【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第四十六章

1454 圧倒的な力の前で

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( オリビア )


化け物だ────。

こんなヤツ相手に敵うわけない。


圧倒的な力に、感情が一切感じられない中身……その全てが化け物にしか見えなかった。

それを嫌というほど理解すると、ヘナヘナ~とその場にへたり込む。


戦うも逃げるも無理。

それを父と母も理解したのだろう。

必死に考えているようだった。


自分だけが助かる方法を────……。


すると、父が何かを思いついた様で、ニヤッと笑いながらその少年に話しかけた。


「 なんだよ~。つまり俺達は同類って事だろう?

だったら話ははえぇ。

ほら、ここのおもちゃは全部お前にやるからさぁ~。

────なっ?それでいいだろう?

そいつら使って楽しく遊べばいい。

俺達は違う場所で楽しく遊べる場所を探すからよ。

お互い楽しもうぜ~!じゃっ!そういう事で~。 」


「 そうよそうよ~。

楽しく遊べる玩具なんてこの世界にた~くさんあるんだから、別にいいわ~。

私も消えるから、後はそいつらで遊んで~。 」


私や街の連中を指差し笑う父と母に、怒りがこみ上げる。

” 悪人 ” のおもちゃは、 ” 善人 ”

だからそれで遊んで自分たちを見逃せと言っている。


「 ふざけやがって……っ! 」


怒りに立ち上がろうとしたが、やはりヘンドリクはそれを止める。

一体何故かを問う前に……少年が面倒くさそうに息を吐いた。


「 はぁ~……。分かってねぇな~。

” 遊んでいいのは役に立たねぇゴミクズだけ ”

俺は ” 親思い ” の男だからよ……こればっかりは仕方ねぇんだよな~。 」


首をゴキゴキと鳴らした少年は、もう一度大きなため息をつく。

それに激昂したのは父だ。

ダンッ!!と足を踏み鳴らし、大声で怒鳴った。


「 ────っなっ、何を訳わかんねぇ事言ってんだこらぁっ!!

役立たずのゴミは誰がどう見ても雑魚いアイツラだろうがっ!! 」


「 あ~ハイハイ。雑魚ほどよく喋りまちゅね~。

ママは死にましたよ~。もうひとり立ちしましょうねぇ~。 」


煽る様な言い方に、とうとう父が少年に向かい、全力攻撃を仕掛ける。


「 死ねやっ!!このクソガキがぁぁぁぁぁ!!!! 」


目で追うのもやっとなスピードで、少年の前に飛んだ父が、剣を振り下ろしたが……そこに少年はいない。


「 ……なっ……?えっ……??は……?? 


ぽかんとする父だったが、ヘンドリクだけはその動きが見えていたのか、父の後ろへと視線を動かす。

それに続いて父の後ろを見ると────……少年が静かに立っていた。


「 う……うぉぉぉぉぉぉぉ────!!!!! 」


父もその直後に背後にいる少年に気づいた様で、そのまま怒涛の剣のラッシュを少年に仕掛けたのだが……少年はその全てを軽々と避けてしまう。


「 クソ……クソっ!クソぉぉぉッ!! 」


父は悔しさに顔を歪めながら、懇親の力で剣を振り遅したのだが……なんと少年はその剣を指で摘むように止めてしまった。


「 ────っ……なっ……。 」


「 ハァ……この程度かよ。もうちっと楽しめると思ったけどな。 」


少年はガッカリした表情を浮かべながら、父の足を軽く蹴る。


「 ……うおっ!! 」


すると父は大きくバランスを崩してその場にしゃがみ込んでしまったが、少年はすかさず父の顔を鷲掴みニヤァ~と笑った。


「 はい、いただきま~す♬ 」


少年は食事の前の様にそんな事を言うと、父の顔を鷲掴んでいた手から強い白い光が放たれる。


「 ────!!??クソッ!何だ!?こりゃっ!! 」


父はすぐに少年の手から逃れようとしたが、それより先に少年は手を外した。

そのため父は一気に勝負を掛けようと、剣にスキルを掛けようとしたのだが……?


「 あ…あれ……? 」


どうにも様子がおかしい。

剣を見下ろしキョトンとした顔をしている。


「 何やってんのよ!!

早く攻撃を────……。 」


母が父に向かって怒鳴りつけたが、いつの間にか目の前にいた少年に腹を蹴り上げられて、言葉は不自然に途切れてしまった。


「 ────~っ……ぐふっ……!! 」


蹴られた腹を抑えて膝をつく母の顔を少年は鷲掴みにし、またその手からは白い光が……。


一体何をしているのだ?


不思議に思いながら見ていたが、その理由はその直後に判明する。


「 ────っ離せっ!このクソガキがぁぁ!!

大量のモンスターを呼び寄せて全員ぶっ殺してやる!! 」


母は少年の手を振りほどき、そのままスキルを発動してモンスターを集めようとしたのだが……何も起こらない。

母の顔色は次第に悪くなっていった。


「 ……えっ?……あ、あれ……??

な……なんでスキル……発動しないの……?? 」


呆然と立ち尽くす母と父に、少年はニヤ~と楽しそうに笑いながらパチンッと指を弾く。

すると、突然街の外からブブブ……という沢山の羽音がし始めて全員そちらへ視線を向けた。


そこにはまるで一つの集合体の様にも見える、沢山の虫型モンスター達の大集団がこちらに向かって飛んでくる姿がある。

まさか……。


「 ……私のスキルを……盗んだの……? 」

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