【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第四十二章

1350 わがままなんかじゃない

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( リーフ )

「 今、情勢はほとんどエドワード派閥一強になってるよ。
  
あの以来、優秀な奴らはほとんど死んだからねぇ……。

第二騎士団は殆ど全滅して、今の新しい第二騎士団は以前と同じ……第一騎士団の奴隷みたいなモンになっちまった。

ウチの元旦那が死にものぐるいで変えたっていうのに……。

……悔しくて溜まらないよ。────クソ野郎共が。 」


ナイスバディの女性は強い怒りを滲ませ、腕に力を込める。

その姿を見た黒いフードを被った人物は、ふぅ……と大きなため息を吐き出し、ゆっくりとフードを脱いだ。

俺は窓の外からその人物の顔を見て、思わずヒュッ!と喉を鳴らしてしまう。


だってあの顔は────……!!


「 父の敵は絶対に討つ。

そのためならこの命、惜しくなどない。

次エドワードが民衆の前に姿を現した時……自爆スキルで全てを道連れにしてやる。 」


まるでこの世の呪詛を吐き出す様に言い捨てたその人物は、俺の知っている人物だけど知っている人ではない。


だってイメージがまったく重ならないから。


目元は窪み、頬はげっそりとこけていて……表情が一切なく下へ強く引っ張られている口……その姿はまるで生きる屍の様。

ただ目だけは酷くギラギラとしていて、燃えるような熱さと危うさを感じる。


あれは────復讐者の目だ。


「 イザベルじゃないか……。

どうして……?だってイザベルは……。 」


正義感に溢れ、いつも凛として前へ進むイザベル。

しかし復讐はその前に進む足を切り落とし、彼女から全てのモノを奪ってしまったらしい。

そのキッカケは恐らく……呪災の卵の事件の際に死んでしまった、父カルパスにある。


「 …………。 」


そんなイザベルを見ていられなくて、視線を下げると、黒い窓はボッ!と黒い炎に包まれ黒い灰となって消える。

そして代わりに現れたのは簡素な白い窓で……開いた窓を恐る恐る覗くと、そこは真っ暗な空間であった。


しかしそんな中に沢山の人々がいて、ニコニコと幸せそうな笑顔を張り付け、盛大な拍手をしている。

そしてそんな人々の中心に立っているのは、一人の体格の良い男性で……俺はその男性にも嫌と言うほど見覚えがあった。


「 アントン……。 」


面倒見が良くて、いつも美味しいご飯を作ってくれる料理人のアントン。

いつも見ればニコニコとしながら料理を差し出してくれるアントンは、沢山の拍手の中、両耳を塞ぎ、目線はどこか遠くを見ている様であった。


「 ありがとう、ありがとう!

いつも守ってくれて。

これからもずっとずっと私達を守ってね!とっても強い傭兵さん! 」


「 そうだよ、貴方が守ってくれないと、私達は死んでしまうのだから。

貴方が皆を殺すって事。

だからどうか私達のためだけに戦ってね? 」


「 そうだ!そうだ!

守る力があるヤツが人々のために全てを捧げて守るのは、人間として当然の事だろう! 」


「 料理人になりたい?

それで人の命を救えるの??

こんなに皆に迷惑が掛かるのに、自分の夢を叶えたいなんてわがままでしょ? 」


何だか悪意ある言葉にも聞こえてしまうその言葉達は、突然剣の様な形になると、アントンの体に次々と突き刺さる。

串刺しにされ血だらけのまま、アントンはゆっくりと何処かに歩き出したが、その後ろで人々は自分たちの生活を始め、楽しそうに笑いあっていた。


そんなの全然わがままなんかじゃないか!

そう叫ぼうとしたが、その簡素な窓はドロドロと赤く染まっていき、そのまま溶けて消えてしまった。


「 …………。 」


何も言う事ができずに黙ってしまうと、突然俺の足元に瓶が飛んできて、ガシャンっ!!と音を立てて砕けてしまう。

それに驚きその瓶が飛んできた方向へ視線を向けると────そこには、見上げるような大きな窓があって、その中からは何かが壊れる様な音と酒や葉巻の匂いが漂ってきた。

更に怒鳴り声も聞こえてきたため、どうにも穏やかではない様子にギョッ!としながら中を覗く。

すると、そこはなんと俺の故郷であるレガーノであった。


ただ、今現在のレガーノの面影は僅かに残る程度で、街中に沢山のゴミが落ちているし、酔っ払いらしき男性がそこら中で寝ている様だしで、あまり治安はよくない様に見える。

唖然としていると、一人の酔っ払いの男性に向かい、その奥さんらしき女性が大声で怒鳴りつけた。


「 あんたっ!!しっかりしてよ!!

今月の給金も全部酒とギャンブルに注ぎ込んで……っ。

これじゃあ暮らしていけないじゃないか!! 」


女性は感極まったのか泣きながら訴えたが……男性にはその想いは届かない様で、その男性は手に持っていた瓶を女性の足元へ投げつける。

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