949 / 1,649
第二十八章
933 いいなぁ……
しおりを挟む
(レイド)
やっぱり俺の中途半端で移り気な性質は駄目駄目だ……。
どうにかして性格を変えなきゃ!
メソメソと泣きながら、俺は必死に自分の事を考えた。
自分はどうしたらこの性格が直って両親や兄たちの様に100点が取れるのか?
それとも80点の人生のまま大人しく身を任せればいいのか?
皆がいいなと言ってくれる80点の俺。
でも俺は多分こんな自分があまり好きではない。
『じゃあどんな自分になりたいの?』……そう言われても答えられない。
本当に全てにおいて中途半端、宙ぶらりんの俺という存在にため息しかでなかった。
きっと一番幸せな人生は、このままこの片田舎で責任も何もない貴族の次男坊として適当に戦闘職について80点をとって、『レイドは凄い!』『いいな~。』と言われながら過ごす事。
そして適当に仕事して適当に恋愛して、結婚して子供を産んでもらって────多分それが絵に書いたような『幸せな人生』だとわかってはいる。
でも────……。
俺にその生き方はできそうになかった。
明確な答えを出せないまま悩む日々を送っていた俺は、突然ハッ!とする。
そうだ!
もしかしてこの答えは誰かが持っているのかもしれない。
そう思いついた俺は、キラキラと目を輝かせその場で決意した。
だからその人を探しに行こう!────って。
思い立ったら吉日。
俺は直ぐにスタコラサッサ~と色々な場所へ行くようになった。
あの人は違う、この人も違う……。
毎日毎日フラフラと俺は答えを持っている人を探して歩き回ったが、一向に見つからず、肩を落として家に帰る。
そんな毎日を繰り返し、気がつけば毎日の勉強もサボって探しにいってしまう俺を、親父は烈火の如く怒り、思いっきり殴りつけた。
でも俺は諦めない。
続いて母に説教されて、更に兄にはため息をつかれ……姉には「しっかりしろ!」と説教と共に往復ビンタされたが、やっぱり俺は駄目な自分を変えたくて諦めずに探し続ける。
そしてとうとうその足が隣町にまで届いた時には、両親も兄も姉も諦めて『好きにしろ。』と完全にさじを投げた。
そして探し続けて探し続けて……その日も何一つ成果はなく、トボトボと街外れの道を歩いていると、突然────。
────ズバンッ!!!
何かが凄い勢いで当たる様な大きな音が響き渡った。
更にそれは断続的に聞こえてきたため、ムクムクと興味が沸く。
一体この音は何だろう?
フラフラと音がした方へ俺は足を進めた。
するとそこは弓や投石の練習場の様で、的はたった一つにボロボロの柵が囲っているだけの、随分廃れた様子の場所の様だった。
弓って特に獣人には不人気だからなぁ~。
廃れている理由が即座に分かり、ふぅ……と短く息を吐きだした。
戦闘職であえて弓を選択する者達は少なく、そのため練習する者もほぼいない。
ボロボロでもその設備を直なさい理由はそれだ。
しかし、どうやらそこで練習しているヤツがいる!
ワクワクしながら物陰に隠れて様子を伺うと、小さいペンギンかウズラの獣人が大きな弓を引いては必死に矢を打っている姿が見えた。
しかし随分と下手くそで打った矢はまっすぐには飛ばず、的ではなく回りの土壌の山に当たってはズドンッ!と大きな音を立てている。
ペンギンやウズラって戦闘に向かないもんな。
弓も打つのがやっとって感じだ……。
チラッと的の方を見ると、当たらなかった矢が下にたくさん落ちているのが見えて、う~ん……と渋い顔に。
これは流石に嫌になって辞めるだろうな……。
漠然とそう思ったのだが、そいつは諦める事なく何度も何度も矢を放つ。
腕はぷるぷる、弓を持つ手からは血が滲み、体力も限界まできている様子なのにひたすら打ち続けるそいつを見て『なんでこんなに頑張るんだろう?』とボンヤリ考えたが……結局その日は見ているのに飽きて家へと帰ってしまった。
しかし次の日、その弓矢のヤツがどうしても気になった俺は、もう一度その寂れた練習場へと足を運んだ。
すると────いた。
やっぱり昨日と同じ場所で同じ様にひたすら弓を引き続けている。
相変わらず下手くそな矢を放っては外し、放っては外し……それを繰り返すだけ。
俺は次の日もその次の日も、また次の日も見に行ったが、その光景は何一つ変わらずそこにあった。
そしてそんな日が一週間も経った頃、やはりその日もボンヤリとその光景を眺めていたのだが────何と放った矢がいつもと違い、的をややかすったのだ。
するとそれを見たそいつはパァァ~!!と嬉しそうな雰囲気を醸し出し、グッ!と拳を握ると、その感覚を忘れぬうちに……とまた弓を引き始める。
それを見た俺は『いいなぁ……。』と心の底から思った。
それと同時に今日も何一つ進歩のない自分が酷く恥ずかしくて惨めで、悔しくて────その日はボロボロと泣いて家に帰った。
家でもメソメソしていたのだが、俺はハッ!!と突然閃く。
もしかして、そいつが俺の答えを持っているんじゃないか!?
そう思いついた俺は、早速次の日、相変わらずそこで練習している奴に声を掛けた。
やっぱり俺の中途半端で移り気な性質は駄目駄目だ……。
どうにかして性格を変えなきゃ!
