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第三十二章
1043 決意
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( ニコラ )
「 大丈夫よ。貴方はまだ若いのだから、もう一人後継ぎとなる子を生みなさいな。
今度こそ " 正しく " スタンティン家を継いでくれる跡取りを────…… 」
「 では、家を守るとは具体的にどういう事なのでしょうか?
家の保有する財産?先祖代々守り続けてきた栄誉?
それとも貴族としてのプライド?ブランド力?
………いいえ、私にとってそれはすべてを掛けて守るモノではないわ。 」
アリシアは下げていた頭をゆっくりと上げ、ギロリっとルィーンを睨んだ。
その凄まじい気迫と強い意思を感じる瞳に、ルィーンが一瞬たじろいだが、直ぐに怒りの形相へと変わりアリシアを怒鳴りつける。
「 伯爵家のくせにこの辺境伯の私に楯突くつもりっ?!
────全くっ!!そんな出来損ないの息子を育ててしまったご自分を恥じたらどうなのっ!!!
家のために生き、家のために死ぬ。
これこそ貴族として当然の生き方よ。
貴方はスタンティン家を守るため、その出来損ないの息子を捨てればいいの!!
そんな当たり前の事、どうしてできないのかしら?
貴方にはガッカリしました。 」
心底ウンザリとした様子でそう言い放つルィーンに対し、アリシアは静かな怒りを込めて口を開いた。
「 ” 家 ” とは家族。愛する夫と子供たちの事ですわ。
女は ” 家 ” を守ります。
それは自身の愛する家族を守るため。
どんなに苦しくても辛くとも、全ての苦渋を飲み込み生きていくのは、それを守りたいからです。
財産も名誉も未来を生きる子供たちにとってプラスならばと守るだけ。
家族がいないならそんなモノは私にとってガラクタと同じだわ。
そんなモノのために私は、自分を押し殺して生きてきたわけじゃないっ!!! 」
いつも大人しく感情を外に出さないアリシアの激情を目にし、ルィーンは勿論、他の周りの者達も呆気に取られて思わず口を閉ざす。
しかしルィーンが直ぐに我を取り戻しアリシアに再び怒鳴り返そうとするが、その前に私が先に口を開いた。
「 伯爵家スタンティン家は王の名の元、只今よりグリモア防衛戦への参加を許可しよう。
既に現場には第二騎士団の主力部隊が向かっている。
共に最善を尽くせ。 」
「「「「「 ────なっ!!!!??? 」」」」」
私の言葉を聞いたエドワードやメルンブルク夫妻、そしてルィーンを始めとするエドワード派閥の者達が驚き、声を上げる。
そして────
「 おっ、お待ち下さいっ!!!
同じ伯爵家としてむざむざ彼らを死地へ送る事を容認するわけにはいきません!!! 」
「 伯爵家【 レイモンド家 】の当主< ロイド >か……。 」
我先に飛び出す勢いで前に出たのは【 スタンティン家 】と並ぶ魔法の名門、伯爵家【 レイモンド家 】の現当主である< ロイド >であった。
そしてそれに続き、隣からはその妻である< ローズ >が同じく飛び出し、スタンティン家に対し、涙を滲ませながら訴える。
「 オルガノ様!アリシア様っ!!どうか考え直してくださいませ!!
スタンティン家は、現在様々な貴族へ魔道具の提供をしております。
我がレイモンド家もその魔道具がなければ困るのです!
こんな損しかない戦いに参戦し、むざむざその命を落とす事はありません。 」
「 その通りだぞ!オルガノ!!いい加減目を覚ましたらどうだ!
スタンティン家の魔道具がなければ、我がレイモンド家は非常に困るんだ。
各領の守備だってお前の所の魔道具を使ってやってるんだぞ!!?
息子の事は残念だが、今の生活を捨ててまで助ける価値などないだろう。
貴族としての責任を果たせ。
周りに迷惑を掛けてまで自身の願望を叶えたいなど、そもそも人として間違っている!! 」
ロイドの言葉に同じくスタンティン家の魔道具だよりの経営をしている貴族達は、そうだそうだ!と賛同の声を上げた。
その声を聞きながら、自分たちは正しい事を言ったと胸を張っているレイモンド家のロイドとローズを私は静かに見下ろす。
魔法特化の名門【 レイモンド家 】
現当主の妻であるローズの実の父にして先代当主を務めた< ドルトン >は素晴らしい魔法の才を持ち、数々の偉業を遂げた人物であった。
代々レイモンド家に忠誠を誓う【 四柱 】という4つの魔術師の私兵団を見事纏め上げ、魔法名門のレイモンド家の名を確かなモノにしてきたのだが………
その後にレイモンド家を継いだ実の娘< ローズ >と入り婿としてレイモンド家にやってきた< ロイド >によってレイモンド家は衰退の一途を辿る。
私はあたふたと焦りながらオルガノとアリシアを説得し続けるロイドとローズから視線を外し、いまだ腕を組み柱に寄りかかっているドルトンへと視線を移した。
ドルトンは何も口にする事はせず、自身の娘ローズとその婿であるロイドをただ静かに見つめている。
「 大丈夫よ。貴方はまだ若いのだから、もう一人後継ぎとなる子を生みなさいな。
今度こそ " 正しく " スタンティン家を継いでくれる跡取りを────…… 」
「 では、家を守るとは具体的にどういう事なのでしょうか?
