【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第三十三章

1065 ” 悪 ” の世界

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( マリオン )

何だかいつもおしとやかな母様から、なにやら物騒な言葉が聞こえた気が……?


言葉に詰まりながら返事を返すと、その戦闘用飛行魔道具はまたピュピュ~!と飛んでいきモンスター達を撃墜していった。

何だか聞いた事がない高笑いの声まで聞こえるので、無言で父様の魔道具を見上げると《 ゴホンっ! 》というわざとらしい咳をする音が聞こえる。


《 援軍は私達だけではないぞ。

今王宮でもとんでもない事が次々起きていてな……続々と名だたる貴族たちが戦いに参加し始めた。

まもなく街の外にも援軍が向かうだろう。 》


「 王宮で……?

他の貴族達まで戦いに参戦するなど、一体何があったのですか? 」


ポカンとする俺とフリック達を他所に、父様は今まで見たこともないくらいご機嫌な様子で笑った。


《 クックックッ─────きっと話しを聞いただけでは信じられないと思うぞ。

まぁ、まずはこの戦いに勝った後で話そう。

外は他の援軍に任せ、我々はここでリーフ様が化け物を倒すまで踏ん張るぞ!

できるな?マリオン。 》


「 ─────はいっ!勿論です! 」


俺達は父様の言葉にしっかりと頷くと、戦いに駆けつけてくれた沢山の生徒達や私兵団達と共にモンスター達を倒していく。

そんな中解析班が情報を拾い上げては絶えずその情報を伝えた。


《 街中にあるモンスターボックスに類似したスキル反応キャッチ!! 》


《 こちらは発生するモンスターの数に限りがある様です!

まだ容量はありそうですが、倒しきればそれ以上は増えません! 》


朗報とも言える情報にワッ!と全員が喜び叫ぶ。

父様もサポートスキルを周りに散布しながら、それに喜んだ様だが─────直ぐにその能力者について考え始めた様だ。


《 ─────ふむ……。モンスターボックスに類似した能力者か……。

もしかしたら空間系の珍しい資質なのかもしれないな。

とりあえずそんな能力を持った者の話は聞いたことがないから、無認可の者である事は間違いない。

一体どこでこの騒ぎを見ているんだろうな。

とりあえず情報を共有せねば……。 》


父様の操るサポート用飛行魔道具の中で情報共有に優れた機体からピッ!と細長い棒が立つ。

すると全ての操る飛行型魔道具にその情報が伝達され、街の各所に散っている他のサポート用飛行魔道具達へその情報が伝えられた。


《 これで全戦闘箇所へ今の情報が伝達される。

怪しい者を見かければ直ぐに捕縛してもらおう。 》


「 ───上手く見つかれば良いのですが……。 」


こんな能力を持っているならば、今度もどんな手を使ってくるのか分からない。

その危険性にブルッと震えていると、母様が操る戦闘用飛行魔道具の一つがこちらにスッと降りてきた。


《 空から旋回して見たけど、本当に凄い数のモンスターよ。

まだまだ出てきてるわ。

こんな数、普通のモンスターボックスではとっくにキャパオーバーのはず……。

これからは四方八方に敵が存在する混戦になりそうね。 


それに─────どうも嫌な予感がするの。 

” 悪 ” がこんな程度で終わる奴らなら、この私がとっくに全員潰してやっているもの。 》


やはり物騒な言葉が聞こえた様な気がして一瞬思考が停止したが、直ぐに意識を取り戻し、その恐ろしい可能性にもう一度震える。

真の ” 悪 ” の恐ろしさは、貴族という地位についていれば嫌という程知っているため、俺もフリック達もゴクリとツバを飲み込んだ。


彼らは一言でいえば非常に合理性に欠ける存在で、そいつらにとっての世界には ” 勝つ ” か ” 負ける ” かの二択しかない。

だから ” 勝つ ” ことはその世界を守るためもっとも大事な事で、 ” 負ける ” 事を回避するためなら、平気で全人類を皆殺しに出来てしまう様な者達だ。


そんな奴らがこれで終わりなわけがない。

その場の全員がそう思い、ではこれ以上一体何が…?と考えていたが、それをハハッ!と笑い飛ばしたのはニールだった。


「 流石にこれ以上はないはずっすよ!

だって呪いの化け物に街中から大量のモンスターご登場っすよ?

いやいや~流石にないっすないっす~。 」


「 確かにな……。

呪いの化け物で本来は全滅する予定だったのでしょうし……。

まさか呪いを打ち消す存在が現れるとは予想できなかった事態のはずです。 」


ニールに続きモルトまで楽観的な発言をしたため、フリック達も確かに……と納得したが─────俺と両親の憂いは晴れない。


” 勝つ ” ためなら何でもする ” 悪 ”

もしこれ以上に何かをするなら……一体どんな手でくる?


そう考え込んでいたその時──────────




──────────ドドド─────ンっ!!!!!!




ひときわ大きな爆発音が街のどこからか聞こえた。


「 なっ、なんだ!!? 」


「 何の爆発音でしょう? 」


ルナリーが盾を構え、ロダンが周囲を瞬時に見回すが─────その瞬間、ゾクッ!!とするような妙な気配を感じ、全員の体は硬直した。



─────じわり……じわり……。



肌を刺激するような……いや、撫でる様な気味の悪い魔力の感触。

そしてそれでいて首を締められる様な攻撃的で痛々しい気配が、一瞬で風に乗って襲ってきた。


《 な、なんだ……? 》


父様の呆然とする声を遮る様に、悲鳴まじりの声が空を飛ぶ伝電鳥から伝えられる。



《 街中より新たなモンスター出現っ!!!


こっ……これはっ─────っ!!



Sランクモンスターっ!!

< ダーク・ツリー・フェイス >ですっ!!!!!



間もなくこちらに到着しますっ!!! 》


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