1,444 / 1,649
第四十六章
1428 キッカケ
しおりを挟む
( エイミ )
ゾンビになったモンスター達の有象無象の集団が、コチラに向かって走ってくると、オリビア様が「 どきな。 」と言って前に出る。
そして刀を後ろに引きながら腰を大きく下ろすと次の瞬間、気がつけば刀は抜かれていて……一瞬でその集団はバラバラになって消え去った。
< 狂戦人の資質 >( ユニーク固有スキル )
< 妖血刀 >
自身の現在体力値の30%を犠牲にして発動する強化型スキル
攻撃力が極UPし、このスキルは戦闘時に常時発動する
発動中は自身の武器が赤く輝く
(発現条件)
一定以上の攻撃力、体力値、好戦、闘志、破壊願望を持つこと
一定回数以上戦闘の経験値と勝利体験を持つ事
「 ほほ~う?関心関心。
日々の鍛錬は怠っていないようじゃの。オリビア。 」
右手をおでこにつけながら、嬉しそうに言うヘンドリク様を見て、オリビア様は当然と言わんばかりに不敵に笑う。
「 クソ傭兵相手にするには強さが必須だからね。
あんたの方こそどうなんだい? 」
軽く叩かれた憎まれ口を、やはりヘンドリク様は嬉しそうに受け止め、ニヤ~と笑った。
そして大きく振り上げた拳を……地面に向かって思い切り振り下ろす。
< 破王人の資質 >( ユニーク固有スキル )
< 大地の波紋揺らし >
自身のパワーで地面に何千、何万という波紋を創り出し、地面を走らせる超広範囲型攻撃スキル
波紋は自在に収束させたり拡散させたりできるため、火力攻撃にすることも可能
更に重複させればダメージ量は増えていく
(発現条件)
一定以上の魔力、魔力操作、攻撃力を持つこと
地属性魔法の適性を持ち、一定人数以上の敵を粉砕する事
一定以上後方へのダイレクトアタックに成功し、一撃でKOした経験値が一定回数以上ある事
ヘンドリク様の攻撃により、後方にズラリと並んでいたモンスター達が派手に飛び散り、仲間たちからはワッ!と歓声が上がった。
「 オリビア様とヘンドリク様に続け────!!! 」
「 うおおおお────!!! 」
「 やってやる────!!! 」
やる気満々な様子で、ゾンビ化したモンスターや他のモンスター達を倒していく仲間たちを見て、私は目を輝かせ拳を握る。
そして、私も!と飛び出そうとしたその時────オリビア様がフッと笑った。
「 随分と幸せそうじゃないか。
良かったね、エイミ。 」
ボソッと呟かれた声に……私は大きく頷いた。
◇◇◇◇
私、エイミは、この国の大多数の人がそうである様に、一番多い平民という身分で生を受ける。
平民の父と母、そして子供の私という、どこにでもありふれた一般的な家族。
毎日お腹を満たしてくれる食事に、外を歩くのに恥ずかしくない服、雨風を防げる住居……。
これだけ聞けば、何もおかしい事などない様に見えたが────……この普通を作る方法が少々普通ではなかった。
父と母は元々、欲望にストップをかけるのが酷く苦手な人たちで、目に入るモノをお金というストッパーで諦めるのが毎日ストレスであった様だ。
若い頃は、それこそ稼いだお金を湯水の様に使い切り、なんとかその願望を満たしていたらしいが────……家庭を持ち、子供ができると、そのストレスを解消する事が難しくなった。
日に日に鬱憤が溜まって……当時小さい子供だった私は気づいていなかったが、爆発寸前だったのかもしれない。
それでもなんとかギリギリの所で耐えていたというのに、ある日そのブレーキをぶち壊す事件が起きた。
ある日、両親と私が三人で買い物に行った帰り道。
私達は買い物の時に買った小麦ボールを三人で少しづつ分けて食べていて「 美味しいね。 」と言い合っていた。
これが私の幸せの時間。
些細な事だが、多分私にとっての幸せはここにあった。
ニコニコと嬉しくて笑う私だったが、目の前で小さな子供が転びそうになったので、それを放りだして直ぐにその体を支える。
「 大丈夫? 」
オロオロしながらそう尋ねると、その子供は「 うん! 」と元気よく答えた。
ホッとしたのも束の間、その子供の親が気づいて駆け寄ってきたのだが、上等な格好からして貴族の様だ。
青ざめてその子供を改めて見ると、やはりその両親同様高そうな服を着ている事にやっと気付いた。
ど……どうしよう……。
