【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第二十九章

(レンジュ)971 戦いの幕開け

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(レンジュ)

「事前に必要とされる箇所に欠片は設置済み。そして魔力はフルチャージされてますので、一週間くらいは持つはずです。
事前準備できたのは本当に大きかったですね。ありがたやありがたや~。」

ヨセフ司教は手を組み軽く祈ると、直ぐにそれを作動させる。
するとそこら中に人が通れるくらいの大きな穴がそこら中に開いた。

「それぞれ正門、東門、西門、北門、他の主要場所とトンネルを繋ぎました。
さぁさぁ、これから怪我人がわんさか来ますよ~!
戦う力のない我々は戦士たちの傷を癒やし、また戦場へ帰す事がお仕事になりますが……その前に戦う勇敢なる戦士達へ、私から祝福を送っておきましょうか。」

ヨセフ司教はニッコリと笑いながら、軽く指を弾く。


<心導師の資質>(ユニーク固有スキル)

< 戦場のワルツ >

人の持つ感情の種類別に様々な効果を与える事ができる特殊系強化スキル。
《勇気》を持つ者に攻撃力UP、《信念》を持つ者に防御力UP、《慈愛》を持つ者に回復力UP、《不屈》を持つ者に体力、スタミナUP、《忠誠心》を持つ者に状態異常耐性UP、《決断力》を持つ者にスピードUP効果を付与する。
その感情値が大きい程威力はUPし、更に術者の魔力、魔力操作、人の感情に触れた経験値によってその効果と効果範囲はUPする。

(発現条件) 
一定以上の魔力、魔力操作、人の感情に触れた経験値を持つ事。
一定以上の絶望、怒り、悲しみを経験しながらも愛する心を持っている事。
*&$^&(@ を理解する事。


<心導師の資質>(ユニーク固有スキル)

< 善と悪の天秤 >

善の心を持つ者には全ステータスUPを、そして悪の心を持つ者にはステータスDOWNを与える特殊系強化スキル。
善と悪の審判は、術者の価値観に基づく。

(発現条件) 
一定以上の善と悪の心に触れる事。
それにより一定以上の強さを持つ感情の取得経験値を持ち、それでいて自身の信念、価値観が揺るがない事。


ヨセフ司教が放ったスキルは街を、そして街周辺にまで広がっていき、それに伴い私の身体もフッと軽くなった。

「す……凄い……!」

「身体が……?まるで若い頃を思い出す様だ!」

他の街の人達にもそのスキル効果は出た様で、皆は直ぐに飛び上がって喜ぶ。

「フッフッフ~!最弱司教の唯一の得意分野ですから!」

ヨセフ司教がエッヘン!と大きく胸を張ると、リーンとナッツはキラキラと目を輝かせてヨセフ司教にお礼を告げた。
ヨセフ司教はそんな二人にニッコリと笑い掛けた後、その場にしゃがみ込み、突然真剣な顔つきで二人と視線を合わせる。

「二人には回復師としての素晴らしい才能がありそうですが……あまり気負いすぎてはいけませんよ。
絶対に無理はしない事。
人を助ける事は、必ず自分が無事である事が大条件です。
そうしなければ、結局は悲しい想いをする者を交換するだけの悲しい作業になってしまいますからね。」

困った様に笑うヨセフ司教を、二人は真っ直ぐに見つめ返し「「────はい!」」と迷いなく答えた。
それに安心したヨセフ司教は、そのままぐぐ──ッと大きく伸びをするように立ち上がり、「な~んて!一番は子供に見せ場を奪われたくないからで~す!」と、おちゃらけたいつもの態度で言う。

「それを言わなきゃかっこよかったんですけどね。」

私は呆れながらそう言い放ち、ヨセフ司教の背中をバンッ!と叩いた。
その直後────……。

「正門から怪我人が一人来ました!トラップ班より足の裂傷です!!」

正門に繋がっている穴から、血まみれの足を引きずった男の人が出てくる。
直ぐに街の人達がその人に駆け寄り肩を貸すと近くの簡易式ベッドに寝かし、神官たちが回復魔法を掛け始めた。

「……始まりましたね。」

また真剣な表情に戻ったヨセフ司教がそう言うと、私や神官達、リーンとナッツの表情が一瞬で引き締まる。

戦いが始まった。

それが分かり気を引き締めると、次から次へとけが人が送られてきてここも戦場へと変わっていく。

「こっち回復薬出来上がりました!!」

「麻痺直しと解毒薬も完成です!!」

調合班から声が上がれば運送班が即座に運び、回復魔法が使えない介護班や看護班達がそれを使っての応急処置。
それぞれがそれぞれの特技を活かしてそこら中を走り回り、怪我人達の対応をする。
勿論それは私達もで、応急処置された者達に回復魔法を掛けては怪我を直していったが、時間経過と共に、やはり人数的にこの規模の戦いは厳しくなってくるはずだと確信する。

「……中々厳しい戦いになりそうだ……。」

また一人治療を終えてボソッと呟くと、突然待機所の方から女性の「お~~い!」という声が聞こえた。

「皆!これ、一口で食べれるからちょいと食べてみな!元気になるからさ!」

その女性は軽快な様子で大きな皿を差し出し、山盛りに積んである小麦ボールを差し出してきた。

<小麦ボール>
小麦と卵を混ぜて揚げた一口パン。
中にチーズの欠片が入っていて、平民の子どものおやつとして人気が高い

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