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第三十八章
1226 やりま〜す!
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( ベリー )
そのためお断りするわけだが、獣人の気に入った相手への諦めの悪さは、断トツ種族間一位と言われていて、とにかく諦めない、グイグイ迫る、口説く!泣く!土下座!
結局相手が根負けするまで、それが続く。
更にそれでも突っぱねた場合、単純な力に価値観を置く獣人達は、力ずくで ” 求婚用の巣 ” へとお持ち帰り。
そのまま無理やりお嫁さんにされるというトラブルが、歴史上には多々あった。
ブルブルと震えながら話していた父の姿を思い出し、思わずプッ!と吹き出す。
そんな恐ろしい習性を持つ獣人に対し、とうとう国は動き出し、各地に主に獣人の教育施設< 訓練店 >を作った。
これは人族と軽く触れ合い、慣れよう!という目的のお店であり、要は匂いに慣れるというのが最大の目的だ。
ちなみに飲食店や宿屋などの形態が多い。
「 だからBランク傭兵以上なんですね。
獣人族は力で勝てば一応従ってくれますし、見た目に関してとても寛容というか……まぁ、気にしないらしいですし……。 」
キュイちゃんは大いに納得し、頷いた。
獣人は直感重視であるために相手の外見や性別などを全く気にしないため、私達の様にザ・前衛職!みたいな女性でも全く気にしない。
なんたって自分より体格の良いマッチョな男性にも平然と求婚するらしいし……。
自分は人族の価値観の中で生きてきたため、どうもそれが想像できず、うう~ん……と考え込んでしまった。
それに対し、” まだまだ自分の視野は狭いんだな ” と実感し反省したが、実はそこにこの国の貴族達が他種族……特に獣人族を嫌う理由がある。
” 美 ” という視覚的な物に非常に重きを置く人族の、特に貴族。
その大多数の性格の悪い貴族達は、獣人族曰く、とても臭いのだそうで、酷い言葉だと ” ゲロ ” や ” う◯こ ” の匂いだと言う者たちすらいる。
それが我慢ならないのが、特に ” 美 ” 意識が高いらしい公爵家メルンブルク家。
” 獣人の入国禁止令を出すべきだ!! " ────と、現在も声高らかに叫んでいるらしい。
確かに綺麗にしてるのに ” う◯この匂い! ” なんて言われたら怒るか……。
しみじみと公爵様に対し同情しつつ、ちょっとだけ笑ってしまった。
まぁ、それはさておき、やっぱり私は接客に対して自信はないし……やっぱり断ろう。
そう心に決めて、まだ考え込んでいるキュイちゃんを他所に、断ろうと口を開きかけたその時────カルロスさんがデスクの下の引き出しからあるモノを取り出した。
白色を基調とした色に、女性らしさを惜しみなく出す、全体的に丸みのあるデザイン。
色とりどりのカラーフリルとリボンがこれでもかと付いているのに、ゴチャッとしたイメージが浮かばない、奇跡のバランス。
まさに匠の技!と言わざるを得ない仕上がりを実現しているドレスを前に、私達はブルブルと震えてしまう。
「 こっ……これは……!女性のキュートとクールを究極に再現してみせた ” フージョン・コーデ ” !
ま、まだ発売前のはず……っ!! 」
「 フラン様の……新作ドレス!! 」
私とキュイちゃんは震える手でそのドレスに手を伸ばしたが……カルロスさんがササッ!と後ろに手を引いてしまったため触れる事が出来なかった。
「 フフフっ~!実はフラン様は、グリモアの訓練店である【 剛腕ガールズカフェ 】の専属デザイナーを引き受けてくださっているの。
だからお店のデザインも働くスタッフの洋服も、全部フラン様デザインのものよ~ん! 」
「 ぜ……全部……。 」
フラフラ~とカルロスさんに近づこうとしているキュイちゃんを止めながら、必死に誘惑に抗うが、カルロスさんが手に持つドレスを眼の前で振ってきたら……もう駄目だった。
「「 やりま~~~すっ!!! 」」」
そうして普通だったら絶対に着ない……というか、着れない様な服を着て私達は【 剛腕ガールズカフェ 】で働く事に。
人と喋る事がどちらかといえば苦手な私達に接客業は務まるのだろうか……。
最初はビクビクしながら働いていたが、心配は結局気鬱で終わる。
獣人達やサッパリとした個人主義の傭兵達の話題は、” あそこの特盛肉丼が最高だった! ” や ” あの店の限定パンはこういうパンで~…… ” などなど、あまり複雑な話題は好まない人が多かったためだ。
勿論戦闘職の獣人は、最初だいぶ暴力的な者たちも多かったが、そこは私達も含めてプロの傭兵であるため、ボッコボコにして店の外に放りだしてやった。
完膚なきまでなフルボッコ……。
最初こそ少し心配していたが、なんと次の日はピンピンした様子でやってくるので、力のセーブを掛けなくてよくてとても楽。
そして匂いになれてコントロールが効くようになるまでそれを繰り返すだけだったので、簡単なお仕事プラス可愛いモノに囲まれて、凄く幸せな生活を送っていた。
しかし……徐々にグリモアに小さな異変が起き始めると、その幸せに陰りの様なものがゆっくりと迫ってくる。
そのためお断りするわけだが、獣人の気に入った相手への諦めの悪さは、断トツ種族間一位と言われていて、とにかく諦めない、グイグイ迫る、口説く!泣く!土下座!
