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第三十九章
1251 アーサー
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( フラン )
” そもそも悪いのは全て王。”
” そして王の後ろで甘い蜜を吸っている上の連中である。”
これが瞬く間に民達だけではなく兵の中にも広がっていくと、やがて内部分裂が勃発。
すると ” このまま殺しを楽しみたい ” と言う選民主義の兵達は、そうではない兵達と民達に殺されてしまう。
そしてその流れはあっという間に国中に広がり、暴徒化した民と無益な戦いを望まぬ兵達によって王を王座から見事引きずり出したのだ。
王と上の連中は全員、恨みを抱えた民達の手によって死刑に。
そしてこの過ちを繰り返さない様にと【 五老会 】という、王と権力を分け合う機関を作った。
ただ、【 五老会 】を決定する方法は、本来のドワーフの価値観に基づく ” 器用さ ” からきているため、中々国は大きくは変わらない。
つまり、古きを重んじる価値観がまだまだ根付いている王宮内は、私にとって居心地の非常に悪い場所で……何をしても認められぬ環境から自分という存在に絶望していたのだ。
私に価値などない。
だから周りは認めてくれない。
絶望はいつしか奥に秘めたる憎しみへと変わっていき、自分の中に新たな考えを生み落とした。
” こんな才しか与えてくれなかった神が憎い。 ”
” 私が持ってないモノを持っている全ての者たちが憎い。 ”
そうしてその考えは、最終的に非常に極端で暴力的な思想に辿り着く。
” いっそ……その全員が消えてしまえばいい。 ”
心は日に日に深い闇へと落ちていき、全く関係のない善人達にすら憎しみを抱いてしまう事で、今度は自己嫌悪で更に深い闇に落ちていった。
毎日その繰り返し。
私の心はいつか底のない暗闇へと行ってしまうだろう。
そんな予感に日々恐怖していた、そんなある日の事────。
ドワーフ族にとって最大の友好国< アルバード王国 >より、まだ準成人を迎えていない第二王子のアーサー様がご訪問されるという知らせがきた。
そのため王宮内は、毎日お祭り騒ぎの様にアーサー様を迎え入れる準備を始める。
当時まだ10才という年齢にも関わらず、アーサー様の非凡さはこのガンドレイド王国にまで広く伝わっていて、その偉業の数々を誰もが口にした。
” 治安の悪い貧民街へと自ら訪問し、その改善策を即座に実行し、暴動を事前に止めたらしい。 ”
” 伝染病の発生を未然に防いだ事もあったそうだ。 ”
” ドロティア帝国の大規模攻撃を、前もって防いだ事もあったらしいぞ。 ”
────などなど、本当に10才程度の子供にそんな事が可能なのか?と疑いたくなる様な武勇伝の数々……。
とてもじゃないが信じられない噂話の数々を、私は真実であるとは思っていなかった。
しかし────……。
実際にこの目でアーサー様を見て、私はそれが全て真実であったと知る事になる。
それからしばしの時を経て、とうとうアーサー様が訪問してくる日がやってきた。
王との謁見が可能な【 謁見の間 】にて、王である父、【 五老会 】、そして他の有名な貴族一同はズラリと並び、今か今かとアーサー様の到着を待つ。
「 アーサー様、到着いたしました! 」
とうとう扉の外から声が上がったのと同時に、重たくて大きな扉がゆっくりと開かれ、そこからまだ小さな一人の少年が堂々と入ってきた。
それが散々噂されていたアーサー様の様だ。
……まだ幼い、普通の王族の少年だな。
私は冷静にその人となりを観察し、アルバード王国の王族の色と呼ばれる鮮やかな金色の髪と蒼い瞳を見てそう思った。
しかし父は、とても嬉しそうに立ち上がりアーサー様にご機嫌で話し掛ける。
「 よくぞ来てくれた!この日を今か今かと待っていたぞ、アーサー殿!
どうかこの国でゆるりと好きに過ごして欲しい。
要望があれば何でも言ってくれ。 」
まるで旧友に会ったかの様な気安い態度と言葉に驚いたが……驚いていたのは私だけの様で、なんと他の面々はクスッと笑うだけ。
しかし流石に王の右腕と呼ばれている、宰相の< ソクス >だけはゴホンっ!と咳払いをして、多少王の態度を咎めたが、それだけだった。
何故……??
どうして他の価値観を頑固に拒む【 五老会 】の連中も貴族達も、こんなにもアーサー様を求めているのだ??
私は心の中で盛大に首を傾げる。
友好国の王子だとしても、ここまでアーサー殿を受け入れるのはどうしてか?
不思議で仕方なかったが、その理由はアーサー殿が次に見せた行動で全て理解した。
「 この度は、突然の訪問にも関わらず暖かく受け入れて頂き誠に感謝いたします。
以前、レギン王が我が国を訪問した時にお聞きした歴史の話に興味を持ち、是非自分の目で見てみたいと思ったのです。
どうぞご教授の程、よろしくお願い致します。 」
スラスラと挨拶の言葉を口にし、アーサー様は右手の親指を立ててから静かに左胸へとつける。
これは古代のドワーフ族が使っていた、最上級の挨拶であり、過去に淘汰されていったモノの一つ。
そのため若い世代のドワーフ族など、知らない者の方が多いというのに、それをごく自然とやってのけたのだ。
たった十歳の少年が、それを何処で知ったのか?
それに驚きながら周りに視線を走らせると、【 五老会 】は勿論のこと、他の貴族達も嬉しそうに笑う。
父も嬉しそうに微笑みながら頷くと、突然私の名前を呼んだ。
” そもそも悪いのは全て王。”
” そして王の後ろで甘い蜜を吸っている上の連中である。”
これが瞬く間に民達だけではなく兵の中にも広がっていくと、やがて内部分裂が勃発。
すると ” このまま殺しを楽しみたい ” と言う選民主義の兵達は、そうではない兵達と民達に殺されてしまう。
そしてその流れはあっという間に国中に広がり、暴徒化した民と無益な戦いを望まぬ兵達によって王を王座から見事引きずり出したのだ。
王と上の連中は全員、恨みを抱えた民達の手によって死刑に。
そしてこの過ちを繰り返さない様にと【 五老会 】という、王と権力を分け合う機関を作った。
ただ、【 五老会 】を決定する方法は、本来のドワーフの価値観に基づく ” 器用さ ” からきているため、中々国は大きくは変わらない。
つまり、古きを重んじる価値観がまだまだ根付いている王宮内は、私にとって居心地の非常に悪い場所で……何をしても認められぬ環境から自分という存在に絶望していたのだ。
私に価値などない。
だから周りは認めてくれない。
絶望はいつしか奥に秘めたる憎しみへと変わっていき、自分の中に新たな考えを生み落とした。
” こんな才しか与えてくれなかった神が憎い。 ”
” 私が持ってないモノを持っている全ての者たちが憎い。 ”
そうしてその考えは、最終的に非常に極端で暴力的な思想に辿り着く。
” いっそ……その全員が消えてしまえばいい。 ”
心は日に日に深い闇へと落ちていき、全く関係のない善人達にすら憎しみを抱いてしまう事で、今度は自己嫌悪で更に深い闇に落ちていった。
毎日その繰り返し。
私の心はいつか底のない暗闇へと行ってしまうだろう。
そんな予感に日々恐怖していた、そんなある日の事────。
ドワーフ族にとって最大の友好国< アルバード王国 >より、まだ準成人を迎えていない第二王子のアーサー様がご訪問されるという知らせがきた。
そのため王宮内は、毎日お祭り騒ぎの様にアーサー様を迎え入れる準備を始める。
当時まだ10才という年齢にも関わらず、アーサー様の非凡さはこのガンドレイド王国にまで広く伝わっていて、その偉業の数々を誰もが口にした。
” 治安の悪い貧民街へと自ら訪問し、その改善策を即座に実行し、暴動を事前に止めたらしい。 ”
” 伝染病の発生を未然に防いだ事もあったそうだ。 ”
” ドロティア帝国の大規模攻撃を、前もって防いだ事もあったらしいぞ。 ”
────などなど、本当に10才程度の子供にそんな事が可能なのか?と疑いたくなる様な武勇伝の数々……。
とてもじゃないが信じられない噂話の数々を、私は真実であるとは思っていなかった。
しかし────……。
実際にこの目でアーサー様を見て、私はそれが全て真実であったと知る事になる。
それからしばしの時を経て、とうとうアーサー様が訪問してくる日がやってきた。
王との謁見が可能な【 謁見の間 】にて、王である父、【 五老会 】、そして他の有名な貴族一同はズラリと並び、今か今かとアーサー様の到着を待つ。
「 アーサー様、到着いたしました! 」
とうとう扉の外から声が上がったのと同時に、重たくて大きな扉がゆっくりと開かれ、そこからまだ小さな一人の少年が堂々と入ってきた。
それが散々噂されていたアーサー様の様だ。
……まだ幼い、普通の王族の少年だな。
私は冷静にその人となりを観察し、アルバード王国の王族の色と呼ばれる鮮やかな金色の髪と蒼い瞳を見てそう思った。
しかし父は、とても嬉しそうに立ち上がりアーサー様にご機嫌で話し掛ける。
「 よくぞ来てくれた!この日を今か今かと待っていたぞ、アーサー殿!
どうかこの国でゆるりと好きに過ごして欲しい。
要望があれば何でも言ってくれ。 」
まるで旧友に会ったかの様な気安い態度と言葉に驚いたが……驚いていたのは私だけの様で、なんと他の面々はクスッと笑うだけ。
しかし流石に王の右腕と呼ばれている、宰相の< ソクス >だけはゴホンっ!と咳払いをして、多少王の態度を咎めたが、それだけだった。
何故……??
どうして他の価値観を頑固に拒む【 五老会 】の連中も貴族達も、こんなにもアーサー様を求めているのだ??
私は心の中で盛大に首を傾げる。
友好国の王子だとしても、ここまでアーサー殿を受け入れるのはどうしてか?
不思議で仕方なかったが、その理由はアーサー殿が次に見せた行動で全て理解した。
「 この度は、突然の訪問にも関わらず暖かく受け入れて頂き誠に感謝いたします。
以前、レギン王が我が国を訪問した時にお聞きした歴史の話に興味を持ち、是非自分の目で見てみたいと思ったのです。
どうぞご教授の程、よろしくお願い致します。 」
スラスラと挨拶の言葉を口にし、アーサー様は右手の親指を立ててから静かに左胸へとつける。
これは古代のドワーフ族が使っていた、最上級の挨拶であり、過去に淘汰されていったモノの一つ。
そのため若い世代のドワーフ族など、知らない者の方が多いというのに、それをごく自然とやってのけたのだ。
たった十歳の少年が、それを何処で知ったのか?
それに驚きながら周りに視線を走らせると、【 五老会 】は勿論のこと、他の貴族達も嬉しそうに笑う。
父も嬉しそうに微笑みながら頷くと、突然私の名前を呼んだ。
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