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第三十二章
1055 恐怖を越えて
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( ニコラ )
「 何故何故何故何故っ!!!!
ああああああああ────────何故何故何故なんだぁぁぁ────────!!!!
どうして安全な場所に行かない!?なんで危険な場所に戻ろうとするんだ!!
ここには幸せがあるのに!
何だって手に入る、安全で幸せな場所……そこでただ座っていればいいのに!!
────嘘だよね???
君は……君だけは私の元に……帰ってくるよ…ね??? 」
突然叫び、最後は子供が母親に何かを尋ねる様に無邪気な言い方で喋りだすグレスターだったが、まるでタイミングを測ったように、一つの伝言シャボンがグレスターの前で、パチンと弾けた。
《 大司教グレスターの娘ジェニファー・ドン・レイシャス。
只今より神の導くがままグリモア防衛戦に参戦いたします。 》
それを聞いたグレスターは ” 絶望 ” した顔でまた塞ぎこんでしまったので、私はソッ……とグレスターから視線を静かに逸らす。
残念ながら子はいつまでも親の人形にはならない。
ジェニファーは自分の意見を持ってグリモアへ戻り、その成長はグレスターを打ちのめしたが────同時にグレスターの心の中で止まっていた時は動き出し、新たな変化を起こすだろう。
その変化が良いモノである事を願う。
そしてそれは私の心にも────
《 私はアルバード王国第一王女のソフィア!
私も救世主様と志を共に足掻いて足掻いて足掻いてハッピーエンドを目指します!! 》
《 どうか皆様も絶対に諦めないで下さい! 》
《 未来をこの手に取り戻しましょう!! 》
窓から飛び出してきた伝電鳥が信じられない人物の言葉を伝え、それにバタバタ走り回っていた周りの者達の動きは完全に止まった。
「「「「「 は……はぁぁぁぁぁぁぁぁ────────!!!!!!!??? 」」」」」
周囲の者たちは一斉に叫び声を上げ、私も我が娘ソフィアの行動に驚いていると、エドワードがヨロっ……と後退りしながら小さな声で呟く。
「 な……なぜ避難してないんだ……?
そ、それに……そんな言葉を国民共が聞けばーーーーー…… 」
窓から更に追加で飛び出してきた伝電鳥達を、カールが「 まずいっ!!! 」と叫んで止めようとしたが、スピード特化の伝電鳥が羽ばたいていくのは止められない。
瞬く間に王都中を飛び回り、救世主リーフの声と王女かつイシュル教会聖女のソフィアの声を伝えていった。
カールは伸ばしかけた手を引っ込める事もせず呆然と立ち尽くし、マリナは顔を隠す事も忘れて口を大きく開ける。
そして、エドワードは更に数歩ヨロヨロと後ろに下がった。
これはエドワード派閥にとっては危機的状況。
なんと言っても世界中の ” 希望 ” とも言える教会が、戦っていると、そう宣言してしまったのだから。
そんな事を聞いてしまえば、今度は国民達が動き出す。
貴族と違って個々で脅す事が難しい平民達の動きを制御する事は不可能……かつこの宣言のせいでソフィア派の【 聖兵士団 】が一斉に動きだし、敵を殲滅するまで止まらない。
しかも ” 聖女自らが戦っている ” ともなれば、例えこのままソフィアが死んでしまっても、ソフィアはイシュル神に等しい崇拝の対象になり、おいそれと手が出せない存在へとなってしまう。
もちろんエドワードが手を出したとなれば、そこら中で暴動が起きてしまうだろう。
それが分かっているエドワード達は揃いも揃って頭を抱えているので、これはエドワード派閥にとって最悪とも言えるシナリオである事は間違いない。
私はフッ…と笑い、我が娘ソフィアを見つけたスクリーンを見上げた。
教会の天満、そこには勇ましく戦う決意をした娘の姿を見つけ、私はそんなソフィアを眩しいモノを見るかの様な目で見つめる。
幼き頃から争いを止めるストッパーとして生きる事を強いられてきたソフィアは、様々な人の思惑と悪意に晒されてきた。
人につけ入る隙を与えない。
なぜならそれを許してしまえば、大勢の犠牲者を出してしまうかもしれないから。
それが分かっているソフィアは常に感情を殺し、その時の最善をとる。
その過程で、人を ” 敵か味方か? ” で選別しつづけてきたソフィアの心には、恐らく世界に対する ” 絶望 ” の感情が常にあったはずだ。
しかし────……
スクリーン上で戦い始めた者達の姿、そして最後に私の中の恐怖を固めた様な化け物相手に戦う ” 救世主様 ” の姿を見て、私の心は熱く燃え上がっていく。
