【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

文字の大きさ
1,157 / 1,649
第三十六章

1141 王に選択させる

しおりを挟む
( マリナ )

「 カール。レイナとジュワンに連絡を。

とにかく情報を把握してこちらも動かなければ、邪神に勝つことはできないわ。

いざという時に用意した切り札をこちらも使っていきましょう。 」


「 ────っ!!!そうだったね。マリナの言う通りだ。


……王はもはや邪神による洗脳で狂人へと成り果てた。

この場の者達も同様にね。

早く ” 正しき世界 ” に戻して、全員に天罰を下してやらないと。 」


直ぐにカールは片目を閉じて、そのままスキルを発動する。



< 魔突騎士の資質 >(シークレット固有スキル)

< 蜘蛛の細糸 >

あらかじめ認定した人物達と細い意識の糸を繋ぎ、その人物達の視覚、聴覚が捉えた情報をリアルタイムで覗く事ができる諜報系スキル

さらに思念による会話も可能であるため、連絡手段としての活用は多い

魔力によりその距離が、魔力操作によりその精度が決まる

(発現条件) 

一定以上の魔力、魔力操作、非情、冷静、合理思考を持つこと

一定回数以上の嘘を他者につき、それが成功している事



そしてカールは、視線を一瞬下げた後、直ぐにホッ……と息を吐き出した。


どうやらまだ設置した< 聖浄結石 >は無事の様だ。

私もその事が分かって胸を撫で下ろすと、カールは思念による会話チャンネルを開き、私の頭の中で話し始める。


『 まだ今のところ< 聖浄結石 >に異常はない様だね。

四つの内二つはジュワンとレイナに守らせているから、こちらはドノバンやユーリスレベルのヤツが向かわなければ大丈夫だろう。

そんな実力者は、現在溢れるモンスター共のお相手で忙しいから何の問題もない。


しかし……思った以上に戦力が整っているね。

やはり孵化するまで時間が掛かりすぎたようだ。


────全く……なんて忌々しいっ! 』


カールからの怒りや憎しみの感情が糸を通して伝わってくる。

それは私も同じ気持ちだ。


『 そうね……計画では、一ヶ月持たないと思っていたのに、1年弱も掛かってしまったものね。

その間に戦力が整ってしまって面倒な事になったわ。

で、いつ頃< 聖浄結石 >を使うの? 』


『 ギリギリまで待とう。

王に選択させなければ、こちらが断罪される側になってしまうからね。

幸いあの呪いの蝶には、モンスターを無限に生み出すといううってつけの能力がある。

だからまずは、戦況が傾きかけた瞬間に、仕掛けておいたモンスターボックスでトドメをさそう。

街が内側から壊されてしまえば、王は選択せざるを得ないからね。 』


” 王に選択させる事 ”

これは絶対に必須な事で、罪なき大勢の命を奪ってしまったという罪悪感により、王の精神を破壊する。

そうすれば、今後の行動は更にしやすくなるというもの。


ニコラ王は、” 悪 ” に対して非常に無情で、絶対に許すことはない人物だ。

だからこそ、自分がその ” 悪 ” になってしまえば、ニコラ王の世界は壊れる。


────フッ……。

私は扇子の下で笑みを零した。


迷う暇を与えず、内側から防壁を壊す。

そして後はモンスター達が勝手に証拠を食らってくれるので、後は壊れた王相手ならいくらでも偽装できるはず。


────勝った!

勝ちを確認し、笑みを浮かべながらカールに答えた。


『 タイミングと状況次第では、” ソフィア王女 ” が命を掛けて国を救ったというシナリオ外の結果になってしまうので、慎重にいきましょう。 』


もう一人の面倒な行動を起こした日和見姫に苛立ちながらそう言うと、カールからもイライラした不快な感情が伝わってきたが、私達は感情を消し去りお互い頷き合う。


そうしてタイミングを逃さぬ様、バタバタと動き回る愚か者達を冷ややかな目で見つめていたが、突然、カールから大きく動揺したような感情が伝わってきた。


『 どうなさったの? 』


冷静にそう尋ねると、カールは必死に己の感情を押さえながら答える。


『 ……ちょっとね……邪魔なハエ虫の様な輩がチョロチョロとうっとおしく飛び始めて……っくそっ!!!面倒なゴミ共めぇぇぇぇ────!!! 』


らしくない態度で怒鳴り散らすカールを見て、一体何が起きたのかと胸騒ぎがした私は、カールのスキル< 蜘蛛の細糸 >をジャックし、そこから見える情報を盗み見た。


< 魔麗術士の資質 >(シークレット固有スキル)

< 暴かれる心庭 >

一定以上自身に対する好感度を持つ相手にのみ発動できる精神干渉系スキル

その者の精神に入り込み、ありとあらゆる情報を得る事ができるが、消費魔力量が多いので乱発は難しい

魔力量により使用時間が、魔力操作によりその精度と距離が決まる

(発現条件) 

一定以上の魔力、魔力操作、魅力、誘惑した経験値、を持つこと

一定人数以上の人間からの好意を向けられた経験値があり、一定以上の話術をもって相手の感情を揺さぶった経験がある事

一定回数以上の嘘をつき、人を騙した成功体験を持つこと



ジャックした視界から見えたのは、< 聖浄結石 >を守る私達の駒達と、それに対峙する人物達の姿で、その中にはカルパスの姿もあった。


あくまでも私達に逆らうつもりか!!

あの恩知らずの飼い猫がっ!!!


あまりの事にカッ!!とし、扇子を持つ手に力が入る。
しおりを挟む
感想 274

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる

路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか? いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ? 2025年10月に全面改稿を行ないました。 2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。 2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。 2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。 2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。 第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

聖獣召喚に巻き込まれた俺、モフモフの通訳をしてたら冷徹騎士団長に外堀を埋められました

たら昆布
BL
完璧っぽいエリート騎士×無自覚な愛され系

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

処理中です...