1,240 / 1,649
第三十八章
1224 傭兵というモノ
しおりを挟む
( ベリー )
「 いい子でも集団に馴染めない子って沢山いるのよ?
責任感が強くて、面倒みが良くて……それで頑張り過ぎて疲れちゃうんでしょうね……。
フッと気がつけば、あまり良くない人間関係を作っちゃうの。
人間って楽ができると思えば、悪魔が囁く……なんて事は普通だからねん。 」
今まで守備隊で自分が作ってしまった良くない環境を思い出し、思わず黙っていると……カルロスが嘆かわしいとばかりに首を横に振った。
「 それに流され過ぎずに上手く折り合いをつけながら、” お互い様 ” でやっていくのが仕事ってものよ。
だけどね~……それがどうしてもできない真面目な子もいるのよね。
適度に手を抜けないっていうか……。
それに能力が高いと頑張れちゃうから、どんどん頼まれた事をしていっちゃって、気がつけば一人……みたいな?
結局仕事で一番難しいのは人間関係なのよね~。
人生ってスーパービター! 」
憂いた顔でハァ……とため息をつくカルロスさん。
そんな彼の話を聞いて私は非常に複雑な気持ちになった。
人は……いや、生物全般は ” 楽をしたい ” 生き物である。
それは仕方がない。私だってそういう面はある。
しかし、それを上手くキャッチボールにできない場合、対等で平等な関係性を作る事ができない。
私とキュイちゃんはまさにそれ。
結局この関係性に良いところは一つとして見いだせなかった。
受け取る私達も仕事が増えていって大変なだけだし、押し付けてきた子達だって本来得るはずの人生の経験値を私達に奪われ、後で散々な目にあう。
だったら頼まれても断ればいいと言われても、そのさじ加減ができずに苦しんでしまうのだ。
そしてそれができない自分に対し、否定的な気持ちになってしまい、自分で自分を責める。
自分という存在が今まで平穏だった人間関係をめちゃくちゃに壊してしまったのだという懺悔の気持ちも持っている程で、実はこれが組織というモノに属する事に二の足を踏む本当の理由だ。
私がいなかったら、持ちつ持たれずで上手くやっていけたのではないか?
その思いは踏み出そうとする一歩を頑なに拒む。
「 でも……私みたいな人間はどこに行っても……。 」
ズンズンと急降下していく気持ちの中、それを吹き飛ばしたのはカルロスさんの豪快な笑い声であった。
突然の大笑いにキョトンとしていると、カルロスさんはバシバシ!と私達の肩を叩く。
「 傭兵はスーパー個人主義にコンプリ~ト実力主義なのよん。
基本はソロ。
でも気が合えばパーティーを組んだりしてもいいし、出るも入るもフリーダム!
それに気が向かないなら依頼も受けなくてもいいし、相性が悪そうなら近づかなかきゃいいのよ~。
明確な強制力は一切なし。
・・・
でもおいたをすれば、怖~い死神さんがお迎えに来るから、清く正しく傭兵業を楽しんでね! 」
ムフッ!と笑うカルロスさんを見上げながら、私は改めて傭兵という職業について考えてみた。
ソロなら人に助けて貰えない。
でも誰かの代わりに仕事を引き受けなくてもよい個人主義。
己の実力のみで依頼を達成しないといけない実力ありきの仕事……。
メリット、デメリットを良く理解し、自分の性格や能力に合った場所に身を置く事。
これは自分の居場所を探すために、凄く重要な事かもしれない。
カルロスさんの話を聞く限り、今の私達には傭兵という仕事が凄く魅力的に映ったので、私達は二人同時に叫んだ。
「「 傭兵、やってみたいです! 」」
そうしてそのまま無事だった荷台馬車はそのままグリモアへ向かい、私達は傭兵ギルドへと連れてかれる。
そして書類に名前を書いただけで登録完了。
カルロスさんには「 じゃ~死なないように頑張ってね~♡ 」という有り難い言葉のみを貰い、私達は傭兵になった。
依頼の説明などは……??