ソフィアは ” 人 ” に希望を見出し、そんな希望に溢れた ” 今 ” の美しい世界を守りたいと願った。
そして全てを捨てても、その願い叶えるためあの場で戦う事を選んだのだ。
「 せっかくこの父が命を掛けて ” 未来 ” を守ろうとしたというのに……。
新たな世界ではなく、お前は今のままの世界を望むのか。 」
” 悪 ” によって汚され醜く歪んでいると思っていた世界は、今、私の前でキラキラと鮮やかに輝きだす。
そして────……
私もそんな今の美しい世界を守りたい。
王としてではなく、この世界を構成する一部として。
そう思ってしまった。
その想いは溢れ出し、体は勝手に動きだす。
<博愛者の資質>(ユニーク固有スキル)
< 風の羽音 >
自身の指定する場所全域に ” 声 ” と ” 感情 ” を届ける事のできる広範囲伝達系スキル
博愛の心と今までの博愛の経験値によって、その言葉の威力は高く、相手にダイレクトに自身の持つ感情を伝える事ができる
( ニコラ指定区域:アルバード王国全体 )
(発現条件)
一定以上の魔力、魔力操作、博愛の心を持つ事
一定回数以上博愛の心を持ち善行を行うこと
一定以上の感情に触れ、自身の感情ゲージが一定以上のレベルを持つ事
私のスキルによって眼の前に現れたのは、自身の顔くらいの大きさの白く光り輝く光の輪で、ここに向かって話せばその言葉は瞬く間に全国へと広がっていくだろう。
突然私がスキルを発動した事に驚き、全員が注目する中、私は自身の気持ちの全てをそこへ吐き出す。
「 私はアルバード王国現王< ニコラ・ゼン・アルバード >
現在我が国はアルバード王国始まって以来の大厄災に見舞われている。
世界の嘆きと呼ばれる呪いの化身が誕生し、今まさに世界を飲み込もうとしている……が──── 」
黒く世界を染めようとする呪いの化身、イシュル教最大のタブーと言える ” 黒 ” に対する恐怖。
それを全て叩き潰す様に、私は心臓部をドンッ!!!と強く叩きつけた。
「 そんなどうしようもない化け物に立ち向かい救世主が現れた!!
救世主の名前は< リーフ >!
そして救世主リーフ殿と共に、聖女であるソフィアや騎士達、そして沢山の勇気ある者達が現在グリモアにて交戦中である!
全ての負債はこのニコラが負う。
戦える者は全員我々と共に戦って欲しい。
この未曾有の大厄災、皆で足掻いて ” ハッピーエンド ” を目指そうではないか!
私はこの国を────皆の力を信じている!! 」
私の ” 声 ” は光る輪を通じて、空を駆け雲を突き抜け、国中を駆け抜けていった。
「 何故何故何故何故っ!!!!
ああああああああ────────何故何故何故なんだぁぁぁ────────!!!!
どうして安全な場所に行かない!?なんで危険な場所に戻ろうとするんだ!!
ここには幸せがあるのに!
何だって手に入る、安全で幸せな場所……そこでただ座っていればいいのに!!
────嘘だよね???
君は……君だけは私の元に……帰ってくるよ…ね??? 」
突然叫び、最後は子供が母親に何かを尋ねる様に無邪気な言い方で喋りだすグレスターだったが、まるでタイミングを測ったように、一つの伝言シャボンがグレスターの前で、パチンと弾けた。
《 大司教グレスターの娘ジェニファー・ドン・レイシャス。
只今より神の導くがままグリモア防衛戦に参戦いたします。 》
それを聞いたグレスターは ” 絶望 ” した顔でまた塞ぎこんでしまったので、私はソッ……とグレスターから視線を静かに逸らす。
残念ながら子はいつまでも親の人形にはならない。
ジェニファーは自分の意見を持ってグリモアへ戻り、その成長はグレスターを打ちのめしたが────同時にグレスターの心の中で止まっていた時は動き出し、新たな変化を起こすだろう。
その変化が良いモノである事を願う。
そしてそれは私の心にも────
《 私はアルバード王国第一王女のソフィア!
私も救世主様と志を共に足掻いて足掻いて足掻いてハッピーエンドを目指します!! 》
《 どうか皆様も絶対に諦めないで下さい! 》
《 未来をこの手に取り戻しましょう!! 》
窓から飛び出してきた伝電鳥が信じられない人物の言葉を伝え、それにバタバタ走り回っていた周りの者達の動きは完全に止まった。
「「「「「 は……はぁぁぁぁぁぁぁぁ────────!!!!!!!??? 」」」」」
周囲の者たちは一斉に叫び声を上げ、私も我が娘ソフィアの行動に驚いていると、エドワードがヨロっ……と後退りしながら小さな声で呟く。
「 な……なぜ避難してないんだ……?
