932 / 1,649
第二十七章
916 作戦会議
しおりを挟む
(メル)
そうして、もはやお決まりの場所化している誰もいない弓の練習場に到着すると、レイドは拾った木の枝で、何やら地面にカリカリと文字と絵を描きだす。
「いいか?メル。人族は『可愛い』これは理解したな?」
カリカリと全然可愛くない変な棒人間を書いたレイドが、その絵を木の棒で叩く。
言葉は合っていたため、メルはコクリと頷いた。
「よし。じゃあ、その可愛い人族にモテるために必要なモノ。それがなんだか分かるか?」
大きなハートと大きなハテナマークに、『必須』と書かれた文字。
難しいと思ったメルが首を横に振ると、レイドはヤレヤレ……と嘆かわしいと言わんばかりにため息をつく。
「全く……メルは頭が悪いな。それは火を見るより明らかだろう?」
────カッ!カッ!カッ!
レイドは変な棒人間を複数人書き、それを一つずつバッテンで消していった。
「モテるために必要なモノ……それはズバリ!『力』だ!!
そう!『力』なんだよ、メル!
さっきのパン屋のヤツだって悪い奴らをこうやって倒したからお嫁さんをゲットできたんだ。
つま~~り………強くなければ人族のお嫁さんは貰えない!!」
────ズバッ!!
ハッキリ告げられる残酷な真実に、メルはガガ──ン!!と大きなショックを受ける。
ここでも必要となるのは『力』。
メルが恵まれなかった才能……。
ズズズ────ン……。
目に見えて落ち込んでしまったメルをレイドは怪訝そうに見つめ、その後何故かレイドも同様にズズ────ン……と落ち込んでしまったため、今度はメルが怪訝そうな目でレイドを見つめた。
「??何でレイドが落ち込むの……?レイドは強い……メルは犬が羨ましい……。
メルはペンギンである自分が悲しいから……。」
「そっか……。────ん、ありがとうな、褒めてくれて。
でもさ、俺、メルが言う程羨ましい存在じゃねぇんだ。
俺ってすぐ目移りしちゃうし、だから何でも中途半端で辞めちまう。
だからいつも何も手に入らねぇんだ。」
そう言ってレイドの耳は、ぺちゃりと力なくうなだれてしまう。
そして尻尾もへにゃりと情けなく力を失うと、レイドはそれを労わるように擦りながら続けて言った。
「何ていうかさ……例えば初めて何かをする時って大抵のヤツはできないだろ?
でも、俺、割と器用だから何でもできちゃうんだ。
点数にすると80点くらいをサッサッと取っちゃうわけ。
そうするとどうなると思う?」
依然凹んだままのレイドがそんな質問をメルにしたが、メルは基本そういった場面だと10点も取れないので、正直想像ができない。
「……メルは取れないから分からない……。」
正直にそう答えると、レイドは力なく笑った。
「そうか……。まぁ、俺の場合は『あ~こんなもんか~』って思っちまって、それ以上努力できなくなっちまうんだよ。
だから何にも手に入らねぇの。
弱い自分のまま。何も変わらない。
駄目だってわかっているのに、止められないんだよ。
どうしたらいいのか分かんなくて、だから俺はとりあえず目についたモン全部に飛びついてみる事にした。
『下手な魔法も数撃ちゃ当たる』ってやつだな!」
ヘヘッと笑って鼻の頭を掻くレイド。
その顔は笑顔のはずなのに、どこか悲しそうであった。
なんとなくできてしまうから努力ができないレイド。
何にもできないから努力しかできないメル。
全く正反対のメルとレイドだが、きっと探しているモノは同じだ。
ずっと理想の自分を探している。
でも何をすればいいのか分からず、とりあえずレイドは手当たり次第に目の前にあるモノに手を伸ばし、メルはとりあえず一番しっくりくる弓をひたすら打つ。
メル達はそっくりだ。
「……メルも人族のお嫁さん欲しい……。」
気づけばメルの口からは、そんな言葉が漏れてしまっていた。
先程見た獣人の男と人族の女の人。
その仲睦まじい姿を見て正体不明のムズムズした感覚がしたのは、きっとそこに自分の理想としている何かがあるからだ。
そう考えたメルがブフッ!と鼻息荒く吹けば、レイドは目をキラキラと輝かせた。
「よっしゃ!!流石俺の親友!じゃあ、どっちが早くお嫁さん貰うか競争な!」
レイドは嬉しそうにしながら、メルの身体を持ち上げそのまま空にポポ──ン!と投げる。
そしてキャッチし、またもう一度投げてはキャッチしを繰り返しながら、ニカッ!と笑った。
「俺さ、メルに初めて会った時、すげぇ羨ましかったんだ。
一つの事をただひたすら努力できるメルはホントにすげぇよ!
だから、なんとなくお前と一緒なら見つかりそうな気がするんだ。
俺の欲しい答えってやつ!
一緒に探しに行こうぜ!相棒!」
メルにないものを沢山持っているレイドは、一つの事しかできないメルを広い世界に強引に連れて行ってくれる。
メルもそんなレイドと一緒なら、答えを持っている誰かを見つける事ができるかもしれないと思った。
そうして、もはやお決まりの場所化している誰もいない弓の練習場に到着すると、レイドは拾った木の枝で、何やら地面にカリカリと文字と絵を描きだす。
「いいか?メル。人族は『可愛い』これは理解したな?」
カリカリと全然可愛くない変な棒人間を書いたレイドが、その絵を木の棒で叩く。
言葉は合っていたため、メルはコクリと頷いた。
「よし。じゃあ、その可愛い人族にモテるために必要なモノ。それがなんだか分かるか?」
大きなハートと大きなハテナマークに、『必須』と書かれた文字。
難しいと思ったメルが首を横に振ると、レイドはヤレヤレ……と嘆かわしいと言わんばかりにため息をつく。
「全く……メルは頭が悪いな。それは火を見るより明らかだろう?」
────カッ!カッ!カッ!
レイドは変な棒人間を複数人書き、それを一つずつバッテンで消していった。
「モテるために必要なモノ……それはズバリ!『力』だ!!
そう!『力』なんだよ、メル!
さっきのパン屋のヤツだって悪い奴らをこうやって倒したからお嫁さんをゲットできたんだ。
つま~~り………強くなければ人族のお嫁さんは貰えない!!」
────ズバッ!!
ハッキリ告げられる残酷な真実に、メルはガガ──ン!!と大きなショックを受ける。
ここでも必要となるのは『力』。
メルが恵まれなかった才能……。
ズズズ────ン……。
目に見えて落ち込んでしまったメルをレイドは怪訝そうに見つめ、その後何故かレイドも同様にズズ────ン……と落ち込んでしまったため、今度はメルが怪訝そうな目でレイドを見つめた。
「??何でレイドが落ち込むの……?レイドは強い……メルは犬が羨ましい……。
メルはペンギンである自分が悲しいから……。」
「そっか……。────ん、ありがとうな、褒めてくれて。
でもさ、俺、メルが言う程羨ましい存在じゃねぇんだ。
俺ってすぐ目移りしちゃうし、だから何でも中途半端で辞めちまう。
だからいつも何も手に入らねぇんだ。」
そう言ってレイドの耳は、ぺちゃりと力なくうなだれてしまう。
そして尻尾もへにゃりと情けなく力を失うと、レイドはそれを労わるように擦りながら続けて言った。
「何ていうかさ……例えば初めて何かをする時って大抵のヤツはできないだろ?
でも、俺、割と器用だから何でもできちゃうんだ。
点数にすると80点くらいをサッサッと取っちゃうわけ。
そうするとどうなると思う?」
依然凹んだままのレイドがそんな質問をメルにしたが、メルは基本そういった場面だと10点も取れないので、正直想像ができない。
「……メルは取れないから分からない……。」
正直にそう答えると、レイドは力なく笑った。
「そうか……。まぁ、俺の場合は『あ~こんなもんか~』って思っちまって、それ以上努力できなくなっちまうんだよ。
だから何にも手に入らねぇの。
弱い自分のまま。何も変わらない。
駄目だってわかっているのに、止められないんだよ。
どうしたらいいのか分かんなくて、だから俺はとりあえず目についたモン全部に飛びついてみる事にした。
『下手な魔法も数撃ちゃ当たる』ってやつだな!」
ヘヘッと笑って鼻の頭を掻くレイド。
その顔は笑顔のはずなのに、どこか悲しそうであった。
なんとなくできてしまうから努力ができないレイド。
何にもできないから努力しかできないメル。
全く正反対のメルとレイドだが、きっと探しているモノは同じだ。
ずっと理想の自分を探している。
でも何をすればいいのか分からず、とりあえずレイドは手当たり次第に目の前にあるモノに手を伸ばし、メルはとりあえず一番しっくりくる弓をひたすら打つ。
メル達はそっくりだ。
「……メルも人族のお嫁さん欲しい……。」
気づけばメルの口からは、そんな言葉が漏れてしまっていた。
先程見た獣人の男と人族の女の人。
その仲睦まじい姿を見て正体不明のムズムズした感覚がしたのは、きっとそこに自分の理想としている何かがあるからだ。
そう考えたメルがブフッ!と鼻息荒く吹けば、レイドは目をキラキラと輝かせた。
「よっしゃ!!流石俺の親友!じゃあ、どっちが早くお嫁さん貰うか競争な!」
レイドは嬉しそうにしながら、メルの身体を持ち上げそのまま空にポポ──ン!と投げる。
そしてキャッチし、またもう一度投げてはキャッチしを繰り返しながら、ニカッ!と笑った。
「俺さ、メルに初めて会った時、すげぇ羨ましかったんだ。
一つの事をただひたすら努力できるメルはホントにすげぇよ!
だから、なんとなくお前と一緒なら見つかりそうな気がするんだ。
俺の欲しい答えってやつ!
一緒に探しに行こうぜ!相棒!」
メルにないものを沢山持っているレイドは、一つの事しかできないメルを広い世界に強引に連れて行ってくれる。
メルもそんなレイドと一緒なら、答えを持っている誰かを見つける事ができるかもしれないと思った。
358
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる
路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか?
いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ?
2025年10月に全面改稿を行ないました。
2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。
2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。
2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。
2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。
第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
僕の、しあわせ辺境暮らし
* ゆるゆ
BL
雪のなか3歳の僕を、ひろってくれたのは、やさしい16歳の男の子でした。
ふたりの、しあわせな辺境暮らし、はじまります!
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる