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第四十一章
1330 遠くて……
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( ジェニファー )
私は己の全力を出し、なんとか守備隊に掛かっている呪いの様な精神毒を治療しようと努力しながら、現在聖女と呼ばれているソフィア様を思い浮かべた。
ソフィア様はどんな状況でも常に冷静で、弱っている姿を見せない。
私はそれが悔しくて悔しくて……どうにかそれを崩して、父が喜んでくれる ” 聖女 ” という地位を奪うためにありとあらゆる揺さぶりを掛けた。
しかし……そのどれもに、ソフィア様は動揺を決して見せずに、聖女として、王女として、人々の ” 希望 ” の姿を崩さなかったのだ。
全てを救う事ができないのが分かりながら、そこに立ち続ける事は本当に辛い事なのに……。
なんて遠くにあるんだろう。
私が気軽に欲しがった ” 聖女 ” は……。
” 聖女 ” という地位は、名だけではその辺に落ちている石と同価値でしかなかった。
その重さにやっと気づき、後悔と罪悪に体が震える。
遠く離れた場所に一人で凛として立っているソフィア様。
それに追いつく事は、まだまだ遠すぎて無理そうだ。
私は拳をギュッ……と強く握りしめ、スキル< 医回人の瞳 >を発動し、守備隊員達を見た。
すると、黒い鎖の様な文字達は、守備隊員達の体内にもビッシリ絡みついており、その全てが心臓へ向かって近づいているのに気づく。
これが命を奪う原因となるモノ。
外から中から……ゆっくりと毒を精神から入りこませて、こうして最後心臓を食らう。
なんて恐ろしい毒!
ヨセフ司教のスキルによってその進行はだいぶ遅くなっている様で、スピードは緩やかで、かつ腐っていこうとする内外は回復魔法で塞がれているが……その進行は止められない。
この分ではあと5分足らずで彼らの命の火は消える。
「 ……あなた達は、さっき聖女になりたいって言ってたでしょう?
それってすごく辛い事も沢山経験しないと駄目みたいだけど……それでも目指したい? 」
懸命に回復魔法を掛け続けているポニーテールの少女とおかっぱ頭の少女に問えば、二人はキョトンとした顔を見せた後、同時に大きく頷いた。
二人の眩しさに目を細め、私は流れそうになる涙を堪えて苦しむ守備隊員達へ視線を戻す。
「 私も……私も一緒に目指してもいいかしら……?
きっとすごく遠いと思うのだけど……。 」
守備隊員達の命を奪う黒い鎖文字達は、もう心臓の直前まで迫っていた。
もう死は目と鼻の先。
それでも必死に回復魔法で進行を食い止める。
「 うん!いいよ! 」
「 一緒に目指そう!聖女様! 」
快い返事を返してくれた二人に、ニコッと笑みが溢れ、二人の顔を見つめた。
「 私はジェニファー。
二人の名前を教えてもらえる? 」
そう尋ねると、二人も守備隊員達の命の火がもう間もなく消える事を察したのか、涙を堪えながら私に向かって答える。
「 私はリーン! 」
「 私はナッツ! 」
「 ……そう。これからよろしくね、リーンちゃん、ナッツちゃん。 」
聖女は何人いたっていい。
もしも大きな責任と重圧を抱える聖女が沢山いたら……?
それって、きっと一人を犠牲にしなくていい優しい世界なんだろうなと思う。
助けられなかった悲しみや悔しさ……罪悪の気持ちも全て皆で分け合える、そんな優しい世界だ。
リーフ様の語る世界はいつも優しくて ” 希望 ” に満ち溢れている。
私の脳裏に、突然誰もいない焼け野原で、たった一人、誰もが羨むモノを全て持って立つイメージが浮かんだ。
そんな場所で一人立つ ” 希望 ” になんてなりたくない。
沢山の ” 希望 ” の中の一つに……私はなりたいと思った。
優しい世界を構成する一つに……。
回復班の健闘もむなしく……とうとう守備隊員達の心臓に黒い鎖文字の先端が到着してしまった、その瞬間────────!
────……ポコッ……。
……ポコポコポコポコポコ~~!!!
