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第三十二章
1042 スタンティン家の主張
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( ニコラ )
魔道具の第一人者と言われている伯爵家【 スタンティン家 】
現当主オルガノは魔道具作りの腕も当主としての手腕も素晴らしく、身分を尊重する考えを持っていながらも、権力のバランスは決して崩さず素晴らしい統治をしている事で一目置いている人物である。
そしてそんな夫のサポートをする妻のアリシアも、魔道具に関しては非凡な才を持ち、常に冷静沈着で貴族女性として非の打ち所のない人物であった。
そんな二人がこの様に切羽詰まった状況で駆け込んでくるとは、相当な事が起きたに違いない。
そう思い、気を引き締めてオルガノの言葉を待つ。
するとオルガノは下げていた頭を上げて決意を込めた目を私に向けた。
「 失礼ながら申し上げます。
これより我々【 スタンティン家 】は、グリモア防衛戦に参戦いたします。
どうかお許しを。 」
「 ────っ!! 」
予想だにしない言葉に驚いたのは私だけではなくその場の全員が驚き、悲鳴混じりに声を上げる。
「 一体何を馬鹿な事を言っているのだ!!伯爵家ともあろう者が!! 」
「 そうですよ!こんな状況で戦うなど命をドブに捨てる様なモノです。
貴族ともあろう者が、なんと愚かな事を……! 」
次々とオルガノ達の行動を咎める様な言葉が投げつけられ、最後に辺境伯ライロンド家のルィーンが、ハァ……と、まるで馬鹿にしたかの様なため息をついた。
「 オルガノ様、貴方はもっと賢い方だと思ってましたわ。
こんな戦いに参戦する事が如何に愚かな事か……貴族ならばしっかりご自分の立場を考えて動くべきではありませんか?
スタンティン家の作る魔道具は大変素晴らしいモノです。
こんな無意味な戦いになど参加せずこれからも我々貴族のための魔道具を作り続けなさい。
そしてより豊かな生活を我々のために──── 」
「 黙れ。 」
オルガノは静かだが凄まじい怒りを込めてルィーンを睨むと、カッ!!と怒りで顔を赤らめたルィーンを無視し、そのまま私に視線を戻す。
「 私は……私は全てにおいて間違いを犯しました。
子を思う親の気持ちは誰しもが同じ。
それなのに私は我が子が助かるならと、犠牲に対し目を瞑ろうとしました。
仕方がないと言い聞かせ、その上でできることだけしようなどと、そんな保身の元の救助を考えてしまった時点で貴族失格です。
────私はっ!!……自分が恥ずかしい!! 」
グシャッと顔を歪めながら告げられる懺悔の言葉に、私や周りにいる者達は黙って耳を傾けたが、そんな中でマリナは周りに聞こえない程度にチッ!と舌打ちをすると、直ぐに優しく諭す様にオルガノに話しかけた。
「 此度の事は誰も予想できなかった事ですので気に病む必要はありません。
それに犠牲になるのは同志である貴族ではなく、うじゃうじゃと有象無象に湧いている平民ですからどうか安心なさって。 」
「 マリナの言う通りだよ。
オルガノ、以前から思っていたが、君は色々と間違っているね。
少々驚かされる出来事が起きてしまったが、此度の事態は王の選択をもって直ぐに解決するだろう。
だからスタンティン家はこのままここで待機したまえ。
間もなく息子もここへ──── 」
「 ────マリオンが…… 」
マリナに続きカールが口を出したが、オルガノはそれを遮って喋り始めた。
「 マリオンがグリモアへ戻りました。
戦うためです。
我が息子は、こんな情けない親の制止の声を振りきり、迷う事なく ” 救世主リーフ様 ” の元へと行ってしまいました。
ただ共に戦うため、真っ直ぐ前を向いて。 」
「 ────っなっ!!!!?? 」
” リーフ ” という名を聞き、カールとマリナが口元を押さえヨロヨロと後退りして沈黙してしまうと、ルィーンが心底呆れた様な目をオルガノに向けてまた大きなため息をつく。
「 残念ですが、御子息は選択を間違いましたね。
リーフ様は邪教ともいえる自身の独自のお考えをお持ちで、学院内ではその邪教を生徒達に強制し洗脳していると聞きしました。
恐らく御子息もそれに洗脳されてしまったのでしょう。
貴族として恥ずべき事です。
貴族の名門の一つであるスタンティン家を守るには決断するしかございませんわね。
御子息を切り捨てるご覚悟を────。
御子息を育てそこなった貴方がたにはその責任があります。 」
ルィーンの言った言葉は、あっという間にエドワード派閥内に広がり、それこそが正しい選択だと言わんばかりの雰囲気を出す。
そしてシ──ン……と静まり返ったその場で口を開いたのは────妻のアリシアであった。
「 ” 貴族の女性たるもの嫁いだ家を守るため、決して主人より前に出ず一歩下がって支え続けよ。 ”
” 家を守る事を第一に考え、歴史ある貴族の名を守る事こそ貴族としての最大の義務である。 ”
そういう事でしょうか? 」
「 えぇ!!その通りよ、アリシア。
貴方は聡明で賢い女性ですもの~。
きっと ” 正しい判断 ” ができると信じていたわ! 」
自分の考えを全面的に口にしたアリシアを見て、ルィーンは満足そうにニッコリと微笑む。