家の保有する財産?先祖代々守り続けてきた栄誉?
それとも貴族としてのプライド?ブランド力?
………いいえ、私にとってそれはすべてを掛けて守るモノではないわ。 」
アリシアは下げていた頭をゆっくりと上げ、ギロリっとルィーンを睨んだ。
その凄まじい気迫と強い意思を感じる瞳に、ルィーンが一瞬たじろいだが、直ぐに怒りの形相へと変わりアリシアを怒鳴りつける。
「 伯爵家のくせにこの辺境伯の私に楯突くつもりっ?!
────全くっ!!そんな出来損ないの息子を育ててしまったご自分を恥じたらどうなのっ!!!
家のために生き、家のために死ぬ。
これこそ貴族として当然の生き方よ。
貴方はスタンティン家を守るため、その出来損ないの息子を捨てればいいの!!
そんな当たり前の事、どうしてできないのかしら?
貴方にはガッカリしました。 」
心底ウンザリとした様子でそう言い放つルィーンに対し、アリシアは静かな怒りを込めて口を開いた。
「 ” 家 ” とは家族。愛する夫と子供たちの事ですわ。
女は ” 家 ” を守ります。
それは自身の愛する家族を守るため。
どんなに苦しくても辛くとも、全ての苦渋を飲み込み生きていくのは、それを守りたいからです。
財産も名誉も未来を生きる子供たちにとってプラスならばと守るだけ。
家族がいないならそんなモノは私にとってガラクタと同じだわ。
そんなモノのために私は、自分を押し殺して生きてきたわけじゃないっ!!! 」
いつも大人しく感情を外に出さないアリシアの激情を目にし、ルィーンは勿論、他の周りの者達も呆気に取られて思わず口を閉ざす。
しかしルィーンが直ぐに我を取り戻しアリシアに再び怒鳴り返そうとするが、その前に私が先に口を開いた。
「 伯爵家スタンティン家は王の名の元、只今よりグリモア防衛戦への参加を許可しよう。
既に現場には第二騎士団の主力部隊が向かっている。
共に最善を尽くせ。 」
「「「「「 ────なっ!!!!??? 」」」」」
私の言葉を聞いたエドワードやメルンブルク夫妻、そしてルィーンを始めとするエドワード派閥の者達が驚き、声を上げる。
そして────
「 おっ、お待ち下さいっ!!!
同じ伯爵家としてむざむざ彼らを死地へ送る事を容認するわけにはいきません!!! 」
「 伯爵家【 レイモンド家 】の当主< ロイド >か……。 」
我先に飛び出す勢いで前に出たのは【 スタンティン家 】と並ぶ魔法の名門、伯爵家【 レイモンド家 】の現当主である< ロイド >であった。
そしてそれに続き、隣からはその妻である< ローズ >が同じく飛び出し、スタンティン家に対し、涙を滲ませながら訴える。
「 オルガノ様!アリシア様っ!!どうか考え直してくださいませ!!
スタンティン家は、現在様々な貴族へ魔道具の提供をしております。
我がレイモンド家もその魔道具がなければ困るのです!
こんな損しかない戦いに参戦し、むざむざその命を落とす事はありません。 」
「 その通りだぞ!オルガノ!!いい加減目を覚ましたらどうだ!
スタンティン家の魔道具がなければ、我がレイモンド家は非常に困るんだ。
各領の守備だってお前の所の魔道具を使ってやってるんだぞ!!?
息子の事は残念だが、今の生活を捨ててまで助ける価値などないだろう。
貴族としての責任を果たせ。
周りに迷惑を掛けてまで自身の願望を叶えたいなど、そもそも人として間違っている!! 」
ロイドの言葉に同じくスタンティン家の魔道具だよりの経営をしている貴族達は、そうだそうだ!と賛同の声を上げた。
その声を聞きながら、自分たちは正しい事を言ったと胸を張っているレイモンド家のロイドとローズを私は静かに見下ろす。
魔法特化の名門【 レイモンド家 】
現当主の妻であるローズの実の父にして先代当主を務めた< ドルトン >は素晴らしい魔法の才を持ち、数々の偉業を遂げた人物であった。
代々レイモンド家に忠誠を誓う【 四柱 】という4つの魔術師の私兵団を見事纏め上げ、魔法名門のレイモンド家の名を確かなモノにしてきたのだが………
その後にレイモンド家を継いだ実の娘< ローズ >と入り婿としてレイモンド家にやってきた< ロイド >によってレイモンド家は衰退の一途を辿る。
私はあたふたと焦りながらオルガノとアリシアを説得し続けるロイドとローズから視線を外し、いまだ腕を組み柱に寄りかかっているドルトンへと視線を移した。
ドルトンは何も口にする事はせず、自身の娘ローズとその婿であるロイドをただ静かに見つめている。
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