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第四十五章
1427 背中を押す手
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( モール )
殴られ、限界がきてふっ飛ばされた団員達は、また直ぐに立ち上がり「 うおおおおお~!!! 」と声を上げてまた飛びかかっていく。
たしかにこれが怖くないはずがない!
俺は声を上げて笑ってしまった。
” 辛い ” の先にはこんな奇跡のような道もあるのか!
皆強すぎでしょ!!
元々聖兵士など、楽も得もない職業。
傭兵や冒険者などの様に、危険な場所へ行けば高いお金を貰えるわけでもないし、守備隊の様にその土地に根付いて穏やかな生活を送れるわけでもない。
慈善事業に近い仕事だって沢山あるのに、その仕事を止めないのは……それぞれが ” 辛い ” から生まれた強い想いがあるからだ。
俺の目の前に広がる楽な道は、アイリの人形で溢れ出し、なんと踊りだしてしまった。
ワクワクした俺は、まるで子供の様に「 俺もい~れ~て~! 」と飛び出していったのだが…………一撃でふっ飛ばされて、無様に地面に倒れ込んでしまう。
「 …………。 」
ショックでブルブル震えている俺の横に、ズサァァァァ────!!とルビーがふっ飛ばされて倒れたが、ルビーは直ぐに立ち上がった。
そして垂れる鼻血を乱暴に拭うと、無様に倒れて動けない俺を見下ろしフッ……と鼻で笑う。
「 ……軟弱エロ虫男……。 」
そんな暴言を吐いて、ルビーはまた奴に飛びかかりに行ってしまった。
「 …………。 」
これが楽を選び続けてきた代償か……。
あまりに情けなくて、グスングスン……と鼻を啜っていると、突然また頭の中にレイティア聖兵士団の声が聞こえた。
《 モ、モ、モ、モール殿っ!!!
聞こえますか!?モール殿~!! 》
冷静そうな先ほどとは違い、随分と余裕がない様子で自分の名を呼ぶ声に、俺はのんびりと答える。
「 は~い。モールで~す。どうしました? 」
《 いや、どうしました?……じゃないですよ!
そっちでは今、何が起きているんですか??
こっちは大変な事に……………。
今すぐ、画像を送ります! 》
「 ???大変な事?? 」
正直こっちが大変過ぎて頭がボンヤリしていたが、送られてきた映像を見て目を見開いた。
頭の中には、教会の裏門の様子が写っており、そこには倒れている俺達の体と、各国の聖兵士団の姿がある。
更に……?
「 宙が……割れている……?? 」
なんと、その場の宙にいくつも亀裂が入っていて、ポロポロとその空間の欠片の様な者が落ちている状態であった。
そして……その亀裂の奥には、赤黒い肉の塊の様な者がギッシリ詰まっていて、ドクン……ドクン……と心臓の様に拍動している様だ。
「 あ……あれは……まさか!! 」
《 そう!まさかまさかの、< ピエロ・グリム・リーパー >の体です!!
突然奴の体の気配が濃厚になり、獣とドワーフの方々で一斉攻撃してやっと見つけました!
一体どんな方法で奴に恐怖を与えたんですか!? 》
「 ………………。 」
俺は無言でチラッと、< ピエロ・グリム・リーパー >と仲間たちを見つめると、そこには「 役立たずは貴様だぁぁぁぁ!!!このゴミ野郎!!! 」と叫んで肉を噛みちぎろうとしているジャリー。
そしてギラギラとワクワクした目で奴の指を折ろうと噛みつきながら捻っているルビー。
「 うおおおお!!!! 」と叫びながら、奴の顔をボコボコと殴っている原型を留めていない程、腫れている顔のリゼル……。
そしてそれと同じく、怒号と共に特攻しては投げられ、飛びかかっては齧りつき殴られ……を繰り返している我が仲間たちの姿が見える。
「 ……全員が、力を合わせて華麗に戦っているよ! 」
そう告げると、向こう側からは《 おおおお~……!などとなんと素晴らしい! 》《 流石は人族……可憐に戦っているんだろうな~。 》などと、褒める言葉が続いた。
とりあえず黙ってそれを受け取る俺の頭の中に、向こう側で獣人とドワーフ族の聖兵士達が一斉に亀裂に向かって攻撃をする光景が目に入ると、突然コチラ側の< ピエロ・グリム・リーパー >が叫び声を上げる。
《 ぎ、ぎえぇっでっっっぇでええっ────!!!!!
