【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第四十六章

1428 キッカケ

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( エイミ )

ゾンビになったモンスター達の有象無象の集団が、コチラに向かって走ってくると、オリビア様が「 どきな。 」と言って前に出る。

そして刀を後ろに引きながら腰を大きく下ろすと次の瞬間、気がつけば刀は抜かれていて……一瞬でその集団はバラバラになって消え去った。



< 狂戦人の資質 >( ユニーク固有スキル )

< 妖血刀 >

自身の現在体力値の30%を犠牲にして発動する強化型スキル

攻撃力が極UPし、このスキルは戦闘時に常時発動する

発動中は自身の武器が赤く輝く

(発現条件) 

一定以上の攻撃力、体力値、好戦、闘志、破壊願望を持つこと

一定回数以上戦闘の経験値と勝利体験を持つ事



「 ほほ~う?関心関心。

日々の鍛錬は怠っていないようじゃの。オリビア。 」


右手をおでこにつけながら、嬉しそうに言うヘンドリク様を見て、オリビア様は当然と言わんばかりに不敵に笑う。


「 クソ傭兵相手にするには強さが必須だからね。

あんたの方こそどうなんだい? 」


軽く叩かれた憎まれ口を、やはりヘンドリク様は嬉しそうに受け止め、ニヤ~と笑った。

そして大きく振り上げた拳を……地面に向かって思い切り振り下ろす。



< 破王人の資質 >( ユニーク固有スキル )

< 大地の波紋揺らし >

自身のパワーで地面に何千、何万という波紋を創り出し、地面を走らせる超広範囲型攻撃スキル

波紋は自在に収束させたり拡散させたりできるため、火力攻撃にすることも可能

更に重複させればダメージ量は増えていく

(発現条件) 

一定以上の魔力、魔力操作、攻撃力を持つこと

地属性魔法の適性を持ち、一定人数以上の敵を粉砕する事

一定以上後方へのダイレクトアタックに成功し、一撃でKOした経験値が一定回数以上ある事



ヘンドリク様の攻撃により、後方にズラリと並んでいたモンスター達が派手に飛び散り、仲間たちからはワッ!と歓声が上がった。


「 オリビア様とヘンドリク様に続け────!!! 」

「 うおおおお────!!! 」

「 やってやる────!!! 」


やる気満々な様子で、ゾンビ化したモンスターや他のモンスター達を倒していく仲間たちを見て、私は目を輝かせ拳を握る。

そして、私も!と飛び出そうとしたその時────オリビア様がフッと笑った。


「 随分と幸せそうじゃないか。

良かったね、エイミ。 」


ボソッと呟かれた声に……私は大きく頷いた。




◇◇◇◇

私、エイミは、この国の大多数の人がそうである様に、一番多い平民という身分で生を受ける。

平民の父と母、そして子供の私という、どこにでもありふれた一般的な家族。


毎日お腹を満たしてくれる食事に、外を歩くのに恥ずかしくない服、雨風を防げる住居……。
                               
これだけ聞けば、何もおかしい事などない様に見えたが────……このが少々普通ではなかった。


父と母は元々、欲望にストップをかけるのが酷く苦手な人たちで、目に入るモノをお金というストッパーで諦めるのが毎日ストレスであった様だ。

若い頃は、それこそ稼いだお金を湯水の様に使い切り、なんとかその願望を満たしていたらしいが────……家庭を持ち、子供ができると、そのストレスを解消する事が難しくなった。

日に日に鬱憤が溜まって……当時小さい子供だった私は気づいていなかったが、爆発寸前だったのかもしれない。

それでもなんとかギリギリの所で耐えていたというのに、ある日そのブレーキをぶち壊す事件が起きた。



ある日、両親と私が三人で買い物に行った帰り道。

私達は買い物の時に買った小麦ボールを三人で少しづつ分けて食べていて「 美味しいね。 」と言い合っていた。


これが私の幸せの時間。

些細な事だが、多分私にとっての幸せはここにあった。


ニコニコと嬉しくて笑う私だったが、目の前で小さな子供が転びそうになったので、それを放りだして直ぐにその体を支える。


「 大丈夫? 」


オロオロしながらそう尋ねると、その子供は「 うん! 」と元気よく答えた。

ホッとしたのも束の間、その子供の親が気づいて駆け寄ってきたのだが、上等な格好からして貴族の様だ。

青ざめてその子供を改めて見ると、やはりその両親同様高そうな服を着ている事にやっと気付いた。


ど……どうしよう……。


後ろの両親も緊張しているのか、血の気が引いたような顔をして頭を下げているし、私も頭を……と思った瞬間、その貴族らしき両親は、ニコニコと笑いながら、ポンッ!と沢山の金貨を私に渡す。


「 突然駆け出したこの子を助けてくれてありがとう。

これはほんのお礼よ。 」


そう告げて、その貴族の両親とその子供は去っていった。


私に渡したお金は、貴族にとっては端金だったのかもしれない。

しかし、平民にとっては大金だ。


どうすればいいのか分からず両親を見上げると、お金を見つめる両親の顔はグニャグニャと歪んでいて、言いしれぬ恐怖にかられる。

この瞬間…両親が元々持っていた欲望のスイッチが入った。


それからは、まるで坂道を転がり落ちるように両親は転落していく。


美味しいねと食べていた小麦ボールも、寒かった日に食べた温かいスープも……三人でくっついて眠る温かい眠りも、お金を貯めてやっと買った服や本も…………その全ては無価値になってしまったのだった。

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