後ろの両親も緊張しているのか、血の気が引いたような顔をして頭を下げているし、私も頭を……と思った瞬間、その貴族らしき両親は、ニコニコと笑いながら、ポンッ!と沢山の金貨を私に渡す。
「 突然駆け出したこの子を助けてくれてありがとう。
これはほんのお礼よ。 」
そう告げて、その貴族の両親とその子供は去っていった。
私に渡したお金は、貴族にとっては端金だったのかもしれない。
しかし、平民にとっては大金だ。
どうすればいいのか分からず両親を見上げると、お金を見つめる両親の顔はグニャグニャと歪んでいて、言いしれぬ恐怖にかられる。
この瞬間…両親が元々持っていた欲望のスイッチが入った。
それからは、まるで坂道を転がり落ちるように両親は転落していく。
美味しいねと食べていた小麦ボールも、寒かった日に食べた温かいスープも……三人でくっついて眠る温かい眠りも、お金を貯めてやっと買った服や本も…………その全ては無価値になってしまったのだった。
ゾンビになったモンスター達の有象無象の集団が、コチラに向かって走ってくると、オリビア様が「 どきな。 」と言って前に出る。
そして刀を後ろに引きながら腰を大きく下ろすと次の瞬間、気がつけば刀は抜かれていて……一瞬でその集団はバラバラになって消え去った。
< 狂戦人の資質 >( ユニーク固有スキル )
< 妖血刀 >
自身の現在体力値の30%を犠牲にして発動する強化型スキル
攻撃力が極UPし、このスキルは戦闘時に常時発動する
発動中は自身の武器が赤く輝く
(発現条件)
一定以上の攻撃力、体力値、好戦、闘志、破壊願望を持つこと
一定回数以上戦闘の経験値と勝利体験を持つ事
「 ほほ~う?関心関心。
日々の鍛錬は怠っていないようじゃの。オリビア。 」
右手をおでこにつけながら、嬉しそうに言うヘンドリク様を見て、オリビア様は当然と言わんばかりに不敵に笑う。
「 クソ傭兵相手にするには強さが必須だからね。
あんたの方こそどうなんだい? 」
軽く叩かれた憎まれ口を、やはりヘンドリク様は嬉しそうに受け止め、ニヤ~と笑った。
そして大きく振り上げた拳を……地面に向かって思い切り振り下ろす。
< 破王人の資質 >( ユニーク固有スキル )
< 大地の波紋揺らし >
自身のパワーで地面に何千、何万という波紋を創り出し、地面を走らせる超広範囲型攻撃スキル
波紋は自在に収束させたり拡散させたりできるため、火力攻撃にすることも可能
更に重複させればダメージ量は増えていく
(発現条件)
一定以上の魔力、魔力操作、攻撃力を持つこと
地属性魔法の適性を持ち、一定人数以上の敵を粉砕する事
一定以上後方へのダイレクトアタックに成功し、一撃でKOした経験値が一定回数以上ある事
ヘンドリク様の攻撃により、後方にズラリと並んでいたモンスター達が派手に飛び散り、仲間たちからはワッ!と歓声が上がった。
「 オリビア様とヘンドリク様に続け────!!! 」
「 うおおおお────!!! 」
「 やってやる────!!! 」
やる気満々な様子で、ゾンビ化したモンスターや他のモンスター達を倒していく仲間たちを見て、私は目を輝かせ拳を握る。
そして、私も!と飛び出そうとしたその時────オリビア様がフッと笑った。
「 随分と幸せそうじゃないか。
良かったね、エイミ。 」
ボソッと呟かれた声に……私は大きく頷いた。
◇◇◇◇
私、エイミは、この国の大多数の人がそうである様に、一番多い平民という身分で生を受ける。
平民の父と母、そして子供の私という、どこにでもありふれた一般的な家族。
毎日お腹を満たしてくれる食事に、外を歩くのに恥ずかしくない服、雨風を防げる住居……。
これだけ聞けば、何もおかしい事などない様に見えたが────……この普通を作る方法が少々普通ではなかった。
父と母は元々、欲望にストップをかけるのが酷く苦手な人たちで、目に入るモノをお金というストッパーで諦めるのが毎日ストレスであった様だ。
若い頃は、それこそ稼いだお金を湯水の様に使い切り、なんとかその願望を満たしていたらしいが────……家庭を持ち、子供ができると、そのストレスを解消する事が難しくなった。
日に日に鬱憤が溜まって……当時小さい子供だった私は気づいていなかったが、爆発寸前だったのかもしれない。
それでもなんとかギリギリの所で耐えていたというのに、ある日そのブレーキをぶち壊す事件が起きた。
ある日、両親と私が三人で買い物に行った帰り道。