こっ、この痛み……っ!!?
まさか……っ!! 》
奴は外の世界で自分の体が攻撃されているのに気づいたらしく、外にある肉の塊のような体から沢山の手を伸ばし、その邪魔をしようとしたが、ジェンス王国とガンドレイド王国の聖兵士達によって全ての攻撃は跳ね除けられてしまった。
お得意の精神攻撃も、魔力に特化したエルフ族の聖兵士の使う聖歌魔法と合体スキルで無効化され、このまま体と分離したままでは、倒す事はできない様だ。
《 グ……グググググ……グソォォォォ!!! 》
奴はどうにか逃れようと、自身の皮膚を全てベロンッ!と脱皮するように剥ぎ、上空へ飛び上がった。
「 なっ…………っ!!? 」
「 う、うわぁぁぁぁ!!! 」
奴の体にひっついていた仲間たちは、その皮膚と共に地面に落下してしまい、空には皮膚を失くした奴が浮いている。
そして────なんとそのまま逃げ出してしまったのだ。
しかし……俺はその背中を見て大笑いしてしまった。
だってどこに逃げるというのだろう?
自分の心から逃げて……行く所ってあるの?
俺は痛む体にムチを打ち、手に、足に力をいれる。
うん、無様だよね、惨めだよね。
見下していた相手にコテンパンにされるのは。
俺は落ちていた自分のレイピアを拾い上げると、強く握りしめた。
でも、仕方ないでしょ?
誰かを下にして得た楽の先には……かならず惨めな最後がついて回るのは、代償なんだからさ。
俺は ” 痛い ” ” 苦しい ” に耐え、大きくレイピアを後ろに引く。
そんなとても嫌な感覚に笑い、そして────この ” 辛い ” を味わい続けるのが人生なのかと思った。
これを皆味わいながら、生きて生きて生きて……迎えにくる ” 死 ” で、やっと終わる事ができるんだ。
” それって一体なんの意味があるの? ”
” 楽して生きた方が得じゃない? ”
きっとそう思う人だっている。
昔の俺の様に……。
俺はチラッと沢山の痛みや辛いに勝ち、今もなおボロボロになりながらも立ち上がろうとしている仲間たちを見た。
” 辛い ” や ” 痛い ” が沢山集まると……こんなにも人は輝く事ができるんだ。
それを乗り越えた先にこそ、多分自分が本当に望んだ道がある。
それを俺は今まで経験してきた全ての事から知った。
そしてそれを初めて教えてくれたのは────────……。
俺はレイピアを後ろに引いたまま、逃げようとしている奴に向かって飛ぼうとしたその時、また誰かに思い切りドンッ!と押された様な気がした。
きっとこの手はこれから、進むのを止めようとする度に押してくるんだろうな。
それにニコッと笑いながら、俺はヨロヨロと飛ぶヤツの上空へと飛び上がる。
そして────……そのまま、ハッ!とした顔で俺を見上げるヤツに向かい、レイピアを思い切り横に振り切った。
<聖愛師の資質>(ユニーク固有スキル)
< 生心の聖剣 >
今まで向けられてきた正の感情とそれによって発生した正の感情の合計値を精神攻撃力に換算した、精神系攻撃スキル
現在の感情ゲージが高い程、威力は高くなる
(発現条件)
一定以上の正の感情を一定人数以上に向けられる事
一定以上の正の感情を他者から与えられ、それにより正の感情を発生させる事
自身の精神攻撃耐性を大きく上回る出来事を経験し、一定以上の希望、勇気の値を上回る事
自身の全感情ゲージがMax値に到達すること
奴の体は俺の攻撃によって真っ二つになり、そこからキラッ!と輝く瘴核が飛び出す。
すると、それを見つけた仲間たちが地上から一斉攻撃!
それと同時に、外の世界の体も一斉攻撃されたようで、体と心、両方の瘴核が粉々に砕け散ると、景色はまるで皮が剥ける様に剥がれていき…………ハッ!と気がつくと、三カ国の聖兵士団達とご対面する事に……。
その瞬間、ワッ!!と一斉に上がる歓声が耳に入り────俺達は< ピエロ・グリム・リーパー >に見事勝利したことを知った。
殴られ、限界がきてふっ飛ばされた団員達は、また直ぐに立ち上がり「 うおおおおお~!!! 」と声を上げてまた飛びかかっていく。
たしかにこれが怖くないはずがない!
俺は声を上げて笑ってしまった。
” 辛い ” の先にはこんな奇跡のような道もあるのか!
皆強すぎでしょ!!
元々聖兵士など、楽も得もない職業。
傭兵や冒険者などの様に、危険な場所へ行けば高いお金を貰えるわけでもないし、守備隊の様にその土地に根付いて穏やかな生活を送れるわけでもない。
慈善事業に近い仕事だって沢山あるのに、その仕事を止めないのは……それぞれが ” 辛い ” から生まれた強い想いがあるからだ。
俺の目の前に広がる楽な道は、アイリの人形で溢れ出し、なんと踊りだしてしまった。
ワクワクした俺は、まるで子供の様に「 俺もい~れ~て~! 」と飛び出していったのだが…………一撃でふっ飛ばされて、無様に地面に倒れ込んでしまう。
「 …………。 」
ショックでブルブル震えている俺の横に、ズサァァァァ────!!とルビーがふっ飛ばされて倒れたが、ルビーは直ぐに立ち上がった。
そして垂れる鼻血を乱暴に拭うと、無様に倒れて動けない俺を見下ろしフッ……と鼻で笑う。
「 ……軟弱エロ虫男……。 」
そんな暴言を吐いて、ルビーはまた奴に飛びかかりに行ってしまった。
「 …………。 」
これが楽を選び続けてきた代償か……。
あまりに情けなくて、グスングスン……と鼻を啜っていると、突然また頭の中にレイティア聖兵士団の声が聞こえた。
《 モ、モ、モ、モール殿っ!!!
聞こえますか!?モール殿~!! 》
冷静そうな先ほどとは違い、随分と余裕がない様子で自分の名を呼ぶ声に、俺はのんびりと答える。
「 は~い。モールで~す。どうしました? 」
《 いや、どうしました?……じゃないですよ!
そっちでは今、何が起きているんですか??
こっちは大変な事に……………。
今すぐ、画像を送ります! 》
「 ???大変な事?? 」
正直こっちが大変過ぎて頭がボンヤリしていたが、送られてきた映像を見て目を見開いた。
頭の中には、教会の裏門の様子が写っており、そこには倒れている俺達の体と、各国の聖兵士団の姿がある。
更に……?
「 宙が……割れている……?? 」
なんと、その場の宙にいくつも亀裂が入っていて、ポロポロとその空間の欠片の様な者が落ちている状態であった。
そして……その亀裂の奥には、赤黒い肉の塊の様な者がギッシリ詰まっていて、ドクン……ドクン……と心臓の様に拍動している様だ。
「 あ……あれは……まさか!! 」
《 そう!まさかまさかの、< ピエロ・グリム・リーパー >の体です!!
突然奴の体の気配が濃厚になり、獣とドワーフの方々で一斉攻撃してやっと見つけました!
一体どんな方法で奴に恐怖を与えたんですか!? 》
「 ………………。 」
俺は無言でチラッと、< ピエロ・グリム・リーパー >と仲間たちを見つめると、そこには「 役立たずは貴様だぁぁぁぁ!!!このゴミ野郎!!! 」と叫んで肉を噛みちぎろうとしているジャリー。
そしてギラギラとワクワクした目で奴の指を折ろうと噛みつきながら捻っているルビー。
「 うおおおお!!!! 」と叫びながら、奴の顔をボコボコと殴っている原型を留めていない程、腫れている顔のリゼル……。
そしてそれと同じく、怒号と共に特攻しては投げられ、飛びかかっては齧りつき殴られ……を繰り返している我が仲間たちの姿が見える。
「 ……全員が、力を合わせて華麗に戦っているよ! 」
そう告げると、向こう側からは《 おおおお~……!などとなんと素晴らしい! 》《 流石は人族……可憐に戦っているんだろうな~。 》などと、褒める言葉が続いた。
とりあえず黙ってそれを受け取る俺の頭の中に、向こう側で獣人とドワーフ族の聖兵士達が一斉に亀裂に向かって攻撃をする光景が目に入ると、突然コチラ側の< ピエロ・グリム・リーパー >が叫び声を上げる。
《 ぎ、ぎえぇっでっっっぇでええっ────!!!!!
