【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第四十一章

1306 揺れぬ心

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( ユーリス )


「 ……来るのか? 」


ボソッと小さな声で尋ねたドノバンさんを鼻で笑う様に、伝電鳥からは ” ハッ! ” という笑い声が聞こえた。


《 愚問だな。このカルパスは常に己の信じる正義へ進み続ける。

” 希望 ” があるならそこへ全力で向かうさ。

お前も乗り遅れるなよ。》


それだけ伝えると、伝電鳥はパサッ!と翼を広げて飛び上がる。

そしてぐるぐると空を旋回した後、そのまま飛び去っていった。

するとドノバンさんは、突然わーはっはっ!!と嬉しそうに笑い、空に向かって拳を掲げる。


「 だよなだよな────!!

このまま終わりなんて、お前の最後としては地味過ぎると思ってた!

周りに笑い飛ばされるくらい馬鹿みてぇな ” 希望 ” に踊らされて、全力を出して終わる。

それがお似合いってもんだろう!


俺だって自分のポリシー ” 死ぬ時は楽しく、派手に戦って散る! ” 

それを目指していっちょ、やってやっか~!! 」


おっしゃぁぁぁぁ────!!と気合を入れる中年おじさんを見て、呆れ半分、嬉しさ半分でフッと笑いをこぼした。


「 これだから熱血中年おじさんは……。

派手に散った後、片付ける方の身になって下さいよ。

中年おじさん達は、アホみたいに突っ込んで適度に囮になって、その後は地面に情熱的なキスでもして涼んでいて下さい。

後の美味しい所は俺が全部持っていくんで。 」


そこでドノバンさんを始めとするシニア組達は、ブーブーと文句を言っていたが、構うもんか。

本当はこんな後先考えず感情的に走る中年達がいるからこそ、俺は巻き込まれる形で自分の正義を貫けるのだから。


俺は自分の剣を握る手を見下ろし、もう一度フッと笑った。




俺の両親は平民の商家を営む商人であった。

大きな利益はなかったが、それなりに裕福で、不自由をした覚えはない。

真っ当に働き、真っ当に生きてきた両親。


そんな両親を尊敬していたので、俺も同じ様に真っ当な商人として生きていこう、そう思っていた。


10歳の時に盗賊たちに襲われるまでは……。



父と母と共に馬車で商品を輸送中、その近辺で暴れていた盗賊たちと運悪く遭遇し襲われてしまった俺達は、なすすべもなく商品を全て奪われた。


勿論それだけで被害は終わらない。


かなり強い戦闘資質を持ったヤツがリーダーで、護衛に雇っていた冒険者達は全員があっという間に殺されてしまい、その後は両親が俺の目の前でゆっくりと刻まれていった。


少しずつ肉が削られ小さくなっていく両親。

そしてその様子を見て笑うリーダーの男と他の盗賊達。


その行為を楽しそうに行うその姿は……人間とは思えない程醜いものであった。


怒り、悲しみ、憎しみ────────。


様々な負の感情が押し寄せ、俺は叫び暴れたかったが……ある一定を超えたあたりで突然ストンとその感情達は消え、まるで波風一つない湖の様に心は静まり返ってしまった。



< 審裁官の資質 >( 先天スキル )

< 審定精神 >

自身の力量、現状を瞬時に把握し、最もBESTである選択をオートモードで実行し続ける特殊精神系スキル

その際に感じる精神負荷値はゼロとなり、” 感情 ” というそれを実行する不要なモノは全て消え去る




俺の資質である【 審裁官 】

それが判明せずとも、このスキルは物心付いたときからずっと俺と共にあった。

その存在により、俺は現在の自分にとって、最も効率がよく合理的な未来を自分の意思に関係なく選んでしまう。

そこに精神的負荷は伴わず、心は何も感じる事なくただ淡々と一番得をすることができる答えを選んで実行していく俺の姿は────周りから見ると完璧な人生だと思われていいたと思う。


そんな俺を、両親は ” 天才だ ” と喜んでくれたし、周りの人たちだって俺を ” 神童だ! ” と褒め称えてくれた。


自分だって、常に得をする事ができる人生を嫌とは思っておらず、このまま無理のない程度に効率よく努力をし、将来は両親の商家を継ぎ、BESTだと思われる結婚相手を選び、子を作り、その子へ築き上げてきたモノ全てを譲ってこの世を去る。


そんな未来だってもう既に俺の前に道を作られていたから、それをただ歩いていくだけ。


なのに────……そんな道は目の前の盗賊達によってあっさりと崩されてしまった。


そしてまっさらになってしまった未来の道の前で、俺は目の目で悲鳴を上げながら ” 子供だけは助けてくれ! ” と叫ぶ両親を無感情で見つめ続ける。

するととうとう息絶えたらしい両親が、血だらけでその場に崩れ落ちて動かなくなり……男たちはここ一番の歓声を上げた。

そして大笑いしながら、リーダーらしき男は俺へ視線を向ける。


「 へぇ~、親が目の前で殺されたっつーのに顔色一つ変えねぇたぁ、随分肝が座っているガキだな。

気に入った。

このまま下っ端として雇ってやるよ。

まだ死にたくねぇだろう? 」

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