない人達が向かった様だから。」
ふぅ……とため息をつきながらそう言うと、兄も同じ様に大きくため息をつきブツブツ文句を言いながら、ソファーの方へ向かう。
それをきちんと見守った後で、私はナックルへ再度視線を向けた。
「あなたの考えている事当ててあげる。
『次は仲間を揃えてぶっ殺してやる。不意打ちか人質か……どんな汚い手を使ってでも思い知らせてやるからな 』でしょ?」
ズバリ当てられてしまった心の内に、ナックルはピクリと一瞬眉を動かしたが、すぐにヘラっと愛想笑いを始める。
「めっ……滅相もねぇです~……。これを機に足を洗って田舎に帰ります……。
もう二度とお前らの前には姿を現さ────。」
「ねぇ、貴方、エルフ族のダダンって男を覚えてる?」
遮るようにそう聞くと、思わぬ名前の出現に驚いたのか口端をヒクヒクと痙攣する様に動かしていた。
その反応を見ればYESと答えているのと同じだ。
「勿論覚えているわよね?だってあんなに懇意にしていたビジネスパートナーだったんだから。
そのお陰で随分美味しい思いをしてきたんだものね?」
「な……何のことか分からねぇなぁ~……?」
しらばっくれようとしていたが、私はニコッと笑いながら囁く様に言った。
・・・
「あの時は証拠不十分で上手く逃げれたのにね。
そのまま足を洗えば、幸せに暮らしていたかもしれないのに……
────まぁ、でも無理でしょうね。
だって貴方の様な人達にとって、『悪』は空気と同じだから。
当たり前で自然な事としか思ってないもの。」
《だからいつかは必ず同じ場所へ辿り着く。》
押し黙るナックルに、私は罪状を述べるヒーローの様に一つ一つナックルがしてきたであろう《悪》について口にする。
ダダンが気に入った女を無理やり愛人に承諾させるため、嫌がらせや暴力、時には家族や親しい友人、愛する人を人質に脅し、それに協力していた事。
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