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第三十八章
1230 才のないものを努力する事
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( ベリー )
「 その受験生はどんな魔法を使ったんだ?
最上級魔法か……血族系魔法か?
もしや今年受験するレイモンド家の子息が……? 」
< 血族系魔法 >
決まられた血筋を持つ者だけが使える魔法で、その特殊性から非常に強力で特異性の高いモノが多い
一人の冒険者が手を上げてそう質問すると、周りのざわつきは大きくなった。
レイモンド家と言えば、魔法特化の有名な名家。
それなら特殊性の高い魔法だと思えば……納得はできる……かも……??
う~ん……と考え込んでいると、ライトノア学院の教員達は大きく震えたまま首を横に振り、ボソッと呟いた。
「 誰かは言えない……。
ただ……使った魔法は……『 着火 』だった……。 」
それが聞こえた者たちは全員口を開けてポカン……としてしまったが、青白い顔で作業を始めた教員達に、それ以上追求もできずに、一人……また一人と、修復作業に取り掛かる。
私達も釈然としないまま、作業に取り掛かり、黒い道を土で覆い隠し修繕していった。
『 着火 』は生活魔法の一つで、非戦闘員でも割と簡単に使える魔法の一つだ。
指にポッ……と小さな火を灯すだけの魔法で ” 飛ばす ” という概念は存在しないはず。
だから、この日作業にあたった者たちは、私達も含めて一つの結論を出した。
” 恐らくこれは学院が保持している魔道具、もしくは魔法の暴走事故だろう。 ” と。
そして土であっという間に黒い道が隠れてしまうと、やっと全員が落ち着きを取り戻し、通常業務へと戻っていく。
私達も【 剛腕ガールズカフェ 】へと戻り、通常勤務へと戻ったのだが、それからしばらくして、扉の前で4人程の魔力反応を感じ、お客さんかな?と思ってその気配を探る。
一つは中々強い気配……これは魔力の量からも獣人族。
それと性質の類似した反応……この人物も獣人族。
そしてもう二人は魔力の質から考えて、戦闘職ではない一般人の様だ。
少しの間様子を伺っていたのだが、中々入ってこないのでドアを開けてあげる事にした。
────バンッ!!!
軽く開けたつもりだったが、ちょうど前に立っていたのが一般人っぽい二人の人物であったため、軽々と吹っ飛んでいってしまう。
だ、大丈夫かな……?
少々焦って吹っ飛んでしまった二人を見つめたが、すぐに復活し素早い動きで戻ってきたので、そのタフさに驚かされた。
弱々しい肉体に少なめな魔力……どうやらスタンダードな人族の様だ。
怪我がなかった様でホッとして、その後店を案内する事にしたのだが……二人は野ネズミのようにチョコチョコと動いては、こちらに対しとても紳士的な態度で接してくれた。
人族……しかも、こんな弱々しい子たちが、こんなザ・戦闘職な存在に対し女性扱いしてくるとは……。
それに面くらい、興味が湧いた私は、その二人の魔力をじっくりと観察する。
魔力量は少なそうだが、凄く綺麗な流れで一定に保たれている魔力。
それだけでも相当努力した事が読み取れ、単純に凄いなと尊敬する気持ちが湧いた。
私達は母親譲りの戦闘に適した肉体と資質を受け継いで生まれてきた。
正直戦う事はあまり好きではなかったが、その才は努力をあっさり受け入れてくれて、どんどんできる事が増えていく。
上達が早ければ、その分辛くて苦しい時も多かったが、楽しさも得ることができた。
しかし、仮にその才がなかったら?
そう考えると背筋が凍る。
努力しても努力してもついてこない結果。
毎日が辛くて辛くて堪らなくなると思う。
何のためにこんな辛い事をし続けなければならないのか?
そうして目的を失い、周りを見ては " 自分は劣った存在なのだ " と負の感情に飲まれていく。
それを皆知っているから、結果のついてこない才のないモノをずっと頑張れない。
ある程度自分に合うモノを選び、それに向かい努力する事が幸せになる近道だと、大体の人たちは知っている。
でも……。
私の脳裏には、父の姿が映った。
才のないモノをひたすら努力し、見事それを掴んだ凄い人の事を。
凄いなぁ……。
才のないモノを努力するのは、普通の何千倍……いや、何万倍も努力がいる。
それを自分を保ったまま努力し続けるのって、凄い事だ。
感心しながら、その二人と獣人の二人を席に案内した後、キュイちゃんが飲み物を持ってきてくれたのだが、なんとその凄い二人は私達を警備スタッフか何かだと思っていたらしい。
違うと告げるとガガーン!とショックを受けた様だが、やはり態度は変わらず紳士的だった。
これも凄い事だなと思う。
だって少なくとも私達が出会ってきた男性は、好みから外れた女性に対して冷たい人たちが多かったから。
特に戦闘職で強いと知った時の態度ときたら、無駄に張り合おうとしてきたり、酷い時には口で攻撃して優位に立とうとしたりと最悪な人たちもいたし……。
しみじみと今まで出会ってきた ” 男性 ” というモノを思い出し、ハァ……と大きなため息が漏れる。
でも、好みに外れていてもきちんと態度を崩さす努力をしてくれる。
なんだかそれが対等に扱って貰っている様で嬉しかった。
その喜びそのままに、恐らく同じ気持ちだったキュイちゃんと同時に二人の腰を掴み、お気に入りのテディベアを抱っこする様に膝の上に乗せる。
「 私は< ベリー >と申します。
歳は17歳。よろしくお願いしま~す! 」
「 私は< キュイ >!