結局相手が根負けするまで、それが続く。
更にそれでも突っぱねた場合、単純な力に価値観を置く獣人達は、力ずくで ” 求婚用の巣 ” へとお持ち帰り。
そのまま無理やりお嫁さんにされるというトラブルが、歴史上には多々あった。
ブルブルと震えながら話していた父の姿を思い出し、思わずプッ!と吹き出す。
そんな恐ろしい習性を持つ獣人に対し、とうとう国は動き出し、各地に主に獣人の教育施設< 訓練店 >を作った。
これは人族と軽く触れ合い、慣れよう!という目的のお店であり、要は匂いに慣れるというのが最大の目的だ。
ちなみに飲食店や宿屋などの形態が多い。
「 だからBランク傭兵以上なんですね。
獣人族は力で勝てば一応従ってくれますし、見た目に関してとても寛容というか……まぁ、気にしないらしいですし……。 」
キュイちゃんは大いに納得し、頷いた。
獣人は直感重視であるために相手の外見や性別などを全く気にしないため、私達の様にザ・前衛職!みたいな女性でも全く気にしない。
なんたって自分より体格の良いマッチョな男性にも平然と求婚するらしいし……。
自分は人族の価値観の中で生きてきたため、どうもそれが想像できず、うう~ん……と考え込んでしまった。
それに対し、” まだまだ自分の視野は狭いんだな ” と実感し反省したが、実はそこにこの国の貴族達が他種族……特に獣人族を嫌う理由がある。
” 美 ” という視覚的な物に非常に重きを置く人族の、特に貴族。
その大多数の性格の悪い貴族達は、獣人族曰く、とても臭いのだそうで、酷い言葉だと ” ゲロ ” や ” う◯こ ” の匂いだと言う者たちすらいる。
それが我慢ならないのが、特に ” 美 ” 意識が高いらしい公爵家メルンブルク家。
” 獣人の入国禁止令を出すべきだ!! " ────と、現在も声高らかに叫んでいるらしい。
確かに綺麗にしてるのに ” う◯この匂い! ” なんて言われたら怒るか……。
しみじみと公爵様に対し同情しつつ、ちょっとだけ笑ってしまった。
まぁ、それはさておき、やっぱり私は接客に対して自信はないし……やっぱり断ろう。
そう心に決めて、まだ考え込んでいるキュイちゃんを他所に、断ろうと口を開きかけたその時────カルロスさんがデスクの下の引き出しからあるモノを取り出した。
白色を基調とした色に、女性らしさを惜しみなく出す、全体的に丸みのあるデザイン。
色とりどりのカラーフリルとリボンがこれでもかと付いているのに、ゴチャッとしたイメージが浮かばない、奇跡のバランス。
まさに匠の技!と言わざるを得ない仕上がりを実現しているドレスを前に、私達はブルブルと震えてしまう。
「 こっ……これは……!女性のキュートとクールを究極に再現してみせた ” フージョン・コーデ ” !
ま、まだ発売前のはず……っ!! 」
「 フラン様の……新作ドレス!! 」
私とキュイちゃんは震える手でそのドレスに手を伸ばしたが……カルロスさんがササッ!と後ろに手を引いてしまったため触れる事が出来なかった。
「 フフフっ~!実はフラン様は、グリモアの訓練店である【 剛腕ガールズカフェ 】の専属デザイナーを引き受けてくださっているの。
だからお店のデザインも働くスタッフの洋服も、全部フラン様デザインのものよ~ん! 」
「 ぜ……全部……。 」
フラフラ~とカルロスさんに近づこうとしているキュイちゃんを止めながら、必死に誘惑に抗うが、カルロスさんが手に持つドレスを眼の前で振ってきたら……もう駄目だった。
「「 やりま~~~すっ!!! 」」」
そうして普通だったら絶対に着ない……というか、着れない様な服を着て私達は【 剛腕ガールズカフェ 】で働く事に。
人と喋る事がどちらかといえば苦手な私達に接客業は務まるのだろうか……。
最初はビクビクしながら働いていたが、心配は結局気鬱で終わる。
獣人達やサッパリとした個人主義の傭兵達の話題は、” あそこの特盛肉丼が最高だった! ” や ” あの店の限定パンはこういうパンで~…… ” などなど、あまり複雑な話題は好まない人が多かったためだ。
勿論戦闘職の獣人は、最初だいぶ暴力的な者たちも多かったが、そこは私達も含めてプロの傭兵であるため、ボッコボコにして店の外に放りだしてやった。
完膚なきまでなフルボッコ……。
最初こそ少し心配していたが、なんと次の日はピンピンした様子でやってくるので、力のセーブを掛けなくてよくてとても楽。
そして匂いになれてコントロールが効くようになるまでそれを繰り返すだけだったので、簡単なお仕事プラス可愛いモノに囲まれて、凄く幸せな生活を送っていた。
しかし……徐々にグリモアに小さな異変が起き始めると、その幸せに陰りの様なものがゆっくりと迫ってくる。
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