それが顔に出ていたのか、カルロスさんはニコニコしながら依頼が貼られたボードを指差す。
「 入りたての傭兵は一律Fランクなの~。
基本はそのランクと同じくらいの依頼を受けて貰うんだけど、それも自信があるなら上のランクでいいわよ。
受ける依頼ランクが高い程、早く出世できるから傭兵はピンキリなのよね☆ 」
「 は……はぁ……。 」
フリーダム過ぎる仕事っぷりに、皆本当に仕事しているのかな?と心配になったが……それは全くの心配無用であった。
なぜなら傭兵達は、仕事に対するプライドが非常に強い人たちだから。
気分が乗らなければ依頼は受けない。
だが、引き受けた仕事は絶対に達成する。
それが傭兵なりのプライドの様で、共通の目的がハッキリしているためチームを組んでの依頼でもチームワークには問題はないし、常に最短距離で仕事が終わる。
こんなに簡単でいいのかな……。
そう思うほどアッサリした仕事に十分すぎる収入、自由なプライベード時間。
そんな伸び伸びとした自分に非常にマッチングした環境のお陰か、私達はあっという間にAランク傭兵になっていた。
「 いい子でも集団に馴染めない子って沢山いるのよ?
責任感が強くて、面倒みが良くて……それで頑張り過ぎて疲れちゃうんでしょうね……。
フッと気がつけば、あまり良くない人間関係を作っちゃうの。
人間って楽ができると思えば、悪魔が囁く……なんて事は普通だからねん。 」
今まで守備隊で自分が作ってしまった良くない環境を思い出し、思わず黙っていると……カルロスが嘆かわしいとばかりに首を横に振った。
「 それに流され過ぎずに上手く折り合いをつけながら、” お互い様 ” でやっていくのが仕事ってものよ。
だけどね~……それがどうしてもできない真面目な子もいるのよね。
適度に手を抜けないっていうか……。
それに能力が高いと頑張れちゃうから、どんどん頼まれた事をしていっちゃって、気がつけば一人……みたいな?
結局仕事で一番難しいのは人間関係なのよね~。
人生ってスーパービター! 」
憂いた顔でハァ……とため息をつくカルロスさん。
そんな彼の話を聞いて私は非常に複雑な気持ちになった。
人は……いや、生物全般は ” 楽をしたい ” 生き物である。
それは仕方がない。私だってそういう面はある。
しかし、それを上手くキャッチボールにできない場合、対等で平等な関係性を作る事ができない。
私とキュイちゃんはまさにそれ。
結局この関係性に良いところは一つとして見いだせなかった。
受け取る私達も仕事が増えていって大変なだけだし、押し付けてきた子達だって本来得るはずの人生の経験値を私達に奪われ、後で散々な目にあう。
だったら頼まれても断ればいいと言われても、そのさじ加減ができずに苦しんでしまうのだ。
そしてそれができない自分に対し、否定的な気持ちになってしまい、自分で自分を責める。
自分という存在が今まで平穏だった人間関係をめちゃくちゃに壊してしまったのだという懺悔の気持ちも持っている程で、実はこれが組織というモノに属する事に二の足を踏む本当の理由だ。
私がいなかったら、持ちつ持たれずで上手くやっていけたのではないか?
その思いは踏み出そうとする一歩を頑なに拒む。
「 でも……私みたいな人間はどこに行っても……。 」
ズンズンと急降下していく気持ちの中、それを吹き飛ばしたのはカルロスさんの豪快な笑い声であった。
突然の大笑いにキョトンとしていると、カルロスさんはバシバシ!と私達の肩を叩く。
「 傭兵はスーパー個人主義にコンプリ~ト実力主義なのよん。
基本はソロ。
でも気が合えばパーティーを組んだりしてもいいし、出るも入るもフリーダム!