そ、それに……そんな言葉を国民共が聞けばーーーーー…… 」
窓から更に追加で飛び出してきた伝電鳥達を、カールが「 まずいっ!!! 」と叫んで止めようとしたが、スピード特化の伝電鳥が羽ばたいていくのは止められない。
瞬く間に王都中を飛び回り、救世主リーフの声と王女かつイシュル教会聖女のソフィアの声を伝えていった。
カールは伸ばしかけた手を引っ込める事もせず呆然と立ち尽くし、マリナは顔を隠す事も忘れて口を大きく開ける。
そして、エドワードは更に数歩ヨロヨロと後ろに下がった。
これはエドワード派閥にとっては危機的状況。
なんと言っても世界中の ” 希望 ” とも言える教会が、戦っていると、そう宣言してしまったのだから。
そんな事を聞いてしまえば、今度は国民達が動き出す。
貴族と違って個々で脅す事が難しい平民達の動きを制御する事は不可能……かつこの宣言のせいでソフィア派の【 聖兵士団 】が一斉に動きだし、敵を殲滅するまで止まらない。
しかも ” 聖女自らが戦っている ” ともなれば、例えこのままソフィアが死んでしまっても、ソフィアはイシュル神に等しい崇拝の対象になり、おいそれと手が出せない存在へとなってしまう。
もちろんエドワードが手を出したとなれば、そこら中で暴動が起きてしまうだろう。
それが分かっているエドワード達は揃いも揃って頭を抱えているので、これはエドワード派閥にとって最悪とも言えるシナリオである事は間違いない。
私はフッ…と笑い、我が娘ソフィアを見つけたスクリーンを見上げた。
教会の天満、そこには勇ましく戦う決意をした娘の姿を見つけ、私はそんなソフィアを眩しいモノを見るかの様な目で見つめる。
幼き頃から争いを止めるストッパーとして生きる事を強いられてきたソフィアは、様々な人の思惑と悪意に晒されてきた。
人につけ入る隙を与えない。
なぜならそれを許してしまえば、大勢の犠牲者を出してしまうかもしれないから。
それが分かっているソフィアは常に感情を殺し、その時の最善をとる。
その過程で、人を ” 敵か味方か? ” で選別しつづけてきたソフィアの心には、恐らく世界に対する ” 絶望 ” の感情が常にあったはずだ。
しかし────……
スクリーン上で戦い始めた者達の姿、そして最後に私の中の恐怖を固めた様な化け物相手に戦う ” 救世主様 ” の姿を見て、私の心は熱く燃え上がっていく。
ソフィアは ” 人 ” に希望を見出し、そんな希望に溢れた ” 今 ” の美しい世界を守りたいと願った。
そして全てを捨てても、その願い叶えるためあの場で戦う事を選んだのだ。
「 せっかくこの父が命を掛けて ” 未来 ” を守ろうとしたというのに……。
新たな世界ではなく、お前は今のままの世界を望むのか。 」
” 悪 ” によって汚され醜く歪んでいると思っていた世界は、今、私の前でキラキラと鮮やかに輝きだす。
そして────……
私もそんな今の美しい世界を守りたい。
王としてではなく、この世界を構成する一部として。
そう思ってしまった。
その想いは溢れ出し、体は勝手に動きだす。
<博愛者の資質>(ユニーク固有スキル)
< 風の羽音 >
自身の指定する場所全域に ” 声 ” と ” 感情 ” を届ける事のできる広範囲伝達系スキル
博愛の心と今までの博愛の経験値によって、その言葉の威力は高く、相手にダイレクトに自身の持つ感情を伝える事ができる
( ニコラ指定区域:アルバード王国全体 )
(発現条件)
一定以上の魔力、魔力操作、博愛の心を持つ事
一定回数以上博愛の心を持ち善行を行うこと
一定以上の感情に触れ、自身の感情ゲージが一定以上のレベルを持つ事
私のスキルによって眼の前に現れたのは、自身の顔くらいの大きさの白く光り輝く光の輪で、ここに向かって話せばその言葉は瞬く間に全国へと広がっていくだろう。
突然私がスキルを発動した事に驚き、全員が注目する中、私は自身の気持ちの全てをそこへ吐き出す。
「 私はアルバード王国現王< ニコラ・ゼン・アルバード >
現在我が国はアルバード王国始まって以来の大厄災に見舞われている。
世界の嘆きと呼ばれる呪いの化身が誕生し、今まさに世界を飲み込もうとしている……が──── 」
黒く世界を染めようとする呪いの化身、イシュル教最大のタブーと言える ” 黒 ” に対する恐怖。
それを全て叩き潰す様に、私は心臓部をドンッ!!!と強く叩きつけた。
「 そんなどうしようもない化け物に立ち向かい救世主が現れた!!
救世主の名前は< リーフ >!
そして救世主リーフ殿と共に、聖女であるソフィアや騎士達、そして沢山の勇気ある者達が現在グリモアにて交戦中である!
全ての負債はこのニコラが負う。
戦える者は全員我々と共に戦って欲しい。
この未曾有の大厄災、皆で足掻いて ” ハッピーエンド ” を目指そうではないか!
私はこの国を────皆の力を信じている!! 」
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