私達は買い物の時に買った小麦ボールを三人で少しづつ分けて食べていて「 美味しいね。 」と言い合っていた。
これが私の幸せの時間。
些細な事だが、多分私にとっての幸せはここにあった。
ニコニコと嬉しくて笑う私だったが、目の前で小さな子供が転びそうになったので、それを放りだして直ぐにその体を支える。
「 大丈夫? 」
オロオロしながらそう尋ねると、その子供は「 うん! 」と元気よく答えた。
ホッとしたのも束の間、その子供の親が気づいて駆け寄ってきたのだが、上等な格好からして貴族の様だ。
青ざめてその子供を改めて見ると、やはりその両親同様高そうな服を着ている事にやっと気付いた。
ど……どうしよう……。
後ろの両親も緊張しているのか、血の気が引いたような顔をして頭を下げているし、私も頭を……と思った瞬間、その貴族らしき両親は、ニコニコと笑いながら、ポンッ!と沢山の金貨を私に渡す。
「 突然駆け出したこの子を助けてくれてありがとう。
これはほんのお礼よ。 」
そう告げて、その貴族の両親とその子供は去っていった。
私に渡したお金は、貴族にとっては端金だったのかもしれない。
しかし、平民にとっては大金だ。
どうすればいいのか分からず両親を見上げると、お金を見つめる両親の顔はグニャグニャと歪んでいて、言いしれぬ恐怖にかられる。
この瞬間…両親が元々持っていた欲望のスイッチが入った。
それからは、まるで坂道を転がり落ちるように両親は転落していく。
美味しいねと食べていた小麦ボールも、寒かった日に食べた温かいスープも……三人でくっついて眠る温かい眠りも、お金を貯めてやっと買った服や本も…………その全ては無価値になってしまったのだった。
124
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる
路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか?
いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ?
2025年10月に全面改稿を行ないました。
2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。
2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。
2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。
2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。
第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまいネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。
名前が * ゆるゆ になりました。
これからもどうぞよろしくお願い致します!
表紙にはAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。
校正も自力です(笑)
妖精です、囲われてます
うあゆ
BL
僕は妖精
森で気ままに暮らしていました。
ふと気づいたら人間に囲まれてました。
でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。
__________
妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精
なんやかんやお互い幸せに暮らします。
神のミスで転生したけど、幼女化しちゃった! 神具【調薬釜】で、異世界ライフを楽しもう!
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
旧題:神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!
2026/3/9に発売です!書籍は2026/3/11に発売(予約受付中)です!イラストは、にとろん様です。よろしくお願い致します!
ファンタジー小説大賞に投票して頂いた皆様には、大変感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる