【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

文字の大きさ
1,104 / 1,649
第三十四章

1088 負けられない

しおりを挟む
( クラーク )

「 ────くそっ、どれ程の体力値があるんだ。この化け物は。 」


思わず悪態をつくと、奴は突然胴体にある口を大きく開けて周囲の風を吸い込み始めた。

そして身体全体が大きく膨れ上がるとピタリと止まる。


「 ────っ!!敵、物理攻撃来ます!!

防御体勢準備っ!!! 」


解析班から悲鳴混じりの声が聞こえると、直ぐに全員が各自防御スキルや魔法で対応した、次の瞬間────────


ブブブブゥゥゥゥ────────ッ!!!!!


物凄い風の塊が轟音と共にヤツの腹の口から放たれ、耐えられなかった者達の何割かは後方に飛ばされてしまった。


「 ────グッ!! 」


「 クソっ!!息を吐いただけでこの威力かっ!! 」


俺もアゼリアも他の戦闘員たちも必死でその場に踏ん張ったが、そんな俺達を笑う様に< ヒャクメ・カオス >はキャッ!キャッ!と声を上げる。


「 笑ってやがるぜ……奴にとっては遊んでいるだけって事か。 」


「 しかし、遊んでいるなら幸い。

こちらは足止めできればいいのだから、上等だ。 」


直ぐに体勢を立て直した戦闘員達は、冷静に今の状況を把握し、できる事をしようと動きだした。


” リーフ様があの化け物を倒すまで、この化け物の目を引き付ける! ”


それを目指し、ジリジリと距離をとって間合いとタイミングを測るが……やはり圧倒的な力を前に少々押され気味になっている様だ。


俺はそれを横目で確認しながら、先程の風攻撃があたった事により受けたダメージにまたうめき声を上げながら胸を押さえた。

そんな俺をチラッと見たアゼリアは、フッ!と短く息を吐き出すと、突然距離を取って様子を伺う兵たちを突き切り、< ヒャクメ・カオス >に突っ込んでいく。


「 ────アゼリアっ!!まだ物理は効かないぞ!!

戻れっ!! 」


青い目の< ヒャクメ・カオス >には水属性魔法しか効かないため止めたのだが、アゼリアは無視してだらしなく口を開けているヤツの前に飛び出した!


そしてそのまま奴の顎を下から上へ蹴り上げたのだ。


《 ────────???ピぎゃ……!!??? 》


アゼリアが蹴った方向へゆっくり上がっていく身体……しかしブヨブヨした身体は持ち上がる程ではない。

< ヒャクメ・カオス >の目が一斉にギロッ!!と遥か下にいるアゼリアを睨むと、手を思い切り振り下ろしたが、アゼリアは刀でその攻撃を逸らし、そのまま攻撃し始めた。


「 攻撃が効かない事は分かっている!!

だが、気を逸らす事くらいはできるぞ!! 」


アゼリアの必死に戦う姿と、まだ成人前の子供が勇ましくSランク相手に戦っているという事実に、周りの兵達の心に火が付く。


「 あんな小さな子供に負けられんぞっ!!

前衛は俺に続けぇぇ────!!! 」


「 前衛は体力に気をつけつつ、別角度から交代で攻撃開始!!!

ヤツの気を後衛から外すぞ!! 」


そのまま ” わあぁぁぁぁ────────!!! ” と雄叫びを上げた前衛班達は走り出し、そのまま連携しながら< ヒャクメ・カオス >に怒涛の攻撃を開始した。

その合間に有効な属性攻撃を挟む事で、何とかうまく魔力の消費をコントロールできそうだ。


「 ────チッ、アゼリアめ。 」


いらぬ気遣いがこそばゆくつい舌打ちをしてしまったが、今は有り難く受け取っておこう。

そう考え攻撃のチャンスを伺っていると、今度は空から< ポスト・バード >が飛んできては援助物資が入っていると思われる箱を次から次へと落としていくのが見えた。


< ポスト・バード >

体長30cm程の鳥型Gランクモンスター

茶色い身体にムクドリに似た顔をしている目立たない外見だが、長距離を飛ぶのに適した羽と防御結界を張れる能力に優れ、パワー、スピード値も相当高いため、ちょっとした品物を届けるのによく使われる共生モンスターの一種

肉が大好物だが攻撃能力は殆どないため草がメインの食生活を送っているが、人と共存する事で肉を貰える事を学び、喜んで協力してくれる様になった


近くに落ちた箱を直ぐに開けると、魔力を一気に回復させる高価な魔力回復薬もわんさか入っていたので、有り難い!と直ぐにそれを飲み干す。

すると魔力自体は回復し、身体は力を取り戻した。


「 助かった……。これも別の貴族達からの支給品か。 」


フ──ッ……と息を吐き出し、流れ落ちている汗を乱暴に拭うと、< ヒャクメ・カオス >の目の色がまた変わる。


「 < ヒャクメ・カオス >、【 灰色 】に変化!!

物理攻撃開始して下さい!! 」


解析班の言葉に、前衛班は一斉にスキル攻撃を放った。

アゼリアもそれに遅れを取ることもなく真っ先にスキルを打ち込み< ヒャクメ・カオス >に渾身の攻撃を食らわせる。


すると、やはり攻撃が通っている様には見えないが、< ヒャクメ・カオス >がここにきてイライラした様子を見せ始めた。

しおりを挟む
感想 274

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる

路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか? いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ? 2025年10月に全面改稿を行ないました。 2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。 2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。 2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。 2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。 第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

有能すぎる親友の隣が辛いので、平凡男爵令息の僕は消えたいと思います

緑虫
BL
第三王子の十歳の生誕パーティーで、王子に気に入られないようお城の花園に避難した、貧乏男爵令息のルカ・グリューベル。 知り合った宮廷庭師から、『ネムリバナ』という水に浮かべるとよく寝られる香りを放つ花びらをもらう。 花園からの帰り道、噴水で泣いている少年に遭遇。目の下に酷いクマのある少年を慰めたルカは、もらったばかりの花びらを男の子に渡して立ち去った。 十二歳になり、ルカは寄宿学校に入学する。 寮の同室になった子は、まさかのその時の男の子、アルフレート(アリ)・ユーネル侯爵令息だった。 見目麗しく文武両道のアリ。だが二年前と変わらず睡眠障害を抱えていて、目の下のクマは健在。 宮廷庭師と親交を続けていたルカには、『ネムリバナ』を第三王子の為に学校の温室で育てる役割を与えられていた。アリは花びらを王子の元まで運ぶ役目を負っている。育てる見返りに少量の花びらを入手できるようになったルカは、早速アリに使ってみることに。 やがて問題なく眠れるようになったアリはめきめきと頭角を表し、しがない男爵令息にすぎない平凡なルカには手の届かない存在になっていく。 次第にアリに対する恋心に気づくルカ。だが、男の自分はアリとは不釣り合いだと、卒業を機に離れることを決意する。 アリを見ない為に地方に移ったルカ。実はここは、アリの叔父が経営する領地。そこでたった半年の間に朗らかで輝いていたアリの変わり果てた姿を見てしまい――。 ハイスペ不眠攻めxお人好し平凡受けのファンタジーBLです。ハピエン。

いらない子の悪役令息はラスボスになる前に消えます

日色
BL
「ぼく、あくやくれいそくだ」弟の誕生と同時に前世を思い出した七海は、悪役令息キルナ=フェルライトに転生していた。闇と水という典型的な悪役属性な上、肝心の魔力はほぼゼロに近い。雑魚キャラで死亡フラグ立ちまくりの中、なぜか第一王子に溺愛され!?

処理中です...