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第三十九章
1261 ケインの話
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( フラン )
「 実はレオン殿についての情報を集めていてな……。
分かる範囲でいいから教えて欲しいのだ。
勿論礼はしよう。 」
私が金貨が数十枚入った袋をテーブルに置くと、ケインは「 ふ~ん? 」と言いながら、その袋を懐に入れた。
「 ……いいぜ。
────で、エリート様は何が聞きたい? 」
「 とりあえずケイン殿のレオン殿に対する見解を聞きたい。 」
そもそも良心が残る人間ならば、売りつけた奴隷の方を心配するのが普通のはず。
それを真っ先に買い取った主人の方を心配する辺り、絶対に何かあったと確信していた。
ケイン殿は、懐から葉巻を取り出すと、それに火をつけ煙をゆっくりを天井に向かって吐き出す。
そして一瞬の間が空いた後……ケイン殿はポツリと呟いた。
「 ……あれは普通の子供じゃなかった。 」
「 …………。 」
ケイン殿の葉巻を持つ手は震えていて、それを見て見ぬふりをしながら、続けてボソボソと話される話を聞く。
何でも母親のリアを回収しにいったが、とっくにトンズラした後。
そのため、子供であるレオン殿を回収しにいったのだそうだ。
また胸糞の悪い仕事をしなければならないと、イライラしながらリアの家に向かうと、そこにいたのは、黒い髪に黒い瞳、そして呪われた様な半身を持ったレオン殿であったと。
「 そん時は、俺達を出し抜こうとしたリアにムカついたのと……あとはヤツの恐ろしい外見と、気味の悪い気配に心底ビビっちまって、それを誤魔化すためにイスに八つ当たりしちまったんだ。
12歳のガキ相手になにしてんだって、直ぐに冷静になったけどよ……。
でもアイツ…… ” 普通 ” だったんだ。 」
「 ” 普通 ” か……。 」
その ” 普通 ” とやらに対し、背中にゾクッとしたモノが走る。
12歳の子供が、母親に捨てられ、知らぬ男が怒り狂っている姿を見て ” 普通 ” でいられるものなのか……?
幼き頃から教育を受けている貴族とて、多少の動揺はあるだろうに……。
ケインは、葉巻を大きく吸い出し、もう一度天井に向かって吐き出すと、更に話を続けた。
「 状況が分かってないのかと思って、母親に捨てられた事を伝えてやったんだが、それすらも反応なしときたもんだ。
俺の事が見えてないかの様に、眉一つ動かさなかったぜ。
あれじゃあ、まるで幽霊だ。
この世に存在していないモノと話している……ってーのが、一番しっくりくる。 」
ケインは、そう言って着火で葉巻を燃やし尽くすと、今度はイライラしているのか頭を乱暴に掻く。
「 だがよ~俺だって借金取りのプライドってモンがある。
だから自分を奮い立たせて、あのガキを奴隷にしようとしたんだよ。
だが────……。 」
ケイン殿は、乱暴に頭をかき回す手を止め、恐怖を奥底に隠した目で私を見た。
「 ……あいつ、本気だった。
本気で俺を……。 」
ケイン殿は両手を組むと、その手を膝に乗せる。
手は先ほど同様、震えていて、よほど恐ろしい想いをした様であった。
「 ……あの奴隷陣は、ケイン殿が施したモノか? 」
私がそう静かに尋ねると、ケイン殿は「 あぁ……。 」と短く返事を返す。
そして、そのままソファーに深くもたれ掛かり、深いため息をついた。
「 俺は【 立会者 】っつー契約に特化した資質持ちで、それに関しちゃかなりの自信がある。
それこそ高名な魔法使い相手だろうが、逃さねぇ自信があるし、現に今まで誰一人として逃がした事はねぇんだ。
だが……。 」
ケインは言葉を切って、そのまま黙ってしまったので、部屋の中は痛いくらいの沈黙が降りた。
奴隷陣など、” 人対人 ” の契約魔法は、普通の魔法とは違いかなり特殊性の高いモノとなっている。
まず、自分の魔力を使い契約書の元になる魔法陣を作製するのだが、これが非常に繊細で難しい作業であるらしく、規定のレベルに到達していないと、発動すらしないらしい。
そしてそれが出来上がると、今度は契約する両名の魔力をその魔法陣に馴染むように加工し、融合させていく過程を経て、今度は所有される奴隷の全身に所有者となる主人の魔力でできた鎖を魔法陣を使って縫い付けていくのだ。
これが完了すれば、魔法陣そのものが奴隷になる者に縫い付けられる事になるので、要は奴隷が魔法の契約書そのモノになるという事になる。
その時創り出された魔法陣が精密であればあるほど、その効力は強く、解除するにも複雑で難しいモノになるそうだ。
ただし────……。
私は眉を寄せて黙ったままのケインを見つめ、考え込む。
この契約は術者である者の実力が高くなければそもそも発動すらしないわけだが、実力がどんなに高くとも、奴隷となる者のレベルがそれを遥かに上回れば、奴隷陣を刻む事などできない。
だからこそレベルの高い契約術者は非常に貴重で、この目の前のケインもかなり優秀な契約術者である事は、対峙した時点で分かったが……。
果たしてあのレオン殿に契約を刻めるほどの実力はあるのだろうか?
