【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第三十二章

1056 戦いに参加する者達

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【 王都・イシュル教会本部 】


長い塔の様な造りをしているイシュル教会本部。

その塔の先端に捕まりながら、ニコラ王の ” 声 ” を聞いた男は、手をおでこに当てて王宮の方角を見つめた。


白銀の鎧を身につけ、背中には長い交差針の形の槍。

毛先がところどころ跳ねた茶色の髪に、ワクワクしながら遠くを見つめる顔は見た目の20代半ば程とは思えないくらい幼く見える。

その男は、抑えきれない!と言わんばかりの笑みを口元に浮かべた。


「 マジかよ。ソフィア様に謎の救世主リーフ様!

更にはニコラ王まで戦う決意をしたなんざ前代未聞じゃね~の。 」


男はニヤニヤ~と笑いながら、トンッ!と飛び上がり、細長い塔の先端に片足で立った。

そしてグリモアがある方角を見つめた後、黒く染まっている遠い空を睨みつける。


「 世界の嘆き────か。

果たして世界を呪う化け物に ” 人 ” 如きが勝てるのか……。

ハハッ!────まっ!俺にとっては勝ち負けなんてどうでもいいんだけどな! 」


カラカラとひとしきり笑った男は、ピタリと笑いを止め、好戦的な笑みを浮かべた。


「 聖女様もヨセフも戦ってるんじゃ~俺達【 第一聖兵士団 】も動かねぇとな。


” 足掻いて足掻いてハッピーエンド ”


それを叶えるため、俺も向かうぜ。────戦場へ! 」





【 侯爵家ジェンスター家 】


「 戦闘員は全員機乗!

それとありったけの魔道具と魔法弾を詰め込みな!出発するよ!! 」


巨大な要塞に両翼がついた形をしている最新型の戦闘魔道具機体、通称────


< 魔航飛帝 >


侯爵家であるジェンスター家が所有する魔道具機体の中で、最も強く最新鋭の攻撃能力を携えた、空を代表する戦闘魔道具である。


< 魔道具機体 >

人や荷物を積んで移動させる事に特化した魔道具の事

スターホースなどに引かせる魔導馬車とは違い、起動は全て魔道具仕掛けの魔力であるため膨大な消費魔力が必要である事、またその機体の専門経験を積んだ者がいないと運転ができない



< 魔航飛帝 >

特殊なモンスター避けの魔法陣や攻撃、サポート、結界、認識阻害などの魔法技術を詰め込んだジェンスター家所有の魔道具機体

その高性能な作りから、現段階では ” 魔道具機体の最強兵器 ” とも呼ばれている

主に国外への大事な商談などの時に使用される



【 魔航飛帝 】が収納されている格納庫では、沢山の者達が忙しなく動いては積荷を積んだり、最終メンテナンスに専門技術者達が走り回ったりと慌ただしい様子を見せている。

そしてその中心で周りの者達に指示を出している女性は、集まってくる情報へ目を通してテキパキと新たな指示を出した。

強めのウェーブの掛かった赤毛を一本に縛りあげ、くっきりした目元に分厚いセクシーな唇。

そんな歳を全く感じさせないナイスバディーを持った迫力あるそのクールな女性は、最終チェックを終えた【 魔航飛帝 】を見上げてハァ……と大きなため息をつく。


「 ……全く、あの馬鹿元旦那が。

青臭く突っ走りやがって、一人でカッコつけてんじゃないよ。

────ま、愛はないが情はあるからね。

まだ死ぬんじゃないよ。 」


「 フフッ、ジョバンヌってばカッコいい。

ドノバン様もグリモアの人たちも全部助けて帰ってきてね。

この子と一緒に待っているから。 」


ほんわかした雰囲気におっとりしたタレ目気味の目元。

茶色い髪の内巻きワンカールが更に雰囲気を優しくする三十代後半くらいの女性は、ニコニコしながら手に抱く赤ん坊をジョバンヌと呼ばれる女性に見せた。

すると、今までのクールなイメージが一瞬で壊れ、ほわわ~んと嬉しそうに微笑んだジョバンヌは、赤ん坊ごとその女性を抱きしめる。


「 うん!任せて!!

全部サクッと倒して直ぐ帰ってくるからね────!! 」


突然ピョンピョン周囲に飛び回るハート達に、周りで動き回っていた人たちが汗を掻いていると、突然────


「 ごほんっ!! 」


わざとらしい咳の音が聞こえた。


ハートを飛ばしていた二人はピタリと動きを止めて、その音がした方を振り向くと────そこにはキリッ!と真剣な表情をした二十代半ばくらいの整った顔立ちをした青年が立っていた。


赤みの強い紫色の髪をサイドだけ長くした、少々軟派なイメージが漂うが、、何となく気品を感じるアンバランスなイメージを持つ青年。

沢山の防御魔法や強化魔法が練り込まれた革製の服を着用し、腰にはゴツいベルト、背中には小さめのダブルクロスボウが装着されている。


「 アンタもやっぱり行くのかい? 」


ジョバンヌがニヤッと笑いながらそう尋ねると、その青年はスッ……と目を一度伏せ、その直後、勢いよく顔をバッ!と上げた。


「 当たり前ではないですかっ!!!

僕の愛しい愛しい女神、兼婚約者( 予定 )のイザベルさんのため!!


この< シャルル >、地獄の果てでも追いかけてお助けしま────す!!! 」


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