【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

文字の大きさ
968 / 1,649
第二十八章

952 越えている

しおりを挟む
(ジュワン)

アゼリアの挑発する様な言葉のせいですっかり頭には血が上り、大声で怒鳴り散らす。
そしてそれと同時にアゼリアに向かって剣を思い切り振り下ろしたが、それもいなされてしまい怒りは更に加速した。

ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるな!!!
こんな格下のゴミが私の攻撃を避けるなど許されるものか!!

怒りのままに剣の打ち合いに突入すると、まだ私の方が剣単体としては実力が上であるため少しづつアゼリアの身体には小さな傷がついていくが……やはり決定打のダメージは与えられない。

「────っクソっ!!」

イライラしながらどんどんその身体を押し出していけば、グッドタイミングで獣のガキが飛び出し、その馬鹿力で私を押し戻す。

獣人のパワーは人族の私より上。攻撃が当たれば流石にまずい!

そのため全ての攻撃の風圧も全て避けきった私は、一度体制を整えるために大きく後ろへ飛んだ。

「────ちっ!パワーだけの野蛮種族が。
やはり人族以外の人種など全て駆除されるべきだな。こんな本能のまま暴れるだけの下品な獣、モンスターと同じではないか。」

「…………。」

馬鹿にする様に鼻で笑って言ってやったが、獣のガキは理解できないのか、無言で私の下半身へと視線を一瞬向け何とも言えぬ表情を見せてくる。

「……まぁ、敢えて直接的に言うつもりはないけどよ……なんつーか、お前らみたいなお貴族様は、客観的に自分を見るのが苦手なのか?
お前はとっくに越えてるぞ、人と獣の境界線ってやつ。
そうなっちまったらもう戻れねぇよ。
引っ張って戻してくれるヤツ、いなかったんだなぁ……。」

「遥か下の存在である汚らしい獣民族は、遥か上の存在である私の言葉は分からないのか?
言葉~、わ~か~り~ま~す~か~?」

訳のわからぬ事を言う獣のガキに、私が耳に手をあて『聞こえない』というジェスチャーを見せると、獣のガキは大きなため息をついた。

「いや……だからさぁ~…………。────まっ、いいや。めんどくせぇし。
とりあえず一つだけ言っておくが、お前みたいに人を上と下に分けるヤツは人生辛いぜ~?
見下してきたヤツに上に行かれるとすげぇ苦しいから、汚い手を使ってでもそいつを必死に蹴落とすしかねぇんだ。
それを一生続けるなんて罰ゲームじゃねーか。
俺たちに負けたくなくて必死すぎるお前を見てっと、俺はあんたを可哀想なヤツにしか見えねぇよ。」

「────はっ???」

遥か下の存在である獣のガキに哀れみを込めた目で見られ、一瞬何を言われているのか分からなかったが…………凄まじい早さでそれを理解すると、ドスく黒い殺意が湧き上がる。

遥か下の存在である獣如きが、この私を見下した……?

ブワッ!と膨れ上がる殺意に背中を押されるがまま、私は剣を静かに後ろへ引いた。



<剣才士の資質>(ユニーク固有スキル)

< 血剣の五月雨突き >

剣による怒涛の突攻撃のラッシュを繰り出す攻撃系スキル。
スピードの値が攻撃値に加わり、スピードが早ければ早いほど威力と攻撃の数は増加する。
更に全ての攻撃に貫通属性が付与される

(発現条件) 
一定以上の攻撃力、スピードを持つ事
一定人数以上、剣の突攻撃にて一定以下の精神汚染度の生物の命を奪う事



「己の罪深さをあの世で反省しろ、下等生物がっ!!!」

獣のガキに向かってスキルを放ち、そのまま全身を串刺しに────と思った瞬間、獣のガキはガシャンっ!!と武器を一瞬で大剣から巨大ハンマーへと変えると、そのまま私の攻撃を下に叩きつける!



<重工戦士の資質>(ユニーク固有スキル)

< 大地揺らし >

武器指定<ハンマー>
大きく振り下ろされるハンマーの火力特化型の攻撃スキル
それにより力のベクトルを下へと逸らし、相手の攻撃を無力化する叩き潰し系の攻撃
術者の体力値が攻撃値に加算され、その値によって攻撃範囲も決定する

(発現条件) 
一定以上の攻撃力、体力を持つ事
一定回数以上ハンマーで敵に攻撃した経験値を持つこと
一定以上の好奇心、純粋、闘争心を持つこと



「────っなっ!!!」

無力化されてしまった私の攻撃に、思わず声が漏れると、すかさずアゼリアが間合いに入り込み、大きく踏み込んで刀を横に振り切る。
その攻撃を慌てて剣で受け止めたが、踏ん張りきれずにそのまま後方にある瓦礫に叩きつけられてしまった。

「────ぐっ!!!」

悲鳴を上げながら直ぐに体勢を立て直すと……私の口からはツゥ────……と一筋の赤い血が流れる。

「…………。」

私は無言でその血を拭い、赤く染まった手を見下ろすと、ブルブルと震えた。

「お~い?降参でもすんのかぁ~?」

おちょくるようにそう言ってくる獣のガキ。
しかし様子がおかしい事に気づいたアゼリアがその行動を片手で制し、二人は私と距離を取った様だ。

私はストンッと一度両手を下に降ろし、二人をギロッ!!と睨みつけると、怒りを抑える事なく大声で怒鳴りつけた。
しおりを挟む
感想 274

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる

路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか? いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ? 2025年10月に全面改稿を行ないました。 2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。 2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。 2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。 2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。 第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

無能と呼ばれた婚約者は王を完成させる〜替え玉婚約者のはずが、強すぎる王太子に手放してもらえません〜

統子
BL
兄の身代わりとして王太子の婚約者になった伯爵家次男リュシー。 嘘の名を名乗ったはずが、冷静で誠実な王太子リオンは彼を「力の装置」としてではなく、対等な伴侶として扱おうとする。 本物になりたいと願う替え玉と、完成された王太子の静謐な王宮ロマンス。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

処理中です...