それに気が向かないなら依頼も受けなくてもいいし、相性が悪そうなら近づかなかきゃいいのよ~。
明確な強制力は一切なし。
・・・
でもおいたをすれば、怖~い死神さんがお迎えに来るから、清く正しく傭兵業を楽しんでね! 」
ムフッ!と笑うカルロスさんを見上げながら、私は改めて傭兵という職業について考えてみた。
ソロなら人に助けて貰えない。
でも誰かの代わりに仕事を引き受けなくてもよい個人主義。
己の実力のみで依頼を達成しないといけない実力ありきの仕事……。
メリット、デメリットを良く理解し、自分の性格や能力に合った場所に身を置く事。
これは自分の居場所を探すために、凄く重要な事かもしれない。
カルロスさんの話を聞く限り、今の私達には傭兵という仕事が凄く魅力的に映ったので、私達は二人同時に叫んだ。
「「 傭兵、やってみたいです! 」」
そうしてそのまま無事だった荷台馬車はそのままグリモアへ向かい、私達は傭兵ギルドへと連れてかれる。
そして書類に名前を書いただけで登録完了。
カルロスさんには「 じゃ~死なないように頑張ってね~♡ 」という有り難い言葉のみを貰い、私達は傭兵になった。
依頼の説明などは……??
それが顔に出ていたのか、カルロスさんはニコニコしながら依頼が貼られたボードを指差す。
「 入りたての傭兵は一律Fランクなの~。
基本はそのランクと同じくらいの依頼を受けて貰うんだけど、それも自信があるなら上のランクでいいわよ。
受ける依頼ランクが高い程、早く出世できるから傭兵はピンキリなのよね☆ 」
「 は……はぁ……。 」
フリーダム過ぎる仕事っぷりに、皆本当に仕事しているのかな?と心配になったが……それは全くの心配無用であった。
なぜなら傭兵達は、仕事に対するプライドが非常に強い人たちだから。
気分が乗らなければ依頼は受けない。
だが、引き受けた仕事は絶対に達成する。
それが傭兵なりのプライドの様で、共通の目的がハッキリしているためチームを組んでの依頼でもチームワークには問題はないし、常に最短距離で仕事が終わる。
こんなに簡単でいいのかな……。
そう思うほどアッサリした仕事に十分すぎる収入、自由なプライベード時間。
そんな伸び伸びとした自分に非常にマッチングした環境のお陰か、私達はあっという間にAランク傭兵になっていた。
136
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる
路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか?
いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ?
2025年10月に全面改稿を行ないました。
2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。
2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。
2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。
2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。
第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。
僕の、しあわせ辺境暮らし
* ゆるゆ
BL
雪のなか3歳の僕を、ひろってくれたのは、やさしい16歳の男の子でした。
ふたりの、しあわせな辺境暮らし、はじまります!
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
「好きって言ったら負け!」完璧すぎる生徒会コンビの恋愛頭脳戦は今日も平行線です~恋は勝ち負けじゃないと知るまでの攻防戦
中岡 始
BL
「好きって言ったら負け」
それが、俺たちの間にある、たったひとつのルールだった。
星遥学園の顔、生徒会長・一ノ瀬結翔と副会長・神城凪。
容姿、成績、カリスマ性――すべてが完璧なふたりは、周囲から「最強ペア」と呼ばれている。
けれどその内側では、日々繰り広げられる仁義なき恋愛頭脳戦があった。
・さりげない言葉の応酬
・SNSでの匂わせ合戦
・触れそうで触れない、静かな視線の駆け引き
恋してるなんて認めたくない。
でも、相手からの“告白”を待ち続けてしまう――
そんなふたりの関係が変わったのは、修学旅行での一夜。
「俺、たぶん君に“負けてもいい”って思いかけてる」
その一言が、沈黙を揺るがし、心の距離を塗り替えていく。
勝ち負けなんかじゃない、想いのかたちにたどり着くまで。
これは、美形ふたりの駆け引きまみれなラブコメ戦線、
ついに“終戦”の火蓋が落ちるまでの物語。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる