【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

文字の大きさ
1,073 / 1,649
第三十二章

1057 戦いに参加する者達2

しおりを挟む
( ???? )


【 王都第二魔法騎士団本部 】

胸部にあるはちきれんばかりの山二つ。

それだけでも目が離せないというのに、更に思わず拝んでしまいそうなむっちりした太ももをパックリ空いたスリットからこれでもかとはみ立たせ、足を組む。

そんな悩ましげなボディーをしているその女性は、そんな雰囲気とは真逆の可憐で大人しそうな顔をしており、男の加虐性をくすぐる様な非常に危うい雰囲気を醸し出していた。

深々とソファーに座り込んでいたその女性は、長いアンダーテールにした薄いピンク色の髪をうっとおしそうに後ろに回す。


「 確実でなければ動かないニコラ王が、戦う声明を出した……か。 」


フフッとおしとやかに笑うその女性は、そのままクスクスと笑いながら下を向いた。

そして────





────────ダンッ!!!!



組んでいた足を前に置いてあったテーブルに叩きつけ、顔を上に上げると、そこには大人しいなど一切思えない様な凶悪な笑みがこれでもかと浮かんでいた。


「 ヒャ────ハッハッハッハッ────────!!!!!!!

そりゃっさいっ────……こぉぉぉ~~じゃねぇかぁっ!!

雄っ!雄っ!雄ぅぅぅぅ────!!!全員雌落ちさせてやんよっ!!


久しぶりの金色玉狩りだぁぁぁぁぁぁ────────!!! 」


ビリビリと建物全体を震わせる大声に、扉の前でノックをしようとする手を止めた女性は盛大なため息を吐いた。


茶色い髪色の切りっぱなしボブカットに、スッと通った切れ長の目元は、何処となく冷たい様なイメージにしたが、頭を抱えながらも直ぐにこれからの予定を考え動こうとしている姿から、面倒見が良いタイプかもしれないと思わせる。


「 ……仕方ありませんか。 」


その女性は手に持っていた沢山の書類をバッ!!と空に投げ捨て、来たるべき戦いの準備をするため、団員達が待機している場所に向かって走って行った。




【 治療院 ” 愛のカスミ院 " 】

サラサラの栗色の髪を一本に結んだポニーテール。

歩く度にそれがユラユラと揺れ動き、ふんわりと薬草類の匂いが辺りに漂う。


” 軽症から重症者まで!貧しい者から金持ちまで、どんな患者も見捨てません! ”

それが売りの 【 愛のカスミ院 】は本日も大忙し。


そんな激務の中でも、慈愛に満ちた笑みを浮かべ、周りにいる治療中の者達に優しく声を掛けるその姿はまさしく天使の様。

幼く見える可愛らし顔と、その柔らかい態度は周囲に常に優しい雰囲気を作り出してくれる。

その女性はフンフン~♬と鼻歌を歌いながらご機嫌で歩き続け、手に持つカルテをスッと見下ろした。


するとそこには恐怖と痛みに苦悶の表情を浮かべている男の姿が書かれていて、その横には沢山の毒物を使ってみた結果が書かれている。

常人では即悲鳴を上げそうなその絵や内容に対し、その女性は顔を顰めるどころか逆に更にご機嫌になりながら、大きく赤いバッテンマークを記載した。


「 う~ん……今回の毒薬の効果は低いなぁ~。壊れるまで痛みが少なかったかも?

────うん、次はもう少し強くしてみよう!
   
も沢山入荷したし~少し遊んでからでもいいかな~?


────でも、その前にも~~っと面白い事がありそう! 」


その女性はワクワクした気持ちを抑えきれない!とばかりに、伝電鳥が飛び回る窓の外へ視線を向ける。

そして親しい友人二人の姿を思い浮かべると、プーッと大きく頬を膨らませた。


「 も~カル君もドノ君も先に楽しんでてずる~い。

いっつも二人セットで先に突っ込んで行っちゃうんだから。

それにしても、あの泣き虫の可愛いリーフ君が ” 救世主様 ” か~……。


────よ~し、決まり!

本日は 【 愛のカスミ院 】は閉店~。

私もお祭りに参加しちゃお~っと♡ 」


女性はルンルン♬とスキップしながら来た道に戻っていった。




【 平民用魔道具店【 フリーバード 】 】


カチャカチャ……。

ゴツいベルトに設置されている多くのホルダーポケットに魔道具をありったけ設置し、手には厚手のグローブと胴体には革製の防具を装着、そして机の上に置かれていたゴーグルをしっかりと頭に被せた。


橙黄色の髪の毛をピンピンとところどころ跳ねさせた短髪に、少々怖いイメージがあるツリ目はカラッと笑えば無邪気なイメージへと変わる。

そんなまだ二十代になりたての青年は、ニコラ王の声明が発表される前から準備を始め、やっと今全ての準備が整った所であった。

手袋を嵌めた手を見下ろし、沢山の思いを一つ一つ振り返る。


グリモアには自分がかつて置き去りにしてしまった "  過去  "   がある。


その存在は青年の心のしこりとなって常に後悔と罪悪感を呼び起こしては苦しめた。


もう少しやり方があった。

一人になってやっとそう思える様になった頃には沢山の後悔が襲いかかったが……どうしようもなく視界が狭い自分にとって、同時にあの時はそれが必要な事であったとも思う。


ぶつかり合わなければ前に進めない。


きっと自分はそういった気質を持っていて、今は同様の仲間たちと日々ぶつかりあいながら切磋琢磨する毎日。

自分にはそれが性に合っている。


"   過去   "   を犠牲にして築いた  "   今   "   。


犠牲にしてしまった  "  過去   "


ジクジクと痛む心を抱えながら、背負ってしまったモノを持って俺は俺の道を歩んでいく。

だから全ての過去は俺にとっての大事な一部であり、決して忘れてはいけないモノなのだ。


開け閉めしていた手を今度はギュッと握って、伝電鳥が飛び回る窓の外へ視線を向けた。


きっとアイツは俺を憎んでいる。

…………いや、それどころかすっかり忘れられているかもしれない。

だが、俺にとっては心の根本を構成する大事なモノだから、全力でそれを助ける。


「 どうせ責任感の固まりみたいなお前はそこに残って戦っているんだろう?

待ってろよ。直ぐに駆けつけるからな。



────────マリオン。 」


しおりを挟む
感想 274

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる

路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか? いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ? 2025年10月に全面改稿を行ないました。 2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。 2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。 2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。 2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。 第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

無能と呼ばれた婚約者は王を完成させる〜替え玉婚約者のはずが、強すぎる王太子に手放してもらえません〜

統子
BL
兄の身代わりとして王太子の婚約者になった伯爵家次男リュシー。 嘘の名を名乗ったはずが、冷静で誠実な王太子リオンは彼を「力の装置」としてではなく、対等な伴侶として扱おうとする。 本物になりたいと願う替え玉と、完成された王太子の静謐な王宮ロマンス。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

処理中です...