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第二十九章
(ヨセフ)978 平等と愛
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(ヨセフ)
「で、でも!俺が両親に愛されずに捨てられた事は?辛い思いをした事は?
【心導師】なんていうモンスターを一匹も倒せない様な最弱資質を授かったのは?
それがどうやったら『平等』になるんだよ!!」
セイは感情的になって怒鳴る私のおでこにデコピンをして、その後はチッチッチ~と私の顔の前で指を振った。
「ヨセフ。『平等』とは心あってこそ成立する考えなんですよ。
それどころか幸せも愛も憎しみも悲しみも、知性ある生物の持つ感情、その全てが心が作りだすモノだ。
確かにモンスターを倒すという視点から見れば【心導師】は最弱かもしれません。
しかし私から見れば【心導師】こそがヨセフの言う『最大の不幸に塗れた世界』で最強の資質であると思いますけどねぇ?
何と言っても感情を持つ生物共通の天敵ですから。」
「な……に言ってるんだ。だって今まで同じ資質を持った奴らなんて、人の心をちょっと癒やすくらいしかできなかったじゃないか……。
回復魔法だって専門の奴らには激しく劣るし……そんなモノが最強なわけない……。」
自分の才能を信じたい。
でもそれを認めるには自分の反発心が邪魔をする。
そんなジレンマにより必死に抵抗するも、言葉は弱々しく力を失っていく。
それをお見通しだった様子のセイは、そのまま下を向いてしまった私に続けて言った。
「それは才能が開花せずに一生を終えてしまったからです。
心はとても複雑で、沢山の視点から物事を見れる様にならなければそれを理解する事はできません。
そしてあらゆる視点を手にするには、辛い体験をする事が一番の近道なんですよねぇ~。
人は現状が幸せな内は、他の視点で見ようとはしないから。」
私は下に向けた視線を徐々に上へとあげていき、穏やかに微笑むセイへ視線を合わせる。
するとセイは最後にこう言った。
「つまりだ、ヨセフ。君は最強の資質と、それを成長させることのできる最高の環境を与えられた世界で一番のラッキーボーイだ。
まさに教会が掲げる『平等』の申し子といえる存在でしょう!」
ビッ!と私の目の前にピースサインを出して笑うセイを見ながら、そのあまりにポジティブ過ぎる発言に呆れてしまったが……多分私は嬉しかったのだと思う。
正体不明のじぃぃぃ~ん……とした痺れが身体中に広がり、私の心の中に爽やかな風が吹く。
そして────────その日から私の中にあった巨大な穴は少しづつ少しづつ小さくなっていった。
セイが言った通り、私の境遇や悲しい体験、そして葛藤の日々の数々は【心導師】としての能力を開花させるためにとても重要な事だったらしい。
私はそれからぐんぐんと実力を発揮していき教会内で順調に出世していったが、セイは変わらず私を構い倒し、私は私でそれを喜びその日にあった嬉しかった事、悲しかった事、悔しかった事を全てセイに報告する。
そしてその時のセイの笑顔と、飛び出してくるポジティブな『平等』は私の心に安らぎを与えてくれた。
そんな毎日を過ごしている内に、私はセイに対し、不思議な気持ちを抱く様になる。
しびれる様な?
熱い様な……?
落ち着かない様な?
嬉しい様な?
不安にも恐怖にも似た様な妙な感覚。
それに翻弄されながらも、やがて私はそれが『愛』というモノだという事に唐突に気づいた。
『俺はセイが好き』
それを認めた時は恥ずかしくて恥ずかしくて仕方なく、更に自分がセイに見せてきた醜態に悶え苦しんだ。
違う!絶対に違う!!
そう否定しようと必死に自分にそう言い聞かせていたが、その頃には私の中にあった穴は半分以下の大きさになっていて、私はセイへ持ったこの『愛』こそが、この穴を埋めてくれる唯一のものだと認めるしかなかったのだ。
それからの私の行動は非常に早く、それに気付いたその瞬間に走って、セイにプロポーズした。
『男同士だとか、親子ほどの年の差とか、上司だから部下だから』、そんなモノは一つとして頭にない。
ただ『この人を他の人に渡したくない』、『この先一生側にいたい』、私の頭の中はコレだけ。
セイは突然「結婚しよう!!」と怒鳴る様に言う私に驚きながら、こんこんと人生や恋愛について諭し、その日のプロポーズは流されてしまった。
しかし、諦めるつもりなど毛頭ない私は、その日から毎日毎日大きな花束や高級素材を使ったチビリンゴクッキーの詰め合わせを持って跪き、愛を訴える。
「私は男ですよ!?」
「しかもただのしがないおじさんなんですけど……。」
私の本気を理解したセイはあれやこれやとお断りの言葉を言い続けていたが、とうとう最後は絆されて、私と共に生きる道を選んでくれた。
「で、でも!俺が両親に愛されずに捨てられた事は?辛い思いをした事は?
