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第四十五章
1401 何かを持っている人
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( モール )
「 ────あ~……めんどくせぇ~な~。くっそ~。 」
悪態をつきながら入ってきたのは、俺の父であるヨセフ。
ヨセフは、とても聖書者とは言えない様な野蛮な動きで、俺と横並びの椅子に座ると、前の椅子に足をダンッ!と乗せた。
そして頭の後ろで手を組み、椅子の背もたれにもたれ掛かる。
「 ……セイ父さんに言いつけるよ。 」
「 えぇ~……それは駄目。
またセイに怒られるだろう?
俺は改心したんでぇ~。優しくて穏やかな聖職者なんでぇ~。 」
優しくて穏やかな聖職者……ねぇ?
その正反対をいくような行動と、何よりニヤ~と人を誂うような笑みに呆れたが、ヨセフの本質はこっち。
ヨセフは柔らかな言動と態度で非常に上手く隠しているが、本来はひどく攻撃的で複雑な心質を持っている。
” 人 ” というモノに対する、激しい怒りと憎しみ。
しかし、逆に一切の興味もない様な無関心さも持っていて、その心情を理解する事は難しい。
そんなヨセフに対してのBESTな対応は…… ” ない ”
要は、” 人 ” がぶつけてくる感情によって、ヨセフの心は一切揺れ動かないため、これだという最適の答えがないのだ。
そう考えると、ヨセフは唯一俺のままで接する事ができる相手という事か……。
その事実に対し複雑な想いを抱いてしまうのは、ヨセフも俺と同様の能力を持っているからだ。
そして────俺とは違い、相手に対してのBESTな行動や言動を取っているのに、何一つ想う所はない様だった。
「 ……ヨセフはさ、辛くないの?そういうの。 」
相手が望む ” 最適 ” だけを選ぶの。
突然のそんな質問に対しても、ヨセフは動じる事なく軽い感じで笑いながらそれに答えた。
「 別にぃ~。これが ” 俺 ” だからさ。
今の俺も俺。
穏やかで優しい、皆が望む完璧な聖職者を偽る俺も俺。
そしてそれを選んでいるのも俺。
ほら、全部俺だ。
自分の正しさを突き通すには、偽りの世界も必要だからさ。 」
「 ……そう。 」
ヨセフにとって俺が思い悩み嫌悪する状況は、最大限利用できるモノでしかないらしい。
ここまで割り切れたらいいな……。
リゼル同様、俺はそんなヨセフに対しても、羨ましいという想いを持っている。
俺は……多分、すごく中途半端な存在なんだろうなと思う。
ヨセフは顔を天井へ向け、フンフ~ン♬と鼻歌を歌い出したので、俺はその顔をボンヤリと眺めながら考えた。
いいな。
いいな。
リゼルの様にまっすぐ走って行けず、ヨセフの様にキッパリ割り切れない俺は、一体どうしたらいいんだろう。
中途半端な俺は……。
悶々とした想いでいっぱいになると、突然ヨセフがフッと笑い、上に向けていた視線を正面に戻す。
「 結果が分かっている事をやるのはしんどいな。
それを知っているのに、進みたい道を行けるのは一つの才能だよ。
普通は誰もが最適と思える道へ進むだろう。
誰だって苦しい想いはしたくないから。 」
もっともな言葉に、俺は沈黙で肯定を返すと、ヨセフは困った様にため息をついた。
「 最適な選択肢を選び続ける事は何も悪い事ではない。
人の望むそのままの姿になってしまう事だってそれはそれで良い。
でも、問題はそんな自分を受け入れられるかどうかだ。
結局全てが感情論に行き着くものなんだよね、知能がある生き物は。
” 好きか嫌いか。”
モールは今の自分が好きじゃない。
そしてそれが続くほど、どんどん嫌いになっていく。
そこが一番の問題なんじゃないか?
こればっかりは、どんなに周りが自分の事を褒めても、無駄な人には無駄なんだ。
だって、自分が嫌いなモノを褒められたって、全然うれしくないもんね~。
むしろ周りの人間の持つ価値観の違いに、更に苦しめられる人もいる。 」
「 ……そうかもね。 」
べらべらと語られる話を何となく聞きたくなくて、そのまま軽く流したが……心はズキズキと痛んだ。
そんな俺を見て、ヨセフは目を閉じてうっすら笑みを浮かばる。
「 そんな嫌いな自分を好きになるには、自分以外の存在が必要なんだよ。
心を根本的に変えてくれる何かを持っている人。
そんな人に出会えたら、多分自分の全てのモノに存在意義を持たせてくれるよ。
自分が嫌いな自分も全て。
それをくれる存在に……出会えるといいな。 」
ヨセフは言うだけ言って、パカッ!と目を開けると、そのまま勢いよく立ち上がった。
「 ────まぁ、一生見つからない人もいるし~。結局 ” 運 ” だけど! 」
そして、大きく伸びをしながら、最後はそれだけ付け足して去っていく。
皆が望む完璧な聖職者の顔を張り付けて……。
ヨセフの言葉は、その時はピンと来なくて……でもだからといって完全に忘れる事はできないインパクトを心の中に残した。
「 ────あ~……めんどくせぇ~な~。くっそ~。 」
悪態をつきながら入ってきたのは、俺の父であるヨセフ。
ヨセフは、とても聖書者とは言えない様な野蛮な動きで、俺と横並びの椅子に座ると、前の椅子に足をダンッ!と乗せた。
そして頭の後ろで手を組み、椅子の背もたれにもたれ掛かる。
「 ……セイ父さんに言いつけるよ。 」
「 えぇ~……それは駄目。
またセイに怒られるだろう?
