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第二十八章
939 正しい統治
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(ジュワン)
『貴族』
それは高貴なる存在であり、何も出来ぬ下等な存在を使う事で救ってやるいわば神の様な存在である。
有象無象に増える事しか脳のない下等生物達は、我々が管理しなければあっという間に世の秩序は乱れてしまう。
家畜と同列の、目先の事しか見えぬゴミが自由に動き回ればどうなるかなど火を見るよりも明らかだろう?
《実力主義》?
そんなモノが『正義』となれば、この国は暴力のみが支配する蛮族の国に成り下がる。
それは、『力』が全てのドロティア帝国を見れば分かりきった事。
《平等、平和主義》?
人の価値が同じな訳ないだろう。
そんな思想が国に蔓延すれば、戦う者も働く者も一人としていなくなり、国は衰退の一途を辿る。
努力せずとも平等となれば人は苦しい思いをしてまで努力しなくなり、特に実力なき者達をただ甘やかす天国の様な場所になるだけだ。
よって絶対的に正しいのは選ばれし優秀な存在『貴族』が下の身分の者達をしっかり管理し、世の秩序を守る事。
それ以外ない。
エドワード様はその事にいち早く気づき、その様な愚かな思想を唱える者達と勇ましく戦っておられる。
私はそんなエドワード様と共に戦う事を選んだ、世を『正しき』に導く『貴族』なのだ。
我が家は子爵の地位を持ち、広くはないがある程度の領土を持った……世でいう普通の『貴族』として暮らしていた。
両親は共に現在のエドワード様と同様の考えを持っており、保有している領土でその考えに基づいた『正しい管理』をしたいと思っていたが、領民たちの反発に合い、中々上手くいかなかった。
何故領民如きが反発を────?
それは元々その領を治めていた、私の祖父母が行ってきた統治法に問題があったからだ。
祖父母は平等と平和に重きを置いた中立派。
そのため贅沢を好まず、余った財は全て貧しい領民達や領内の環境向上のために使い、領内は特に潤っているわけではないが穏やかで治安も良い生活が保たれていた。
そんな生活を送ってきた者達にとって、両親が望む思想は非常に受け入れがたかったのだ。
それを変えようと強引なやり方をしだした両親に、引退していた祖父母達は苦言を呈す。
しかしそんな戯言など両親の耳には入らず、特に実の娘であった母は顔を盛大に顰めて祖父母を責め立てた。
《お前達が掲げた思想は家族を犠牲にするものだった。貴族は貴族らしく、平民は平民らしく生活をする。それこそが『正しい』事だろう!》
母は幼い頃から周りの貴族達に『貧乏貴族』『名ばかり貴族』等と陰口を言われて育つ。
食事は平民より多少良いかな?という程度。
着るドレスは新しい物は中々買っては貰えず流行からは常に外れ、それも他のご令嬢達の格好の笑い種にされていたそうだ。
当時の母はそれが不満で不満で仕方なかったが、そんな時に父と出会う。
父の家は我家と同じく子爵の地位を持っていたが『実力』に重きを置いた家であった。
そのため父は長男であるにも関わらず、実力がより高い次男を後継者にと決められてしまい、出会った当時はそれに大きな不満を抱えていたらしい。
そんな父と母は同じ価値観、同じ様な家族に対しての不満を持っていたため、あっという間に意気投合し、婚約、結婚し、父が入り婿として我が家へ。
父は優秀な剣の資質を持ってはいたが、どちらかというよりは剣より口が立つ方で、上手く人を使ってはのし上がる天性の才能を持っていた。
つまり剣の名家であった自身の実家とは非常に折り合いが悪く、常に『全く努力しようとしない怠け者』と言われていたそうだ。
しかし、父は自身の考えは間違っていないという強い想いを持ち、自身のやり方を変える事はしなかった。
『あくせくと自身が泥にまみれて努力して得る結果。』
『周りを使ってその利益をかすめ取った結果。』
後者の方が圧倒的に多くの利益を得る事ができる事を知っていた父には、わざわざ大変な想いをしてまで小さな利益を取ろうとするやり方が全く理解できない。
それは母も同様の考えを持っていた。
そのため父と母はお互いが結束する事で力をつけ、あっという間に祖父母たちを隠居という名の下追い出し、新たな統治を始める。
人が良かっただけの祖父母に戦う力はない。
邪魔な祖父母がいなくなった途端、両親は自身の『正しき正義』に従い、まずは領内にいる低位貴族達に権力を与え平民共との間にしっかりとした一線を引かせた。
それにより全員の中に身分による『責任』と『義務』を生み出す。
そして続けて厳格なルールを作り、利益を重視する形で仕事のノルマを課せば、無能な平民達は必死になって働き始めどんどんと領は豊かになっていく。
勿論、それについていけぬ者達、身体を壊した者達は使い捨て。
使えなくなった道具はどんどん捨てて効率よく仕事をするのは、常識だろう?