そして慰める様に優しい声でアリシアに続けて言った。
魔道具の第一人者と言われている伯爵家【 スタンティン家 】
現当主オルガノは魔道具作りの腕も当主としての手腕も素晴らしく、身分を尊重する考えを持っていながらも、権力のバランスは決して崩さず素晴らしい統治をしている事で一目置いている人物である。
そしてそんな夫のサポートをする妻のアリシアも、魔道具に関しては非凡な才を持ち、常に冷静沈着で貴族女性として非の打ち所のない人物であった。
そんな二人がこの様に切羽詰まった状況で駆け込んでくるとは、相当な事が起きたに違いない。
そう思い、気を引き締めてオルガノの言葉を待つ。
するとオルガノは下げていた頭を上げて決意を込めた目を私に向けた。
「 失礼ながら申し上げます。
これより我々【 スタンティン家 】は、グリモア防衛戦に参戦いたします。
どうかお許しを。 」
「 ────っ!! 」
予想だにしない言葉に驚いたのは私だけではなくその場の全員が驚き、悲鳴混じりに声を上げる。
「 一体何を馬鹿な事を言っているのだ!!伯爵家ともあろう者が!! 」
「 そうですよ!こんな状況で戦うなど命をドブに捨てる様なモノです。
貴族ともあろう者が、なんと愚かな事を……! 」
次々とオルガノ達の行動を咎める様な言葉が投げつけられ、最後に辺境伯ライロンド家のルィーンが、ハァ……と、まるで馬鹿にしたかの様なため息をついた。
「 オルガノ様、貴方はもっと賢い方だと思ってましたわ。
こんな戦いに参戦する事が如何に愚かな事か……貴族ならばしっかりご自分の立場を考えて動くべきではありませんか?
スタンティン家の作る魔道具は大変素晴らしいモノです。
こんな無意味な戦いになど参加せずこれからも我々貴族のための魔道具を作り続けなさい。
そしてより豊かな生活を我々のために──── 」
「 黙れ。 」
オルガノは静かだが凄まじい怒りを込めてルィーンを睨むと、カッ!!と怒りで顔を赤らめたルィーンを無視し、そのまま私に視線を戻す。
「 私は……私は全てにおいて間違いを犯しました。
子を思う親の気持ちは誰しもが同じ。
それなのに私は我が子が助かるならと、犠牲に対し目を瞑ろうとしました。
仕方がないと言い聞かせ、その上でできることだけしようなどと、そんな保身の元の救助を考えてしまった時点で貴族失格です。
────私はっ!!……自分が恥ずかしい!! 」
グシャッと顔を歪めながら告げられる懺悔の言葉に、私や周りにいる者達は黙って耳を傾けたが、そんな中でマリナは周りに聞こえない程度にチッ!と舌打ちをすると、直ぐに優しく諭す様にオルガノに話しかけた。
「 此度の事は誰も予想できなかった事ですので気に病む必要はありません。
それに犠牲になるのは同志である貴族ではなく、うじゃうじゃと有象無象に湧いている平民ですからどうか安心なさって。 」
「 マリナの言う通りだよ。
オルガノ、以前から思っていたが、君は色々と間違っているね。
少々驚かされる出来事が起きてしまったが、此度の事態は王の選択をもって直ぐに解決するだろう。
だからスタンティン家はこのままここで待機したまえ。
間もなく息子もここへ──── 」
「 ────マリオンが…… 」
マリナに続きカールが口を出したが、オルガノはそれを遮って喋り始めた。
「 マリオンがグリモアへ戻りました。
戦うためです。
我が息子は、こんな情けない親の制止の声を振りきり、迷う事なく ” 救世主リーフ様 ” の元へと行ってしまいました。
ただ共に戦うため、真っ直ぐ前を向いて。 」
「 ────っなっ!!!!?? 」
” リーフ ” という名を聞き、カールとマリナが口元を押さえヨロヨロと後退りして沈黙してしまうと、ルィーンが心底呆れた様な目をオルガノに向けてまた大きなため息をつく。
「 残念ですが、御子息は選択を間違いましたね。
リーフ様は邪教ともいえる自身の独自のお考えをお持ちで、学院内ではその邪教を生徒達に強制し洗脳していると聞きしました。
恐らく御子息もそれに洗脳されてしまったのでしょう。
貴族として恥ずべき事です。
貴族の名門の一つであるスタンティン家を守るには決断するしかございませんわね。
御子息を切り捨てるご覚悟を────。
御子息を育てそこなった貴方がたにはその責任があります。 」
ルィーンの言った言葉は、あっという間にエドワード派閥内に広がり、それこそが正しい選択だと言わんばかりの雰囲気を出す。
そしてシ──ン……と静まり返ったその場で口を開いたのは────妻のアリシアであった。
「 ” 貴族の女性たるもの嫁いだ家を守るため、決して主人より前に出ず一歩下がって支え続けよ。 ”
” 家を守る事を第一に考え、歴史ある貴族の名を守る事こそ貴族としての最大の義務である。 ”
そういう事でしょうか? 」
「 えぇ!!その通りよ、アリシア。
貴方は聡明で賢い女性ですもの~。
きっと ” 正しい判断 ” ができると信じていたわ! 」
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そして慰める様に優しい声でアリシアに続けて言った。
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