こっ、この痛み……っ!!?
まさか……っ!! 》
奴は外の世界で自分の体が攻撃されているのに気づいたらしく、外にある肉の塊のような体から沢山の手を伸ばし、その邪魔をしようとしたが、ジェンス王国とガンドレイド王国の聖兵士達によって全ての攻撃は跳ね除けられてしまった。
お得意の精神攻撃も、魔力に特化したエルフ族の聖兵士の使う聖歌魔法と合体スキルで無効化され、このまま体と分離したままでは、倒す事はできない様だ。
《 グ……グググググ……グソォォォォ!!! 》
奴はどうにか逃れようと、自身の皮膚を全てベロンッ!と脱皮するように剥ぎ、上空へ飛び上がった。
「 なっ…………っ!!? 」
「 う、うわぁぁぁぁ!!! 」
奴の体にひっついていた仲間たちは、その皮膚と共に地面に落下してしまい、空には皮膚を失くした奴が浮いている。
そして────なんとそのまま逃げ出してしまったのだ。
しかし……俺はその背中を見て大笑いしてしまった。
だってどこに逃げるというのだろう?
自分の心から逃げて……行く所ってあるの?
俺は痛む体にムチを打ち、手に、足に力をいれる。
うん、無様だよね、惨めだよね。
見下していた相手にコテンパンにされるのは。
俺は落ちていた自分のレイピアを拾い上げると、強く握りしめた。
でも、仕方ないでしょ?
誰かを下にして得た楽の先には……かならず惨めな最後がついて回るのは、代償なんだからさ。
俺は ” 痛い ” ” 苦しい ” に耐え、大きくレイピアを後ろに引く。
そんなとても嫌な感覚に笑い、そして────この ” 辛い ” を味わい続けるのが人生なのかと思った。
これを皆味わいながら、生きて生きて生きて……迎えにくる ” 死 ” で、やっと終わる事ができるんだ。
” それって一体なんの意味があるの? ”
” 楽して生きた方が得じゃない? ”
きっとそう思う人だっている。
昔の俺の様に……。
俺はチラッと沢山の痛みや辛いに勝ち、今もなおボロボロになりながらも立ち上がろうとしている仲間たちを見た。
” 辛い ” や ” 痛い ” が沢山集まると……こんなにも人は輝く事ができるんだ。
それを乗り越えた先にこそ、多分自分が本当に望んだ道がある。
それを俺は今まで経験してきた全ての事から知った。
そしてそれを初めて教えてくれたのは────────……。
俺はレイピアを後ろに引いたまま、逃げようとしている奴に向かって飛ぼうとしたその時、また誰かに思い切りドンッ!と押された様な気がした。
きっとこの手はこれから、進むのを止めようとする度に押してくるんだろうな。
それにニコッと笑いながら、俺はヨロヨロと飛ぶヤツの上空へと飛び上がる。
そして────……そのまま、ハッ!とした顔で俺を見上げるヤツに向かい、レイピアを思い切り横に振り切った。
<聖愛師の資質>(ユニーク固有スキル)
< 生心の聖剣 >
今まで向けられてきた正の感情とそれによって発生した正の感情の合計値を精神攻撃力に換算した、精神系攻撃スキル
現在の感情ゲージが高い程、威力は高くなる
(発現条件)
一定以上の正の感情を一定人数以上に向けられる事
一定以上の正の感情を他者から与えられ、それにより正の感情を発生させる事
自身の精神攻撃耐性を大きく上回る出来事を経験し、一定以上の希望、勇気の値を上回る事
自身の全感情ゲージがMax値に到達すること
奴の体は俺の攻撃によって真っ二つになり、そこからキラッ!と輝く瘴核が飛び出す。
すると、それを見つけた仲間たちが地上から一斉攻撃!
それと同時に、外の世界の体も一斉攻撃されたようで、体と心、両方の瘴核が粉々に砕け散ると、景色はまるで皮が剥ける様に剥がれていき…………ハッ!と気がつくと、三カ国の聖兵士団達とご対面する事に……。
その瞬間、ワッ!!と一斉に上がる歓声が耳に入り────俺達は< ピエロ・グリム・リーパー >に見事勝利したことを知った。
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