突如地面に大きな魔法陣が出現したと思ったら、一斉にそこから植物の芽の様なモノが生え、一斉にシャボン玉の様な光が飛び出す。
「 ……えっ?これは……?? 」
驚き手が止まってしまった私の前で、守備隊員達に絡みついていた黒い鎖文字達は、光に吸い込まれていき……なんと守備隊員達の身体から【 天の涙雨 】の効果は消え去った。
唖然とする私達の前で、黒ずんでしまった光は今度は一斉にある方向へ向かって飛んでいく。
そちらへ直ぐに視線を向けると、そこにいたのは────────……。
「 お……お父様……? 」
そこにあったのは、全力疾走でもしたのかと思う程汗を掻き、聖衣が酷く乱れていた父の姿であった。
「 ジェニファー。 」
父は私の名前を呼び、とても嬉しそうに笑うと、そのまま飛んでくる黒い光を全て自身の身へと受け入れた。
「 い、いやぁぁぁぁ────────!!!! 」
そのスキルの効果を即座に察した私は、悲鳴を上げながら父の方へ走る。
黒ずんだ光を全て吸収した父はその場で崩れ落ち、その身体を抱きつく事で支えたが、非力な私では支えきれない。
そのまま一緒に倒れ込む!と思ったが、同時に駆け寄ったヨセフ司教によって二人同時に抱きとめてくれて、ゆっくり父を下に座らせてくれた。
「 お、お父様……なんて事……! 」
父の身体に巻き付く沢山の黒い鎖文字を見ながら、私は直ぐに父に回復魔法を掛ける。
<癒人師の資質>(シークレット固有スキル)
< 原始の受動体 >
対象者のダメージ、状態異常の全てを全て自身の身に移す事のできる特殊身代わりスキル
またその移されたダメージなどは、自身のスキル< 再構築する記憶の器 >により、即座に治癒する事も可能だが、どの程度治せるかは自身のレベルと善行の経験値で大きく変わる
またその受け入れる範囲に限りはないため、術者の命が尽きるまで発動し続ける事ができる
(発現条件)
一定以上の魔力、魔力操作、回復属性魔力、愛情、負の感情をぶつけられた経験値を持ち、一定以上差のある感情ゲージの経験値を持つこと
一定回数以上善行を行う事
スキル< 再構築する記憶の器 >を持つ事
私は己の全力を出し、なんとか守備隊に掛かっている呪いの様な精神毒を治療しようと努力しながら、現在聖女と呼ばれているソフィア様を思い浮かべた。
ソフィア様はどんな状況でも常に冷静で、弱っている姿を見せない。
私はそれが悔しくて悔しくて……どうにかそれを崩して、父が喜んでくれる ” 聖女 ” という地位を奪うためにありとあらゆる揺さぶりを掛けた。
しかし……そのどれもに、ソフィア様は動揺を決して見せずに、聖女として、王女として、人々の ” 希望 ” の姿を崩さなかったのだ。
全てを救う事ができないのが分かりながら、そこに立ち続ける事は本当に辛い事なのに……。
なんて遠くにあるんだろう。
私が気軽に欲しがった ” 聖女 ” は……。
” 聖女 ” という地位は、名だけではその辺に落ちている石と同価値でしかなかった。
その重さにやっと気づき、後悔と罪悪に体が震える。
遠く離れた場所に一人で凛として立っているソフィア様。
それに追いつく事は、まだまだ遠すぎて無理そうだ。
私は拳をギュッ……と強く握りしめ、スキル< 医回人の瞳 >を発動し、守備隊員達を見た。
すると、黒い鎖の様な文字達は、守備隊員達の体内にもビッシリ絡みついており、その全てが心臓へ向かって近づいているのに気づく。
これが命を奪う原因となるモノ。
外から中から……ゆっくりと毒を精神から入りこませて、こうして最後心臓を食らう。
なんて恐ろしい毒!
ヨセフ司教のスキルによってその進行はだいぶ遅くなっている様で、スピードは緩やかで、かつ腐っていこうとする内外は回復魔法で塞がれているが……その進行は止められない。
この分ではあと5分足らずで彼らの命の火は消える。
「 ……あなた達は、さっき聖女になりたいって言ってたでしょう?
