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第四十一章
1331 これなら……
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( ジェニファー )
「 ……やはり私のスキルを持ってしても……治癒は無理だな……。
だが……間に合って……良かった。 」
ハァハァ……と苦しそうに息をする父を見て、ガクガク震えながら回復魔法を掛け続けた。
しかし、身体を締め付ける黒い鎖文字は先ほど同様、消えてはくれない。
そんな苦しむ父と対称的に、今まで瀕死状態にあった守備隊員達は全快し、戸惑いながら父の方へ視線を向けた。
そしてその状態を見て全てを悟った彼らは、父に対し全員頭を下げる。
「 貴方様が身代わりに、痛みを持っていって下さったのですね……。 」
言葉を詰まらせる守備隊員達に、父は痛みを堪えながら、手を前に出し魔道路を指差した。
「 私は ” 不死のグレスター ”
……なぁ~に、直ぐには死ねないから大丈夫さ。
この ” 痛み ” は私がしかと受け取った。
だから、戦う力を持たない私の代わりに……どうか頼む。 」
守備隊員達は父の想いを受け取り一斉に敬礼すると、そのまま戦場へと帰っていった。
全員分の猛毒を全て身体に吸い取った父の身体は激しく腐り始めたが、それよりも早いスピードで、スキル< 再構築する記憶の器 >がその腐敗を治していく。
ヨセフ司教が直ぐに先ほど同様のスキルを掛けるが、やはり黒い鎖文字達の進行は止まらない。
父はこのまま確実に死ぬのだ……。
「 ────……っ……。
なぜ……ここに……。
どうしてそんな無茶な事をしたのですか……っ! 」
私がその事実を理解し悲しみのまま叫ぶと、父は苦しいはずなのに穏やかな笑みを浮かべた。
「 私は大司教だからな……。神の名の下、人を救わなければならない。
それに────……私は、これから責任を取らなければならないのだ……。
それは大司教としてではなく ” 人 ” として。
だから私は最後の瞬間まで、人々の痛み、苦しみ、その全てを引き受けようと思う。
それしか私にできる事はない。
これから来る重症者は全てコチラに回してくれ。
その全てを……持って行く。 」
「 …………。 」
穏やかな笑みを浮かべたまま、強い意思を感じる瞳を見て、父を止める事はできないと理解する。
自分がした事の責任をとるため、一分一秒でも生きて、一人でも多くの人々の痛みを全て持って死ぬつもりなのだ。
それを理解した私とヨセフ司教は、口を同時に閉ざした。
この大厄災を起こした主犯格の一人になってしまった父は、その罪状からも死罪を言い渡されるはずだ。
しかもこの場に戻ってきた事から、もし仮に犯罪奴隷として命を繋いだ所で、エドワード様に口封じとして確実に殺されるだろう。
だからこそ、父の心に迷いはない。
「 お父様……私、報告した事があるんです……。 」
「 ……なんだい?ジェニファー。 」
苦しそうに息を吐く父に、私は涙を堪えてしっかりと目を合わせた。
「 私、聖女を目指そうと思います。
でも……前とは違って、地獄にたった一人で立つ聖女じゃなくて、ソフィア様と……他の沢山の聖女候補達と……一緒に。
……リーフ様が言っていたんですって。
” 人を救い邪を払う聖女は何人いたっていい ” って。 」
「 ……救世主様が……? 」
父の小さくか細い声と震える身体を見ながら、大きく頷く。
「 はい。私はずっと狭い視野の中で沢山の過ちを犯しました。
その罪を私もこれから償っていかなければならないでしょう。
でも……いつかきっと聖女になってみせます。
そして、ソフィア様と沢山の他の聖女達と……人を救っていきたいと、それがジェニファーの夢になりました。 」
「 ………っ!そ、そうか……っ。 」
父は下を向き、感極まった声でそう答えると、父の顔の下からポタポタと水滴が落ちていった。
そんな父の涙に気付かないフリをしながら、自らの目からも流れ落ちそうになる涙を隠すため目元を覆う。
死を前に、私達はやっとお互いの事を ” 見る ” 事ができている。
その喜びを胸に私はこれから一人で生きていかないといけないのだ。
それがこんな所まで罪から目を逸らし続けた私への最大の罰になる。
とうとう抑えきれなくなった涙がボタボタと床に落ち目を閉じてしまったが、父の最後の姿をこの目に全て焼き付けたいと、目を見開いたその時…………何かが床からモゾモゾと外に出ようとしているのに気付いた。
「 …………?? 」
床を押し上げようと小さく盛り上がってくるソレは、突然ピョコンっ!と顔を出し、その姿を現す。
フワッとした白いベールを被っている手のひらくらいの大きさの細身の白い胴体。
更にその胴体にはフワフワのフリルが段状についていて、まるで花嫁衣装を着ている様にも見えた。
被っているベールには、繊細な金色の模様が描かれていて、その美しさは目を見張る程。
全体の白い身体と合わさり、非常に幻想的に見える。
「 キノコ……??? 」
外見は奇っ怪だが、全体をみれば明らかにキノコの様なソレをキョトンと見つめていると、ヨセフ司教が目と口を大きく開き、震える手でソレを指差した。
「 め、め、< 女神のフリル >!!! 」
ソレの名前を大声で叫ぶと同時に、一斉に床にそのキノコ達が沢山顔を出す。
な、何故ココに< 女神のフリル >が────!!??
あり得ない現象に誰もがポカーン……としていると、いつの間にか白い巨大な毛玉の様な服を着た男性が、その中心に立っていて、フンッ!と鼻息を荒くついた。
「 これならいくらでも出せるよ!
僕だって……役に立てる! 」
「 ……やはり私のスキルを持ってしても……治癒は無理だな……。
だが……間に合って……良かった。 」
ハァハァ……と苦しそうに息をする父を見て、ガクガク震えながら回復魔法を掛け続けた。
しかし、身体を締め付ける黒い鎖文字は先ほど同様、消えてはくれない。
そんな苦しむ父と対称的に、今まで瀕死状態にあった守備隊員達は全快し、戸惑いながら父の方へ視線を向けた。
そしてその状態を見て全てを悟った彼らは、父に対し全員頭を下げる。
「 貴方様が身代わりに、痛みを持っていって下さったのですね……。 」
言葉を詰まらせる守備隊員達に、父は痛みを堪えながら、手を前に出し魔道路を指差した。
「 私は ” 不死のグレスター ”
……なぁ~に、直ぐには死ねないから大丈夫さ。
この ” 痛み ” は私がしかと受け取った。
だから、戦う力を持たない私の代わりに……どうか頼む。 」
守備隊員達は父の想いを受け取り一斉に敬礼すると、そのまま戦場へと帰っていった。
全員分の猛毒を全て身体に吸い取った父の身体は激しく腐り始めたが、それよりも早いスピードで、スキル< 再構築する記憶の器 >がその腐敗を治していく。
ヨセフ司教が直ぐに先ほど同様のスキルを掛けるが、やはり黒い鎖文字達の進行は止まらない。
父はこのまま確実に死ぬのだ……。
「 ────……っ……。
なぜ……ここに……。
どうしてそんな無茶な事をしたのですか……っ! 」
私がその事実を理解し悲しみのまま叫ぶと、父は苦しいはずなのに穏やかな笑みを浮かべた。
「 私は大司教だからな……。神の名の下、人を救わなければならない。
それに────……私は、これから責任を取らなければならないのだ……。
それは大司教としてではなく ” 人 ” として。
だから私は最後の瞬間まで、人々の痛み、苦しみ、その全てを引き受けようと思う。
それしか私にできる事はない。
これから来る重症者は全てコチラに回してくれ。
その全てを……持って行く。 」
「 …………。 」
穏やかな笑みを浮かべたまま、強い意思を感じる瞳を見て、父を止める事はできないと理解する。
自分がした事の責任をとるため、一分一秒でも生きて、一人でも多くの人々の痛みを全て持って死ぬつもりなのだ。
それを理解した私とヨセフ司教は、口を同時に閉ざした。
この大厄災を起こした主犯格の一人になってしまった父は、その罪状からも死罪を言い渡されるはずだ。
しかもこの場に戻ってきた事から、もし仮に犯罪奴隷として命を繋いだ所で、エドワード様に口封じとして確実に殺されるだろう。
だからこそ、父の心に迷いはない。
「 お父様……私、報告した事があるんです……。 」
「 ……なんだい?ジェニファー。 」
苦しそうに息を吐く父に、私は涙を堪えてしっかりと目を合わせた。
「 私、聖女を目指そうと思います。
でも……前とは違って、地獄にたった一人で立つ聖女じゃなくて、ソフィア様と……他の沢山の聖女候補達と……一緒に。
……リーフ様が言っていたんですって。
” 人を救い邪を払う聖女は何人いたっていい ” って。 」
「 ……救世主様が……? 」
父の小さくか細い声と震える身体を見ながら、大きく頷く。
「 はい。私はずっと狭い視野の中で沢山の過ちを犯しました。
その罪を私もこれから償っていかなければならないでしょう。
でも……いつかきっと聖女になってみせます。
そして、ソフィア様と沢山の他の聖女達と……人を救っていきたいと、それがジェニファーの夢になりました。 」
「 ………っ!そ、そうか……っ。 」
父は下を向き、感極まった声でそう答えると、父の顔の下からポタポタと水滴が落ちていった。
そんな父の涙に気付かないフリをしながら、自らの目からも流れ落ちそうになる涙を隠すため目元を覆う。
死を前に、私達はやっとお互いの事を ” 見る ” 事ができている。
その喜びを胸に私はこれから一人で生きていかないといけないのだ。
それがこんな所まで罪から目を逸らし続けた私への最大の罰になる。
とうとう抑えきれなくなった涙がボタボタと床に落ち目を閉じてしまったが、父の最後の姿をこの目に全て焼き付けたいと、目を見開いたその時…………何かが床からモゾモゾと外に出ようとしているのに気付いた。
「 …………?? 」
床を押し上げようと小さく盛り上がってくるソレは、突然ピョコンっ!と顔を出し、その姿を現す。
フワッとした白いベールを被っている手のひらくらいの大きさの細身の白い胴体。
更にその胴体にはフワフワのフリルが段状についていて、まるで花嫁衣装を着ている様にも見えた。
被っているベールには、繊細な金色の模様が描かれていて、その美しさは目を見張る程。
全体の白い身体と合わさり、非常に幻想的に見える。
「 キノコ……??? 」
外見は奇っ怪だが、全体をみれば明らかにキノコの様なソレをキョトンと見つめていると、ヨセフ司教が目と口を大きく開き、震える手でソレを指差した。
「 め、め、< 女神のフリル >!!! 」
ソレの名前を大声で叫ぶと同時に、一斉に床にそのキノコ達が沢山顔を出す。
な、何故ココに< 女神のフリル >が────!!??
あり得ない現象に誰もがポカーン……としていると、いつの間にか白い巨大な毛玉の様な服を着た男性が、その中心に立っていて、フンッ!と鼻息を荒くついた。
「 これならいくらでも出せるよ!
僕だって……役に立てる! 」
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