同じく17歳。楽しく飲みましょ~! 」
「 その受験生はどんな魔法を使ったんだ?
最上級魔法か……血族系魔法か?
もしや今年受験するレイモンド家の子息が……? 」
< 血族系魔法 >
決まられた血筋を持つ者だけが使える魔法で、その特殊性から非常に強力で特異性の高いモノが多い
一人の冒険者が手を上げてそう質問すると、周りのざわつきは大きくなった。
レイモンド家と言えば、魔法特化の有名な名家。
それなら特殊性の高い魔法だと思えば……納得はできる……かも……??
う~ん……と考え込んでいると、ライトノア学院の教員達は大きく震えたまま首を横に振り、ボソッと呟いた。
「 誰かは言えない……。
ただ……使った魔法は……『 着火 』だった……。 」
それが聞こえた者たちは全員口を開けてポカン……としてしまったが、青白い顔で作業を始めた教員達に、それ以上追求もできずに、一人……また一人と、修復作業に取り掛かる。
私達も釈然としないまま、作業に取り掛かり、黒い道を土で覆い隠し修繕していった。
『 着火 』は生活魔法の一つで、非戦闘員でも割と簡単に使える魔法の一つだ。
指にポッ……と小さな火を灯すだけの魔法で ” 飛ばす ” という概念は存在しないはず。
だから、この日作業にあたった者たちは、私達も含めて一つの結論を出した。
” 恐らくこれは学院が保持している魔道具、もしくは魔法の暴走事故だろう。 ” と。
そして土であっという間に黒い道が隠れてしまうと、やっと全員が落ち着きを取り戻し、通常業務へと戻っていく。
私達も【 剛腕ガールズカフェ 】へと戻り、通常勤務へと戻ったのだが、それからしばらくして、扉の前で4人程の魔力反応を感じ、お客さんかな?と思ってその気配を探る。
一つは中々強い気配……これは魔力の量からも獣人族。
それと性質の類似した反応……この人物も獣人族。
そしてもう二人は魔力の質から考えて、戦闘職ではない一般人の様だ。
少しの間様子を伺っていたのだが、中々入ってこないのでドアを開けてあげる事にした。
────バンッ!!!
軽く開けたつもりだったが、ちょうど前に立っていたのが一般人っぽい二人の人物であったため、軽々と吹っ飛んでいってしまう。
だ、大丈夫かな……?
少々焦って吹っ飛んでしまった二人を見つめたが、すぐに復活し素早い動きで戻ってきたので、そのタフさに驚かされた。
弱々しい肉体に少なめな魔力……どうやらスタンダードな人族の様だ。
怪我がなかった様でホッとして、その後店を案内する事にしたのだが……二人は野ネズミのようにチョコチョコと動いては、こちらに対しとても紳士的な態度で接してくれた。
人族……しかも、こんな弱々しい子たちが、こんなザ・戦闘職な存在に対し女性扱いしてくるとは……。
それに面くらい、興味が湧いた私は、その二人の魔力をじっくりと観察する。
魔力量は少なそうだが、凄く綺麗な流れで一定に保たれている魔力。
それだけでも相当努力した事が読み取れ、単純に凄いなと尊敬する気持ちが湧いた。
私達は母親譲りの戦闘に適した肉体と資質を受け継いで生まれてきた。
正直戦う事はあまり好きではなかったが、その才は努力をあっさり受け入れてくれて、どんどんできる事が増えていく。
上達が早ければ、その分辛くて苦しい時も多かったが、楽しさも得ることができた。
しかし、仮にその才がなかったら?
そう考えると背筋が凍る。
努力しても努力してもついてこない結果。
毎日が辛くて辛くて堪らなくなると思う。
何のためにこんな辛い事をし続けなければならないのか?
そうして目的を失い、周りを見ては " 自分は劣った存在なのだ " と負の感情に飲まれていく。
それを皆知っているから、結果のついてこない才のないモノをずっと頑張れない。
ある程度自分に合うモノを選び、それに向かい努力する事が幸せになる近道だと、大体の人たちは知っている。
でも……。
私の脳裏には、父の姿が映った。
才のないモノをひたすら努力し、見事それを掴んだ凄い人の事を。
凄いなぁ……。
才のないモノを努力するのは、普通の何千倍……いや、何万倍も努力がいる。
それを自分を保ったまま努力し続けるのって、凄い事だ。
感心しながら、その二人と獣人の二人を席に案内した後、キュイちゃんが飲み物を持ってきてくれたのだが、なんとその凄い二人は私達を警備スタッフか何かだと思っていたらしい。
違うと告げるとガガーン!とショックを受けた様だが、やはり態度は変わらず紳士的だった。
これも凄い事だなと思う。
だって少なくとも私達が出会ってきた男性は、好みから外れた女性に対して冷たい人たちが多かったから。
特に戦闘職で強いと知った時の態度ときたら、無駄に張り合おうとしてきたり、酷い時には口で攻撃して優位に立とうとしたりと最悪な人たちもいたし……。
しみじみと今まで出会ってきた ” 男性 ” というモノを思い出し、ハァ……と大きなため息が漏れる。
でも、好みに外れていてもきちんと態度を崩さす努力をしてくれる。
なんだかそれが対等に扱って貰っている様で嬉しかった。
その喜びそのままに、恐らく同じ気持ちだったキュイちゃんと同時に二人の腰を掴み、お気に入りのテディベアを抱っこする様に膝の上に乗せる。
「 私は< ベリー >と申します。
歳は17歳。よろしくお願いしま~す! 」
「 私は< キュイ >!
同じく17歳。楽しく飲みましょ~! 」
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