それってすごく辛い事も沢山経験しないと駄目みたいだけど……それでも目指したい? 」
懸命に回復魔法を掛け続けているポニーテールの少女とおかっぱ頭の少女に問えば、二人はキョトンとした顔を見せた後、同時に大きく頷いた。
二人の眩しさに目を細め、私は流れそうになる涙を堪えて苦しむ守備隊員達へ視線を戻す。
「 私も……私も一緒に目指してもいいかしら……?
きっとすごく遠いと思うのだけど……。 」
守備隊員達の命を奪う黒い鎖文字達は、もう心臓の直前まで迫っていた。
もう死は目と鼻の先。
それでも必死に回復魔法で進行を食い止める。
「 うん!いいよ! 」
「 一緒に目指そう!聖女様! 」
快い返事を返してくれた二人に、ニコッと笑みが溢れ、二人の顔を見つめた。
「 私はジェニファー。
二人の名前を教えてもらえる? 」
そう尋ねると、二人も守備隊員達の命の火がもう間もなく消える事を察したのか、涙を堪えながら私に向かって答える。
「 私はリーン! 」
「 私はナッツ! 」
「 ……そう。これからよろしくね、リーンちゃん、ナッツちゃん。 」
聖女は何人いたっていい。
もしも大きな責任と重圧を抱える聖女が沢山いたら……?
それって、きっと一人を犠牲にしなくていい優しい世界なんだろうなと思う。
助けられなかった悲しみや悔しさ……罪悪の気持ちも全て皆で分け合える、そんな優しい世界だ。
リーフ様の語る世界はいつも優しくて ” 希望 ” に満ち溢れている。
私の脳裏に、突然誰もいない焼け野原で、たった一人、誰もが羨むモノを全て持って立つイメージが浮かんだ。
そんな場所で一人立つ ” 希望 ” になんてなりたくない。
沢山の ” 希望 ” の中の一つに……私はなりたいと思った。
優しい世界を構成する一つに……。
回復班の健闘もむなしく……とうとう守備隊員達の心臓に黒い鎖文字の先端が到着してしまった、その瞬間────────!
────……ポコッ……。
……ポコポコポコポコポコ~~!!!
突如地面に大きな魔法陣が出現したと思ったら、一斉にそこから植物の芽の様なモノが生え、一斉にシャボン玉の様な光が飛び出す。
「 ……えっ?これは……?? 」
驚き手が止まってしまった私の前で、守備隊員達に絡みついていた黒い鎖文字達は、光に吸い込まれていき……なんと守備隊員達の身体から【 天の涙雨 】の効果は消え去った。
唖然とする私達の前で、黒ずんでしまった光は今度は一斉にある方向へ向かって飛んでいく。
そちらへ直ぐに視線を向けると、そこにいたのは────────……。
「 お……お父様……? 」
そこにあったのは、全力疾走でもしたのかと思う程汗を掻き、聖衣が酷く乱れていた父の姿であった。
「 ジェニファー。 」
父は私の名前を呼び、とても嬉しそうに笑うと、そのまま飛んでくる黒い光を全て自身の身へと受け入れた。
「 い、いやぁぁぁぁ────────!!!! 」
そのスキルの効果を即座に察した私は、悲鳴を上げながら父の方へ走る。
黒ずんだ光を全て吸収した父はその場で崩れ落ち、その身体を抱きつく事で支えたが、非力な私では支えきれない。
そのまま一緒に倒れ込む!と思ったが、同時に駆け寄ったヨセフ司教によって二人同時に抱きとめてくれて、ゆっくり父を下に座らせてくれた。
「 お、お父様……なんて事……! 」
父の身体に巻き付く沢山の黒い鎖文字を見ながら、私は直ぐに父に回復魔法を掛ける。
<癒人師の資質>(シークレット固有スキル)
< 原始の受動体 >
対象者のダメージ、状態異常の全てを全て自身の身に移す事のできる特殊身代わりスキル
またその移されたダメージなどは、自身のスキル< 再構築する記憶の器 >により、即座に治癒する事も可能だが、どの程度治せるかは自身のレベルと善行の経験値で大きく変わる
またその受け入れる範囲に限りはないため、術者の命が尽きるまで発動し続ける事ができる
(発現条件)
一定以上の魔力、魔力操作、回復属性魔力、愛情、負の感情をぶつけられた経験値を持ち、一定以上差のある感情ゲージの経験値を持つこと
一定回数以上善行を行う事
スキル< 再構築する記憶の器 >を持つ事
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