俺は改心したんでぇ~。優しくて穏やかな聖職者なんでぇ~。 」
優しくて穏やかな聖職者……ねぇ?
その正反対をいくような行動と、何よりニヤ~と人を誂うような笑みに呆れたが、ヨセフの本質はこっち。
ヨセフは柔らかな言動と態度で非常に上手く隠しているが、本来はひどく攻撃的で複雑な心質を持っている。
” 人 ” というモノに対する、激しい怒りと憎しみ。
しかし、逆に一切の興味もない様な無関心さも持っていて、その心情を理解する事は難しい。
そんなヨセフに対してのBESTな対応は…… ” ない ”
要は、” 人 ” がぶつけてくる感情によって、ヨセフの心は一切揺れ動かないため、これだという最適の答えがないのだ。
そう考えると、ヨセフは唯一俺のままで接する事ができる相手という事か……。
その事実に対し複雑な想いを抱いてしまうのは、ヨセフも俺と同様の能力を持っているからだ。
そして────俺とは違い、相手に対してのBESTな行動や言動を取っているのに、何一つ想う所はない様だった。
「 ……ヨセフはさ、辛くないの?そういうの。 」
相手が望む ” 最適 ” だけを選ぶの。
突然のそんな質問に対しても、ヨセフは動じる事なく軽い感じで笑いながらそれに答えた。
「 別にぃ~。これが ” 俺 ” だからさ。
今の俺も俺。
穏やかで優しい、皆が望む完璧な聖職者を偽る俺も俺。
そしてそれを選んでいるのも俺。
ほら、全部俺だ。
自分の正しさを突き通すには、偽りの世界も必要だからさ。 」
「 ……そう。 」
ヨセフにとって俺が思い悩み嫌悪する状況は、最大限利用できるモノでしかないらしい。
ここまで割り切れたらいいな……。
リゼル同様、俺はそんなヨセフに対しても、羨ましいという想いを持っている。
俺は……多分、すごく中途半端な存在なんだろうなと思う。
ヨセフは顔を天井へ向け、フンフ~ン♬と鼻歌を歌い出したので、俺はその顔をボンヤリと眺めながら考えた。
いいな。
いいな。
リゼルの様にまっすぐ走って行けず、ヨセフの様にキッパリ割り切れない俺は、一体どうしたらいいんだろう。
中途半端な俺は……。
悶々とした想いでいっぱいになると、突然ヨセフがフッと笑い、上に向けていた視線を正面に戻す。
「 結果が分かっている事をやるのはしんどいな。
それを知っているのに、進みたい道を行けるのは一つの才能だよ。
普通は誰もが最適と思える道へ進むだろう。
誰だって苦しい想いはしたくないから。 」
もっともな言葉に、俺は沈黙で肯定を返すと、ヨセフは困った様にため息をついた。
「 最適な選択肢を選び続ける事は何も悪い事ではない。
人の望むそのままの姿になってしまう事だってそれはそれで良い。
でも、問題はそんな自分を受け入れられるかどうかだ。
結局全てが感情論に行き着くものなんだよね、知能がある生き物は。
” 好きか嫌いか。”
モールは今の自分が好きじゃない。
そしてそれが続くほど、どんどん嫌いになっていく。
そこが一番の問題なんじゃないか?
こればっかりは、どんなに周りが自分の事を褒めても、無駄な人には無駄なんだ。
だって、自分が嫌いなモノを褒められたって、全然うれしくないもんね~。
むしろ周りの人間の持つ価値観の違いに、更に苦しめられる人もいる。 」
「 ……そうかもね。 」
べらべらと語られる話を何となく聞きたくなくて、そのまま軽く流したが……心はズキズキと痛んだ。
そんな俺を見て、ヨセフは目を閉じてうっすら笑みを浮かばる。
「 そんな嫌いな自分を好きになるには、自分以外の存在が必要なんだよ。
心を根本的に変えてくれる何かを持っている人。
そんな人に出会えたら、多分自分の全てのモノに存在意義を持たせてくれるよ。
自分が嫌いな自分も全て。
それをくれる存在に……出会えるといいな。 」
ヨセフは言うだけ言って、パカッ!と目を開けると、そのまま勢いよく立ち上がった。
「 ────まぁ、一生見つからない人もいるし~。結局 ” 運 ” だけど! 」
そして、大きく伸びをしながら、最後はそれだけ付け足して去っていく。
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