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第二十八章
944 悪くないな
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(ジュワン)
通常、発狂までしなくとも、汗を大量に掻いたり?呼吸が乱れたり?何らかの症状が出るはずなのだが……それが一切ない。
おかしい……。
おかしいぞ?
そう思いながら観察を続けると、直ぐに邪神の子の順番になり、そのままリングの上に上がったヤツは、平然とした様子で戦い始めてしまった。
それにも動揺していたのだが、それよりもっと驚いたのは邪神の子の実力だ。
既に騎士団レベルにまで到達しているそのレベル。
まだまだ剣など単体の攻撃は甘さが見られるが、そのトリッキーな戦い方はそれを十分に補える。
カール様から聞いていた話と全然違う……!!
落ちこぼれなどという言葉とは正反対の動きに驚いていると、あっという間に教員に勝ってしまった。
その瞬間、ワッ!!と沸き立つ周囲を尻目に、私は大きな舌打ちをする。
あの上品さの欠片もない下品な動き……恐らくはあの貴族らしからぬ元第二騎士団団長、ドノバンに習ったに違いない。
余計な事を……と、その忌々しさに唇を噛み締めた。
カール様いわく、元々あの邪神の子の剣の家庭教師は我がエドワード派閥に忠実な男が務めていて、途中までは上手くいっていたと言っていた。
彼は命令通りに、如何に自分が必要のない存在か、容姿、頭脳、全てにおいてメルンブルク家に相応しくないという事、そして捨てられた事や現在他の兄弟達は家族と仲良く暮らしているなど『真実』を毎日の様に教えてやったらしい。
その結果、邪神の子は自らの立場を理解し始め、無駄な努力をするのを辞めていたそうだが……そこでしゃしゃり出てきたのは、元カール様の専属執事を務めていたカルパスだ。
奴はあれよあれよとその家庭教師の男の実家の横領などの証拠を全て集め、あっという間に失脚させてしまった。
そしてカルパスはその家庭教師の代わりにとさっさとドノバンを招き入れ、邪神の子の新たな家庭教師として置いたのだ。
このカルパスとドノバンは現在、エドワード派閥にとって非常に厄介な敵であるといえるだろう!
ギシギシと爪を齧り少しでも不愉快な気持ちを散らそうとしたが、ケロリとした邪神の子を見れば心が休まる事はない。
しかし当時はまさかドノバンが、ここまで本気で指導するとは思わなかった。
てっきり何かの隠れ蓑として家庭教師を引き受けたと思っていたのだが……。
「……あんな確実に将来葬り去られる存在を指導したって何の得などないというのに……一体どういうつもりなんだか。」
ハッ!と鼻で笑いながら、ブツブツ不満を漏らす。
私のような加虐性を持った人間にとっても全く手指が動かぬ外見の邪神の子。
そんな無価値とも言える存在に肩入れする理由がサッパリだ!
不快な気持ちのまま邪神の子を見れば、やはり全く術が効いてないのは明白な様でその後もピンピンしている。
それを確認すると次に襲ってくるのは未知な出来事に対する恐怖で、つまり何故効かなかったのか、様々な原因を考えなければならないと言う事だ。
『国の最高魔術師達の傑作品が無効』
それを可能にする未知の耐性系魔道具の存在……もしくはスキル……。
その可能性について考えていると、今度は試験中にちょっとした問題が起きたらしく、リングの上で教員達がザワザワとし始めた。
一体何だ?
疑問に感じながら耳を傾けていると……邪神の子の専属護衛、あの呪いの化け物を試験担当する者がいないという事だった。
呪いに対する恐怖は根強く、特に実力を重んじる戦闘員にとってそれは天敵とも言えるが、あーだこーだと試験が代替案を相談し合う烏合の衆に、大きなため息しかでない。
呪いが伝染らない事は、その邪神の子とその住処が無事な事から明らか。
それにこの剣体術の試験では<仮想幻石>を使用するため、死んで伝染るタイプでも特に問題なく対処できるではないか。
少し考えれば分かる事を、うだうだと……やはりゴミはゴミか、情けない!
侮蔑を込めた目でそのやり取りを見つめながら、フッと面白い事を突然思いついた。
チラッと問題の化け物へ視線を移すと、顔の半分に呪いの様な文字が刻まれているが、それを差し引いても恐ろしいくらいに美しい顔をしている。
もしや性奴隷にでもするつもりで引き取ったのか?と邪推する程に。
それを痛めつけて苦痛に歪む顔が見れたら────────……。
ズクンッ……。
覚えのある感覚が身体の奥底から顔を覗かせる。
────悪くないな?
ニヤけだす口元を抑えながら、続けて邪神の子へと視線を移した。
邪神の子はどうも呪いの化け物を大事にしているらしい事が、今までの行動からも見て取れる。
そんな大事な大事なモノを目の前で壊してやったらどうなるのか?
今度はワクワクした気持ちが全面に出てきて、私の気分はどんどんと上昇していった。
怒り狂うか、泣き叫ぶか?懇願するかもしれない。
────何にせよ、酷く楽しいに違いない。
舌なめずりをしながら、再度呪いの化け物へと視線を戻しその美しい姿を上から下までじっくりと眺めた。
通常、発狂までしなくとも、汗を大量に掻いたり?呼吸が乱れたり?何らかの症状が出るはずなのだが……それが一切ない。
おかしい……。
おかしいぞ?
