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第二十九章
(ヨセフ)980 友との再会
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(ヨセフ)
グレスターは髪が昔より伸びて腰につくくらいになっているくらいで、その他は昔と全く変わらず穏やかで心優しい青年のままであった。
教会の本部に行った際にたまたま出会い、私達はお互いの再会を喜び合う。
グレスターは私よりもかなり早い時期から才能を開花させ、この時既に最年少の司教になる事が決定していた。
私はそれを聞き心から祝福を送る。
元々グレスターの噂は遠く離れた教会にいた私の耳にも届いており、国中を周りながら沢山の人々に救済の手を差し伸べていたそうで、この出世も当然の結果だと言えよう。
「グレスターは凄いな。」
素直に尊敬の気持ちからそう言ったのだが、グレスターは困った様に首を振った。
「自分のして欲しかった事を、他者を使って代わりに与えているだけだ。
きっとこれは望んでも手に入らなかった過去の自分に対する身代わり行為なんだよ。」
憂いの漂う表情を浮かべるグレスターを見て────私は彼の胸の穴が別れた時から変わらずそこにある事を知った。
心の中にある大きな大きな穴。
どんなに沢山の人に出会っても、どんなに沢山の情を向けられても……それが自分の心の形に合わなければその穴は塞がらない。
その事は経験者である自分が一番よく分かっている。
どうかグレスターの穴を埋めてくれる誰かが見つかりますように……。
大事な友の幸せを願い神官らしく祈った後、私達は昔話に花を咲かせ、昔の様にお互いの読んだ本についての小さな討論会の様なモノを始めた。
グレスターの考え方はやはり私にとっては新鮮で、話をするのはとても楽しい。
そして話の流れでお互いの近況も話したのだが、私にパートナーがいる事、更に子供が二人もいる事を話すと、グレスターは腰を抜かす勢いで驚いていた。
「ヨセフは凄いな。」
感心する様にそう言ったグレスターは『どんな人なのか?』『どこで出会ったのか?』などを事細やかに聞いてきた後、少し寂しそうな顔を見せる。
「『愛』はとても軽くて小さいモノだと思っていたけれど、違ったね。
なんて巨大で深いモノなんだろう。その穴を塞ぐぐらいに……。」
グレスターはそう言って私の胸辺りを指さし、最後は嬉しそうに笑った。
その後、どうしても私の最愛の人と子供たちに会いたいというグレスターの希望をセイに伝えると、セイは「是非とも~!」と言って張り切って向かえる準備に取り掛かる。
セイは私とパートナーとなってからは、やれお祭りに行こうだの、今日は街で楽しそうなイベントがあるだのと、やたら私を連れ回し沢山の人達と会わせたがった。
だからこの時も本当に喜んでくれて、グレスターとは家族ぐるみのお付き合いという、また新たな関係性が始まったのだった。
この交流によって何かグレスターに変化があったか?と言われればNO。
以前と変わらず献身的な治療と慈善活動に精を出し、胸の巨大な穴もそのまま。
しかしグレスター的に多少は想う事があったのか、今にして思えば少しづつ少しづつ変わろうとしていた様に思える。
そんな中、私とグレスターが30を超えた頃。
とうとうグレスターにも運命とやらがやってきた。
彼にとっては生まれて初めて欲しかったモノを与えてくれた女性。
そして同時に絶望の底に彼を叩き落とした女性────<カトリーナ>に。
カトリーナとの出会いはセイがまたしても聞きつけ誘ってきた珍しい輸入品のマーケットイベントの時。
そのマーケットはいくつかの商会が合同で行うイベントで、他国から普段はあまり輸入されない様な食べ物や日用品、雑貨、本などが販売されるため、毎回かなりの賑いを見せる大人気イベントの一つだった。
セイがその事をグレスターに話すと、何とこちらが誘う前に「是非!!私も連れて行って欲しい!!」と食い気味に言われてしまい、その日は一緒に行くことにしたのだ。
ちなみに我が子たちはというと、上の子は興味なし。
そして下の子は『退屈だから行かねぇ!』と言ってさっさと遊びに行ってしまったため、その日は私とセイ、グレスターの三人での参加であった。
そのため三人が共通して好きなモノ、『本』のコーナーに行くことに決め、私達はその場所へと向かった。
私は心理や精神に関する本、セイは甘酸っぱい恋愛小説やコミカルな話題がテーマの本、そしてグレスターはある絵本シリーズをそれぞれ探す。
