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第四十二章
1351 遠い過去の様だ
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( リーフ )
「 うるせぇんだよ!!
どうせ俺達はイシュル神に逆らった大罪人なんだから、どうでもいいだろう!!
お前だって…………っ! 」
男性は大声で怒鳴ったが、最後は随分と意気消沈している様子を見せた。
すると、女性はピタリと涙を止めてサァ……と青ざめて下を向き、周りにいる街の人たちも同様の様子で視線を下へ向ける。
そんな女性と周囲を見て、男性はまた大声で怒鳴った。
「 なぁ!!そうだろう!!?俺達は全員大罪人だ!!
イシュル神の愛し子様を、傷つけ陥れ……そんな俺達が幸せになるなんて……許されるわけないだろう?!
せめて ” 神託 ” の後、直ぐに保護すれば……。
でも……でも……。 」
男性はブルブル、ガタガタと震え出し、両手で顔を覆ってその場に伏せる。
そしてまるで懺悔する様に泣きながら言った。
「 あぁ……無理だ……無理だ……無理なんだよぅ……。
” 黒 ” が……俺は ” 黒 ” が怖くて……憎くて……溜まらない……!!
・・
あの日見た光景が忘れられねぇんだよ……。
黒く染まった空と、黒いドロドロした塊に、黒く染まった大地の様なモンスターの大群……っ!!
俺の母さんも父さんも……友も……逃げ遅れたヤツは全員死んじまった……っ……。
分かっているのに……でもどうしても俺は……っ! 」
男性は伏せたまま大号泣してしまい、それを見下ろした女性はもう何も言えずに、フラフラと去っていく。
周りの人たちも呆然としながら、立ち尽くしていて……それぞれがそれぞれの葛藤や罪悪感に苦しんでいる様子だった。
そこで俺はやっと理解した。
何でレガーノの人たちがレオンハルトが英雄だと分かった後も保護しようとしなかったのかを。
「 呪災の卵が孵化して……レガーノもその被害を受けたんだ。
レガーノは、守備隊も戦闘機関もないから……多分沢山の人たちが逃げ遅れて……。 」
俺は改めて街中を見回してみたが、決して多くはないレガーノの人口は更に少なくなっている様だった。
その時の恐怖に勝てなかった街の人たちはレオンハルトを放置し、それがまたイシュル神をこよなく愛する街の人たちの心にトドメを差してしまったのだろう。
だからレガーノは崩壊した。
去っていくレオンハルトと共に……。
大きな窓はヒビ割れ、完全に崩壊してしまい、跡形もなく消えてしまった。
” 悲しい ” しかない未来の数々に心はジクジクと痛む。
皆幸せになりたいと願うのに、幸せになれない世界。
誰もが選択を取り上げられ、一部の人だけが幸せを独占する世界は……客観的に見てあまりにも汚くて醜いモノだと思った。
「 沢山の選択肢を奪って統一された世界、俺は嫌いだ。
だって世界って、沢山の選択肢の集合体だと思うから。 」
これまで見てきたモノ全てを総合して、俺は俺の答えを出す。
そして顔を上げると、そこには丸くて数字の ” ゼロ ” にも似た窓があり、そこからまた新たな景色が見えた。
丸い太縁メガネに、ヒョロヒョロした体。
極一般的な容姿をしている男性が、どこかの部屋にいて窓の外を覗いている。
その顔は悲しみに満ちていて、絶望を分かりやすく語っていた。
その視線の先には、沢山の人族やエルフ族、獣人やドワーフ族が一つの縄で繋がれていて、兵士に引っ張られて歩かされている。
一体なぜ?────と疑問を持ったのは一瞬で、その全員の首筋には 【 奴隷陣 】がしっかりと刻まれていた事から、奴隷達を何処かに連れて行こうとしている事が分かった。
全員奴隷……?
何の罪を犯したんだろう……?
列を作ってゾロゾロと歩いていく奴隷達を見ながら考え込んでいると、街の中でその奴隷達を見ている人たちがヒソヒソと声を潜めて話し始める。
「 とうとうエドワード様が、元から否定的だった他種族の排除を本格的にしだしたんだな……。
その先頭に立っているのは、エドワード派閥と関係の深い傭兵ギルド長のオリビアだってよ。 」
「 クソっ……何にもしてねぇ無実の他種族を、めちゃくちゃな法律で次々と奴隷化しやがってっ……!エドワードとオリビアの野郎……! 」
「 ────しっ!滅多な事言うもんじゃねぇ!
今一緒に連れてかれてる人族は、皆他種族を庇った奴らだよ……。
お前まで連れてかれちまったら、奥さんと子供が路頭に迷うぞ。
……仕方ねぇんだ……。 」
悔しげにその列を見ている人々だったが、一人、また一人とそれから視線を外し、自分たちの日常へと帰っていった。
それを窓を通してみていた丸渕メガネの男性は、まるで現実から逃げる様に目を瞑る。
「 なぜ数で勝る ” 善 ” は ” 悪 ” に勝てないのか……。
これは知能が高い生物の辿る運命なのかな?
一体何回繰り返すんだろうね。
……全ては ” ゼロ ” に戻る……。
それが……世界の答え……か……。 」
────ガシャン!!ガシャンッ!!
丸縁メガネの男の人の動きが突然止まり、まるで水に流す様に全ての景色の色が消えていくと、そのまま大きな音を立ててその窓は崩れて消え去った。
俺は一体何を見せられているんだろう?
突然、 ” 希望 ” を持って戦っていたのが遥か昔の様な気がして……その場で足を止めたまま視線を下げる。
するとまるでそんな俺にトドメを差すような声が白い空間の至る所から聞こえてきた。
「 うるせぇんだよ!!