そう思いながら観察を続けると、直ぐに邪神の子の順番になり、そのままリングの上に上がったヤツは、平然とした様子で戦い始めてしまった。
それにも動揺していたのだが、それよりもっと驚いたのは邪神の子の実力だ。
既に騎士団レベルにまで到達しているそのレベル。
まだまだ剣など単体の攻撃は甘さが見られるが、そのトリッキーな戦い方はそれを十分に補える。
カール様から聞いていた話と全然違う……!!
落ちこぼれなどという言葉とは正反対の動きに驚いていると、あっという間に教員に勝ってしまった。
その瞬間、ワッ!!と沸き立つ周囲を尻目に、私は大きな舌打ちをする。
あの上品さの欠片もない下品な動き……恐らくはあの貴族らしからぬ元第二騎士団団長、ドノバンに習ったに違いない。
余計な事を……と、その忌々しさに唇を噛み締めた。
カール様いわく、元々あの邪神の子の剣の家庭教師は我がエドワード派閥に忠実な男が務めていて、途中までは上手くいっていたと言っていた。
彼は命令通りに、如何に自分が必要のない存在か、容姿、頭脳、全てにおいてメルンブルク家に相応しくないという事、そして捨てられた事や現在他の兄弟達は家族と仲良く暮らしているなど『真実』を毎日の様に教えてやったらしい。
その結果、邪神の子は自らの立場を理解し始め、無駄な努力をするのを辞めていたそうだが……そこでしゃしゃり出てきたのは、元カール様の専属執事を務めていたカルパスだ。
奴はあれよあれよとその家庭教師の男の実家の横領などの証拠を全て集め、あっという間に失脚させてしまった。
そしてカルパスはその家庭教師の代わりにとさっさとドノバンを招き入れ、邪神の子の新たな家庭教師として置いたのだ。
このカルパスとドノバンは現在、エドワード派閥にとって非常に厄介な敵であるといえるだろう!
ギシギシと爪を齧り少しでも不愉快な気持ちを散らそうとしたが、ケロリとした邪神の子を見れば心が休まる事はない。
しかし当時はまさかドノバンが、ここまで本気で指導するとは思わなかった。
てっきり何かの隠れ蓑として家庭教師を引き受けたと思っていたのだが……。
「……あんな確実に将来葬り去られる存在を指導したって何の得などないというのに……一体どういうつもりなんだか。」
ハッ!と鼻で笑いながら、ブツブツ不満を漏らす。
私のような加虐性を持った人間にとっても全く手指が動かぬ外見の邪神の子。
そんな無価値とも言える存在に肩入れする理由がサッパリだ!
不快な気持ちのまま邪神の子を見れば、やはり全く術が効いてないのは明白な様でその後もピンピンしている。
それを確認すると次に襲ってくるのは未知な出来事に対する恐怖で、つまり何故効かなかったのか、様々な原因を考えなければならないと言う事だ。
『国の最高魔術師達の傑作品が無効』
それを可能にする未知の耐性系魔道具の存在……もしくはスキル……。
その可能性について考えていると、今度は試験中にちょっとした問題が起きたらしく、リングの上で教員達がザワザワとし始めた。
一体何だ?
疑問に感じながら耳を傾けていると……邪神の子の専属護衛、あの呪いの化け物を試験担当する者がいないという事だった。
呪いに対する恐怖は根強く、特に実力を重んじる戦闘員にとってそれは天敵とも言えるが、あーだこーだと試験が代替案を相談し合う烏合の衆に、大きなため息しかでない。
呪いが伝染らない事は、その邪神の子とその住処が無事な事から明らか。
それにこの剣体術の試験では<仮想幻石>を使用するため、死んで伝染るタイプでも特に問題なく対処できるではないか。
少し考えれば分かる事を、うだうだと……やはりゴミはゴミか、情けない!
侮蔑を込めた目でそのやり取りを見つめながら、フッと面白い事を突然思いついた。
チラッと問題の化け物へ視線を移すと、顔の半分に呪いの様な文字が刻まれているが、それを差し引いても恐ろしいくらいに美しい顔をしている。
もしや性奴隷にでもするつもりで引き取ったのか?と邪推する程に。
それを痛めつけて苦痛に歪む顔が見れたら────────……。
ズクンッ……。
覚えのある感覚が身体の奥底から顔を覗かせる。
────悪くないな?
ニヤけだす口元を抑えながら、続けて邪神の子へと視線を移した。
邪神の子はどうも呪いの化け物を大事にしているらしい事が、今までの行動からも見て取れる。
そんな大事な大事なモノを目の前で壊してやったらどうなるのか?
今度はワクワクした気持ちが全面に出てきて、私の気分はどんどんと上昇していった。
怒り狂うか、泣き叫ぶか?懇願するかもしれない。
────何にせよ、酷く楽しいに違いない。
舌なめずりをしながら、再度呪いの化け物へと視線を戻しその美しい姿を上から下までじっくりと眺めた。
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