メソメソと泣きながら、俺は必死に自分の事を考えた。
自分はどうしたらこの性格が直って両親や兄たちの様に100点が取れるのか?
それとも80点の人生のまま大人しく身を任せればいいのか?
皆がいいなと言ってくれる80点の俺。
でも俺は多分こんな自分があまり好きではない。
『じゃあどんな自分になりたいの?』……そう言われても答えられない。
本当に全てにおいて中途半端、宙ぶらりんの俺という存在にため息しかでなかった。
きっと一番幸せな人生は、このままこの片田舎で責任も何もない貴族の次男坊として適当に戦闘職について80点をとって、『レイドは凄い!』『いいな~。』と言われながら過ごす事。
そして適当に仕事して適当に恋愛して、結婚して子供を産んでもらって────多分それが絵に書いたような『幸せな人生』だとわかってはいる。
でも────……。
俺にその生き方はできそうになかった。
明確な答えを出せないまま悩む日々を送っていた俺は、突然ハッ!とする。
そうだ!
もしかしてこの答えは誰かが持っているのかもしれない。
そう思いついた俺は、キラキラと目を輝かせその場で決意した。
だからその人を探しに行こう!────って。
思い立ったら吉日。
俺は直ぐにスタコラサッサ~と色々な場所へ行くようになった。
あの人は違う、この人も違う……。
毎日毎日フラフラと俺は答えを持っている人を探して歩き回ったが、一向に見つからず、肩を落として家に帰る。
そんな毎日を繰り返し、気がつけば毎日の勉強もサボって探しにいってしまう俺を、親父は烈火の如く怒り、思いっきり殴りつけた。
でも俺は諦めない。
続いて母に説教されて、更に兄にはため息をつかれ……姉には「しっかりしろ!」と説教と共に往復ビンタされたが、やっぱり俺は駄目な自分を変えたくて諦めずに探し続ける。
そしてとうとうその足が隣町にまで届いた時には、両親も兄も姉も諦めて『好きにしろ。』と完全にさじを投げた。
そして探し続けて探し続けて……その日も何一つ成果はなく、トボトボと街外れの道を歩いていると、突然────。
────ズバンッ!!!
何かが凄い勢いで当たる様な大きな音が響き渡った。
更にそれは断続的に聞こえてきたため、ムクムクと興味が沸く。
一体この音は何だろう?
フラフラと音がした方へ俺は足を進めた。
するとそこは弓や投石の練習場の様で、的はたった一つにボロボロの柵が囲っているだけの、随分廃れた様子の場所の様だった。
弓って特に獣人には不人気だからなぁ~。
廃れている理由が即座に分かり、ふぅ……と短く息を吐きだした。
戦闘職であえて弓を選択する者達は少なく、そのため練習する者もほぼいない。
ボロボロでもその設備を直なさい理由はそれだ。
しかし、どうやらそこで練習しているヤツがいる!
ワクワクしながら物陰に隠れて様子を伺うと、小さいペンギンかウズラの獣人が大きな弓を引いては必死に矢を打っている姿が見えた。
しかし随分と下手くそで打った矢はまっすぐには飛ばず、的ではなく回りの土壌の山に当たってはズドンッ!と大きな音を立てている。
ペンギンやウズラって戦闘に向かないもんな。
弓も打つのがやっとって感じだ……。
チラッと的の方を見ると、当たらなかった矢が下にたくさん落ちているのが見えて、う~ん……と渋い顔に。
これは流石に嫌になって辞めるだろうな……。
漠然とそう思ったのだが、そいつは諦める事なく何度も何度も矢を放つ。
腕はぷるぷる、弓を持つ手からは血が滲み、体力も限界まできている様子なのにひたすら打ち続けるそいつを見て『なんでこんなに頑張るんだろう?』とボンヤリ考えたが……結局その日は見ているのに飽きて家へと帰ってしまった。
しかし次の日、その弓矢のヤツがどうしても気になった俺は、もう一度その寂れた練習場へと足を運んだ。
すると────いた。
やっぱり昨日と同じ場所で同じ様にひたすら弓を引き続けている。
相変わらず下手くそな矢を放っては外し、放っては外し……それを繰り返すだけ。
俺は次の日もその次の日も、また次の日も見に行ったが、その光景は何一つ変わらずそこにあった。
そしてそんな日が一週間も経った頃、やはりその日もボンヤリとその光景を眺めていたのだが────何と放った矢がいつもと違い、的をややかすったのだ。
するとそれを見たそいつはパァァ~!!と嬉しそうな雰囲気を醸し出し、グッ!と拳を握ると、その感覚を忘れぬうちに……とまた弓を引き始める。
それを見た俺は『いいなぁ……。』と心の底から思った。
それと同時に今日も何一つ進歩のない自分が酷く恥ずかしくて惨めで、悔しくて────その日はボロボロと泣いて家に帰った。
家でもメソメソしていたのだが、俺はハッ!!と突然閃く。
もしかして、そいつが俺の答えを持っているんじゃないか!?
そう思いついた俺は、早速次の日、相変わらずそこで練習している奴に声を掛けた。
292
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる
路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか?
いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ?
2025年10月に全面改稿を行ないました。
2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。
2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。
2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。
2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。
第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
僕の、しあわせ辺境暮らし
* ゆるゆ
BL
雪のなか3歳の僕を、ひろってくれたのは、やさしい16歳の男の子でした。
ふたりの、しあわせな辺境暮らし、はじまります!
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる