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第四十六章
1443 祈り
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( オリビア )
ポロポロ……。
ポロポロ…………。
それを止めようとしても止める事はできなくて……。
ハッ!と気づけば、なかったはずの両手があって、下には美しい泉が広がっていた。
目から落ちては泉に波紋が広がっていくのを呆然と見下ろしていると、爺さんが嬉しそうに泉に手をつけて笑う。
「 綺麗だよね。でも見えない人ってたくさんいる。
きっと受け取れない人には見えない。
自分に向けられているモノを。 」
「 受け取る……?
私は……何も……与えてもらってなんか……。 」
そこで頭の中にパッ!と浮かんだのは、差し出されたタオルだった。
そして ” 大丈夫? ” という言葉も……。
私が初めて ” 使おう ” としたモノ。
────ヒク……っ……。
口元が引きつり、血の気が下がる。
すると、そんな私を見下ろした爺さんは、さっきまでなかった私の手をギュッと握った。
「 一度でもその ” 先 ” に進めば、もう一生何も見えなくなる。
確かに、君の人生は ” 辛い ” が沢山だ。
だけど────……だからこそそれに負けなければ、君は誰よりも強くなれる。
だから強くなって ” 辛い ” を与えようとする奴らを、君の考えるやり方でぶっ飛ばしてやればいい。
それでそいつらから、根こそぎ ” 楽しい ” を奪ってやれ。
目指せ!ナンバーワン!
強くなって、 ” 辛い ” を全部叩きのめしてやれば、人生はめちゃくちゃ楽しいよ! 」
カラッ!と笑った爺さんは、私の手を掴んだまま、勢いよくバンザイをする。
すると、まるで見えない何かが空に打ち上がった様な気がして……それと同時に空が大きな
亀裂音と共にパリィィィィ────ンっ!!!と割れてしまった。
すると亀裂の先に見えるのは、真っ青な青空!
赤い空は跡形もなく消えていき、まるで最初から青空の下にいたかの様であった。
「 もう何が起きても驚かない自信があるな……。 」
私は晴れた空を見上げた後……そのまま周りの景色を改めて見つめる。
すると、足元に広がる泉を中心に大地は潤っていたが……まだまだその先は赤く爛れた大地が広がっていた。
その景色を目に焼き付けていると、爺さんはゆっくり私の手を離す。
私は自由になった手を見下ろし…… ” 想い ” をくれた少女と、” 辛い ” を与えてくるクソみたいな両親の姿を思い浮かべた。
ぶっ飛ばす相手は ” 辛い ” を与えてくる奴ら。
私は絶対に、もうそれを間違えたりしない。
それを間違えれば、私は ” 想い ” を受け取るための手を失くし……一生この美しい景色を見ることができなくなる。
「 ぶっ飛ばしてやるよ。
全部の ” 辛い ” と……それを与えてくる奴らを全部……。 」
ボソッと呟いた時には……あの爺さんは泉に波紋だけ残して消えていた。
────ハッ!!
気がつけば目の前には泣きそうな顔をしながらタオルを差し出す少女の姿が。
そして、私は両手をその少女の首に向かって伸ばしている最中であった。
そのため、直ぐにその手を動かし、差し出されたタオルを掴む。
「 ありがとう。 」
生まれて初めて口から出た言葉は、ジワジワと乾いた体に染み渡り凍っていた心を動かしてくれる。
向けられた想いが嬉しい。
” 嬉しい ” は、幸せな気持ちを運んでくれる。
その気持ちいい感覚に思わず笑みを浮かべると……突然目の前の少女がワー!と喋りだした。
「 いつも怪我だらけだったから心配だったの!
本当はもっと早く声を掛けたかったんだ……。 」
私を害そうなどとは微塵も思ってない優しい言葉に泣きそうになる。
それをグッとこらえ黙る私に、その少女はヒソヒソと声を潜めて話しだした。
「 今、毎日怪我してるお姉さんをどうにか助けようって、大人たちが教会に駆け寄っているんだ。
アイツの目があるから、慎重にって……。
きっとあと少しの辛坊だよ。
もうすぐお姉さんも皆も自由になれる! 」
キラキラ輝く目をまだ真正面から見れなくて、渡されたタオルで顔を隠す。
こんな諸悪の根源である奴らの娘の私を……皆助けようとしてくれていたのだという。
その事実を知ると、今まで頭の中に浮かんでいた周りでヒソヒソと私を憎み囁く声は消え、笑っていると思っていた顔は、一瞬で悲しげに歪む顔に変化した。
私は────…………私は一体どこの世界を見ていたのだろう?
タオルに埋もれていた顔を上げ、完全に覚めた目でこの世界を見ると……この世界は残酷で無情で……そして美しいモノでもあるんだと思った。
” 想い ” は誰から貰う最高のプレゼントだよ。
だからそれを上手く受け取れない事が……俺は一番悲しい事だと思う。
私は……世界で一番悲しいヤツだったんだな。
「 早く悪いヤツがいなくなりますように! 」
突然少女が神に祈りだしたので……私も一緒に初めて神に祈りを捧げる。
頭の中にいたのは、この世界を見せてくれた爺さんだったけど……。
ポロポロ……。
ポロポロ…………。
それを止めようとしても止める事はできなくて……。
ハッ!と気づけば、なかったはずの両手があって、下には美しい泉が広がっていた。
目から落ちては泉に波紋が広がっていくのを呆然と見下ろしていると、爺さんが嬉しそうに泉に手をつけて笑う。
「 綺麗だよね。でも見えない人ってたくさんいる。
きっと受け取れない人には見えない。
自分に向けられているモノを。 」
「 受け取る……?
私は……何も……与えてもらってなんか……。 」
そこで頭の中にパッ!と浮かんだのは、差し出されたタオルだった。
そして ” 大丈夫? ” という言葉も……。
私が初めて ” 使おう ” としたモノ。
────ヒク……っ……。
口元が引きつり、血の気が下がる。
すると、そんな私を見下ろした爺さんは、さっきまでなかった私の手をギュッと握った。
「 一度でもその ” 先 ” に進めば、もう一生何も見えなくなる。
確かに、君の人生は ” 辛い ” が沢山だ。
だけど────……だからこそそれに負けなければ、君は誰よりも強くなれる。
だから強くなって ” 辛い ” を与えようとする奴らを、君の考えるやり方でぶっ飛ばしてやればいい。
それでそいつらから、根こそぎ ” 楽しい ” を奪ってやれ。
目指せ!ナンバーワン!
強くなって、 ” 辛い ” を全部叩きのめしてやれば、人生はめちゃくちゃ楽しいよ! 」
カラッ!と笑った爺さんは、私の手を掴んだまま、勢いよくバンザイをする。
すると、まるで見えない何かが空に打ち上がった様な気がして……それと同時に空が大きな
亀裂音と共にパリィィィィ────ンっ!!!と割れてしまった。
すると亀裂の先に見えるのは、真っ青な青空!
赤い空は跡形もなく消えていき、まるで最初から青空の下にいたかの様であった。
「 もう何が起きても驚かない自信があるな……。 」
私は晴れた空を見上げた後……そのまま周りの景色を改めて見つめる。
すると、足元に広がる泉を中心に大地は潤っていたが……まだまだその先は赤く爛れた大地が広がっていた。
その景色を目に焼き付けていると、爺さんはゆっくり私の手を離す。
私は自由になった手を見下ろし…… ” 想い ” をくれた少女と、” 辛い ” を与えてくるクソみたいな両親の姿を思い浮かべた。
ぶっ飛ばす相手は ” 辛い ” を与えてくる奴ら。
私は絶対に、もうそれを間違えたりしない。
それを間違えれば、私は ” 想い ” を受け取るための手を失くし……一生この美しい景色を見ることができなくなる。
「 ぶっ飛ばしてやるよ。
全部の ” 辛い ” と……それを与えてくる奴らを全部……。 」
ボソッと呟いた時には……あの爺さんは泉に波紋だけ残して消えていた。
────ハッ!!
気がつけば目の前には泣きそうな顔をしながらタオルを差し出す少女の姿が。
そして、私は両手をその少女の首に向かって伸ばしている最中であった。
そのため、直ぐにその手を動かし、差し出されたタオルを掴む。
「 ありがとう。 」
生まれて初めて口から出た言葉は、ジワジワと乾いた体に染み渡り凍っていた心を動かしてくれる。
向けられた想いが嬉しい。
” 嬉しい ” は、幸せな気持ちを運んでくれる。
その気持ちいい感覚に思わず笑みを浮かべると……突然目の前の少女がワー!と喋りだした。
「 いつも怪我だらけだったから心配だったの!
本当はもっと早く声を掛けたかったんだ……。 」
私を害そうなどとは微塵も思ってない優しい言葉に泣きそうになる。
それをグッとこらえ黙る私に、その少女はヒソヒソと声を潜めて話しだした。
「 今、毎日怪我してるお姉さんをどうにか助けようって、大人たちが教会に駆け寄っているんだ。
アイツの目があるから、慎重にって……。
きっとあと少しの辛坊だよ。
もうすぐお姉さんも皆も自由になれる! 」
キラキラ輝く目をまだ真正面から見れなくて、渡されたタオルで顔を隠す。
こんな諸悪の根源である奴らの娘の私を……皆助けようとしてくれていたのだという。
その事実を知ると、今まで頭の中に浮かんでいた周りでヒソヒソと私を憎み囁く声は消え、笑っていると思っていた顔は、一瞬で悲しげに歪む顔に変化した。
私は────…………私は一体どこの世界を見ていたのだろう?
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だからそれを上手く受け取れない事が……俺は一番悲しい事だと思う。
私は……世界で一番悲しいヤツだったんだな。
「 早く悪いヤツがいなくなりますように! 」
突然少女が神に祈りだしたので……私も一緒に初めて神に祈りを捧げる。
頭の中にいたのは、この世界を見せてくれた爺さんだったけど……。
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