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第三十五章
1122 いつかなるから
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( マービン )
” こんなに沢山食べているのに、なぜこんなにもお腹が減ってしまうのだろう?? ”
その疑問の答えはとても簡単なものだった。
王の腹に大きな大きな穴が空いていたからだ。
そのため飲み込んだ金銀財宝は、飲み込んだ後にその大きな穴から全て落ちていき、そのまま床に散らばってしまっていた。
そしてその床に落ちている財宝達を見て、臣下達は我先にと飛びつき、一心不乱にそれをかき集めている。
王である自分がココにいるというのに、臣下達の目は下の財宝達しか見ていなかった。
更に臣下達はお互い口汚く罵りあい、ついには自分の懐にいれた財宝達を奪うために殺し合いまで始めてしまうと、美しく黄金色に輝いていたそれらは、みるみる内に血で汚れていき、全ては真っ赤に染まっていく。
それを見た王は、存在しない空っぽな腹を抱えながらゲラゲラと笑った。
そして殺し合う財宝に群がる臣下達や、自分を満たす事のできない世界を睨みつけ、こう言い放つ。
” 自分を満たせない様な世界など滅びてしまえ。 ”
王がそう言った瞬間────まるで見計らった様に大地から黒い煙が立ち上り、ドラゴンの形になると、あっという間に辺り一面は焼け野原になってしまった。
そこに佇む一人の王は、そのまま笑い続けながら、足元に落ちている血まみれの金銀財宝を次々と飲み込んでは穴が空いた腹から落としていく。
いつまでもいつまでも幸せな笑みを浮かべながら……。
俺は空っぽな自分の腹をかき回し、必死に探し続けたが……やはり中には何一つありはしない。
それに気付いた瞬間、俺の心は ” 絶望 ” に覆われてしまった。
俺は【 空っぽの王様 】
あの母と兄と同じ……化け物だったのだ。
────ガクッ……。
身体中の力が抜けてしまい、その場で俺は項垂れた。
空っぽな自分を埋めたくて、無関係な者達にそれを求めた。
空っぽな自分を認めたくなくて、無関係な者達を虐げ、優越感でそれを隠し続けた。
俺を ” 見て ” !
俺を認めて!
俺を受け入れて!
一番 ” 見て ” なかったのは?
一番認めてなかったのは?
一番受け入れてなかったのは……?
──────────俺だった。
全ての事実を目の前で突きつけられて、俺は悲しくて情けなくて、ボロボロと涙を流す。
一度出てしまった涙は止まらなくなってしまい、俺の顔はきっと今までで一番汚いと思った。
成人をまもなく迎えるいい大人がこんなみっともなく泣いてしまい恥ずかしいが、それ以上に辛くて辛くて、自分の感情をコントロールする事ができない。
そのまま身体を丸めて人目もはばからず、わんわんと赤子の様に泣いていると、突然俺は大きな影に覆われた。
それに気づき視線を上げると、そこには不思議そうな顔をしたじいさんの顔が……。
「 泣いているの? 」
そう尋ねてくるじいさんに ” 見れば分かるだろう! ” と怒鳴り返したかったが、鳴きすぎた喉ではとっさに声が出ず、うぅ~……とうめき声の様な声を出すと、じいさんはニコニコと笑う。
「 そうか、そうか~。 」
そして勝手に何か納得した様子で頷くと、そのまま俺の脇に手をいれ、そのままヒョイッ!と抱っこされてしまった。
突然の行動にびっくりして泣き止む俺の身体を、更にゆったりとした動きで揺らし始め子守歌のようなモノまで歌い出したのだ!
「 よ~し、よし。泣くのはお止め、泣き虫坊や。
大丈夫大丈夫。 」
そしてあろうことか、ペンっ!ペンっ!と小さな子供をあやすように背中まで叩かれる。
” やめろ!! ”
そう怒鳴ってやりたかったが、何だか今の俺にとってその行動は酷く気持ちが良いモノで……そのままその腕の中で力を抜いて、この身を全て任せてしまった。
そうしてすっかり気持ちが落ち着いた所で、フッ……とこの正体不明のじいさんの事を考えると、なんだか誰かさんが歳をとったらこうなるだろうなという外見をしている事に気づく。
「 ……じいさん、あんた一体誰なんだよ。
そもそも何でこんな所にいるんだ?? 」
「 ん~?そうだねぇ……?
なんだかいい天気だったから、お散歩でも行こうかなって思って歩いていたんだ。
そしたら君が崖に飛び降りようとしていたから、俺凄くびっくりしちゃったよ。 」
「 いや……だから、別に崖に飛び降りようとしていたんじゃねぇんだって……。 」
マイペースな物言いと、マイペースな行動。
それもどっかの誰かさんそっくりだと思いながら、俺はもたれかかっていた上半身を離し、そのまま自分の胸に空いた穴を見下ろした。
何度見ても空っぽ……。
その穴をボンヤリと眺めながら、俺は未だ俺をゆすり続けるじいさんに向かってそこを見せつける様に指差す。
「 なぁ、俺の胸さぁ……大きな穴が空いているだろう?
俺、中身が空っぽなんだ。
きっと一生このままでさぁ、いつかきっと【 空っぽの王様 】みたいになるよ。
俺は酷いヤツだから。 」
「 えぇ?あのお腹が減って宝物を食べ続けた王様の話? 」
「 そう、それ。
だって同じ様に穴が空いている母と兄はとっくに【 空っぽの王様 】になっていたからさ。
俺もじきにあんな化け物になるんだ。
早いか、遅いか……それだけの話だよ。 」
「 んん~??? 」
じいさんは俺の胸が空っぽな事に初めて気づいた様で、そのままジ~~……とそこを見つめた。
” こんなに沢山食べているのに、なぜこんなにもお腹が減ってしまうのだろう?? ”
その疑問の答えはとても簡単なものだった。
王の腹に大きな大きな穴が空いていたからだ。
そのため飲み込んだ金銀財宝は、飲み込んだ後にその大きな穴から全て落ちていき、そのまま床に散らばってしまっていた。
そしてその床に落ちている財宝達を見て、臣下達は我先にと飛びつき、一心不乱にそれをかき集めている。
王である自分がココにいるというのに、臣下達の目は下の財宝達しか見ていなかった。
更に臣下達はお互い口汚く罵りあい、ついには自分の懐にいれた財宝達を奪うために殺し合いまで始めてしまうと、美しく黄金色に輝いていたそれらは、みるみる内に血で汚れていき、全ては真っ赤に染まっていく。
それを見た王は、存在しない空っぽな腹を抱えながらゲラゲラと笑った。
そして殺し合う財宝に群がる臣下達や、自分を満たす事のできない世界を睨みつけ、こう言い放つ。
” 自分を満たせない様な世界など滅びてしまえ。 ”
王がそう言った瞬間────まるで見計らった様に大地から黒い煙が立ち上り、ドラゴンの形になると、あっという間に辺り一面は焼け野原になってしまった。
そこに佇む一人の王は、そのまま笑い続けながら、足元に落ちている血まみれの金銀財宝を次々と飲み込んでは穴が空いた腹から落としていく。
いつまでもいつまでも幸せな笑みを浮かべながら……。
俺は空っぽな自分の腹をかき回し、必死に探し続けたが……やはり中には何一つありはしない。
それに気付いた瞬間、俺の心は ” 絶望 ” に覆われてしまった。
俺は【 空っぽの王様 】
あの母と兄と同じ……化け物だったのだ。
────ガクッ……。
身体中の力が抜けてしまい、その場で俺は項垂れた。
空っぽな自分を埋めたくて、無関係な者達にそれを求めた。
空っぽな自分を認めたくなくて、無関係な者達を虐げ、優越感でそれを隠し続けた。
俺を ” 見て ” !
俺を認めて!
俺を受け入れて!
一番 ” 見て ” なかったのは?
一番認めてなかったのは?
一番受け入れてなかったのは……?
──────────俺だった。
全ての事実を目の前で突きつけられて、俺は悲しくて情けなくて、ボロボロと涙を流す。
一度出てしまった涙は止まらなくなってしまい、俺の顔はきっと今までで一番汚いと思った。
成人をまもなく迎えるいい大人がこんなみっともなく泣いてしまい恥ずかしいが、それ以上に辛くて辛くて、自分の感情をコントロールする事ができない。
そのまま身体を丸めて人目もはばからず、わんわんと赤子の様に泣いていると、突然俺は大きな影に覆われた。
それに気づき視線を上げると、そこには不思議そうな顔をしたじいさんの顔が……。
「 泣いているの? 」
そう尋ねてくるじいさんに ” 見れば分かるだろう! ” と怒鳴り返したかったが、鳴きすぎた喉ではとっさに声が出ず、うぅ~……とうめき声の様な声を出すと、じいさんはニコニコと笑う。
「 そうか、そうか~。 」
そして勝手に何か納得した様子で頷くと、そのまま俺の脇に手をいれ、そのままヒョイッ!と抱っこされてしまった。
突然の行動にびっくりして泣き止む俺の身体を、更にゆったりとした動きで揺らし始め子守歌のようなモノまで歌い出したのだ!
「 よ~し、よし。泣くのはお止め、泣き虫坊や。
大丈夫大丈夫。 」
そしてあろうことか、ペンっ!ペンっ!と小さな子供をあやすように背中まで叩かれる。
” やめろ!! ”
そう怒鳴ってやりたかったが、何だか今の俺にとってその行動は酷く気持ちが良いモノで……そのままその腕の中で力を抜いて、この身を全て任せてしまった。
そうしてすっかり気持ちが落ち着いた所で、フッ……とこの正体不明のじいさんの事を考えると、なんだか誰かさんが歳をとったらこうなるだろうなという外見をしている事に気づく。
「 ……じいさん、あんた一体誰なんだよ。
そもそも何でこんな所にいるんだ?? 」
「 ん~?そうだねぇ……?
なんだかいい天気だったから、お散歩でも行こうかなって思って歩いていたんだ。
そしたら君が崖に飛び降りようとしていたから、俺凄くびっくりしちゃったよ。 」
「 いや……だから、別に崖に飛び降りようとしていたんじゃねぇんだって……。 」
マイペースな物言いと、マイペースな行動。
それもどっかの誰かさんそっくりだと思いながら、俺はもたれかかっていた上半身を離し、そのまま自分の胸に空いた穴を見下ろした。
何度見ても空っぽ……。
その穴をボンヤリと眺めながら、俺は未だ俺をゆすり続けるじいさんに向かってそこを見せつける様に指差す。
「 なぁ、俺の胸さぁ……大きな穴が空いているだろう?
俺、中身が空っぽなんだ。
きっと一生このままでさぁ、いつかきっと【 空っぽの王様 】みたいになるよ。
俺は酷いヤツだから。 」
「 えぇ?あのお腹が減って宝物を食べ続けた王様の話? 」
「 そう、それ。
だって同じ様に穴が空いている母と兄はとっくに【 空っぽの王様 】になっていたからさ。
俺もじきにあんな化け物になるんだ。
早いか、遅いか……それだけの話だよ。 」
「 んん~??? 」
じいさんは俺の胸が空っぽな事に初めて気づいた様で、そのままジ~~……とそこを見つめた。
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