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第三十五章
1110 俺は王様!
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( マービン )
” 怒られる ”
” 怒鳴られる ”
” どこまでも追いかけられて、お尻まで叩かれる ”
貴族として生まれ育ち、今まで経験したことのない屈辱的な体験の数々……。
更には手加減なしのゲンコツや、容赦なく投げ飛ばされて泥だらけの地面に叩きつけられる……そんな強烈な体験の数々を無理やり味あわせてきたのは、なんと同じエドワード派閥であるメ゙ルンブルク家の次男────< リーフ・フォン・メルンブルク >だ。
最初はとにかく悔しかったし、憎くて憎くてたまらなくて……それこそ呪いが発生するのではないか?と思う程、リーフ様を憎んだ。
” この俺を丸裸にして磔。 ”
” 更には ” 魅力がない ” などという暴言を吐いて笑い者にした! ”
その憎しみから復讐を目論み、汚い手を使ってその存在を排除しようとしたのだが────結果さらなる屈辱に晒され、俺という人間は粉々に砕かれる。
この俺が……。
この俺が……。
この俺が────────…………。
…………?
……あれ?そもそも俺ってそんなに価値ある人間だったんだっけ??
気がつけば広い広い世界の中で裸でボンヤリ立つ自分が見えた気がして、俺はフッと思ったのだ。
・
あぁ、今まで俺を見てくれた人なんていなかったじゃないかって。
それに気づくと、俺の脱いだ綺羅びやかな服に向かって沢山の人達が笑顔で拍手する映像が見えて、俺はそれを裸で見ていた。
” 俺はここにいるよ ” って叫びながら。
辺境伯【 ライロンド家 】は、初代の当主が飛竜と< 家系契約 >を交わした事で、その地位を確立した由緒正しき高位貴族である。
生まれながらに人の上に立つ事が決まっていた俺は、それこそただ座ってさえいれば何でも手に入る、まさに王様の様な世界で育つ。
” アレが欲しい! ”
” これがしたい! ”
それを口に出せば……いや、出す前に全ての者達が、その望みの品を俺に差し出してくれる。
そして口を揃えて俺を褒め称える言葉を口にした。
” マービン様はまさに神に選ばれしお方でございます。 ”
” 将来は立派なライロンド家の跡取りになりますわね! ”
それを聞く度に母の< ルィーン >は、顎をツンッと上に上げ、誇らしげに笑う。
” マービン、貴方はこの家の大事な跡取りよ。
いずれライロンド家を継ぎ、もっともっと家を大きくするのです。
貴方にはその才能があるの。
だから兄の< マクベル >と共に、この母をもっともっと幸せにして頂戴ね。 ”
毎日の様にそう言いながら、俺の頭を撫でた。
俺には一歳上の兄< マクベル >がいるのだが、兄はあの公爵家【 メルンブルク家 】の長男< グリード >様と同学年であったため、幼き頃よりグリード様の専属騎士になることが決定している。
つまり【 ライロンド家 】の跡取りは、次男であるこの俺。
兄がグリード様の専属騎士になれば、【 メルンブルク家 】との繋がりは更に強固なモノとなり、【 ライロンド家 】は更に大きく発展していく事だろう。
それは子供心にも分かっていて、俺が当主になって家が大きくなれば母はもっともっと喜んでくれる。
この当時はそれが何より嬉しくて、自分という存在全てが誇らしかった。
子供の俺にとって母ルィーンは世界の中心で、そんな中心にいる母が喜ぶ事は、絶対的に ” 正しい ” 事。
きっと普通の子供だったらここで何も違和感を感じず、その世界で生きていけたのかもしれない。
しかし────……。
俺は自分が思っていたよりも賢い子供だったらしく、母の目が自分に向いていない事に気づいてしまった。
あれはいつの事だったか……とりあえずまだ小学院に入る前であったと思う。
連日パーティー三昧の母とそれに黙ってついて行く父。
そんな二人と落ち着いた様子の兄と朝食を食べていた時の事。
家族が集まった時に主に喋っているのは母で、その日もやれどこの家の誰々がこうだとかああだとか、噂話に過ぎない話題でも派手に盛り立てては嘲り笑う母を見ながらフッと考えた。
今持っているフォークをわざと落としてみたら、母の目は自分に向くだろうか?
そう考えた俺は、その期待のまま手に持つフォークを床に落とす。
────────カシャ────ン……。
……カラカラ……。
フォークは床に落ちて金属音を立てながら転がっていき、近くに控えていた侍女の一人の足元へと転がっていった。
やってしまった……。
ドキドキ……。
ドキドキ…………。
心臓を高鳴らせながら、下を向いて母の反応を待つ。
母は俺になんて言うんだろう?
” 何をやっているのです!貴族の子ともあろう者が、はしたない!! ”
” マービン、今、わざとフォークを落としましたね!
謝りなさい! ”
怒られるかな……?
怒られるだろうな……。
俺は生まれて初めて怒られる!
自分のした事を ” 見られて ” それを咎められるのだ。
それに胸を踊らせていると、母は予想に反し落ち着いた様子で口元をナフキンで拭き、足元に転がってきたフォークを拾おうとしていた侍女を呼びつけた。
そして……。
──────ピシャッ!!!
やってきた侍女の頬を思い切り叩く。
” 怒られる ”
” 怒鳴られる ”
” どこまでも追いかけられて、お尻まで叩かれる ”
貴族として生まれ育ち、今まで経験したことのない屈辱的な体験の数々……。
更には手加減なしのゲンコツや、容赦なく投げ飛ばされて泥だらけの地面に叩きつけられる……そんな強烈な体験の数々を無理やり味あわせてきたのは、なんと同じエドワード派閥であるメ゙ルンブルク家の次男────< リーフ・フォン・メルンブルク >だ。
最初はとにかく悔しかったし、憎くて憎くてたまらなくて……それこそ呪いが発生するのではないか?と思う程、リーフ様を憎んだ。
” この俺を丸裸にして磔。 ”
” 更には ” 魅力がない ” などという暴言を吐いて笑い者にした! ”
その憎しみから復讐を目論み、汚い手を使ってその存在を排除しようとしたのだが────結果さらなる屈辱に晒され、俺という人間は粉々に砕かれる。
この俺が……。
この俺が……。
この俺が────────…………。
…………?
……あれ?そもそも俺ってそんなに価値ある人間だったんだっけ??
気がつけば広い広い世界の中で裸でボンヤリ立つ自分が見えた気がして、俺はフッと思ったのだ。
・
あぁ、今まで俺を見てくれた人なんていなかったじゃないかって。
それに気づくと、俺の脱いだ綺羅びやかな服に向かって沢山の人達が笑顔で拍手する映像が見えて、俺はそれを裸で見ていた。
” 俺はここにいるよ ” って叫びながら。
辺境伯【 ライロンド家 】は、初代の当主が飛竜と< 家系契約 >を交わした事で、その地位を確立した由緒正しき高位貴族である。
生まれながらに人の上に立つ事が決まっていた俺は、それこそただ座ってさえいれば何でも手に入る、まさに王様の様な世界で育つ。
” アレが欲しい! ”
” これがしたい! ”
それを口に出せば……いや、出す前に全ての者達が、その望みの品を俺に差し出してくれる。
そして口を揃えて俺を褒め称える言葉を口にした。
” マービン様はまさに神に選ばれしお方でございます。 ”
” 将来は立派なライロンド家の跡取りになりますわね! ”
それを聞く度に母の< ルィーン >は、顎をツンッと上に上げ、誇らしげに笑う。
” マービン、貴方はこの家の大事な跡取りよ。
いずれライロンド家を継ぎ、もっともっと家を大きくするのです。
貴方にはその才能があるの。
だから兄の< マクベル >と共に、この母をもっともっと幸せにして頂戴ね。 ”
毎日の様にそう言いながら、俺の頭を撫でた。
俺には一歳上の兄< マクベル >がいるのだが、兄はあの公爵家【 メルンブルク家 】の長男< グリード >様と同学年であったため、幼き頃よりグリード様の専属騎士になることが決定している。
つまり【 ライロンド家 】の跡取りは、次男であるこの俺。
兄がグリード様の専属騎士になれば、【 メルンブルク家 】との繋がりは更に強固なモノとなり、【 ライロンド家 】は更に大きく発展していく事だろう。
それは子供心にも分かっていて、俺が当主になって家が大きくなれば母はもっともっと喜んでくれる。
この当時はそれが何より嬉しくて、自分という存在全てが誇らしかった。
子供の俺にとって母ルィーンは世界の中心で、そんな中心にいる母が喜ぶ事は、絶対的に ” 正しい ” 事。
きっと普通の子供だったらここで何も違和感を感じず、その世界で生きていけたのかもしれない。
しかし────……。
俺は自分が思っていたよりも賢い子供だったらしく、母の目が自分に向いていない事に気づいてしまった。
あれはいつの事だったか……とりあえずまだ小学院に入る前であったと思う。
連日パーティー三昧の母とそれに黙ってついて行く父。
そんな二人と落ち着いた様子の兄と朝食を食べていた時の事。
家族が集まった時に主に喋っているのは母で、その日もやれどこの家の誰々がこうだとかああだとか、噂話に過ぎない話題でも派手に盛り立てては嘲り笑う母を見ながらフッと考えた。
今持っているフォークをわざと落としてみたら、母の目は自分に向くだろうか?
そう考えた俺は、その期待のまま手に持つフォークを床に落とす。
────────カシャ────ン……。
……カラカラ……。
フォークは床に落ちて金属音を立てながら転がっていき、近くに控えていた侍女の一人の足元へと転がっていった。
やってしまった……。
ドキドキ……。
ドキドキ…………。
心臓を高鳴らせながら、下を向いて母の反応を待つ。
母は俺になんて言うんだろう?
” 何をやっているのです!貴族の子ともあろう者が、はしたない!! ”
” マービン、今、わざとフォークを落としましたね!
謝りなさい! ”
怒られるかな……?
怒られるだろうな……。
俺は生まれて初めて怒られる!
自分のした事を ” 見られて ” それを咎められるのだ。
それに胸を踊らせていると、母は予想に反し落ち着いた様子で口元をナフキンで拭き、足元に転がってきたフォークを拾おうとしていた侍女を呼びつけた。
そして……。
──────ピシャッ!!!
やってきた侍女の頬を思い切り叩く。
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