【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

文字の大きさ
1,266 / 1,649
第三十九章

1250 受け入れてもらえない

しおりを挟む
( フラン )

私の資質【 建術師 】は、モノ作りに適している資質と思いきや、今までその資質を上手く生かせた者がいない、いわゆるハズレ資質であると言われているものだった。


────というのも、この資質は ” 頭脳 ” ありきの資質だったため、知力が高くなければ生かせなかったためだ。


” 頭より体 ”

” とにかく技術は体に叩き込む ”


それが常識の国であったため、知力ありきの資質はあまりその本領を発揮できると思われていなかった。


勿論アルバード王国や他の他種族との接触も多くなってきて、” 器用さ ” だけに価値があるとは思っていなくとも、それを全否定してしまえば、ここまで歴史を作ってきたご先祖様達を否定すると言う事。


そのため他種族に習ったまったく別の価値観は、若者たちを中心に徐々に徐々に……非常にゆっくりなペースで変わっていっている感じで、それが今も続いている感じであった。

その結果、【 ドワーフ騎士団 】という、戦いに特化した者たちで形成される戦力が頭角を現しだし、今や国の防衛の要となっているのだ。


しかし……やはりどうしてもドワーフ本来の歴史を重んじるべきと反発する勢力も多く、国は大きく分けて二分化してしまっている。


” 知力や力ありきの資質などドワーフらしくない ”

” ドワーフの誇りはモノ作りにある。

騎士団など、力に物を言わせて戦う野蛮集団ではないか! ”


そう叫ぶ彼らは、武器や防具、戦闘用の魔道具や兵器などを進化させるべきだと主張し、これまでと同じ様に、ドワーフ本来の技術を向上してきたというわけだ。


ドワーフ騎士団が、今や防衛の要なのは彼らとて分かってはいる事だが、祖先たちはドワーフの古き良き価値観の元、今の豊かな生活を生み出してくれた。


だから子孫である我々はそれに感謝をし、決して軽んじてはいけない。


しかし──────世界は常に変わり続け、その形を大きく変えていく。


古きを大事にしすぎて柔軟性を失くしてしまえば、その種は滅びの道を歩むしかないのだと、歴史が証明してくれた。


未来を犠牲に、過去を大事にするのが絶対的に ” 正しい ” のは、その過去を必死に生きた人たち。

その過去を生きていない若者の未来を犠牲にするのは────きっと絶対的に ” 正しい ” とは言えないと思う。


私は、まさに過去に重きを置くというその ” 正しさ ” に叩きのめされ、自分が何を望み、何を目指しているのか……そして自分に価値はあるのか?

その全てが分からず、とりあえず王室に保管されている知識の山、王宮図書資料室に毎日籠っては本を読む。


"   またフラン王女は、先人たちの築いてくれた技術を学ぼうとせず、籠って本を読んでいるのか?

やる気がない怠惰なお人だ。 "


"   父であるレギン王は素晴らしい腕をお持ちなのに、その娘は……。

エルフ族の様に本ばかり読んで、まるで本食い虫姫だな。 "


王宮内に私を認めてくれる者はいない。


それには大きな理由があって、王の他に国の重鎮を務める選ばれし五人のドワーフ達────【 五老会 】が、古きを大事にする価値観を強く持っていたからだ。


ガンドレイド王国の権力は王政ではあるが、基本はその権力は二分化されていて、二大権力の一つは勿論【 王 】、そしてもう一つの権力がこの【 五老会 】なのだ。


いかに王とて、この【 五老会 】の承認なしに、権力を行使できない。


そうして王一人に権力を収束させ、独裁国家にさせない様な仕組みになっているのだが、そもそもこの【 五老会 】ができたのは、四カ国同盟の後。

その理由は、なんとも悲しいガンドレイド王国の歴史の中にあった。



四カ国同盟から世代が二回ほど変わった頃────。

当時、完全な王政国家であったガンドレイド王国は、全て王一人によって国の全てが決められ、一つの価値観のみが正義となってしまっていた。


その結果、もともとドワーフ本来の価値観を大事にしていた王はどんどんと思想を過激にしていき、いつしかドワーフ本来の能力を持たぬ者は全て奴隷として虐げ始める。

そして、逆に自分の認めた価値観の中で才ある者に、多くの権力や財産を与えていった。


その結果、今度はその ” 優秀な人材 ” 達に、選民意識が芽生える。


"   我々は、この世界に選ばれたドワーフである。 "

    
"   だから全てが正しい。”


” 激しく劣る下の存在の者たちは全員、ただ我々に従うべき。 ”


それにより差別化はどんどん進み、不満を募らせた民は各地で暴徒化。

とうとう衝突が始まってしまった。

当然王は沈静化を図るために兵を差し向けるのだが……兵の中でも民意識が骨の髄までしみついていた一部の者たちが、次々と自分たちに逆らう民達を殺してしまっため、戦いは泥沼化してしまう。


大事な家族を。

恋人を。

友人を……。


それを理不尽に奪われてしまった者たちは、自らの命を顧みず戦いに身を投じていき、何の関係もない兵達も自分の命を守るため戦うしかない。


こうなると戦いは止まらない。


” 一体自分たちは何のために戦っているのだろう? ”


そんな事すら分からなくなった頃、突然高みの見物をしていた王へ、ヘイトが向いた。

しおりを挟む
感想 274

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる

路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか? いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ? 2025年10月に全面改稿を行ないました。 2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。 2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。 2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。 2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。 第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。

僕の、しあわせ辺境暮らし

  *  ゆるゆ
BL
雪のなか3歳の僕を、ひろってくれたのは、やさしい16歳の男の子でした。 ふたりの、しあわせな辺境暮らし、はじまります! ふたりの動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります。 YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。 プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

処理中です...