グレスターは元々美しい絵が添えらた絵本が大好きで、探している絵本シリーズもその中で手に取ったのが始まりだったのだそうだ。
グレスターは髪が昔より伸びて腰につくくらいになっているくらいで、その他は昔と全く変わらず穏やかで心優しい青年のままであった。
教会の本部に行った際にたまたま出会い、私達はお互いの再会を喜び合う。
グレスターは私よりもかなり早い時期から才能を開花させ、この時既に最年少の司教になる事が決定していた。
私はそれを聞き心から祝福を送る。
元々グレスターの噂は遠く離れた教会にいた私の耳にも届いており、国中を周りながら沢山の人々に救済の手を差し伸べていたそうで、この出世も当然の結果だと言えよう。
「グレスターは凄いな。」
素直に尊敬の気持ちからそう言ったのだが、グレスターは困った様に首を振った。
「自分のして欲しかった事を、他者を使って代わりに与えているだけだ。
きっとこれは望んでも手に入らなかった過去の自分に対する身代わり行為なんだよ。」
憂いの漂う表情を浮かべるグレスターを見て────私は彼の胸の穴が別れた時から変わらずそこにある事を知った。
心の中にある大きな大きな穴。
どんなに沢山の人に出会っても、どんなに沢山の情を向けられても……それが自分の心の形に合わなければその穴は塞がらない。
その事は経験者である自分が一番よく分かっている。
どうかグレスターの穴を埋めてくれる誰かが見つかりますように……。
大事な友の幸せを願い神官らしく祈った後、私達は昔話に花を咲かせ、昔の様にお互いの読んだ本についての小さな討論会の様なモノを始めた。
グレスターの考え方はやはり私にとっては新鮮で、話をするのはとても楽しい。
そして話の流れでお互いの近況も話したのだが、私にパートナーがいる事、更に子供が二人もいる事を話すと、グレスターは腰を抜かす勢いで驚いていた。
「ヨセフは凄いな。」
感心する様にそう言ったグレスターは『どんな人なのか?』『どこで出会ったのか?』などを事細やかに聞いてきた後、少し寂しそうな顔を見せる。
「『愛』はとても軽くて小さいモノだと思っていたけれど、違ったね。
なんて巨大で深いモノなんだろう。その穴を塞ぐぐらいに……。」
グレスターはそう言って私の胸辺りを指さし、最後は嬉しそうに笑った。
その後、どうしても私の最愛の人と子供たちに会いたいというグレスターの希望をセイに伝えると、セイは「是非とも~!」と言って張り切って向かえる準備に取り掛かる。
セイは私とパートナーとなってからは、やれお祭りに行こうだの、今日は街で楽しそうなイベントがあるだのと、やたら私を連れ回し沢山の人達と会わせたがった。
だからこの時も本当に喜んでくれて、グレスターとは家族ぐるみのお付き合いという、また新たな関係性が始まったのだった。
この交流によって何かグレスターに変化があったか?と言われればNO。
以前と変わらず献身的な治療と慈善活動に精を出し、胸の巨大な穴もそのまま。
しかしグレスター的に多少は想う事があったのか、今にして思えば少しづつ少しづつ変わろうとしていた様に思える。
そんな中、私とグレスターが30を超えた頃。
とうとうグレスターにも運命とやらがやってきた。
彼にとっては生まれて初めて欲しかったモノを与えてくれた女性。
そして同時に絶望の底に彼を叩き落とした女性────<カトリーナ>に。
カトリーナとの出会いはセイがまたしても聞きつけ誘ってきた珍しい輸入品のマーケットイベントの時。
そのマーケットはいくつかの商会が合同で行うイベントで、他国から普段はあまり輸入されない様な食べ物や日用品、雑貨、本などが販売されるため、毎回かなりの賑いを見せる大人気イベントの一つだった。
セイがその事をグレスターに話すと、何とこちらが誘う前に「是非!!私も連れて行って欲しい!!」と食い気味に言われてしまい、その日は一緒に行くことにしたのだ。
ちなみに我が子たちはというと、上の子は興味なし。
そして下の子は『退屈だから行かねぇ!』と言ってさっさと遊びに行ってしまったため、その日は私とセイ、グレスターの三人での参加であった。
そのため三人が共通して好きなモノ、『本』のコーナーに行くことに決め、私達はその場所へと向かった。
私は心理や精神に関する本、セイは甘酸っぱい恋愛小説やコミカルな話題がテーマの本、そしてグレスターはある絵本シリーズをそれぞれ探す。
グレスターは元々美しい絵が添えらた絵本が大好きで、探している絵本シリーズもその中で手に取ったのが始まりだったのだそうだ。
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