【心導師】なんていうモンスターを一匹も倒せない様な最弱資質を授かったのは?
それがどうやったら『平等』になるんだよ!!」
セイは感情的になって怒鳴る私のおでこにデコピンをして、その後はチッチッチ~と私の顔の前で指を振った。
「ヨセフ。『平等』とは心あってこそ成立する考えなんですよ。
それどころか幸せも愛も憎しみも悲しみも、知性ある生物の持つ感情、その全てが心が作りだすモノだ。
確かにモンスターを倒すという視点から見れば【心導師】は最弱かもしれません。
しかし私から見れば【心導師】こそがヨセフの言う『最大の不幸に塗れた世界』で最強の資質であると思いますけどねぇ?
何と言っても感情を持つ生物共通の天敵ですから。」
「な……に言ってるんだ。だって今まで同じ資質を持った奴らなんて、人の心をちょっと癒やすくらいしかできなかったじゃないか……。
回復魔法だって専門の奴らには激しく劣るし……そんなモノが最強なわけない……。」
自分の才能を信じたい。
でもそれを認めるには自分の反発心が邪魔をする。
そんなジレンマにより必死に抵抗するも、言葉は弱々しく力を失っていく。
それをお見通しだった様子のセイは、そのまま下を向いてしまった私に続けて言った。
「それは才能が開花せずに一生を終えてしまったからです。
心はとても複雑で、沢山の視点から物事を見れる様にならなければそれを理解する事はできません。
そしてあらゆる視点を手にするには、辛い体験をする事が一番の近道なんですよねぇ~。
人は現状が幸せな内は、他の視点で見ようとはしないから。」
私は下に向けた視線を徐々に上へとあげていき、穏やかに微笑むセイへ視線を合わせる。
するとセイは最後にこう言った。
「つまりだ、ヨセフ。君は最強の資質と、それを成長させることのできる最高の環境を与えられた世界で一番のラッキーボーイだ。
まさに教会が掲げる『平等』の申し子といえる存在でしょう!」
ビッ!と私の目の前にピースサインを出して笑うセイを見ながら、そのあまりにポジティブ過ぎる発言に呆れてしまったが……多分私は嬉しかったのだと思う。
正体不明のじぃぃぃ~ん……とした痺れが身体中に広がり、私の心の中に爽やかな風が吹く。
そして────────その日から私の中にあった巨大な穴は少しづつ少しづつ小さくなっていった。
セイが言った通り、私の境遇や悲しい体験、そして葛藤の日々の数々は【心導師】としての能力を開花させるためにとても重要な事だったらしい。
私はそれからぐんぐんと実力を発揮していき教会内で順調に出世していったが、セイは変わらず私を構い倒し、私は私でそれを喜びその日にあった嬉しかった事、悲しかった事、悔しかった事を全てセイに報告する。
そしてその時のセイの笑顔と、飛び出してくるポジティブな『平等』は私の心に安らぎを与えてくれた。
そんな毎日を過ごしている内に、私はセイに対し、不思議な気持ちを抱く様になる。
しびれる様な?
熱い様な……?
落ち着かない様な?
嬉しい様な?
不安にも恐怖にも似た様な妙な感覚。
それに翻弄されながらも、やがて私はそれが『愛』というモノだという事に唐突に気づいた。
『俺はセイが好き』
それを認めた時は恥ずかしくて恥ずかしくて仕方なく、更に自分がセイに見せてきた醜態に悶え苦しんだ。
違う!絶対に違う!!
そう否定しようと必死に自分にそう言い聞かせていたが、その頃には私の中にあった穴は半分以下の大きさになっていて、私はセイへ持ったこの『愛』こそが、この穴を埋めてくれる唯一のものだと認めるしかなかったのだ。
それからの私の行動は非常に早く、それに気付いたその瞬間に走って、セイにプロポーズした。
『男同士だとか、親子ほどの年の差とか、上司だから部下だから』、そんなモノは一つとして頭にない。
ただ『この人を他の人に渡したくない』、『この先一生側にいたい』、私の頭の中はコレだけ。
セイは突然「結婚しよう!!」と怒鳴る様に言う私に驚きながら、こんこんと人生や恋愛について諭し、その日のプロポーズは流されてしまった。
しかし、諦めるつもりなど毛頭ない私は、その日から毎日毎日大きな花束や高級素材を使ったチビリンゴクッキーの詰め合わせを持って跪き、愛を訴える。
「私は男ですよ!?」
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