そうして領が潤えば我が家は一流貴族の仲間入りを果たし、あれだけ両親を馬鹿にしていた貴族達は必死に媚びへつらう様になった。
この瞬間、両親の持つ『正義』こそが正しかった事が証明されたのだ。
『貴族』
それは高貴なる存在であり、何も出来ぬ下等な存在を使う事で救ってやるいわば神の様な存在である。
有象無象に増える事しか脳のない下等生物達は、我々が管理しなければあっという間に世の秩序は乱れてしまう。
家畜と同列の、目先の事しか見えぬゴミが自由に動き回ればどうなるかなど火を見るよりも明らかだろう?
《実力主義》?
そんなモノが『正義』となれば、この国は暴力のみが支配する蛮族の国に成り下がる。
それは、『力』が全てのドロティア帝国を見れば分かりきった事。
《平等、平和主義》?
人の価値が同じな訳ないだろう。
そんな思想が国に蔓延すれば、戦う者も働く者も一人としていなくなり、国は衰退の一途を辿る。
努力せずとも平等となれば人は苦しい思いをしてまで努力しなくなり、特に実力なき者達をただ甘やかす天国の様な場所になるだけだ。
よって絶対的に正しいのは選ばれし優秀な存在『貴族』が下の身分の者達をしっかり管理し、世の秩序を守る事。
それ以外ない。
エドワード様はその事にいち早く気づき、その様な愚かな思想を唱える者達と勇ましく戦っておられる。
私はそんなエドワード様と共に戦う事を選んだ、世を『正しき』に導く『貴族』なのだ。
我が家は子爵の地位を持ち、広くはないがある程度の領土を持った……世でいう普通の『貴族』として暮らしていた。
両親は共に現在のエドワード様と同様の考えを持っており、保有している領土でその考えに基づいた『正しい管理』をしたいと思っていたが、領民たちの反発に合い、中々上手くいかなかった。
何故領民如きが反発を────?
それは元々その領を治めていた、私の祖父母が行ってきた統治法に問題があったからだ。
祖父母は平等と平和に重きを置いた中立派。
そのため贅沢を好まず、余った財は全て貧しい領民達や領内の環境向上のために使い、領内は特に潤っているわけではないが穏やかで治安も良い生活が保たれていた。
そんな生活を送ってきた者達にとって、両親が望む思想は非常に受け入れがたかったのだ。
それを変えようと強引なやり方をしだした両親に、引退していた祖父母達は苦言を呈す。
しかしそんな戯言など両親の耳には入らず、特に実の娘であった母は顔を盛大に顰めて祖父母を責め立てた。
《お前達が掲げた思想は家族を犠牲にするものだった。貴族は貴族らしく、平民は平民らしく生活をする。それこそが『正しい』事だろう!》
母は幼い頃から周りの貴族達に『貧乏貴族』『名ばかり貴族』等と陰口を言われて育つ。
食事は平民より多少良いかな?という程度。
着るドレスは新しい物は中々買っては貰えず流行からは常に外れ、それも他のご令嬢達の格好の笑い種にされていたそうだ。
当時の母はそれが不満で不満で仕方なかったが、そんな時に父と出会う。
父の家は我家と同じく子爵の地位を持っていたが『実力』に重きを置いた家であった。
そのため父は長男であるにも関わらず、実力がより高い次男を後継者にと決められてしまい、出会った当時はそれに大きな不満を抱えていたらしい。
そんな父と母は同じ価値観、同じ様な家族に対しての不満を持っていたため、あっという間に意気投合し、婚約、結婚し、父が入り婿として我が家へ。
父は優秀な剣の資質を持ってはいたが、どちらかというよりは剣より口が立つ方で、上手く人を使ってはのし上がる天性の才能を持っていた。
つまり剣の名家であった自身の実家とは非常に折り合いが悪く、常に『全く努力しようとしない怠け者』と言われていたそうだ。
しかし、父は自身の考えは間違っていないという強い想いを持ち、自身のやり方を変える事はしなかった。
『あくせくと自身が泥にまみれて努力して得る結果。』
『周りを使ってその利益をかすめ取った結果。』
後者の方が圧倒的に多くの利益を得る事ができる事を知っていた父には、わざわざ大変な想いをしてまで小さな利益を取ろうとするやり方が全く理解できない。
それは母も同様の考えを持っていた。
そのため父と母はお互いが結束する事で力をつけ、あっという間に祖父母たちを隠居という名の下追い出し、新たな統治を始める。
人が良かっただけの祖父母に戦う力はない。
邪魔な祖父母がいなくなった途端、両親は自身の『正しき正義』に従い、まずは領内にいる低位貴族達に権力を与え平民共との間にしっかりとした一線を引かせた。
それにより全員の中に身分による『責任』と『義務』を生み出す。
そして続けて厳格なルールを作り、利益を重視する形で仕事のノルマを課せば、無能な平民達は必死になって働き始めどんどんと領は豊かになっていく。
勿論、それについていけぬ者達、身体を壊した者達は使い捨て。
使えなくなった道具はどんどん捨てて効率よく仕事をするのは、常識だろう?
そうして領が潤えば我が家は一流貴族の仲間入りを果たし、あれだけ両親を馬鹿にしていた貴族達は必死に媚びへつらう様になった。
この瞬間、両親の持つ『正義』こそが正しかった事が証明されたのだ。
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