どうせ俺達はイシュル神に逆らった大罪人なんだから、どうでもいいだろう!!
お前だって…………っ! 」
男性は大声で怒鳴ったが、最後は随分と意気消沈している様子を見せた。
すると、女性はピタリと涙を止めてサァ……と青ざめて下を向き、周りにいる街の人たちも同様の様子で視線を下へ向ける。
そんな女性と周囲を見て、男性はまた大声で怒鳴った。
「 なぁ!!そうだろう!!?俺達は全員大罪人だ!!
イシュル神の愛し子様を、傷つけ陥れ……そんな俺達が幸せになるなんて……許されるわけないだろう?!
せめて ” 神託 ” の後、直ぐに保護すれば……。
でも……でも……。 」
男性はブルブル、ガタガタと震え出し、両手で顔を覆ってその場に伏せる。
そしてまるで懺悔する様に泣きながら言った。
「 あぁ……無理だ……無理だ……無理なんだよぅ……。
” 黒 ” が……俺は ” 黒 ” が怖くて……憎くて……溜まらない……!!
・・
あの日見た光景が忘れられねぇんだよ……。
黒く染まった空と、黒いドロドロした塊に、黒く染まった大地の様なモンスターの大群……っ!!
俺の母さんも父さんも……友も……逃げ遅れたヤツは全員死んじまった……っ……。
分かっているのに……でもどうしても俺は……っ! 」
男性は伏せたまま大号泣してしまい、それを見下ろした女性はもう何も言えずに、フラフラと去っていく。
周りの人たちも呆然としながら、立ち尽くしていて……それぞれがそれぞれの葛藤や罪悪感に苦しんでいる様子だった。
そこで俺はやっと理解した。
何でレガーノの人たちがレオンハルトが英雄だと分かった後も保護しようとしなかったのかを。
「 呪災の卵が孵化して……レガーノもその被害を受けたんだ。
レガーノは、守備隊も戦闘機関もないから……多分沢山の人たちが逃げ遅れて……。 」
俺は改めて街中を見回してみたが、決して多くはないレガーノの人口は更に少なくなっている様だった。
その時の恐怖に勝てなかった街の人たちはレオンハルトを放置し、それがまたイシュル神をこよなく愛する街の人たちの心にトドメを差してしまったのだろう。
だからレガーノは崩壊した。
去っていくレオンハルトと共に……。
大きな窓はヒビ割れ、完全に崩壊してしまい、跡形もなく消えてしまった。
” 悲しい ” しかない未来の数々に心はジクジクと痛む。
皆幸せになりたいと願うのに、幸せになれない世界。
誰もが選択を取り上げられ、一部の人だけが幸せを独占する世界は……客観的に見てあまりにも汚くて醜いモノだと思った。
「 沢山の選択肢を奪って統一された世界、俺は嫌いだ。
だって世界って、沢山の選択肢の集合体だと思うから。 」
これまで見てきたモノ全てを総合して、俺は俺の答えを出す。
そして顔を上げると、そこには丸くて数字の ” ゼロ ” にも似た窓があり、そこからまた新たな景色が見えた。
丸い太縁メガネに、ヒョロヒョロした体。
極一般的な容姿をしている男性が、どこかの部屋にいて窓の外を覗いている。
その顔は悲しみに満ちていて、絶望を分かりやすく語っていた。
その視線の先には、沢山の人族やエルフ族、獣人やドワーフ族が一つの縄で繋がれていて、兵士に引っ張られて歩かされている。
一体なぜ?────と疑問を持ったのは一瞬で、その全員の首筋には 【 奴隷陣 】がしっかりと刻まれていた事から、奴隷達を何処かに連れて行こうとしている事が分かった。
全員奴隷……?
何の罪を犯したんだろう……?
列を作ってゾロゾロと歩いていく奴隷達を見ながら考え込んでいると、街の中でその奴隷達を見ている人たちがヒソヒソと声を潜めて話し始める。
「 とうとうエドワード様が、元から否定的だった他種族の排除を本格的にしだしたんだな……。
その先頭に立っているのは、エドワード派閥と関係の深い傭兵ギルド長のオリビアだってよ。 」
「 クソっ……何にもしてねぇ無実の他種族を、めちゃくちゃな法律で次々と奴隷化しやがってっ……!エドワードとオリビアの野郎……! 」
「 ────しっ!滅多な事言うもんじゃねぇ!
今一緒に連れてかれてる人族は、皆他種族を庇った奴らだよ……。
お前まで連れてかれちまったら、奥さんと子供が路頭に迷うぞ。
……仕方ねぇんだ……。 」
悔しげにその列を見ている人々だったが、一人、また一人とそれから視線を外し、自分たちの日常へと帰っていった。
それを窓を通してみていた丸渕メガネの男性は、まるで現実から逃げる様に目を瞑る。
「 なぜ数で勝る ” 善 ” は ” 悪 ” に勝てないのか……。
これは知能が高い生物の辿る運命なのかな?
一体何回繰り返すんだろうね。
……全ては ” ゼロ ” に戻る……。
それが……世界の答え……か……。 」
────ガシャン!!ガシャンッ!!
丸縁メガネの男の人の動きが突然止まり、まるで水に流す様に全ての景色の色が消えていくと、そのまま大きな音を立ててその窓は崩れて消え去った。
俺は一体何を見せられているんだろう?
突然、 ” 希望 ” を持って戦っていたのが遥か昔の様な気がして……その場で足を止めたまま視線を下げる。
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