【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第二十八章

933 いいなぁ……

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(レイド)

やっぱり俺の中途半端で移り気な性質は駄目駄目だ……。
どうにかして性格を変えなきゃ!

メソメソと泣きながら、俺は必死に自分の事を考えた。

自分はどうしたらこの性格が直って両親や兄たちの様に100点が取れるのか?
それとも80点の人生のまま大人しく身を任せればいいのか?

皆がいいなと言ってくれる80点の俺。
でも俺は多分こんな自分があまり好きではない。
『じゃあどんな自分になりたいの?』……そう言われても答えられない。

本当に全てにおいて中途半端、宙ぶらりんの俺という存在にため息しかでなかった。

きっと一番幸せな人生は、このままこの片田舎で責任も何もない貴族の次男坊として適当に戦闘職について80点をとって、『レイドは凄い!』『いいな~。』と言われながら過ごす事。
そして適当に仕事して適当に恋愛して、結婚して子供を産んでもらって────多分それが絵に書いたような『幸せな人生』だとわかってはいる。
でも────……。

俺にその生き方はできそうになかった。

明確な答えを出せないまま悩む日々を送っていた俺は、突然ハッ!とする。

そうだ!
もしかしてこの答えは誰かが持っているのかもしれない。

そう思いついた俺は、キラキラと目を輝かせその場で決意した。

だからその人を探しに行こう!────って。

思い立ったら吉日。
俺は直ぐにスタコラサッサ~と色々な場所へ行くようになった。

あの人は違う、この人も違う……。

毎日毎日フラフラと俺は答えを持っている人を探して歩き回ったが、一向に見つからず、肩を落として家に帰る。
そんな毎日を繰り返し、気がつけば毎日の勉強もサボって探しにいってしまう俺を、親父は烈火の如く怒り、思いっきり殴りつけた。

でも俺は諦めない。

続いて母に説教されて、更に兄にはため息をつかれ……姉には「しっかりしろ!」と説教と共に往復ビンタされたが、やっぱり俺は駄目な自分を変えたくて諦めずに探し続ける。
そしてとうとうその足が隣町にまで届いた時には、両親も兄も姉も諦めて『好きにしろ。』と完全にさじを投げた。

そして探し続けて探し続けて……その日も何一つ成果はなく、トボトボと街外れの道を歩いていると、突然────。

────ズバンッ!!!

何かが凄い勢いで当たる様な大きな音が響き渡った。
更にそれは断続的に聞こえてきたため、ムクムクと興味が沸く。

一体この音は何だろう?

フラフラと音がした方へ俺は足を進めた。
するとそこは弓や投石の練習場の様で、的はたった一つにボロボロの柵が囲っているだけの、随分廃れた様子の場所の様だった。

弓って特に獣人には不人気だからなぁ~。

廃れている理由が即座に分かり、ふぅ……と短く息を吐きだした。

戦闘職であえて弓を選択する者達は少なく、そのため練習する者もほぼいない。
ボロボロでもその設備を直なさい理由はそれだ。

しかし、どうやらそこで練習しているヤツがいる!

ワクワクしながら物陰に隠れて様子を伺うと、小さいペンギンかウズラの獣人が大きな弓を引いては必死に矢を打っている姿が見えた。
しかし随分と下手くそで打った矢はまっすぐには飛ばず、的ではなく回りの土壌の山に当たってはズドンッ!と大きな音を立てている。

ペンギンやウズラって戦闘に向かないもんな。
弓も打つのがやっとって感じだ……。

チラッと的の方を見ると、当たらなかった矢が下にたくさん落ちているのが見えて、う~ん……と渋い顔に。

これは流石に嫌になって辞めるだろうな……。

漠然とそう思ったのだが、そいつは諦める事なく何度も何度も矢を放つ。
腕はぷるぷる、弓を持つ手からは血が滲み、体力も限界まできている様子なのにひたすら打ち続けるそいつを見て『なんでこんなに頑張るんだろう?』とボンヤリ考えたが……結局その日は見ているのに飽きて家へと帰ってしまった。

しかし次の日、その弓矢のヤツがどうしても気になった俺は、もう一度その寂れた練習場へと足を運んだ。

すると────いた。

やっぱり昨日と同じ場所で同じ様にひたすら弓を引き続けている。

相変わらず下手くそな矢を放っては外し、放っては外し……それを繰り返すだけ。
俺は次の日もその次の日も、また次の日も見に行ったが、その光景は何一つ変わらずそこにあった。

そしてそんな日が一週間も経った頃、やはりその日もボンヤリとその光景を眺めていたのだが────何と放った矢がいつもと違い、的をややかすったのだ。
するとそれを見たそいつはパァァ~!!と嬉しそうな雰囲気を醸し出し、グッ!と拳を握ると、その感覚を忘れぬうちに……とまた弓を引き始める。

それを見た俺は『いいなぁ……。』と心の底から思った。

それと同時に今日も何一つ進歩のない自分が酷く恥ずかしくて惨めで、悔しくて────その日はボロボロと泣いて家に帰った。

家でもメソメソしていたのだが、俺はハッ!!と突然閃く。

もしかして、そいつが俺の答えを持っているんじゃないか!?

そう思いついた俺は、早速次の日、相変わらずそこで練習している奴に声を掛けた。

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