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第二十七章
924 怖いヤツについて
しおりを挟む(メル )
「ありがとうございます!頂きます!!」
「手が濡れてるっす!このハンカチで……。」
サッサッ!とコップを受け取り、テーブルに置くモルト。
そしてぐっしょりと濡れたレディの手を、フワッと取り出したレース付きのハンカチで優しく拭くニール。
その姿を見たメルとレイドはカカッ!!と目を見開いた。
これが人族の女性を落とすテクニック……っ!!
カリカリカリカリ~と二人同時でメモをとっていると、そんなモルトとニールの行動にレディ達は「まぁ!!」と、非常に好感度が高そうな目で二人を見ている!
「モルト……ニール……凄い……。」
キラキラ目を輝かせながらメルがそう言うと、二人はフッと余裕の笑みを浮かべた。
「当たり前だ。先の先を見て動くのは慣れているからな。
ましてやコップなどの危ないモノを基本女性には持たせてはいけない。」
「コップと液体は重いっすからね~。骨折するかもしれないっす。」
レイドと共に、一瞬チラッとレディ達が持ってきた巨大樽に視線を向けてしまったが、なるほど!と納得した。
メル達が頷きながらレディ達を見ると、レディ達はポポポポッ!と頬を赤らめ、更にそれに気づいたモルトとニールはレディ達にすかさず話しかける。
「─────ムッ!顔が赤い!お風邪ですか?警備のお仕事は大変でしょう。
俺たちは嗜み程度に強いので大丈夫です。どうかゆっくりお休み下さい。
……して、我々とお話してくださるレディは何処に?」
「今の時期の風邪はしつこいっすからね~。栄養満点のナッツクッキーをどうぞ。よかったら警備仲間の皆さんとお食べ下さい。
……で、俺たちとお話してもいいよっていう女神の様な女性はい、いるんすかね~?」
モルトはサッ……とバラの匂い付きハンカチを二人に渡し、ニールは、バックからクッキーの匂いがする紙袋を取り出し二人に渡す。
二人はそんなモルトとニールに更にポポポッ!と頬を赤らめ、満面の笑みを浮かべたままモルトとニールを自分の膝の上に乗せて席に座った。
「私は<ベリー>と申します。歳は17歳。よろしくお願いしま~す!」
「私は<キュイ>!同じく17歳。楽しく飲みましょ~!」
まるでお人形の様に抱きかかえられてしまったモルトとニールは、カチンッ……と固まった。
ペリーさんは髪をUPしている最初に案内してくれた女の子で、キュイさんは今来た髪を後ろに縛っているレディだ。
レイドが「いいな───!いいな───!」と羨ましがりながら叫ぶと、周りの獣人達からは、「ハハッ!!坊主はまだまだテクニックが足らねぇから駄目だ!」「そうそう、人族は複雑だぞ~?強いだけじゃ~駄目なんだ。」と、したり顔で難しさを語る。
ブーブーしながらもレイドは「俺、頑張る───ッ!!」と叫び、そのまま飲み物をガブガブ飲み、メルも同様に気合を入れて飲み物を飲んだ。
そして青ざめて固まっているモルトとニールには、ベリーちゃんとキュイちゃんが赤ちゃんにあげるように飲み物を飲ませてあげる。
「皆さんは本日はどうしてこちらに来たのですか?」
ベリーちゃんがそう尋ねてきたので、レイドはフフ~ン!と自慢気に胸を張る。
「今日はライトノア学院の受験にやってきたんだぜ!」
「あらら~。もうそんな時期でしたね~。」
キュイちゃんが自身のお膝に乗せているニールの口元をハンカチでキュッ……と拭きながら言った。
そしてその後は話上手のベリーちゃんとキュイちゃんが、代わる代わる話題を提供してくれて楽しくおしゃべりしていたのだが、フッとレイドが先程の試験について口を開く。
「……そういえばよ、ほら、アイツ……あの怖いヤツ……。なんかまずくないか’?
一応リーフの奴隷って事だけどよ、そんなんで止められる様には見えなかったぞ。
突然暴走とかしねぇの?」
言い終わった後にブルルッ!と震えるレイドに釣られて、メルもブルッと身体を震わせた。
誰に話しても、嘘と言われる様な事を軽々とやってのけた怖いヤツ。
あんなめちゃくちゃなヤツ相手に奴隷陣なんかが役に立つとはメルも思えない。
ゾワワワ~……。
レイドと二人で背筋を伝う冷汗に震えていると、モルトとニールはさして何でもないかの様にあっけらかんと答えた。
「あ~……レオンっすか。まぁ、俺たちも最初のうちはちょっと『うわぁ……。』と思ってたんすけどね~。
でもほっとけば勝手に解決してるから大丈夫っすよ。」
「うむ。寧ろ下手に何かすれば拗れるからな、レオンが。」
二人は腕を組みながら、ヤレヤレ~と首を横に振る。
メルとレイドはあの怖いヤツ……レオンの空っぽの恐ろしい目を思い浮かべ、更にゾゾゾ~としていると……。
「怖いヤツ……?」
「悪い感じの子でもいたんですか?」
ベリーちゃんとキュイちゃんが不思議そうに聞いてきた。
そのため、レイドが身振り手振りまでつけて、その怖い奴について語る。
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