まじまじと見つめる私の前で、ケインは、ハッ!と自傷気味に笑った。
「 実はレオン殿についての情報を集めていてな……。
分かる範囲でいいから教えて欲しいのだ。
勿論礼はしよう。 」
私が金貨が数十枚入った袋をテーブルに置くと、ケインは「 ふ~ん? 」と言いながら、その袋を懐に入れた。
「 ……いいぜ。
────で、エリート様は何が聞きたい? 」
「 とりあえずケイン殿のレオン殿に対する見解を聞きたい。 」
そもそも良心が残る人間ならば、売りつけた奴隷の方を心配するのが普通のはず。
それを真っ先に買い取った主人の方を心配する辺り、絶対に何かあったと確信していた。
ケイン殿は、懐から葉巻を取り出すと、それに火をつけ煙をゆっくりを天井に向かって吐き出す。
そして一瞬の間が空いた後……ケイン殿はポツリと呟いた。
「 ……あれは普通の子供じゃなかった。 」
「 …………。 」
ケイン殿の葉巻を持つ手は震えていて、それを見て見ぬふりをしながら、続けてボソボソと話される話を聞く。
何でも母親のリアを回収しにいったが、とっくにトンズラした後。
そのため、子供であるレオン殿を回収しにいったのだそうだ。
また胸糞の悪い仕事をしなければならないと、イライラしながらリアの家に向かうと、そこにいたのは、黒い髪に黒い瞳、そして呪われた様な半身を持ったレオン殿であったと。
「 そん時は、俺達を出し抜こうとしたリアにムカついたのと……あとはヤツの恐ろしい外見と、気味の悪い気配に心底ビビっちまって、それを誤魔化すためにイスに八つ当たりしちまったんだ。
12歳のガキ相手になにしてんだって、直ぐに冷静になったけどよ……。
でもアイツ…… ” 普通 ” だったんだ。 」
「 ” 普通 ” か……。 」
その ” 普通 ” とやらに対し、背中にゾクッとしたモノが走る。
12歳の子供が、母親に捨てられ、知らぬ男が怒り狂っている姿を見て ” 普通 ” でいられるものなのか……?
幼き頃から教育を受けている貴族とて、多少の動揺はあるだろうに……。
ケインは、葉巻を大きく吸い出し、もう一度天井に向かって吐き出すと、更に話を続けた。
「 状況が分かってないのかと思って、母親に捨てられた事を伝えてやったんだが、それすらも反応なしときたもんだ。
俺の事が見えてないかの様に、眉一つ動かさなかったぜ。
あれじゃあ、まるで幽霊だ。
この世に存在していないモノと話している……ってーのが、一番しっくりくる。 」
ケインは、そう言って着火で葉巻を燃やし尽くすと、今度はイライラしているのか頭を乱暴に掻く。
「 だがよ~俺だって借金取りのプライドってモンがある。
だから自分を奮い立たせて、あのガキを奴隷にしようとしたんだよ。
だが────……。 」
ケイン殿は、乱暴に頭をかき回す手を止め、恐怖を奥底に隠した目で私を見た。
「 ……あいつ、本気だった。
本気で俺を……。 」
ケイン殿は両手を組むと、その手を膝に乗せる。
手は先ほど同様、震えていて、よほど恐ろしい想いをした様であった。
「 ……あの奴隷陣は、ケイン殿が施したモノか? 」
私がそう静かに尋ねると、ケイン殿は「 あぁ……。 」と短く返事を返す。
そして、そのままソファーに深くもたれ掛かり、深いため息をついた。
「 俺は【 立会者 】っつー契約に特化した資質持ちで、それに関しちゃかなりの自信がある。
それこそ高名な魔法使い相手だろうが、逃さねぇ自信があるし、現に今まで誰一人として逃がした事はねぇんだ。
だが……。 」
ケインは言葉を切って、そのまま黙ってしまったので、部屋の中は痛いくらいの沈黙が降りた。
奴隷陣など、” 人対人 ” の契約魔法は、普通の魔法とは違いかなり特殊性の高いモノとなっている。
まず、自分の魔力を使い契約書の元になる魔法陣を作製するのだが、これが非常に繊細で難しい作業であるらしく、規定のレベルに到達していないと、発動すらしないらしい。
そしてそれが出来上がると、今度は契約する両名の魔力をその魔法陣に馴染むように加工し、融合させていく過程を経て、今度は所有される奴隷の全身に所有者となる主人の魔力でできた鎖を魔法陣を使って縫い付けていくのだ。
これが完了すれば、魔法陣そのものが奴隷になる者に縫い付けられる事になるので、要は奴隷が魔法の契約書そのモノになるという事になる。
その時創り出された魔法陣が精密であればあるほど、その効力は強く、解除するにも複雑で難しいモノになるそうだ。
ただし────……。
私は眉を寄せて黙ったままのケインを見つめ、考え込む。
この契約は術者である者の実力が高くなければそもそも発動すらしないわけだが、実力がどんなに高くとも、奴隷となる者のレベルがそれを遥かに上回れば、奴隷陣を刻む事などできない。
だからこそレベルの高い契約術者は非常に貴重で、この目の前のケインもかなり優秀な契約術者である事は、対峙した時点で分かったが……。
果たしてあのレオン殿に契約を刻めるほどの実力はあるのだろうか?
まじまじと見つめる私の前で、ケインは、ハッ!と自傷気味に笑った。
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